⚠️ 人口1,600人の町で何が起きたのか
2025年10月30日、北海道積丹町の海田一時副議長(74)が「僕は悪くない。謝罪しない」と断言。9月27日のクマ駆除現場でのトラブルから1ヶ月以上、猟友会の出動拒否が続き、小学校近くでクマが目撃されても対応できない事態に。
この問題の本質は、単なる口論ではありません。地方議員の権力意識と、ボランティアに近い形で命を懸ける猟友会への敬意の欠如が浮き彫りになっています。

📋 この記事でわかること
🏛️ 積丹町副議長・海田一時とは?74歳ベテラン議員のプロフィール
海田一時さんは、北海道積丹町議会の副議長を務める74歳のベテラン議員です。1951年8月10日生まれで、議員としては5期目。
無所属で当選を重ねてきました。職業は農業で、特に酪農と肉用牛の飼育に従事しています。
地元の品評会では「肉用牛の部」で優勝経験もあるほどの実力者です。積丹町の公式サイトによると、海田さんは産業建設常任委員会と総務文教常任委員会に所属しています。
💡 実は
海田さんが副議長に就任したのは2025年9月30日。トラブルが報道されたのは10月下旬ですから、就任からわずか1ヶ月後のことでした。
📍 積丹町ってどんな町?
積丹町は人口約1,634人(2025年9月末現在)の小さな町です。北海道の西海岸、積丹半島の先端に位置し、「積丹ブルー」と呼ばれる透明度の高い海が有名です。
観光地として知られ、特に夏のウニ漁が名物となっています。神威岬(かむいみさき)などの景勝地もあり、多くの観光客が訪れます。
町議会の議員は全部で9人だけ。議長と副議長を含めても、この人数で町政を動かしています。
⚡ 猟友会との衝突で何があった?『辞めさせてやる』発言の全容
2025年9月27日、海田副議長の自宅近くで体重284kgのクマが箱罠に捕獲されました。この284kgという数字、どれくらいすごいかというと、成人男性3〜4人分の重さです。
明らかに危険な相手でした。
🔍 現場で何が起きたのか
地元の猟友会から約10人のハンターが現場に駆けつけました。クマの駆除作業を始めようとしたとき、現場にいた海田副議長に、ハンターの一人が声をかけました。
「誰ですか?」
ハンターは海田さんと面識がなかったため、安全確認のために聞いたのです。これに対して海田さんは激怒したと、HTB北海道ニュースの報道は伝えています。
「誰にモノを言ってるか」
その後、ハンターたちは海田さんに安全のため現場から離れるよう促しました。しかし海田さんは応じず、関係者の証言によると、こう言ったとされています。
「こんなに人数が必要なのか。金もらえるからだろ。俺にそんなことするなら駆除もさせないようにするし、議会で予算も減らすからな。辞めさせてやる」
❓ なぜ10人も必要だったのか
実は、284kgのクマを相手に1人や2人では対応できません。環境省のクマ類出没対応マニュアルによると、ツキノワグマでさえ時速40km以上で走ることができます。
ヒグマはさらに大型で危険です。安全に駆除するには、複数のハンターが連携して射線を確保し、万が一の事態に備える必要があります。
10人という人数は、決して多すぎることはありません。
🗣️ 副議長の主張
一方、海田さんは10月30日のHTB取材で、一部の発言を否定しています。
「『何で急に撃つんだ』『こんなに人数いるのか』という話はしたが、『辞めさせてやる』とは言っていない。一町議がそんな力を持っているわけがない」
また、「議会で」と言っただけで、その場で脅したわけではないと主張しています。ただし、猟友会側は「現場で確かにそう言われた」と証言しており、双方の主張が食い違っています。
この事件の詳細な背景については、こちらの記事で詳しく解説しています。
😤 猟友会が怒った理由
翌日の9月28日、猟友会は町に対して出動拒否を通達しました。
「金もらえるからだろ」という言葉は、命を懸けて町民の安全を守ろうとしているハンターたちにとって、許しがたい侮辱でした。
猟友会は、海田副議長の謝罪と、今後の駆除現場への第三者の立ち入り禁止を要求しています。
💬 なぜ謝罪しない?『僕は悪くない』発言の真意
2025年10月30日、HTBの記者が海田副議長に直接取材しました。
Q. 猟友会には謝罪しないですか?
「しない。」
Q. なぜしないのですか?
「僕は悪くない。」
この断言が、さらに炎上を広げることになりました。
🧠 副議長の論理
海田さんは、自分には謝る理由がないと考えています。インタビューでは「積丹町で方針を誰が決めるかわからないが、そういう人たちで町民を守るって言えばそれで決まるんです」と語りました。
つまり、町や議会が決めることであり、自分一人の問題ではないという主張です。また、「議会ですよ。多数決ですよ」とも発言し、自分一人で予算を減らせるわけがないとも述べています。
😡 猟友会と住民の反応
しかし、猟友会は「現場での発言が問題」だと主張しています。議会でどう決まるかではなく、命を懸けて駆除に来たハンターに対して、現場で威圧的な言葉を投げかけたことが問題なのです。
週刊女性PRIMEの報道によると、元宝塚歌劇団の毬谷友子さんもXで「最低の副議長だ」とコメントしています。
SNSでは「老害」「プライドだけは高い」「町民の安全より自分のメンツ」といった批判が相次ぎました。
😲 一人称が「僕」という意外性
ちなみに、74歳の副議長が自分のことを「僕」と呼ぶことに、多くの人が驚いています。威厳のある立場の人物が「僕は悪くない」と言う姿は、ネット上で「おもろい」「ギャップがすごい」とも話題になりました。
🐻 積丹町のクマ被害は今どうなってる?住民の不安の声
猟友会が出動拒否を決めた9月28日以降、積丹町内ではクマの目撃や痕跡の情報が少なくとも9件寄せられています。
🏫 小学校近くでクマ目撃
2025年10月29日午前8時前、美国小学校からわずか約200メートルの場所で、何かを食べている子グマ1頭が目撃されました。
HTB北海道ニュースの報道によると、これまでなら学校近くでクマが出没した場合、町から猟友会にパトロールを要請していました。
しかしこの日、町は猟友会に出動要請をしませんでした。代わりに町職員だけで現場の見回りを行ったのです。小学校では児童を保護者が送迎するなど、警戒が続いています。
😰 住民の不安な声
積丹町民からは、こんな声が上がっています。
- 「気持ちは不安、ハンターが出動しないなら。警察のピストルでは対応できない」
- 「実際に(クマ)出たら(出動)してもらいたいもんね。心配ですね。おっかないもんね」
- 「クマは増えすぎている。人間の近くに来たら駆除してほしいですね」
⚠️ 実は、町は議会にも報告していなかった
さらに深刻な問題が明らかになりました。HTB北海道ニュースの取材で、積丹町は猟友会の出動拒否を把握していたにもかかわらず、町議会に報告していなかったことが判明しました。
10月9日には、クマが壊した檻の修繕費などを含むクマ対策の補正予算案が議会で可決されています。この時も、猟友会が出動を拒否しているという重大な事実は説明されませんでした。
石田弘美積丹町議は「一切報告がない。伝えることが行政としての役割」と批判しています。つまり、住民も、予算を審議する議会さえも、クマから町を守る最前線が機能不全に陥っていることを知らされずにいたのです。
📈 2025年は全国的にクマ被害が深刻化
積丹町だけの問題ではありません。2025年は全国的にクマによる被害が過去最多を記録しています。
同じ10月には岩手県一関市でクマによる死亡事故も発生しており、住宅地でのクマ被害が深刻化しています。
2025年のクマ被害が急増している理由と対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
⚖️ 海田副議長は辞職する?リコールや処分の可能性
「海田副議長をリコールできないのか」SNSではこんな声が多く上がっています。しかし、実際にはすぐにリコールすることはできません。
📝 リコール制度の仕組み
地方自治法によると、住民が議員の解職を求めるには、有権者の3分の1以上の署名を集める必要があります。
積丹町の有権者数は約1,200人程度と推定されますので、約400人の署名が必要になります。
人口1,634人の小さな町ですから、400人の署名を集めることは決して不可能ではありません。
⛔ ただし、就任後1年間はリコール請求できない
しかし、地方自治法には重要な制約があります。議員が当選してから1年間、または前回のリコール投票から1年間は、リコール請求ができないのです。
海田さんが副議長に就任したのは2025年9月30日。つまり、2026年9月30日までは、リコール請求自体ができません。
🏛️ 議会での除名処分の可能性は?
もう一つの方法として、議会が自ら「除名処分」を決議する方法があります。地方自治法によると、議員の3分の2以上が出席した本会議で、4分の3以上が賛成すれば、除名が成立します。
積丹町議会は9人(議長を除くと8人)ですから、理論的には可能です。
ただし、過去の事例を見ると、除名処分は「議場に立てこもった」「公務を長期欠席した」など、明確な議会運営への妨害行為があった場合に限られています。今回のケースは「議会外でのトラブル」であり、除名処分に至る可能性は低いと考えられます。
🔮 現実的な見通し
海田さん自身は謝罪する意思を示していません。議会での除名も難しく、リコールは2026年9月まで請求できない。
となると、海田さんが自主的に辞職するか、次の選挙で落選するまで、副議長の座にとどまる可能性が高いのです。
🔄 猟友会の出動拒否はいつまで続く?問題解決への道筋
猟友会は町に対し、2つのことを要求しています。
- 海田副議長の謝罪
- 駆除現場への第三者の立ち入り禁止
副議長が「謝罪しない」と断言している以上、問題解決の兆しは見えません。
🏹 猟友会が抱える構造的な問題
実は、この問題の背景には、猟友会が全国的に抱える構造的な課題があります。大日本猟友会の公式サイトによると、有害鳥獣の駆除は「狩猟者の半ばボランティア的な協力の下で実施されている」とされています。
つまり、猟友会のハンターたちは、趣味の狩猟とは別に、地域のために社会貢献として駆除に協力しているのです。
💰 報酬は驚くほど低い
弁護士ドットコムの取材によると、北海道の猟友会では、クマ駆除の日当は4,800円〜8,500円程度です。
発砲した場合でも、プラス1,800円が加算される程度。つまり、最大でも1日1万300円ほどなのです。しかも、ガソリン代や銃弾代は狩猟者の自己負担です。
💸 弾代は1発1,200円
ウクライナ情勢の影響で、銃弾の価格は以前の約3倍に高騰しています。クマ駆除に使用するハーフライフル銃の弾は、1発約1,200円もします。
2、3発撃てば、それだけで3,600円。報酬を超えてしまうケースも珍しくありません。つまり、命を懸けて駆除に協力しても、実質的には赤字になることもあるのです。
🤝 猟友会は任意団体
さらに重要なのは、猟友会は公的な組織ではなく、任意の「愛好者団体」に過ぎないということです。
東洋経済オンラインの記事によれば、この猟友会は、べつに獣害対策を担う組織として存在するのではなく、基本は「狩猟愛好者の団体」です。条件が折り合わなければ、協力する義務はないのです。
🌍 全国で起きている同様のトラブル
実は、積丹町だけの問題ではありません。2024年5月には北海道奈井江町でも、猟友会が「報酬が安すぎる」として出動を辞退する事態が発生しました。
猟友会側は1回4万5,000円を要求しましたが、町は最大1万300円しか提示せず、交渉は決裂しています。全国の猟友会は高齢化が進み、平均年齢は約62歳。若い担い手が育たず、人手不足が深刻化しています。
クマの攻撃力の恐ろしさについては、北上市の事件が示しています。
🛤️ 問題解決への道筋は?
現状では、以下の3つのシナリオが考えられます。
- 海田副議長が謝罪する:可能性は低い。本人が「謝罪しない」と明言している
- 海田副議長が辞職する:可能性は低い。辞職の意思は示していない
- 町が報酬を大幅に増額する:可能性はあるが、財政的な制約がある
積丹町の十河昌寛副町長は「猟友会の役員の方々にも引き続き対応していただけるように、話をまた引き続きしていきたい」と述べていますが、具体的な解決策は示されていません。
このまま出動拒否が続けば、町民の安全が脅かされ続けることになります。
📋 まとめ
積丹町の猟友会出動拒否問題についてまとめます。
- 海田一時副議長(74)が2025年9月27日のクマ駆除現場でハンターとトラブルになった
- 「辞めさせてやる」などの発言があったとされるが、副議長は一部を否定している
- 10月30日に「僕は悪くない」「謝罪しない」と断言し、さらに炎上した
- 猟友会は9月28日から出動拒否を続けており、1ヶ月以上経過している
- 小学校近くでクマ目撃があっても、猟友会は出動していない
- リコールは2026年9月30日まで請求できない(就任後1年間は請求不可)
- 猟友会の報酬は日当4,800円〜8,500円で、弾代1発1,200円は実費負担
- 全国的に猟友会は高齢化・人手不足が深刻化している
この問題は、単なる一議員と猟友会のトラブルではありません。日本全国の地方自治体が抱える構造的な問題—ボランティアに近い形で命を懸ける猟友会への敬意の欠如、低すぎる報酬、高齢化と人手不足—が凝縮されています。
海田副議長の「僕は悪くない」という言葉は、地方議員の権力意識の象徴として、今後も議論を呼び続けるでしょう。
問題の解決には、副議長の謝罪だけでなく、猟友会の活動を適切に評価し支援する仕組みづくりが不可欠です。
あなたはこの問題について、どう思いますか?
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: 海田一時副議長はなぜ謝罪しないのですか?
海田副議長は「僕は悪くない」と述べ、町や議会が決めることであり自分一人の問題ではないと主張しています。議会は多数決で決まるため、自分一人で予算を減らせるわけがないという論理です。
Q2: 積丹町で猟友会はいつから出動を拒否していますか?
猟友会は2025年9月28日から出動拒否を続けており、10月30日時点で1ヶ月以上が経過しています。この間、クマの目撃情報が9件以上寄せられていますが、対応できない状態が続いています。
Q3: 海田副議長をリコールすることはできますか?
地方自治法により、議員就任後1年間はリコール請求ができません。海田副議長は2025年9月30日に就任したため、2026年9月30日まではリコール請求自体が不可能です。
Q4: 猟友会のクマ駆除の報酬はいくらですか?
北海道の猟友会では、クマ駆除の日当は4,800円〜8,500円程度です。発砲した場合でもプラス1,800円程度で、最大でも1日1万300円ほど。しかもガソリン代や銃弾代(1発約1,200円)は自己負担です。
Q5: 積丹町のクマ被害は現在どうなっていますか?
猟友会の出動拒否後も、クマの目撃情報が9件以上寄せられています。10月29日には美国小学校から約200メートルの場所で子グマが目撃されましたが、町職員のみで対応し、猟友会は出動していません。
Q6: この問題はいつ解決する見込みですか?
現時点では解決の見通しは立っていません。猟友会は海田副議長の謝罪と駆除現場への第三者の立ち入り禁止を要求していますが、副議長は謝罪を拒否しており、積丹町も具体的な解決策を示していません。