2024年10月、和歌山県新宮市で起きた交通事故で、中国人女性が亡くなりました。
この事故、実は普通の交通事故ではありませんでした。
運転していたのは「白タク」と呼ばれる違法タクシーの運転手だったのです。
白タクに乗って事故に遭うと、正規のタクシーでは当たり前にある補償が受けられない可能性があります。
しかも、空港や観光地で普通に客待ちしている白タクを、多くの外国人観光客が「普通のタクシー」だと思って利用しているのです。
📌 この記事で分かること
✓ 和歌山で起きた白タク死亡事故の詳細
✓ 白タクの危険性と保険問題
✓ 中国人観光客が白タクを使う理由
✓ 自分を守るための見分け方
📋 目次
🚨 和歌山県新宮市で起きた白タク死亡事故の全貌
2024年9月30日午後4時40分頃、和歌山県新宮市熊野川町の国道168号で事故が発生しました。
レンタカーと大型トラックが正面衝突する重大事故でした。
この事故で、レンタカーの2列目に座っていた中国籍の李莉さん（60歳）が頭部の痛みを訴えました。
病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されました。
MBSニュースの報道によると、レンタカーには運転手を含めて8人の中国籍の人が乗っていました。
運転手以外の7人は親族で、観光目的で日本を訪れていたとされています。
運転していた男性は足首を骨折する重傷を負いました。
他の6人は軽傷でした。トラックの運転手にケガはありませんでした。
💥 実は違法な「白タク」営業だった
事故から約3週間後の2024年10月20日、大阪市西成区に住む小売業の斉宏宇容疑者（26歳、中国籍）が逮捕されました。
容疑は道路運送法違反です。
カンテレNEWSの報道によれば、斉容疑者は営業許可を得ずにレンタカーで中国人観光客7人を有償で運んでいた疑いがもたれています。
⚠️ つまり、これは正規のタクシーではなく、違法な「白タク」による事故だったのです。
警察の調べに対して、斉容疑者は死亡事故を起こしたことは認めました。
しかし「報酬をもらう予定はなかった」と白タク営業については否認しているとのことです。
警察は中国の配車アプリなどを通じて事前に料金のやり取りがあったとみています。
白タク営業の実態を調べています。
⬇️ では、「白タク」とは一体何なのでしょうか？
🚖 白タクとは何か？なぜ違法なのか
「白タク」という言葉を初めて聞いた人も多いかもしれません。
実は、この「白」にはちゃんと意味があります。
🔍 白タクの「白」はナンバープレートの色
正規のタクシーは、国土交通大臣の許可を受けて営業しています。
そして、許可を受けたタクシーには緑色のナンバープレートが付けられます。
一方、白タクは許可を受けずに営業しているため、普通の自家用車と同じ白色のナンバープレートのままです。
つまり白色のナンバープレートで違法営業しているのです。
💡 豆知識
このナンバープレートの色から、違法タクシーは「白タク」と呼ばれるようになったのです。
⚖️ 白タクは重大な犯罪行為
道路運送法という法律の解説では、タクシー営業には国土交通大臣の許可が必要だと定めています。
許可なく白タク営業をした場合の罰則は重いです。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
これは新車が買えるレベルの罰金です。
大学生なら、大学生活まるごと刑務所で過ごすことになるかもしれない重さです。
🎓 タクシー運転手には特別な免許が必要
さらに、タクシーでお客さんを乗せて運転するには特別な免許が必要です。
普通の運転免許ではなく「第二種運転免許」という免許です。
弁護士法人の解説によると、第二種免許は普通免許よりも厳しい技能試験に合格する必要があります。
お客さんの命を預かる仕事だからです。
しかし、白タクの運転手は第二種免許を持っていないことがほとんどです。
今回の事故の運転手も、第二種免許を持たずに運転していた可能性が高いとされています。
⬇️ 白タクに乗ると、どんな危険があるのでしょうか？
⚠️ 白タクの何が危険なのか？今回の事故が示すリスク
「安ければ白タクでもいいんじゃない？」と思う人もいるかもしれません。
しかし、白タクには正規のタクシーにはない深刻な危険があります。
🚫 安全管理が一切ない
正規のタクシー会社では、運転手の健康管理や車両の点検が義務付けられています。
具体的には、乗務前のアルコールチェック、定期的な健康診断、車両の厳しい点検基準などです。
アイナビポータルの解説によれば、白タクにはこうした安全管理体制が一切ありません。
⚡ 危険ポイント
飲酒運転をしていても、体調が悪くても、車の整備不良があっても、誰もチェックする人がいないのです。
💸 事故に遭っても保険がおりない可能性
これが最も恐ろしい点です。
正規のタクシーには、事故が起きた場合に乗客を守るための手厚い保険が義務付けられています。
タクシー会社が責任を持って補償します。
しかし、白タクの場合は違います。
運転手が自家用車保険に加入していても、業務として人を運んでいた場合は保険金が支払われない可能性が高いのです。
交通事故の法律専門サイトによると、大阪地裁の判例でも厳しい判断が示されています。
「違法営業行為に基づく収入なので、原則として賠償は認めない」という判断です。
🆘 最重要
つまり、白タクに乗って事故に遭ってケガをしても、十分な補償が受けられず泣き寝入りする可能性があるのです。
最悪の場合、今回の事故のように命を失う可能性もあります。
🚗 運転技術が未熟な可能性
第二種免許を持っていない白タク運転手は、お客さんを乗せた運転の訓練を受けていません。
今回の事故でも、レンタカーがセンターラインをはみ出して対向車線に入りました。
そして大型トラックと正面衝突しています。
もし運転手に十分な技術や経験があれば、防げた事故だった可能性もあります。
⬇️ それなのに、なぜ白タクを使う人がいるのでしょうか？
🌏 なぜ中国人観光客は白タクを利用するのか
ここまで読んで「なんでそんな危険な白タクを使う人がいるの？」と思った人も多いでしょう。
実は、中国人観光客が白タクを利用してしまう背景には、いくつかの理由があります。
🇨🇳 中国では自家用車タクシーが普通
日本経済新聞の報道によれば、中国では自家用車を使ったライドシェアサービスが普及しています。
配車アプリで一般人の車を呼べるサービスが合法なのです。
📱 実は...
つまり、中国人観光客からすると「白い車に乗るのは普通のこと」です。
日本では違法だという認識がないのです。
「自分たちは世界最先端のサービスを使っているのに、日本は遅れている」とさえ思っている人もいるそうです。
📲 中国の配車アプリで簡単に予約できる
やまとごころの調査によると、中国の有名な配車アプリには驚くべき実態があります。
「滴滴出行（ディディ）」などに、日本国内で営業する白タク運転手が数千人も登録されているのです。
中国人観光客は、日本に来る前に中国国内でアプリを使って白タクを予約します。
中国元で決済も済ませてしまいます。
日本に到着した時には、もう運転手との約束ができていて、お金のやり取りも終わっています。
空港に着いたら、まるで友達が迎えに来たかのように白タクに乗り込むだけなのです。
💬 言葉が通じて安心
白タクの運転手は在日中国人が多いため、中国語で会話ができます。
日本語が話せない中国人観光客にとって、母国語で話せる運転手は非常に安心できる存在です。
日本の観光情報を聞いたり、おすすめのレストランを教えてもらったりできます。
そのため、正規のタクシーより便利だと感じる人も多いようです。
💰 正規のタクシーより安い
白タクは正規のタクシーより料金が安いことが多いです。
たとえば、関西国際空港から大阪市内まで正規のタクシーなら1万円以上かかるところがあります。
それが白タクなら7000円程度で済むこともあります。
ただし、これには理由があります。
白タクが税金を払わず、保険にも入らず、安全管理もせずに済ませているから安いのです。
🚔 警察の摘発が難しい
白タクが横行する理由の一つに、警察が摘発しにくいという問題があります。
料金の支払いが中国のアプリ内で完結しているため、日本の警察が取引の証拠をつかむのが困難なのです。
また、警察が職務質問しても「友達を送っているだけです」と言われれば、その場では証拠がないため摘発できません。
こうした事情から、違法と知りながら白タク営業を続ける人が後を絶たないのです。
⬇️ では、私たちはどうやって白タクを見分ければいいのでしょうか？
✅ 白タクの見分け方と自分を守る方法
では、私たちはどうやって白タクを見分け、自分の安全を守ればいいのでしょうか。
実は、白タクの見分け方は意外と簡単です。
🔢 ナンバープレートの色を確認する
最も分かりやすい見分け方は、ナンバープレートの色を見ることです。
✓ 緑色ナンバー
正規のタクシー（安全）
✗ 白色ナンバー
白タク（違法・危険）
タクシーに乗る前に、必ずナンバープレートの色を確認しましょう。
空港や観光地で、白いナンバープレートの車が客待ちしていたら要注意です。
それは白タクの可能性が高いです。
👀 その他の見分けポイント
横浜交通タクシーの解説によると、他にも以下のような特徴があります。
正規のタクシーにはあるが、白タクにはないもの：
- 屋根の上のタクシー表示灯（「TAXI」と光る部分）
- 車体に書かれた会社名や電話番号
- 料金メーター
- 運転手の制服
白タクの怪しい特徴：
- 運転手が客引きをしている
- 乗る前に料金交渉がある
- 車内が汚れている、整備されていない
- 運転手が私服を着ている
⚠️ 重要
これらの特徴が複数当てはまったら、その車には絶対に乗らないでください。
🚙 日本版ライドシェアとの違い
2024年4月から、日本でも「日本版ライドシェア」という新しいサービスが一部地域で始まりました。
これも白いナンバープレートの車を使いますが、白タクとは違って合法です。
ファイナンシャルフィールドの記事によると、日本版ライドシェアには見分け方があります。
「ライドシェア」の表示灯が付いているので、これで見分けることができます。
👥 外国人の友人にも教えてあげよう
もし、外国人の友人が日本を訪れる予定があるなら、白タクの危険性を教えてあげてください。
「安いから」という理由で白タクを使おうとしているなら、次のように説明しましょう：
- 日本では白タクは違法であること
- 事故に遭っても補償されない可能性があること
- 緑色のナンバープレートのタクシーを選ぶべきこと
言葉の壁があっても、ナンバープレートの色を見せながら伝える方法があります。
「Green is OK, White is dangerous（緑はOK、白は危険）」と伝えるだけでも効果があります。
📝 まとめ：白タクは絶対に利用しない
和歌山県新宮市で起きた白タク死亡事故は、違法タクシーの危険性を改めて示す痛ましい事件でした。
この記事の重要ポイントをまとめます：
- ✅ 白タクとは：国の許可なく営業する違法タクシー。白いナンバープレートが特徴
- ✅ 罰則：3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い刑罰
- ✅ 危険性：安全管理なし、事故時の保険なし、運転技術が未熟な可能性
- ✅ 中国人観光客が使う理由：中国では合法、配車アプリで簡単、言葉が通じる、安い
- ✅ 見分け方：ナンバープレートの色（緑=正規、白=違法）、タクシー表示灯の有無
⚠️ 最重要メッセージ
料金が少し安いという理由だけで白タクを選ぶことは、自分の命を危険にさらす行為です。
事故に遭っても補償が受けられず、最悪の場合、今回の事故のように命を失う可能性もあります。
空港や観光地で白タクに声をかけられても、絶対に乗らないでください。
タクシーに乗る前は必ず緑色のナンバープレートを確認しましょう。
正規のタクシーを利用しましょう。
そして、外国人の友人が日本を訪れる際は、白タクの危険性を教えてあげてください。
あなたの知識が、誰かの命を救うかもしれません。
❓ よくある質問（FAQ）
Q1: 白タクとは何ですか？
A: 白タクとは、国土交通大臣の許可を得ずに営業する違法なタクシーのことです。
正規のタクシーは緑色のナンバープレートですが、白タクは白色のナンバープレートで営業しているため、この名前がつきました。
Q2: 白タクに乗るとどんな危険がありますか？
A: 白タクには安全管理体制がなく、事故に遭った場合に保険金が支払われない可能性があります。
また、運転手は第二種免許を持たず、飲酒チェックや健康管理も行われていないため、事故リスクが非常に高いです。
Q3: 白タクの見分け方を教えてください
A: 最も簡単な見分け方は、ナンバープレートの色を確認することです。
緑色なら正規のタクシー、白色なら白タクの可能性が高いです。
他にも、タクシー表示灯がない、料金メーターがない、運転手が客引きをしているなどの特徴があります。
Q4: なぜ中国人観光客は白タクを利用するのですか？
A: 中国では自家用車ライドシェアが合法で普及しているため、違法という認識がありません。
また、中国の配車アプリで簡単に予約でき、中国語が通じて、正規のタクシーより安いという理由から利用されています。
Q5: 日本版ライドシェアと白タクの違いは何ですか？
A: 日本版ライドシェアは2024年4月から始まった合法的なサービスで、タクシー事業者が運営主体となっています。
白タクと同じ白ナンバーですが、「ライドシェア」の表示灯が付いているので見分けることができます。
Q6: 白タク営業をすると、どんな罰則がありますか？
A: 道路運送法違反として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
また、第二種免許なしで営業した場合は、無免許運転としてさらに重い罪に問われることもあります。
