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国勢調査で個人情報紛失が相次ぐ理由|101世帯分の影響と安全性は?

⚠️ 2025年10月18日、衝撃的なニュース

鳥取県境港市で、国勢調査の調査員が最大101世帯分の個人情報を含む書類を紛失しました。

世帯主の氏名、住所、世帯員数——これらの情報が記載された書類が、どこかで誰かの手に渡っているかもしれません。

 

しかも驚くべきことに、これは境港市だけの問題ではありません。2025年の国勢調査では、全国各地で同様の紛失事故が相次いでいるのです。



国が「厳重に管理している」と繰り返す個人情報が、なぜこれほど簡単に紛失してしまうのでしょうか。この記事では、境港市の事件の詳細から、全国で発生している紛失事故の実態、そしてあなたの個人情報が本当に安全なのかまで、徹底的に解説します。



 

 

心配そうな表情で書類を見つめる日本人女性と、散乱した個人情報書類のイメージ

心配そうな表情で書類を見つめる日本人女性と、散乱した個人情報書類のイメージ



 

📄 境港市で101世帯分の個人情報が紛失 - 何が起きたのか

まず、今回の境港市の事件について、詳しく見ていきましょう。



🕐 紛失の詳細な経緯

2025年10月17日午前8時頃、境港市の調査員(60代女性)は、国勢調査の訪問活動を開始しました。彼女は担当地区を回り、未回答の世帯に再訪問を伝えるメモを配って歩いていました。



午前10時頃、不在世帯へのメモ配布を終えて帰宅。そして午前11時頃、自宅で書類の入ったバインダーがないことに気づいたのです。



慌てて20分後には担当地区周辺を捜索しましたが、見つかりませんでした。11時30分には境港市に紛失の可能性を連絡。その後、市職員や県職員も加わって捜索が行われましたが、日本海テレビの報道によると、18日時点で書類は見つかっていません。



💡 重要なポイント

実は、この書類は今も行方不明のままなのです。

 

 

 

📋 紛失された書類の中身

では、具体的にどんな情報が記載された書類が紛失したのでしょうか。



紛失したのは以下の3種類の書類です:



1. 調査世帯一覧

世帯番号に対応する世帯主の氏名、住所、世帯員の数などが記載された名簿。

つまり、「○○町1丁目2番地の田中太郎さん、家族3人」のような情報が並んだリストです。

2. 調査区要図

担当地区の地図に世帯番号を記入したもの。

どの家がどの番号なのか一目でわかる地図です。

3. 住宅地図の写し

詳細な住宅地図。

建物の配置が分かります。

 

これらの書類には、最大で101世帯分の情報が記載されていました。小さなマンション1棟分くらいの世帯数です。



👤 調査員の対応

紛失に気づいた調査員は、すぐに市に報告し、警察に遺失物届も提出しました。しかし、BSS山陰放送の報道によると、境港市や鳥取県の職員が総出で捜索しても、書類は見つからなかったとのことです。



境港市総務課の古徳健雄課長は「関係する皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」とコメントしています。



 

🗾 2025年だけで複数発生 - 相次ぐ国勢調査の紛失事故

境港市だけではありません。実は、2025年の国勢調査では調査開始からわずか1ヶ月の間に、全国5箇所以上で同様の紛失事故が発生しているのです。



📊 全国で発生した紛失事故の一覧

2025年に確認された主な紛失事例を見てみましょう:



🔴 熊本県荒尾市

  • 紛失世帯数:12世帯分
  • 紛失書類:調査世帯一覧1枚
  • 発覚日:9月下旬
  • 荒尾市の公式発表によると、調査員が訪問調査中に紛失

🔴 愛知県東郷町

  • 紛失世帯数:22世帯分
  • 紛失書類:調査世帯一覧
  • 発覚日:9月25日
  • 東郷町の公式発表では、調査員が帰宅後に気づいたとされています

🔴 東京都目黒区

  • 紛失人数:最大86名分
  • 紛失書類:調査世帯一覧等
  • 発覚日:10月3日
  • 目黒区の公式発表によると、9月22日に配布後、帰宅後に所在確認を行わず、約10日後に気づいた

🔴 青森県むつ市

  • 紛失世帯数:4世帯分(付箋紙4枚、うち1枚は後日発見)
  • 発覚日:9月20日
  • ITmedia NEWSの報道によると、訪問先の情報を付箋にメモしていたところ紛失

🔴 広島県府中町

  • 紛失世帯数:9世帯分
  • 発覚日:9月下旬

🔴 大阪市東淀川区

  • 紛失書類:調査世帯一覧及び調査区要図
  • 一時紛失したが、後日発見されたケース

 

 

 

⚠️ 共通する問題点

これらの事例を見ると、いくつかの共通点が浮かび上がります:



1. 紙ベースの管理

すべてのケースで、紙の書類が紛失しています。デジタルデータではなく、物理的な紙を持ち歩くことで、紛失リスクが高まっているのです。

2. 訪問活動中の紛失

多くのケースで、調査員が世帯を訪問している最中、または移動中に紛失しています。

3. 不適切な管理方法

むつ市のケースでは、付箋紙に個人情報を記載していました。落としやすい媒体に重要情報を書くという、管理方法そのものに問題があったことが分かります。

 

これは単なる個別の事故ではなく、国勢調査の個人情報管理システムそのものに構造的な問題があることを示唆しています。



 

🔍 紛失された個人情報はどうなる? 悪用リスクと実際の影響

「自分の個人情報が紛失されたら、どうなるの?」——最も心配なのはこの点ですよね。



⚠️ 理論上のリスク

紛失された個人情報が悪意ある人の手に渡った場合、以下のようなリスクが考えられます:



    • 名簿業者への売却:氏名と住所のセットは、名簿業者にとって価値のある情報です。ダイレクトメールや営業電話のターゲットリストとして使われる可能性があります。

 

    • 詐欺への悪用:「国勢調査の件で…」と言って訪問したり電話をかけたりする詐欺に使われる恐れがあります。

 

  • なりすまし犯罪:氏名と住所を使って、他人になりすます犯罪に利用される可能性も否定できません。

 

✅ 実際の被害報告は?

心配になりますよね。でも実は、今回の一連の紛失事故について、紛失された個人情報が実際に詐欺などに悪用されたという公式確認事例は、現時点では報告されていません



ただし、これは「被害がない」ことを保証するものではありません。発覚していないだけの可能性もありますし、今後悪用される可能性もゼロではないため、対象世帯の方は警戒が必要です。

 

 

 

🚨 国勢調査を装った詐欺は実際に発生

一方で、紛失事故とは別に、2025年の国勢調査に便乗した詐欺は実際に発生しています。



読売テレビの報道によると、以下のような手口が確認されています:



📧 フィッシングメール

「【特典について】2025年9月16日までにオンラインで回答を完了された方には、感謝の気持ちとしてオリジナル記念品を進呈いたします」という内容のメールが送られてきます。

そもそも、国勢調査は9月20日開始なので、「16日まで」という日付がおかしいのですが、焦って開いてしまう人もいるようです。

 

🌐 偽サイトへの誘導

メール内のリンクをクリックすると、本物そっくりの偽サイトに誘導されます。そこで電話番号を入力させ、届いた認証コードを使って、犯罪グループが別のサイトに不正ログインして商品を購入するという手口です。

特殊詐欺に詳しいジャーナリスト・多田文明氏は「まず電話番号を入れさせるというのが、目的ですね」と警告しています。

 

国勢調査はメールでは来ませんし、「特典」というものもありません。このような詐欺にも注意が必要です。



 

🛡️ 対象世帯への対応と再発防止策

では、紛失事故が発生した後、各自治体はどのように対応しているのでしょうか。



🏠 対象世帯への対応

各自治体の対応は、概ね以下のような流れです:



1. 個別訪問での説明と謝罪

東郷町の例では、町職員が紛失した書類に記載のある世帯を訪問し、状況説明と謝罪を順次行っています。

境港市でも、対象となる調査区内の各世帯を訪問し、事情説明と謝罪を行う予定としています。

2. 警察への届出

ほとんどのケースで、警察に遺失物届を提出しています。

万が一見つかった場合に備えての措置です。

3. 継続的な捜索

発覚後も、調査員の自宅や担当調査区を繰り返し捜索していますが、多くの場合見つかっていません。

 

 

 

🔧 再発防止策

各自治体は、再発防止策として以下のような対応を表明しています:



    • 全調査員への注意喚起荒尾市の公式発表では「全ての調査員・指導員に対して、個人情報が記載された書類の紛失が重大な事故であること、紛失により国勢調査自体の信用を損ないかねない旨を通知」しています。

 

    • 管理方法の見直し:むつ市では「付箋用紙という落下・紛失しやすい媒体に個人情報を記入し、その管理が不十分だった」と分析し、付箋紙等への記入を禁止し、所定の用紙を使用することに統一しています。

 

  • 書類の厳重管理の徹底:各自治体とも「調査書類の厳重管理の徹底を図り、再発防止に努める」としています。

 

実は、これらの対応は「事後対応」であって、根本的な紛失防止の仕組みが変わったわけではないのです。紙ベースの管理が続く限り、人的ミスによる紛失リスクは残り続けます。

 

🔐 国勢調査の個人情報は本当に安全なのか

ここまで読んで、「結局、国勢調査の個人情報って安全なの?」と疑問に思った方も多いでしょう。この疑問に、客観的な事実を基に答えていきます。



⚖️ 法律上の保護は手厚い

総務省統計局の公式情報によると、国勢調査の個人情報は統計法という法律で厳重に保護されています。



🔒 守秘義務

調査員を始めとする調査関係者には、統計法により守秘義務が課せられています。

調査で知り得た秘密を他に漏らしたり、統計以外の目的に使用したりすることは固く禁じられています。

⚠️ 罰則

違反した場合は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金という厳しい罰則が設けられています。

過去に統計調査に従事していた者に対しても、同様の義務と罰則が規定されています。

🚫 統計以外の目的での使用禁止

徴税などの他の行政目的に調査票の記入内容を使用することは絶対にありません。

 

法律上の保護体制は、確かに整っています。



 

 

 

❗ 実は「個人情報保護法」の適用外

ここで驚くべき事実があります。実は、国勢調査の個人情報は個人情報保護法の適用外なのです。



総務省統計局の説明では、以下の理由から個人情報保護法が適用されないとしています:



    1. 統計調査により集められた個人情報は、集計後は統計処理されることにより、個人を識別できない形で利用・提供される

 

  1. 統計法では、統計以外の目的での調査票の使用が禁止されているなど、個人情報の取扱いに必要な制度上の規律が厳格に整備されている

 

つまり、統計法で別途保護される仕組みになっているわけです。



👥 調査員は「一般公募」で選ばれる非常勤

さらに知っておくべき事実があります。



統計局の公式情報によると、国勢調査員は総務大臣によって任命される非常勤の国家公務員です。その数、全国で約70万人。鳥取県の全人口(約55万人)より多い人数です。



では、この70万人はどうやって選ばれるのでしょうか。



選考方法は以下の通りです:

  • 一般からの公募
  • 町内会や自治会の推薦
  • 前回調査の経験者からの選考

 

つまり、特別な資格や厳格な審査を経た専門家ではなく、一般市民の中から選ばれた人たちなのです。もちろん、選考基準はあり、研修も行われますが、全員が情報管理のプロフェッショナルというわけではありません。



🔍 構造的な問題

ここまでの情報を整理すると、以下のような構造が見えてきます:



法律上の保護:手厚い(守秘義務、罰則あり)

実際の運用:約70万人の非常勤調査員が、紙ベースで個人情報を管理

結果:人的ミスによる紛失事故が相次ぐ

 

国は「統計法で厳重に保護されている」と説明しています。確かに法律上の保護は手厚いのです。



でも実は、その運用を担うのは約70万人の非常勤調査員。この構造が、今回のような紛失事故を防げない一因かもしれません。

 

 

 

📈 国勢調査の重要性

誤解しないでいただきたいのは、国勢調査そのものは非常に重要な調査だということです。



総務省統計局の説明によると、国勢調査の結果は以下のように活用されています:



📋 法定人口としての利用

  • 衆議院議員小選挙区の区割り
  • 地方交付税の交付額の配分
  • 都市計画の策定

🏛️ 行政施策の基礎資料

  • 少子高齢化の将来予測
  • 防災計画の策定
  • 福祉対策の立案

📊 他の統計の基礎

  • 将来人口推計
  • 国民経済計算(GDP)の算出
  • 労働力調査などの標本設計

 

このように、国勢調査は私たちの生活に直結する重要な統計調査なのです。



問題は、その重要性と個人情報保護の実態との間にギャップがあることです。



 

📝 まとめ:個人情報管理の実態を知っておこう

2025年の国勢調査で相次ぐ個人情報紛失事故は、「厳重管理」という建前と、人的ミスが避けられない現実との間のギャップを浮き彫りにしました。



この記事の要点:

  • 鳥取県境港市で101世帯分の個人情報が紛失、今も見つかっていない
  • 2025年の国勢調査では、調査開始から1ヶ月で全国5箇所以上で同様の事故が発生
  • 紛失された情報の実際の悪用事例は報告されていないが、リスクはゼロではない
  • 各自治体は対象世帯への謝罪と再発防止策を表明しているが、根本的な解決には至っていない
  • 法律上の保護は手厚いが、約70万人の非常勤調査員が紙ベースで管理する構造に問題がある

 

確かに、紛失された情報が実際に悪用されたという公式報告はありません。各自治体も対象世帯への謝罪や再発防止策を講じています。



しかし、約70万人の非常勤調査員が紙ベースで個人情報を管理する限り、このような事故をゼロにすることは難しいでしょう。



国勢調査は、私たちの生活に直結する重要な統計調査です。選挙区の区割りから地方交付税の配分まで、社会の基盤を支えるデータとして欠かせません。



だからこそ、デジタル化の推進や管理体制の抜本的な見直しが急務なのです。



もしあなたが今回の紛失事故の対象世帯だったら——


そう想像すると、決して他人事ではないはずです。

 

国勢調査の重要性を理解しつつ、個人情報保護のあり方についても、私たち一人ひとりが関心を持ち続けることが大切ではないでしょうか。



 

❓ よくある質問(FAQ)

Q1. 国勢調査で紛失された個人情報には何が含まれていますか?

A. 世帯主の氏名、住所、世帯員の数などが記載された調査世帯一覧、世帯番号を記入した地図(調査区要図)、住宅地図の写しが紛失されました。

これらは調査員が訪問活動で使用する管理用の書類です。

Q2. 2025年の国勢調査では何件の紛失事故が発生していますか?

A. 2025年の調査開始から1ヶ月で、全国5箇所以上で紛失事故が確認されています。

境港市101世帯、東郷町22世帯、荒尾市12世帯、目黒区86名、むつ市4世帯、府中町9世帯などの事例が報告されています。

Q3. 紛失された個人情報が悪用される可能性はありますか?

A. 理論上は名簿業者への売却や詐欺への悪用、なりすまし犯罪などのリスクがありますが、現時点で実際に悪用されたという公式確認事例は報告されていません。

ただし可能性はゼロではないため、対象世帯の方は警戒が必要です。

Q4. 国勢調査の個人情報は法律で守られていますか?

A. 統計法により守秘義務が課せられており、違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金という厳しい罰則があります。

ただし実際の運用では、約70万人の非常勤調査員が紙ベースで管理しており、人的ミスによる紛失リスクが存在します。

 

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