2025年10月30日、バレーボール界に衝撃のニュースが走りました。
イラン代表のサベル・カゼミ選手(26)が脳死と判定されたのです。カタールのプールで起きた事故から約2週間—まだ若く、これからのバレーボール界を背負うはずだった選手に何が起きたのでしょうか。
2021年にはアジア王者として日本を破り、MVPに輝いた実力派選手の突然の悲劇。
現在も延命治療が続く中、世界中のバレーファンが回復を祈っています。
📋 この記事でわかること

🏐 サベル・カゼミ選手とは?アジア王者のオポジット
サベル・カゼミ選手は、1998年12月24日生まれの26歳。
イラン代表でオポジット(攻撃の要となるポジション)を務める選手でした。ウィキペディアの記録によると、身長205cm—一般的なドアの高さよりも高い恵まれた体格で、バレーボール界の期待の星として知られていました。
🌟 バレーボールの聖地から生まれたエース
カゼミ選手が生まれたのは、イラン北部のゴルガン市。
実はこの町、イランでは「バレーボールの聖地」と呼ばれる場所なんです。家族全員がバレーボール好きで、お父さんや兄弟たちが遊んでいる姿を見て育ちました。
イラン・バレーボール連盟の公式インタビューで、カゼミ選手はこんな思い出を語っています。
「僕は小さすぎて、家族のバレーボールに参加させてもらえませんでした。だから隅っこに座って、ただ見ているだけでした」
その悔しさがバネになったのか、成長したカゼミ選手は2018年、20歳でイラン代表デビューを果たします。初戦の相手はバレーボール強豪国イタリア—緊張の中でのデビュー戦でした。
💪 大怪我から復活、そして頂点へ
順調に見えたキャリアでしたが、2019年に転機が訪れます。
足首を骨折する大怪我を負い、5ヶ月もの間、試合に出られなくなったのです。当時のことを、カゼミ選手はこう振り返っています。
「あの時は本当につらかった。周りの人たちが僕への信頼を失ったと感じました。でも、その経験が僕を強くしました。必死にリハビリをして、代表に戻ることだけを考えていました」
その努力は実を結びます。
2021年、日本で開催されたアジア男子バレーボール選手権。カゼミ選手はイラン代表の中心選手として活躍し、決勝で日本と対戦しました。
テヘラン・タイムズの報道によると、カゼミ選手はこの決勝で19点を獲得。
イランは日本を3-0のストレートで破り、金メダルを獲得します。そして、カゼミ選手は大会のMVP(最優秀選手)に選ばれたのです。挫折から2年、26歳の若さでアジアの頂点に立った瞬間でした。
🌍 海外でもプレー、そしてカタールへ
実力を認められたカゼミ選手は、海外のクラブからもオファーを受けるようになります。
トルコ、インドネシア、クウェート—さまざまな国でプレー経験を積みました。そして2024年シーズン、カタールの強豪クラブ「アル・ラヤン」に移籍。新天地での活躍が期待されていました。
ただ、ウィキペディアの記録によると、2024年8月には代表辞退により2年間の活動禁止処分を受けていたという複雑な背景もありました。
それでも、クラブでのプレーは続けており、新しいチームメイトとともにトレーニングに励んでいたのです。
⚠️ カタールのプールで何があったのか―事故の詳細
事故は2025年10月17日、カタールの首都ドーハで起こりました。
💔 突然の悲劇
その日、カゼミ選手はいつものようにアル・ラヤンでのトレーニングを終えました。
練習後、宿泊していた施設のプールへ。リラックスするため、あるいはクールダウンのためだったのかもしれません。しかし、そこで突然、カゼミ選手が倒れたのです。
テヘラン・タイムズの続報によると、カゼミ選手は心停止の状態で発見されました。
すぐに救急隊が駆けつけ、心肺蘇生を実施。幸いにも心臓は再び動き始めましたが、カゼミ選手は意識を取り戻すことなく、昏睡状態に陥りました。
❓ 事故原因をめぐる報道の矛盾
ここで混乱するのが、事故の原因です。
実は、報道によって説明が異なっているのです。日本やブラジルなど多くのメディアは「プールで感電した」と報じています。スポニチアネックスの報道でも「プールで感電し、重度の脳損傷を負った」とされています。
一方、イラン現地メディアEl-Baladの取材によると、イラン・バレーボール連盟の医療代表を務める神経外科医のレザ・ジャバリ博士は、こう述べています。
⚠️ 重要な矛盾
「感電説は否定されます。脳に関連した事故である可能性が最も高い」
同時に、イラン・バレーボール連盟の会長は「電気ショックと心停止と報告されている」とも発言しており、情報が錯綜しています。
つまり、事故から2週間経った今でも、正確に「何が起きたのか」は完全には明らかになっていないのです。
🚑 必死の治療とイランへの移送
事故直後、カゼミ選手はドーハのハマド病院に搬送されました。
約10日間、カタールの医療チームが治療を続けましたが、状態は改善しません。イラン・バレーボール連盟は、カゼミ選手をイランに移送する決定をします。
10月下旬、カゼミ選手は空路でイランの首都テヘランへ。パヤンバラン病院に入院し、イランの医療チームによる治療が始まりました。
しかし、脳の損傷は深刻でした。
🏥 脳死判定後も延命治療が続く理由
2025年10月30日、イラン・バレーボール連盟が公式X(旧Twitter)で発表しました。
「医療委員会は、イラン代表バレーボール選手サベル・カゼミの脳死を確認しました」
多くの人が疑問に思うのは、「脳死なのに、なぜ治療が続いているのか?」という点ではないでしょうか。
🧠 脳死とは何か
まず、「脳死」について理解しておく必要があります。
脳死とは、脳の働きが完全に、そして永久に止まってしまった状態のことです。脳は私たちの体全体の司令塔。呼吸をしなさい、心臓を動かしなさい、という命令を出しているのも脳です。
脳死になると、この司令塔が機能しなくなります。
しかし—ここが重要なのですが—医療機器を使えば、呼吸や心臓の動きを人工的に続けることができるのです。
💔 カゼミ選手の現在の状態
イラン・バレーボール連盟は、脳死判定の発表と同時に、こうも述べています。
「サベルは息をして、心臓が鼓動しています」
「医療委員会が脳死を確認しましたが、医療機器が接続されており、サベルは生きています」
つまり、カゼミ選手の脳の機能は停止していますが、人工呼吸器などの医療機器によって、体は生命を維持している状態なのです。
これを「延命治療」と呼びます。
❓ なぜ延命治療を続けるのか
では、なぜ延命治療を続けているのでしょうか。
これには、いくつかの理由が考えられます。まず、家族の意向です。愛する息子が少しでも生きていてほしい—そう願う家族の気持ちは、十分に理解できるものです。
また、医学的にも、すぐに治療を止める必要はありません。
家族や関係者が状況を受け入れ、心の準備をするための時間が必要なこともあります。文化や宗教的な背景も影響するでしょう。
イラン・バレーボール連盟は、発表の最後にこう呼びかけました。
「サベルのために祈りを捧げてください」
世界中のバレーファンが、奇跡を願って祈り続けています。
💧 プールでの事故はなぜ起きるのか
カゼミ選手の事故原因は完全には明らかになっていませんが、「プールでの感電事故」という報道が多くあります。
実は、プールでの感電事故は世界各地で実際に起きているのです。
⚡ プールと電気の危険な関係
プールには、意外とたくさんの電気設備があります。
水中を照らすライト、水をきれいにするためのポンプ、温度調節のためのヒーター。これらはすべて電気で動いています。
そして、水は電気を通しやすい性質を持っています。
四国電気保安協会の報告によると、プール設備で漏電が起きた場合、水中にいる人が感電する危険性があるとされています。特に問題なのは、設備の老朽化や点検不足です。
😢 実際に起きた悲劇
2017年、トルコで痛ましい事故が起きました。
東京外国語大学が翻訳・公開している現地報道によると、サカリヤ県のプールで泳いでいた13歳、15歳、17歳の子供3人が突然、感電しました。
プールのオーナーとその息子が、子供たちを助けようと水に飛び込みます。
⚠️ 悲劇の結果
5人全員が感電し、その場で亡くなってしまったのです。後の調査で、プールの電線に問題があったことが判明しました。
🛡️ プール事故を防ぐには
では、どうすればこうした事故を防げるのでしょうか。
最も重要なのは、定期的な点検です。プール設備の配線や漏電遮断器(電気が漏れたら自動的に電源を切る装置)が正常に働いているか、専門家がチェックする必要があります。
また、プール利用者も注意が必要です。
- 雷が鳴っている時はプールに入らない
- プールサイドで電気製品を使わない
- 施設の異常を見つけたらすぐに報告する
カゼミ選手の事故の正確な原因はまだ分かっていませんが、プールの安全管理の重要性を、私たちに改めて教えてくれる出来事となりました。
🙏 バレー界から祈りの声―日本ファンの反応も
カゼミ選手の脳死判定のニュースは、日本のバレーボールファンにも大きな衝撃を与えました。
SNSには、心配の声が次々と投稿されています。
「カゼミ、名前覚えてるし絶対試合で見た。まだ26なのに脳死とは……」
「アジア選手権の時のプレイ凄かったの印象に残ってる」
「まだ若いのに…」
2021年のアジア選手権で日本と対戦したカゼミ選手のプレーを覚えているファンが、多くいることが分かります。
😊 明るく謙虚な人柄
実は、カゼミ選手は人柄の良さでも知られていました。
イラン・バレーボール連盟のインタビューで、カゼミ選手は自分の挫折経験を正直に語っています。「周囲の信頼を失ったと感じた」と率直に認める謙虚さ。
そして、そこから這い上がる努力。
世界バレー情報サイトWorldofVolleyでは、「カゼミ選手は希望、決意、謙虚さの象徴だった」と評されています。世界中のバレー関係者が、カゼミ選手の明るい笑顔と真摯な姿勢を思い出し、回復を祈っています。
🇮🇷 イラン国内の反応
カゼミ選手の出身地、ゴルガン市では、住民たちが大きなショックを受けています。
「バレーボールの聖地」と呼ばれるこの町が生んだエースの突然の悲劇。町全体が祈りに包まれています。
イラン国内では、カゼミ選手が2024年に代表辞退で処分を受けていたこともあり、複雑な感情を抱く人もいるかもしれません。
それでも、彼の才能と努力を認める声は圧倒的に多いのです。
🌍 世界中から寄せられる祈り
国や言語の壁を越えて、世界中のバレーボールファンが一つになっています。
「#PrayForKazemi(カゼミのために祈ろう)」—SNSでこうしたハッシュタグが広がり、多くの人が回復を願うメッセージを投稿しています。
イラン・バレーボール連盟も、繰り返しこう呼びかけています。
「サベルのために祈りを捧げてください」
脳死という厳しい状況ではありますが、医療機器によって生命は維持されています。
奇跡を信じて、世界中が祈り続けているのです。
📝 まとめ
サベル・カゼミ選手に起きた悲劇は、スポーツ界全体に大きな衝撃を与えています。
26歳という若さ、これからがさらに期待される実力、そして何より、大怪我から復活してアジア王者となった努力家だったカゼミ選手。
2025年10月30日現在、脳死判定が下されながらも延命治療が続けられており、世界中のバレーファンが回復を祈り続けています。プールでの事故—その詳細は今もすべてが明らかになっていませんが、身近な場所にも危険が潜んでいることを私たちに教えてくれます。
イラン・バレーボール連盟は「サベルのために祈りを捧げてください」と世界に呼びかけています。
日本でもカゼミ選手のプレーを覚えている多くのファンが、彼の回復を心から願っています。
✅ この記事のポイント
- サベル・カゼミ選手:26歳のイラン代表オポジット、2021年アジア選手権MVP
- 事故発生:2025年10月17日、カタールのプールで倒れ、心停止→昏睡状態に
- 事故原因の矛盾:多くのメディアは「感電」と報道、イランの医師は「脳関連の事故」と説明
- 脳死判定:10月30日に発表されたが、医療機器で呼吸と心臓は維持されている
- プールの危険性:設備の漏電や老朽化により、感電事故は世界各地で発生
- 世界中からの祈り:日本を含む世界中のファンが回復を願っている
あなたは、サベル・カゼミ選手の回復について、どう思いますか?
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: サベル・カゼミ選手とはどんな選手ですか?
26歳のイラン代表オポジットで、2021年アジア選手権でMVPに輝いた実力派選手です。身長205cmの恵まれた体格で、2019年の大怪我から復活してアジア王者になった努力家として知られていました。
Q2: プールで何が起きたのですか?
2025年10月17日、カタールのプールで突然倒れ、心停止状態となりました。事故原因については「感電」と報じるメディアと、「脳関連の事故」とするイランの医師の説明があり、情報が錯綜しています。
Q3: 脳死判定後も延命治療が続く理由は?
脳の機能は停止していますが、医療機器で呼吸と心臓を維持することができます。家族の意向や、状況を受け入れるための時間、文化的・宗教的背景などが延命治療継続の理由として考えられます。
Q4: プールでの感電事故はなぜ起きるのですか?
プールには照明やポンプなど多くの電気設備があり、漏電や老朽化が原因で事故が発生します。水は電気を通しやすいため、設備に問題があると水中の人が感電する危険性があります。定期的な点検と適切な管理が重要です。
Q5: 日本のファンはどのような反応を示していますか?
2021年アジア選手権で日本と対戦した記憶を持つファンが多く、SNSには「名前を覚えている」「プレーが印象に残っている」といった声が寄せられています。26歳という若さでの悲劇に、心配と回復を祈る声が広がっています。
Q6: カゼミ選手の現在の状態は?
2025年10月30日に脳死判定が発表されましたが、医療機器に接続されており、呼吸と心臓は動き続けています。イラン・バレーボール連盟は「サベルのために祈りを捧げてください」と呼びかけており、世界中のファンが回復を祈っています。