2025年10月26日、みずほペイペイドーム福岡で歴史が動きました。
福岡ソフトバンクホークスの周東佑京選手が、日本シリーズ史上初となる1試合5安打を達成。「俊足が武器」と言われ続けた選手が、打撃で球界の歴史に名を刻む快挙を成し遂げたのです。
前日の第1戦で逆転負けを喫し、日本シリーズ5連敗中だったソフトバンク。その流れを断ち切ったのは、選手会長としてチームを牽引する周東の5本のヒットでした。
📋 この記事でわかること
⚾ 周東佑京が日本シリーズ新記録の5安打！何が起きた？
2025年10月26日のSMBC日本シリーズ第2戦、ソフトバンクが阪神を10-1で圧倒しました。
この試合で、ソフトバンクの周東佑京選手（29歳）が信じられない記録を達成します。
5打数5安打
打席に立った5回すべてでヒット
打席に立った5回すべてでヒットを放つという、完璧な試合内容でした。
📊 各打席の詳細
1回の第1打席、周東は右前へヒット。幸先の良いスタートを切ります。
2回の第2打席、左中間への適時三塁打。この三塁打でチームに得点をもたらし、試合の流れを引き寄せました。
3回の第3打席、中前打。
5回の第4打席も中前打で、この時点で4安打。
そして運命の7回、第5打席。
周東は阪神の湯浅投手から左翼線へ二塁打を放ちました。この瞬間、球場の大型モニターに「日本シリーズ新記録達成！」の文字が映し出されます。
みずほペイペイドームは歓声に包まれました。
🎯 サイクル安打まであと一歩
5安打の内訳を見ると、単打（シングルヒット）が3本、二塁打が1本、三塁打が1本。
💡 実はサイクル安打まで、あと本塁打（ホームラン）1本でした。
「打撃で名を刻めるとは思っていなかった」。
試合後、周東選手本人がそう語ったほど、予想外の記録達成となりました。俊足が売りの選手が、打撃で日本シリーズの歴史に名を残す――。
これが、2025年10月26日に起きた出来事です。
この勝利で、対戦成績は1勝1敗の五分に。
では、この「5安打」という記録は、どれほどすごいことなのでしょうか？
📜 過去の記録は？神様・ミスターも超えた歴史的快挙
日本シリーズが始まったのは1950年。それから76年間、多くの名選手たちが日本一をかけて戦ってきました。
🏆 これまでの最多記録は「4安打」
周東選手が記録を更新するまで、日本シリーズ1試合の最多安打記録は「4安打」でした。
この記録を持っていたのは、延べ24人の選手たち。最近では、2023年の阪神・近本光司選手がこの記録を達成しています。
ソフトバンクでは、栗原陵矢選手が2020年に4安打を記録していました。
⚡ ポイント
多くの名選手が「4本」までは到達したものの、「5本目」は誰も打てなかった。それだけ難しい壁だったのです。
⭐ レジェンドたちも届かなかった領域
日本球界には、伝説的な記録を持つ選手がたくさんいます。
「神様」と呼ばれた長嶋茂雄氏は、日本シリーズ通算91安打という最多記録を持っています。「ミスター」こと王貞治氏も、日本シリーズで数々の記録を樹立しました。
しかし、この2人の伝説的選手でさえ、1試合で5安打は達成できませんでした。
日本シリーズという短期決戦で、1試合に5回打席が回ってくること自体が珍しい。その上で5回すべてヒットを打つには、実力だけでなく運も必要です。
だからこそ、76年間誰も成し遂げられなかった。周東選手は、その歴史の扉を開いたのです。
❓ なぜ5本目が打てなかったのか
日本シリーズは、レギュラーシーズンとは違います。
相手チームは、リーグ優勝を果たした最強のチーム。投手陣も、エースクラスを次々と繰り出してきます。
1試合で4安打を打つだけでも、相当な集中力と技術が必要。5本目を打つには、その日一日が完璧に噛み合わなければなりません。
過去24人の選手が4安打で止まったのは、そうした理由からです。
では、その記録を作った周東佑京選手とは、いったいどんな選手なのでしょうか？
👤 周東佑京とは？俊足だけじゃない選手会長の実力
周東佑京（しゅうとう・うきょう）選手は、1996年2月10日生まれの29歳。群馬県出身です。
🌱 育成ドラフトからの下克上
周東選手のプロ人生は、決して順風満帆ではありませんでした。
2017年、東京農業大学北海道オホーツクから、ソフトバンクの育成ドラフト2位で指名を受けます。
📝 育成ドラフトとは
プロの下部組織からスタートする制度。契約金は300万円、年俸はわずか400万円という金額でした。
しかし、周東選手は持ち前の俊足を武器に、着実に成長します。2019年、ついに支配下登録（一軍選手として正式契約）され、一軍に定着しました。
⚡ 「周東は一塁でも得点圏」
周東選手の最大の武器は、なんといっても脚の速さです。
一塁到達タイムは3.8秒。
この速さがどれほどすごいかというと、「周東は一塁でも得点圏」という言葉が生まれたほど。
普通の選手なら、二塁（得点しやすい位置）にいないと得点につながりません。でも周東選手は、一塁にいるだけで「盗塁して二塁、三塁に進むのは確実」と思われるほどの速さなのです。
実際、周東選手はNPB育成選手出身者初の盗塁王に輝いています。
さらに、連続試合盗塁の世界記録（13試合連続）も保持。「代走の切り札」として、みずほペイペイドームでは「代走周東」がコールされると、球場全体が盛り上がります。
🌏 WBCでも活躍した日本代表
2023年のWBC（ワールド・ベースボール・クラシック）では、日本代表に選出されました。
準決勝のメキシコ戦。9回裏、周東選手は代走で出場し、驚異的なベースランニングでサヨナラのホームを踏みます。
この瞬間は、多くの野球ファンの記憶に残っているでしょう。
👔 選手会長としての責任感
2024年から、周東選手はソフトバンクの選手会長を務めています。
選手会長とは、チームの代表として選手をまとめる重要な役割。前任の今宮健太選手からは「人間として大人になる」という言葉を受け継ぎました。
今季は怪我人が続出する中、選手会長として「暗くならないように心掛けてきた」と語っています。
そうした責任感が、打撃にも表れたのかもしれません。
「足だけ」と言われ続けた選手が、打撃で球界の歴史に名を刻んだ――。周東選手の成長物語は、多くの人に勇気を与えてくれます。
しかし、この試合で活躍したのは周東選手だけではありません。
💪 山川穂高も5打点の大爆発！ソフトバンク打線が目覚めた
第2戦のソフトバンクは、チーム全体が爆発しました。
⚾ 山川穂高の復活劇
第1戦ではベンチスタートだった山川穂高選手（33歳）。第2戦では「6番・一塁」でスタメン復帰を果たします。
初回、2死一・二塁のチャンス。
山川選手は右中間フェンス直撃の2点二塁打を放ち、チームを勝ち越しに導きました。
「打ったのは真っ直ぐ。しっかりと打つべきボールに対してスイングを仕掛けることができました」。試合後、山川選手はそう語っています。
そして2回、山川選手は3ランホームランを放ちました。
🎯 この1試合で5打点
日本シリーズ1試合の最多打点記録（6打点）にあと1点と迫る活躍でした。
🔥 柳田悠岐も猛打賞
ソフトバンクの主砲、柳田悠岐選手も3安打の猛打賞。
チームは2回終了時点で、早くも8-1という大量リードを築きます。阪神の先発投手を早々にKOし、試合の主導権を完全に握りました。
⚡ 上沢直之の好投
投手陣も素晴らしいピッチングを見せます。
先発の上沢直之投手は、6回を1失点に抑える好投。日本シリーズ初勝利を挙げました。
📈 ポストシーズン入って湿っていた打線が目覚めた
実は、ソフトバンク打線はポストシーズンに入ってから調子が悪く、得点力不足が課題でした。
しかし、第2戦では14安打10得点の大爆発。
周東選手の活躍がチーム全体に良い流れをもたらし、打線が一気に目覚めた形です。
前日の逆転負けから一転、圧倒的な勝利。ソフトバンクは、本来の強さを取り戻しました。
では、この勢いで日本一を目指せるのでしょうか？次の試合はいつ、どこで行われるのでしょうか？
🏟️ 次は甲子園！日本一をかけた第3戦の展望
対戦成績は1勝1敗の五分。ここからが、本当の勝負です。
📅 10月28日、舞台は甲子園へ
第3戦は10月28日（火）18:00開始。舞台を阪神甲子園球場に移しての戦いとなります。
日本シリーズは、先に4勝したチームが日本一。第3・4・5戦は、甲子園での3連戦です。
🐯 阪神の本拠地での巻き返し
第1戦は阪神が2-1で勝利。第2戦はソフトバンクが10-1で圧勝。
完全に五分の状況で、阪神の本拠地・甲子園に戻ります。
阪神にとっては、ホームの利を活かして巻き返したいところ。ソフトバンクは、アウェーでどこまで戦えるかが鍵となります。
🔥 ソフトバンクの日本シリーズ5連敗を止めた
実は、ソフトバンクは昨年の第3戦から日本シリーズ5連敗という記録がありました。
しかし第2戦の大勝で、その連敗をストップ。周東選手の新記録達成、山川選手の復活、打線の爆発――。すべてが良い方向に回り始めています。
📆 今後の日程
移動日を挟んで、10月28日から甲子園での3連戦がスタート。
- 📍 第3戦：10月28日（火）18:00 甲子園
- 📍 第4戦：10月29日（水）18:00 甲子園
- 📍 第5戦：10月30日（木）18:00 甲子園
- その後、再び福岡に戻って：
- 📍 第6戦：11月1日（土）18:30 みずほペイペイドーム
- 📍 第7戦：11月2日（日）18:00 みずほペイペイドーム
最短で、10月30日には決着がつく可能性もあります。
👑 選手会長・周東佑京が切り開く道
選手会長として、チームを牽引する周東選手。
「昨年リーグ優勝して日本一になれなかったのは僕たちの力不足。今年は全員で日本一を取りにいきましょう」。
そう語っていた周東選手の覚悟が、新記録という形で表れました。俊足だけでなく、打撃でもチームに貢献。その姿は、チーム全体に勇気を与えています。
阪神も、本拠地での3連戦で何としても勝ち越したい。両チームの意地がぶつかり合う、熱い戦いが続きます。
日本一の座は、まだ見えません。
📝 この記事のポイント
- 周東佑京選手が日本シリーズ史上初の1試合5安打を達成：76年間誰も成し遂げられなかった記録を更新
- 過去の記録は4安打で24人：神様（長嶋茂雄）やミスター（王貞治）も届かなかった領域
- 周東選手は育成ドラフト出身：年俸400万円から始まり、俊足を武器に成長した下克上ストーリー
- 山川穂高選手も5打点の大活躍：チーム全体が爆発し、ソフトバンクが10-1で圧勝
- 次は甲子園での3連戦：1勝1敗の五分、10月28日から阪神の本拠地で日本一をかけた戦いが続く
「足だけ」と言われた選手が、打撃で歴史を作った――。周東選手の活躍が、ソフトバンクを日本一に導くのか。
それとも阪神が本拠地で巻き返すのか。
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