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【2025年10月20日】Switch・Steamが繋がらない!世界的ネットワーク障害の原因と復旧は?

🎉 【18:27更新】大幅な回復の兆候!

ほとんどのリクエストが成功している状態に

2025年10月20日の午後、突然Switchでゲームができなくなった人が続出しました。「あれ、自分だけ?」と思ってTwitter(現X)を見ると、同じような報告が大量に。

実はこれ、任天堂だけの問題じゃなかったんです。

同じ時間帯にSteamもクラロワもフォートナイトも、さらにはSlackやZoomといったビジネスツールまで一斉にダウン。世界中を巻き込む大規模なネットワーク障害が発生していました。

しかも今月2回目。18時01分に根本原因が特定され、18時27分には大幅な回復の兆候が確認されました。

世界地図上に障害が広がっていくイメージを生成AIで作成したリアルなイメージ

世界地図上に障害が広がっていくイメージを生成AIで作成したリアルなイメージ

📋 この記事でわかること

🚨【緊急】2025年10月20日、任天堂・Steam等で世界的ネットワーク障害が発生

2025年10月20日15時50分頃(日本時間16時頃)、任天堂の公式サポートアカウントが「Nintendo Switch 2、Nintendo Switchなどのネットワークサービス全般に関するネットワーク障害が発生しています」と発表しました。

最初は「また任天堂のサーバーがメンテナンス?」くらいに思った人も多かったはず。

でも違ったんです。

同じ時刻、Steamユーザーからも「ログインできない」という報告が殺到。クラッシュ・ロワイヤルの公式アカウントも「緊急メンテナンス中」と告知。パルワールドやフォートナイトでも接続が不安定に。

💡 障害発生の瞬間

Twitterのタイムラインは「Switch 繋がらない」「Steam 障害」「クラロワ メンテ」といったワードで埋め尽くされました。障害の報告状況を可視化するサイト「Downdetector」を見ると、様々なWebサービスで問題報告が急増していることが確認できました。

「これ、世界規模じゃない?」そう気づいた人も少なくなかったでしょう。

 

🌐 影響を受けたサービスは?ゲームだけじゃない広範囲な障害

今回の障害、実はゲームだけの話じゃありませんでした。ITmedia NEWSの報道によると、影響を受けたAWSサービスは当初20件でしたが、その後35件、最終的には62件に拡大しています。

影響を受けたサービスを整理してみると、その広がりに驚きます。

🎮 ゲーム関連

  • Nintendo Switch / Switch 2のオンラインサービス
  • Steam(PC版ゲームプラットフォーム)
  • クラッシュ・ロワイヤル(Supercell ID経由のログイン)
  • パルワールド(マルチプレイ接続)
  • フォートナイト(接続不安定)
  • Epic Games Store(ログイン障害)
  • Roblox(接続障害)
  • Fate/Grand Order(緊急メンテナンス)
  • ブロウルスターズ(Supercell IDログイン不可)
  • その他多数のオンラインゲーム

💼 ビジネスツール

  • Slack(チャット・コミュニケーション)
  • Zoom(立ち上がらない、ファイル添付などの一部機能)
  • Asana(プロジェクト管理)
  • Vercel(デプロイ不可)

🎨 クリエイター・エンタメ

  • Skeb(メール配信不可)
  • Canva(アクセス困難)
  • Hulu(動画配信)

📱 その他のサービス

  • Perplexity(AI検索)
  • SwitchBot(IoTスマート家電)
  • クックパッド(アプリ・レシピ表示不可)
  • Amazon Web Services(クラウドサービス本体)

「え、Zoomまで?」と思いませんでしたか?ITmedia NEWS編集部では、Zoomが立ち上がらない問題を実際に確認しています。

会社でリモート会議をしていた人の中には、困った人もいたかもしれません。

さらに驚くのは、SwitchBotなどのスマート家電まで影響を受けていたこと。「家に帰ったら照明が操作できない!」なんて事態も起きていました。

AUTOMATONの報道によると、これらのサービスで同時刻に問題報告が集中していたことが確認されています。

 

☁️ 原因はAWS us-east-1リージョンの障害

なぜこんなに広範囲のサービスが同時に止まってしまったのでしょうか?

答えは「AWS」にあります。

🔧 AWSって何?

AWSは「Amazon Web Services」の略で、Amazonが提供するクラウドサービスのこと。簡単に言うと「インターネット上のすごく大きなコンピューター」みたいなものです。

多くの企業や組織が、自分でサーバーを持たずにAWSを借りてサービスを運営しています。

任天堂のオンラインサービスも、実はこのAWSを利用していることが知られています。

🌍 us-east-1リージョンとは?

AWSは世界中にデータセンター(サーバーが置いてある場所)を持っていて、その場所ごとに「リージョン」という単位で管理しています。

今回障害が起きた「us-east-1」は、アメリカのバージニア州にあるリージョン。

🏢 実はこれ、世界で最も多くのサービスが利用している超重要なリージョンなんです

学校で例えるなら、「全校の授業が使っている共通サーバーが止まったら、全クラスで問題が起きる」みたいな感じ。たった1つの場所が止まっただけで、世界中のサービスに影響が出てしまったんです。

実は、過去にも2021年12月にAWS障害で任天堂が影響を受けたことがありました。

その時も同じように、Nintendo Switchのオンラインサービスが長時間利用できなくなっています。

つまり、任天堂もSteamもクラロワも、みんな同じ「AWS」という土台の上で動いていた。だから同時に止まってしまったわけです。

 

💾 障害の核心 - DynamoDBとは?なぜこれが止まると世界中に影響が出るのか

ITmedia NEWSの報道によると、今回の障害で完全に停止したのが「Amazon DynamoDB」というデータベースサービスです。

さらに「Amazon CloudWatch」など20以上のサービスでエラー率やレイテンシ(遅延)が増加しました。

🗄️ DynamoDBって何?

DynamoDBは、AWSが提供する超高速なデータベースサービス。専門的には「NoSQLデータベース」と呼ばれるもので、以下のような特徴があります:

・**1桁ミリ秒の超高速応答**:データの読み書きが0.00X秒で完了
・**無制限のスケーラビリティ**:どれだけユーザーが増えても対応可能
・**完全マネージド**:メンテナンス不要で常に稼働

💡 なぜDynamoDBが重要なのか

ゲームのユーザーデータ、ログイン情報、セッション管理、リアルタイムランキング、チャット履歴など、「すぐに応答が必要な情報」の保存に世界中のサービスが利用しています。Switchでゲームをプレイする際のユーザーデータも、このDynamoDBに保存されている可能性が高いのです。

📊 CloudWatchなど他の影響サービス

DynamoDB以外にも、ITmedia NEWSによると、監視ツール「Amazon CloudWatch」など20のサービスでエラー率が増加しました。CloudWatchは、AWSのサービスやアプリケーションの稼働状況を監視するツールです。

これが正常に動かないと、「今何が起きているのか」すら把握できなくなってしまいます。

午後6時までに影響を受けたサービスは20件から35件、最終的には62件に拡大。連鎖的に多くのサービスが影響を受けていったことが分かります。

DynamoDBという「心臓部」が止まったことで、それに依存する多くのサービスが連鎖的にダウンしてしまったのです。

 

🔍 18:01判明!障害の根本原因はDNS問題

そして2025年10月20日18時01分、AWSの公式ステータスページで重要な発表がありました。

**根本原因が特定されたのです。**

🎯 根本原因が判明

DynamoDB APIエンドポイントのDNS解決の問題が原因であることが特定されました。現在、複数の並行した方法で復旧作業が進められています。

🌐 DNS問題って何?

DNSは「Domain Name System」の略で、簡単に言うと「インターネットの住所録」のようなもの。私たちが「amazon.com」と入力すると、それを実際のサーバーの場所に変換してくれる仕組みです。

今回は、このDNS解決が正常に動かなくなってしまったため、DynamoDBのAPIエンドポイント(接続先)にアクセスできなくなったのです。

例えるなら、「お店の住所は分かっているのに、カーナビが住所を認識してくれない」ような状態。お店(DynamoDB)は存在しているのに、たどり着けない。

だから世界中のサービスがDynamoDBに接続できず、連鎖的にダウンしてしまったわけです。

⏱️ 障害発生から原因特定までのタイムライン

AWS公式発表に基づく、詳細なタイムラインは以下の通りです:

16:11(日本時間)
複数のAWSサービスでエラー率とレイテンシの増加を調査開始

16:51
US-EAST-1リージョンの複数サービスで重大なエラー率とレイテンシを確認

17:26
DynamoDBエンドポイントで重大なエラー率を確認。他のAWSサービスにも影響

18:01
**根本原因を特定**:DynamoDB APIエンドポイントのDNS解決の問題

現在、AWSのエンジニアチームは複数の並行した方法で復旧作業を進めています。

失敗したリクエストについては、再試行を続けることが推奨されています。

 

🎉 18:27 大幅な回復の兆候!ほとんどのリクエストが成功

18時01分に根本原因が特定された後、復旧作業は急速に進展しました。

そして18時27分、ついに朗報が届きます。

✨ 18:27 大幅な回復を確認

ほとんどのリクエストが成功している状態になりました。AWS公式発表によると、「大幅な回復の兆候を確認しており、ほとんどのリクエストが現在成功しています」とのことです。

📈 復旧の経緯

AWS公式ステータスページの発表を時系列でまとめると、以下のような流れで復旧が進みました:

18:01
根本原因を特定:DynamoDB APIエンドポイントのDNS解決の問題。複数の並行した方法で復旧作業を開始。

18:22
**初期緩和策を適用**。一部の影響を受けたAWSサービスで回復の初期兆候を確認。リクエストは引き続き失敗する可能性があるが、再試行を推奨。

18:27
**大幅な回復の兆候を確認**。ほとんどのリクエストが成功している状態に。キューに蓄積されたリクエストのバックログ処理を継続中。

⚠️ 注意点:完全復旧ではない

18時27分時点で大幅な回復が確認されていますが、まだ完全復旧ではありません。

AWS公式発表によると、以下の点に注意が必要です:

⚠️ 完全復旧までの課題

  • 障害中に蓄積されたリクエストのバックログ処理が継続中
  • 一部サービスでは追加のレイテンシ(遅延)が発生する可能性
  • バックログの完全処理にはさらに時間がかかる見込み
  • 一部のサービスでは、リクエストがまだ失敗する可能性がある

🎮 各サービスの復旧状況

18時27分時点で、多くのゲームやサービスで接続が回復し始めているという報告がSNS上で相次いでいます。

ただし、サービスによってはバックログ処理の影響で、しばらく動作が不安定な可能性があります。

最新の状況を知りたい場合は、以下の公式情報をチェックしましょう:

任天堂ネットワーク稼働状況ページ
AWS Health Dashboard
・各ゲーム・サービスの公式Twitterアカウント

 

🗂️ 影響を受けた62のAWSサービス完全リスト

AWS公式ステータスページによると、最終的に62件のAWSサービスが影響を受けました。

当初20件だった影響サービスが35件、そして最終的には62件まで拡大。障害がいかに広範囲に及んだかが分かります。

📊 影響レベルの分類

AWSでは、障害の影響レベルを2つに分類しています:

🔴 Degraded(劣化状態)- 1件

サービスが完全に停止または重大な機能低下が発生している状態

  • Amazon DynamoDB(完全停止)

🟡 Impacted(影響あり)- 62件

エラー率やレイテンシの増加など、部分的な影響を受けている状態

📋 影響を受けた62のAWSサービス完全リスト

以下は、AWS公式発表に基づく影響を受けた全62サービスのリストです:

  • AWS Application Migration Service
  • AWS B2B Data Interchange
  • AWS Batch
  • AWS CloudTrail
  • AWS Config
  • AWS DataSync
  • AWS Database Migration Service
  • AWS Deadline Cloud
  • AWS Elemental
  • AWS End User Messaging
  • AWS Global Accelerator
  • AWS Glue
  • AWS IAM Identity Center
  • AWS Identity and Access Management
  • AWS IoT Core
  • AWS Lambda
  • AWS NAT Gateway
  • AWS Network Firewall
  • AWS Organizations
  • AWS Parallel Computing Service
  • AWS Private Certificate Authority
  • AWS Secrets Manager
  • AWS Security Token Service
  • AWS Site-to-Site VPN
  • AWS Storage Gateway
  • AWS Support API
  • AWS Support Center
  • AWS Systems Manager
  • AWS Transfer Family
  • AWS VPCE PrivateLink
  • AWS Verified Access
  • Amazon API Gateway
  • Amazon AppFlow
  • Amazon AppStream 2.0
  • Amazon CloudFront
  • Amazon CloudWatch
  • Amazon Cognito
  • Amazon Connect
  • Amazon DocumentDB
  • Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)
  • Amazon Elastic Container Registry
  • Amazon Elastic Container Service
  • Amazon Elastic Kubernetes Service
  • Amazon Elastic Load Balancing
  • Amazon FSx
  • Amazon GameLift Servers
  • Amazon Interactive Video Service
  • Amazon Kendra
  • Amazon Kinesis Data Streams
  • Amazon Kinesis Video Streams
  • Amazon Location Service
  • Amazon MQ
  • Amazon Managed Streaming for Apache Kafka
  • Amazon OpenSearch Service
  • Amazon Polly
  • Amazon Q Business
  • Amazon Relational Database Service(RDS)
  • Amazon SageMaker
  • Amazon Simple Queue Service(SQS)
  • Amazon Transcribe
  • Amazon VPC Lattice
  • Amazon WorkSpaces

🔍 特に影響が大きかったサービス

この中でも、特に多くのユーザーやサービスに影響を与えたのが以下のサービスです:

  • DynamoDB:完全停止(Degraded)。多くのアプリケーションのバックエンドとして利用
  • CloudWatch:監視・ログ機能の障害により、他サービスの状況把握が困難に
  • Lambda:サーバーレス処理の障害で、多くの自動処理が停止
  • EC2:仮想サーバーの接続性に影響
  • IAM / STS:認証サービスの障害で、AWSリソースへのアクセスに影響

これらのサービスは、他の多くのAWSサービスやアプリケーションの基盤となっているため、連鎖的に広範囲な障害につながりました。

まさに「土台が揺らぐと、建物全体が揺れる」という状態だったのです。

 

🔄 今月2回目!10月8日のDDoS攻撃との関連は?

実は今回の障害、今月2回目なんです。

10月8日にも、SteamやPlayStation Network、Xboxなど複数のゲームサービスで同時に接続障害が発生していました。

💥 DDoS攻撃って何?

DDoS攻撃(ディードスこうげき)は、簡単に言うと「サーバーに大量のアクセスを送りつけて、パンクさせる攻撃」のこと。

例えるなら、人気ラーメン店に何千人もの客が一斉に押し寄せて、お店が対応できなくなって閉店せざるを得なくなる…みたいな感じです。

10月8日の障害について報じたAUTOMATONによると、この時は広範なDDoS攻撃が原因ではないかという推測がありました。

🤖 AISURUボットネットの脅威

さらに気になるのが「AISURU」というボットネットの存在。GameBusiness.jpの報道によれば、多くのサイバーセキュリティ専門家は、現在稼働中のボットネットとして最大級とされるAISURUによるDDoS攻撃が原因ではないかと予想しています。

ボットネットとは、マルウェア(悪意あるプログラム)に感染した大量のコンピューターを遠隔操作して、一斉に攻撃に使う仕組みのこと。

⚠️ 衝撃の事実

実は、DDoS攻撃の代行サービスがネット上に存在していて、月額数百円から利用できるものもあるんです。専門知識がなくても、お金を払えば攻撃できてしまう時代になっています。

🔍 2回の障害は関連している?

今回10月20日の障害と、8日の障害が関連しているかどうかは、執筆時点では明確になっていません。今回はDNS問題が根本原因として特定されましたが、わずか12日間で2回も世界規模の障害が起きているという事実は、偶然とは考えにくい面もあります。

攻撃者が誰なのか、何が目的なのかも分かっていません。今後の調査結果が待たれるところです。

 

🏢 なぜUS-EAST-1で障害が起きると世界中に影響が?構造的問題を解説

ここまで読んで、こう思った人もいるのではないでしょうか。「なぜアメリカの1つのデータセンターが止まっただけで、世界中がこんなに影響を受けるの?」

その答えは、US-EAST-1が持つ構造的な特殊性にあります。

🏛️ US-EAST-1の歴史的背景

技術メディアXenoSpectrumの詳細な分析によると、US-EAST-1には以下の特徴があります:

📍 US-EAST-1の3つの特徴

  • 最も古いリージョン:AWSが最初に設立した歴史的データセンター群
  • 最大規模:世界のインターネットトラフィックの重要なハブとして機能
  • 基幹サービスの集中:長年にわたる増改築の結果、多くの重要サービスがここに集中

🎛️ コントロールプレーンの集中問題

特に重要なのが、「コントロールプレーン」と呼ばれる機能がUS-EAST-1に集中していること。

コントロールプレーンとは、AWS全体の認証、管理、制御などを司る中枢機能のことです。

💡 わかりやすく例えると

コントロールプレーンは「会社の本社」のようなもの。各地の支社(他のリージョン)が正常に動いていても、本社の指示が届かなければ、全体の業務が止まってしまいます。US-EAST-1がその本社の役割を担っているため、ここで問題が起きると世界中に影響が出るのです。

⚠️ 単一障害点(Single Point of Failure)の危険性

技術的には、US-EAST-1が「単一障害点(Single Point of Failure)」としての側面を持っていると指摘されています。

単一障害点とは、「ここが壊れると全体が止まる」という弱点のこと。

AWSはこれまで、サービスの分散化や耐障害性の向上に努めてきました。しかしXenoSpectrumの分析によると、US-EAST-1が依然として巨大な単一障害点としての側面を持ち続けている可能性を、今回の事件は示唆しています。

これは、AWSという巨大インフラに依存する現代社会が抱える構造的な脆弱性そのものと言えるでしょう。

📊 過去の大規模障害との比較

実は、US-EAST-1での大規模障害は今回が初めてではありません。

過去にも以下のような障害が発生しています:

2021年12月7日
大規模障害が約14時間継続。Nintendo Switch、Disney+、Amazonの配送システムなどに影響。

2017年3月1日
S3(ストレージサービス)の大規模障害。多くのWebサイトやアプリが停止。

2015年9月20日
DynamoDBのメタデータ処理問題で大規模障害。Netflix、Reddit、Mediumなどに影響。

これらの障害はいずれもUS-EAST-1で発生しており、その度に世界中のサービスが影響を受けています。

歴史は繰り返す、というわけです。

 

💼 企業への影響 - AWSのSLA(補償制度)とは

今回のような大規模障害で、企業が被る損害は計り知れません。オンラインショップが止まれば売上が失われ、サービスが使えなければ顧客の信頼を失います。

では、AWSはこういった障害に対してどのような補償を提供しているのでしょうか?

📜 SLAとは何か

SLAは「Service Level Agreement(サービスレベルアグリーメント)」の略。簡単に言うと、「このサービスはこれくらいの品質を保証します」という約束です。

AWSのEC2(仮想サーバー)の場合、月間稼働率99.99%以上が保証されています。つまり、1ヶ月のうち99.99%の時間は正常に動作することを約束しているのです。

💡 99.99%ってどれくらい?

月間稼働率99.99%は、1ヶ月(30日)あたり約4分しか止まらないという計算になります。逆に言えば、4分を超えて止まった場合、SLAの基準を下回ることになります。

💰 補償の実態 - 知っておくべき7つの注意点

ただし、AWSの補償制度には重要な注意点があります:

⚠️ SLAの重要な制限事項

  1. 自動では補償されない:ユーザー自身がAWSサポートに「SLAクレジットの請求」を申告する必要がある
  2. 現金返金ではない:サービスクレジット(次回以降の利用料への充当)として提供される
  3. 障害があったサービスのみ:例えばDynamoDBの障害なら、DynamoDB分のみが対象。連鎖的に止まった他サービスは対象外
  4. 補償額は限定的:稼働率に応じて月額利用料の10%〜30%程度
  5. 逸失利益は補償されない:売上損失、機会損失、顧客からのクレームなどは一切補償されない
  6. マルチAZ構成が前提:単一のアベイラビリティゾーンでの障害はSLA対象外の場合がある
  7. 申請期限がある:障害発生から一定期間内に申請しないと無効になる

🏢 企業が取るべき対策

こういった制限があるため、重要なサービスを運営する企業は以下のような対策を取っています:

・**マルチクラウド戦略**:AWSだけでなく、Google CloudやAzureなど複数のクラウドを併用
・**マルチリージョン構成**:US-EAST-1だけでなく、複数のリージョンにシステムを分散
・**冗長化設計**:1つのサービスが止まっても、別のシステムが自動的に引き継ぐ仕組み

ただし、これらの対策にはコストがかかります。小規模な企業やサービスには現実的でない場合も多く、「クラウドの便利さと引き換えのリスク」として受け入れざるを得ない面もあるのです。

今回のような世界規模の障害は、私たちが普段当たり前に使っているサービスが、実は複雑で繊細なバランスの上に成り立っていることを教えてくれます。

 

🛡️ 今後の対策 - AWS依存のリスクとユーザーができること

今回の障害から、私たちは何を学び、どう備えるべきでしょうか?

企業向けの対策と、個人ユーザーができることの両方を見ていきましょう。

🏢 企業・開発者向けの対策

AWS依存のリスクを軽減するために、以下のような対策が考えられます:

💡 企業が取るべき5つの対策

  1. マルチリージョン構成:US-EAST-1だけでなく、us-west-2やap-northeast-1(東京)など複数リージョンにシステムを分散配置
  2. マルチクラウド戦略:AWSだけでなく、Google Cloud Platform、Microsoft Azureなど複数のクラウドプロバイダーを併用
  3. 自動フェイルオーバー:1つのリージョンで障害が発生したら、自動的に別のリージョンに切り替わる仕組みの構築
  4. 定期的なDR訓練:災害復旧(Disaster Recovery)の手順を定期的にテスト
  5. 監視体制の強化:AWS以外の外部監視サービスも併用し、障害をいち早く検知

👤 個人ユーザーができること

「個人ユーザーに何ができるの?」と思うかもしれませんが、実はいくつかの備えができます:

🔰 個人ユーザーができる4つの備え

  1. 重要データのローカルバックアップ:クラウド上のデータは、定期的に外付けHDDやPCにバックアップ
  2. 複数サービスの併用:メール、ストレージ、メモアプリなど、同じ機能を持つサービスを複数使い分ける
  3. オフライン機能の活用:ゲームやアプリは、オフラインでも使える機能を把握しておく
  4. 公式情報源の把握:普段使っているサービスの公式Twitter、ステータスページをブックマーク

🔮 AWSに期待される今後の対応

今回の障害を受けて、AWSには以下のような対応が期待されます:

  • US-EAST-1の構造的問題の抜本的な見直し
  • コントロールプレーン機能の分散化
  • より詳細な障害報告と透明性の向上
  • DNS解決の冗長性強化
  • 顧客への早期警告システムの改善

🌍 デジタル社会の構造的課題

XenoSpectrumの分析が指摘するように、今回の障害が突きつける最も重要な教訓は、現代社会がいかに特定の巨大テクノロジー企業に深く依存しているかという現実です。

AWSの便利さは計り知れないものがありますが、その一方で「集中」のリスクも増大し続けています。

完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、理解して備えることはできる。

それが、このデジタル時代を生きる私たちにとって大切なことなのかもしれません。

 

📝 まとめ:世界的障害から見えるインフラの重要性

2025年10月20日の世界的ネットワーク障害について、重要なポイントをまとめます:

  • 発生時刻:2025年10月20日15時50分頃(日本時間16時頃)
  • 根本原因:DynamoDB APIエンドポイントのDNS解決の問題(18時01分に特定)
  • 復旧状況:18時22分に初期緩和策適用、18時27分に大幅な回復の兆候。ほとんどのリクエストが成功している状態に
  • 影響範囲:任天堂、Steam、クラロワ、Roblox、Canvaなど多数のゲーム+ビジネスツールも。AWSサービス20件→35件→62件に拡大
  • 停止したサービス:Amazon DynamoDB(完全停止)、他62のAWSサービスでエラー率増加
  • 構造的問題:US-EAST-1は最も古く最大規模のデータセンター群で、基幹サービスとコントロールプレーンが集中している単一障害点
  • 今月2回目:10月8日にも同様の大規模障害が発生。DDoS攻撃との関連も指摘
  • 補償制度:AWSのSLAではサービスクレジットのみ、現金返金なし、逸失利益は補償対象外

今回の障害は、私たちが普段何気なく使っているゲームやサービスが、実は世界中で共通のインフラ(AWS)に依存していることを教えてくれました。DynamoDBという「見えない心臓部」が止まることで、世界中のサービスが連鎖的にダウンしてしまう。

便利なクラウド時代だからこそ、こういうリスクがあることを知っておくことが大切です。

「なぜ急にゲームができなくなったの?」という疑問から始まり、DNS問題、DynamoDB、US-EAST-1の構造的問題、AWSのSLAまで、世界のインターネットインフラの話まで繋がっていく。こうやって少しずつ、私たちが使っているサービスの仕組みを理解していくことで、次回同じことが起きたときに「あ、またAWSのDNS問題かな」と冷静に対処できるようになります。

完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、理解して備えることはできる。それが、このデジタル時代を生きる私たちにとって大切なことなのかもしれません。

💬 あなたは今回の障害、どう感じましたか?

コメントやSNSで感想をシェアしてみてください。今後の最新情報もお見逃しなく!

❓ よくある質問(FAQ)

Q1. 2025年10月20日のネットワーク障害は何時に発生しましたか?

A. 2025年10月20日15時50分頃(日本時間16時頃)に発生しました。任天堂の公式サポートアカウントが障害を発表し、同時刻に複数のゲームサービスで接続障害が報告されました。

Q2. 障害の根本原因は何ですか?

A. 18時01分にAWSが根本原因を特定しました。DynamoDB APIエンドポイントのDNS解決に問題が発生したことが原因です。18時22分に初期緩和策を適用、18時27分には大幅な回復の兆候が確認されました。

Q3. いつ復旧しましたか?

A. 18時22分に初期緩和策が適用され、一部サービスで回復の兆候が確認されました。18時27分時点で大幅な回復の兆候があり、ほとんどのリクエストが成功している状態になっています。ただし、バックログ処理が続いており、完全復旧にはさらに時間がかかる可能性があります。

Q4. どのサービスが影響を受けましたか?

A. Nintendo Switch、Steam、クラッシュ・ロワイヤル、パルワールド、フォートナイトなどのゲームサービスに加え、Slack、Zoom、Hulu、SwitchBot、Roblox、Asana、Canva、Skeb、Epic Games Store、Vercel、クックパッド、FGO、ブロスタなど広範囲に影響が出ました。影響を受けたAWSサービスは最終的に62件に達しました。

Q5. 影響を受けたAWSサービスは何件ですか?

A. 当初20件でしたが、その後35件に拡大し、最終的に62件のAWSサービスが影響を受けました。Degraded(劣化)状態が1件(DynamoDB)、Impacted(影響)状態が62件となっています。

Q6. DynamoDBとは何ですか?なぜそれが止まると影響が大きいのですか?

A. DynamoDBは、AWSが提供する超高速NoSQLデータベースサービスです。1桁ミリ秒の応答速度を実現し、ゲームのユーザーデータ、セッション管理、リアルタイム処理などで世界中のサービスが利用しています。これが止まると連鎖的に多くのサービスに影響が出ます。

Q7. 今月2回目の障害とはどういう意味ですか?

A. 10月8日にもSteamやPlayStation Networkなど複数のゲームサービスで同時に接続障害が発生していました。わずか12日間で2回も世界規模の障害が起きており、DDoS攻撃との関連も指摘されています。

Q8. なぜUS-EAST-1で障害が起きると世界中に影響が出るのですか?

A. US-EAST-1はAWSにとって最も古く、かつ最大規模のデータセンター群です。多くの重要な基幹サービスや、AWS全体の認証・管理を司るコントロールプレーンがこのリージョンに集中しています。そのため、単一障害点としての側面を持ち、ここで問題が起きると世界中のサービスに連鎖的な影響が及びます。

Q9. 企業への補償はありますか?AWSのSLAとは?

A. AWSにはSLA(サービスレベルアグリーメント)があり、稼働率が基準を下回った場合にサービスクレジット(次回利用料への充当)が提供されます。ただし現金返金ではなく、申告が必要で、障害があったサービス分のみが対象となり、逸失利益は補償されません。

Q10. DNS問題とは何ですか?

A. DNSは「インターネットの住所録」のようなもので、サービス名を実際のサーバーの場所に変換する仕組みです。今回はこのDNS解決が正常に動かなくなり、DynamoDBにアクセスできなくなったことが障害の根本原因です。


📚 参考文献

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