リアルタイムニュース.com

今を逃さない。瞬間を捉える。あなたの時代を映す鏡

生活保護の不正受給はなぜバレる?罰則と申告義務を分かりやすく解説

 

香川県三豊市で、生活保護費423万円あまりを不正受給したとして、フィリピン国籍の女性(45)が詐欺容疑で逮捕されました。

この事件を機に、生活保護の不正受給とは何か、どのような問題があるのかについて解説します。

 

 

💡 生活保護の不正受給とは何か

生活保護の不正受給とは、事実と異なる申請をしたり、収入や資産を隠したりして、本来受け取るべきでない保護費を受給することです。

弁護士法人の解説によると、生活保護法では、生活が困窮している方に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障する目的で、生活困窮の程度に応じて必要な保護を実施しています。

しかし、この制度を不正な手段で利用するケースが問題となっています。

 

⚠️ 不正受給に該当する主なケース

具体的にどのような行為が生活保護の不正受給にあたるのかについて、代表的なケースを見ていきます。

 

🔴 収入を隠す・偽る

生活保護が支給される年収以上の収入があるにもかかわらず、実態を隠して生活保護費を受給している場合には、不正受給になります。

今回の香川県の事案では、報道によると、夫から仕送り収入を受けていたにも関わらず、2021年4月から去年12月までの間、46回にわたり三豊市から自身の口座に生活保護費423万6,350円を振り込ませ不正に受給したとされています。

アルバイト代や年金、仕送りなど、どんな収入でも申告が必要です。

「少額だから大丈夫」と思ってしまうケースが多いと指摘されています。

 

 

 

🔴 資産を隠す

不動産、車といった資産があるにもかかわらずそれを隠し、生活保護を受給している場合には、生活保護の不正受給になります。

生活保護は「最低限度の生活を保障する」制度です。

そのため、売却して生活費に充てられる資産がある場合は、原則としてそちらを優先する必要があります。

 

🔴 同居人を隠す

同居している人の収入額等に応じて生活保護費が決定するため、届出ている人以外のものと同居しているにも関わらず、申告をしなかった場合は生活保護の不正受給となります。

 

✅ 働きながらの受給は不正ではない

誤解されやすい点ですが、働きながら生活保護を受けること自体は不正ではありません。

就労などによって得た世帯の収入が、最低生活費に満たない場合、その不足分は保護費により補うことから、就労収入を得ながら生活保護を受給されている方もいます。

得た収入を福祉事務所に適正に申告していれば、不正受給とはなりません。

 

💡 重要なのは「収入を正しく申告する」ことです。

 

⚖️ 不正受給が発覚するとどうなるのか

不正受給が発覚した場合、様々な措置が取られます。

ここでは、実際にどのような対応がなされるのかを解説します。

 

💰 返還義務

生活保護は、生活困窮者が最低限度の生活を送るための給付であり、その費用は国民の税金から支出されることになります。

そのため、生活保護の受給資格のない人に支払われた生活保護費は、返還をしなければなりません。

専門サイトの解説によると、不正受給分の返還請求に関して、都道府県や市区町村は最大4割増での返還請求をすることが可能です。

特に悪質なケースでは、4割増で返還請求される可能性があります。

例えば100万円の不正受給があった場合、最大で140万円の返還が求められることになります。

 

📋 保護の変更・停止・廃止

返還請求とは別に、福祉事務所から指導を受けたり、生活保護の変更・停止・廃止の処分を受けます。

主に不正受給の悪質度によってどの処分になるかが決まります。

 

 

 

⚠️ 刑事罰の可能性

特に悪質なケースでは、刑事罰が科されます。

 

📕 生活保護法違反

生活保護法に違反した場合の罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。

 

📕 詐欺罪

生活保護を受給する際に虚偽の申告書を作成して提出した、または、世帯や収入に変更があったにもかかわらず変更の届け出をしなかったことによって不正に生活保護の支給を受けたなどの場合、刑法上の詐欺罪が成立する可能性があります。

詐欺罪が成立した場合の罰則は、10年以下の懲役と定められています。

今回の香川県の事案でも、詐欺容疑での逮捕となっています。

 

📌 実際の判決例

仕送り収入があったにも関わらず、無収入申告を続け、3年以上にわたり生活保護費を不正に受給していた事案で、懲役1年10か月の刑が確定した例もあります。

 

🔍 不正受給はなぜ発覚するのか

「隠せば分からないのでは」と考える人もいるかもしれませんが、意図的に隠してもほぼ確実に明らかになります。

ここでは、不正受給が発覚する主な仕組みを解説します。

 

👤 ケースワーカーの定期訪問

生活保護の受給中は、ケースワーカーによる定期的な自宅訪問があります。

定期訪問の目的は、自立した生活に向けた生活状況の調査や受給者とのコミュニケーションです。

同時に、申告していない同居人がいないか、収入・資産がないかなどもチェックされます。

自宅訪問時、不自然に裕福な生活をしている形跡があったり、未申告の同居人の存在が発覚したりすると、不正受給と判断されてしまいます。

 

📊 課税調査

生活保護費の不正受給対策の一環として、課税調査が行われています。

課税調査とは、事業者が従業員が住む市区町村に報告した収入額と、受給者が申告している収入額を比較するものです。

収入額に差がある場合はより詳細な調査が行われ、未申告の収入があると発覚したら不正受給だと判断されます。

雇用主が税務署に報告した給与と、受給者の申告内容を照合することで、未申告の収入が明らかになります。

 

 

 

🏦 金融機関への照会

福祉事務所は、必要に応じて銀行などの金融機関に預金状況を照会する権限を持っています。

 

📢 住民からの通報

住民からの通報によって発覚するケースもあります。

今回の香川県の事案でも、報道によれば身内からの通報がきっかけで発覚したとされています。

 

👮 警察官OBの配置

西宮市の取り組みによると、生活保護適正実施推進員として、警察官OBを職員として福祉事務所に配置している自治体もあります。

元警察官としての専門的な見地から、不正受給事案に対する調査及び検討、並びに悪質な事案に対する告訴手続きに係る調整を行っています。

 

💡 覚えておきたいポイント

不正受給は様々な方法で発覚します。「バレないだろう」という考えは通用しません。

 

✨ 不正受給を防ぐために大切なこと

不正受給を防ぐために最も重要なのは、収入や生活状況に変化があった際に、速やかに正確に申告することです。

ここでは、具体的にどのように対応すべきかを解説します。

 

📝 申告が必要な収入

習志野市の案内によると、生活保護受給中は、未成年者・世帯分離の人を含めたすべての収入について世帯員全員の収入申告を行う義務があります。

「就労先が決まった」「給与をもらった」「年金・手当をもらい始めた」等の場合は、必ず担当のケースワーカーまで申告してください。

親族からの仕送りや援助も収入として申告が必要です。

フリマアプリでの売上など、少額でも収入があれば申告しましょう。

 

❓ 申告すると不利になる?

「収入を申告すると生活保護が打ち切られるのでは」と心配する方もいますが、実際は違います。

働いて得た収入(給料・ボーナスなどの臨時的収入)を申告すると、必要経費(交通費・社会保険料など)の控除だけではなく、基礎控除などの控除を受けられます。

つまり、働いて得た収入の一部は手元に残る仕組みになっています。

申告しないと、こうした控除が受けられなくなってしまいます。

 

 

 

🤝 迷ったらケースワーカーに相談

不正受給を避ける一番の方法は、少しでも収入や変化があったらすぐにケースワーカーへ相談・申告することです。

「これは申告すべき収入なのか」「この場合はどうすれば良いのか」と迷った時は、ケースワーカーに相談することが大切です。

 

📌 まとめ

生活保護の不正受給について、以下の点を理解しておきましょう:

  • 不正受給とは:収入や資産を隠して、本来受け取るべきでない保護費を受給すること
  • 罰則:返還義務(最大1.4倍)、保護の停止・廃止、悪質な場合は刑事罰(詐欺罪で最大10年以下の懲役)
  • 発覚の仕組み:ケースワーカーの訪問、課税調査、金融機関照会、通報など、様々な方法で発覚する
  • 予防方法:収入や生活状況の変化を速やかに正確に申告する。迷ったらケースワーカーに相談

 

生活保護は、本当に困っている人を支える大切な制度です。

不正受給は、この制度の信頼を損ない、本当に支援が必要な人への影響にもつながります。

収入を正しく申告し、適切に制度を利用することが、すべての受給者にとって重要です。

 


 

❓ よくある質問(FAQ)

Q1. 生活保護の不正受給とは何ですか?

収入や資産を隠したり、虚偽の申告をしたりして、本来受け取るべきでない生活保護費を受給することです。働いて得た収入を申告しない、資産を隠す、同居人を申告しないなどが代表的なケースです。

Q2. 不正受給が発覚するとどうなりますか?

不正に受給した保護費の返還義務(最大1.4倍)が生じ、保護の変更・停止・廃止の処分を受けます。悪質な場合は、生活保護法違反(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)や詐欺罪(10年以下の懲役)で刑事罰を科される可能性があります。

Q3. 不正受給はどのようにして発覚しますか?

ケースワーカーの定期訪問、課税調査(事業者が報告した収入との照合)、金融機関への照会、住民からの通報など、様々な方法で発覚します。警察官OBを配置して調査を強化している自治体もあります。

Q4. 働きながら生活保護を受給するのは不正ですか?

いいえ、働きながら生活保護を受給すること自体は不正ではありません。就労収入を正しく申告していれば問題ありません。収入が最低生活費に満たない場合、その不足分が保護費として支給されます。申告すれば基礎控除なども受けられます。

Q5. どのような収入を申告する必要がありますか?

すべての収入の申告が必要です。給与、アルバイト代、年金、各種手当、仕送り、親族からの援助、フリマアプリでの売上など、どんなに少額でも申告義務があります。「少額だから大丈夫」という考えは禁物です。

Q6. 収入申告で迷った時はどうすればいいですか?

迷った時は、すぐに担当のケースワーカーに相談してください。「これは申告すべき収入か」「この場合はどうすればいいか」など、不明な点は遠慮なく確認することが大切です。相談すれば適切なアドバイスが得られます。

 

プライバシーポリシー / 運営者情報 / お問い合わせ