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シマウシとは何?牛をシマウマ模様にするとハエが半分に激減する驚きの研究

 

2025年9月19日、またしても日本人研究者が世界を驚かせました。

農研機構の兒嶋朋貴研究員らによる「シマウシ」研究が、イグノーベル賞生物学賞を受賞したんです。

これで日本人の受賞は、なんと19年連続という前人未到の記録達成!

でも、そもそも「シマウシ」って何?なぜこの研究が世界的注目を集めたのでしょうか?

実は、この研究の背景には、農家の方々が長年悩まされてきた深刻な問題がありました。

そして、その解決策が「牛をシマウマ模様にペイントする」という、一見突拍子もない発想だったのです。

 

 白黒のシマウマ模様をペイントされた黒い牛が緑の牧草地にいる様子を生成AIで作成したリアルなイメージ(日本の田園風景、効果を示すためハエが少ない状態)

白黒のシマウマ模様をペイントされた黒い牛が緑の牧草地にいる様子を生成AIで作成したリアルなイメージ(日本の田園風景、効果を示すためハエが少ない状態)


 

 

 

 

🐄 「シマウシ」とは?2025年イグノーベル賞受賞の驚きの研究

🎨 牛をシマウマ模様にする画期的なアイデア

「シマウシ」—この愛らしい名前の正体は、黒毛和牛に白いペンキでシマウマのような縞模様を描いた牛のこと。

まさに牛とシマウマを組み合わせた造語です。

🔬 研究チームの詳細

この研究を手がけたのは、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の兒嶋朋貴研究員らのチーム。

愛知県農業総合試験場(当時の兒嶋研究員の所属)と京都大学の共同研究として、2017年から2018年にかけて実験が行われました。

時事通信:「シマウシ」でイグ・ノーベル賞受賞

💡 なぜこんな研究が始まったのか?

実は、この研究のきっかけは農家からの切実な相談でした。

兒嶋研究員は「牛を飼う農家から血を吸う虫への対策について相談を受けた」と語っています。

夏場の牧場では、サシバエやアブなどの吸血昆虫が大量発生し、牛にとって大きなストレスとなります。

血を吸われ続けることで、牛は痩せてしまったり、乳量が減少したりするほか、さらに深刻なのは「牛伝染性リンパ腫」などの感染症を媒介してしまうこと。

そんな中、兒嶋研究員がテレビでシマウマの縞模様に虫除け効果があるという海外研究を知り、「これは牛にも応用できるのでは?」と考えたのが研究の出発点でした。

 

 

 

🏆 2025年イグノーベル賞受賞で19年連続の快挙

2025年9月18日(日本時間19日)、アメリカ・ボストン大学で行われた授賞式で、兒嶋研究員らのチームがイグノーベル賞「生物学賞」を受賞。

イグノーベル賞は「人を笑わせ、考えさせる研究」に贈られる賞で、ノーベル賞のパロディとして1991年に創設されました。

しかし、受賞研究の多くは実用性の高い画期的な発見ばかり。

そして今回の受賞により、日本人研究者のイグノーベル賞受賞は2007年から19年連続という、世界でも類を見ない記録を達成したのです。

📊 実験結果が証明!シマウマ模様でハエが半分以下に激減

🔍 驚きの実験データを大公開

では、実際にどれほどの効果があったのでしょうか?

研究チームが行った実験の結果は、想像以上に劇的でした。

🎯 実験条件と結果(30分間観察)

  • 何も塗らない普通の牛:ハエの付着数 平均129匹
  • 黒いペンキを塗った牛:ハエの付着数 平均112匹
  • 白黒シマ模様にした牛:ハエの付着数 平均56匹

なんと、シマ模様の牛ではハエの数が半分以下に激減していたのです!

GIGAZINE:ウシにシマウマのシマ模様を描くと「吸血ハエの数が半分になる」と判明

📉 ハエを払う動作も大幅に減少

さらに注目すべきは、牛がハエを追い払う動作の変化です。

牛は体にハエがとまると、首を振ったり、耳を動かしたり、足踏みしたりしてハエを払おうとします。

この「忌避行動」の回数を30分間で計測したところ:

📈 忌避行動の回数(30分あたり平均)

  • 普通の牛:平均53回
  • 黒ペンキの牛:平均54回
  • シマ模様の牛:平均40回

シマ模様の牛では、ハエを払う動作が約25%も減少していました。

つまり、牛のストレスが大幅に軽減されていることが数値で証明されたのです。

 

 

 

🔬 岩手県でも効果を確認

この効果は他の地域でも確認されています。

岩手県農業研究センター外山畜産研究室でも2021年に検証実験を実施。

日本短角種の子牛8頭を使った実験でも、シマ模様をペイントした牛やシマ模様のジャケットを着せた牛では、「牛体へのアブ付着数が大幅に少ない」ことが確認されました。

岩手県:新たなるアブ除け効果!~ 外山畜産研究室に「シマウシ」登場

🧠 なぜ効果的?シマウマ模様がハエを防ぐ科学的メカニズム

👁️ ハエの目が混乱する「錯視効果」

では、なぜシマウマ模様にこれほどの効果があるのでしょうか?

最も有力な説は、「アパーチャ効果」と呼ばれる目の錯覚現象です。

💡 身近な例で理解しよう

理髪店の前でくるくる回る青と赤の縞模様のポールを見たことがありますよね?

あのポールは実際にはその場で回転しているだけなのに、上に向かって動いているように見えます。これがアパーチャ効果の身近な例です。

ハエのような昆虫の目は解像度が低いため、縞模様を見ると目がくらんでしまい、着地のコントロールを失ってしまうのです。

ナゾロジー:ハエ除け効果を持つシマウマの縞模様。実は「チェック柄」でも効果がある

🌡️ シマウマの体温調節効果も関係?

実は、シマウマの縞模様には虫除け以外にも驚くべき効果があります。

それが体温調節効果です。

縞模様の黒い部分は白い部分より熱を吸収しやすく、この温度差によって小さな空気の渦が生まれます。

この「うず冷却」によって、シマウマの体温は同じ地域の縞模様のない哺乳類より3℃も低いことが確認されています。

高温地域には吸血バエを媒介とする感染症が多いため、体温を下げつつ虫も寄せ付けない縞模様は、まさに一石二鳥の進化的適応だったのです。

ナショナル ジオグラフィック:気温とシマウマの縞模様の意外な関係

 

 

 

🔲 チェック柄でも効果があることが判明

さらに興味深い研究結果があります。

イギリス・ブリストル大学の実験では、通常の縞模様だけでなく、チェック柄でも同様の虫除け効果があることが判明しました。

これは、ハエが嫌がるのは特定の「縞」の形ではなく、白と黒のコントラストがつくり出す視覚的な混乱効果である可能性を示唆しています。

🚀 実用化への道のりと今後の展望

⚠️ 最大の課題は「持続性」

シマウシ研究の実用化において最大の課題は、ペイントの持続性です。

現在使用されている白いペンキは数日で落ちてしまうため、頻繁に塗り直す必要があります。

🔧 実用化への課題

兒嶋研究員も「いかに簡単にしま模様を施せるかや、長時間維持できるかが普及には肝要だと考えています」と語っており、持続性を高める技術開発が急務となっています。

🌾 各地で進む実証実験

一方で、実用化に向けた取り組みは着実に進んでいます。

山形県小国町では2021年に地元農家の協力を得て実証実験を実施。

研究結果と同様の虫除け効果が確認され、実際の農業現場でも有効性が証明されています。

岩手県でも継続的な検証が行われており、「今後も牛に悪さをするアブと戦い続けます」と研究を継続する姿勢を示しています。

🌱 殺虫剤に頼らない革新的技術として期待

この技術が実用化されれば、従来の殺虫剤に頼らない革新的な害虫対策として大きな意味を持ちます。

🎯 期待される効果

  • 牛のストレス軽減による肉質・乳質の向上
  • 感染症予防による医療費削減
  • 殺虫剤使用量削減による環境負荷軽減
  • 薬剤耐性昆虫問題への対策

兒嶋研究員は「普及すれば殺虫剤等の使用を減らせる可能性があり、薬剤耐性などの問題にも有益なものになり得る」と展望を語っています。

 

 

 

🔬 将来の技術開発に期待

現在考えられている技術開発の方向性として、以下のような取り組みが期待されています:

  • 長時間持続する特殊塗料の開発
  • シマ模様入りの機能性ジャケットの改良
  • スプレー式での簡単施工技術
  • 他の家畜への応用研究

「いつかそのような手法が開発されてほしいです」という兒嶋研究員の言葉通り、この革新的技術の完全実用化が待たれます。

🏆 イグノーベル賞とは?日本人19年連続受賞の快挙

😄 「笑わせ、考えさせる」研究の祭典

イグノーベル賞は、1991年にアメリカの科学雑誌「風変わりな研究の年報」が創設した賞です。

「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に毎年贈られており、ノーベル賞のパロディとして親しまれています。

授賞式の特徴も独特で、受賞者のスピーチが長引くと「もうやめて、退屈」と叫ぶ少女が登場したり、賞金は価値のないジンバブエドルだったりと、ユーモアに満ちています。

🔬 実用性の高い研究が多数受賞

しかし、「笑える研究」というイメージとは裏腹に、実際には実用性の高い画期的な発見が数多く受賞しています。

💡 日本人の過去の受賞例

  • 涙の出ない玉ねぎの開発(2013年化学賞)→商品化済み
  • わさび警報器の発明(2011年化学賞)→商品化済み
  • 足のにおいの原因物質特定(1992年医学賞)→消臭製品に応用

これらはすべて私たちの生活に実際に役立っている技術です。

🇯🇵 19年連続受賞という世界記録

日本人研究者のイグノーベル賞受賞は、2007年から2025年まで19年連続という驚異的な記録を達成。

これは他のどの国も成し遂げていない偉業です。

🎖️ 近年の日本人受賞例

  • 2024年:肛門呼吸の研究(生理学賞)
  • 2023年:電気で味を変える箸の研究(栄養学賞)
  • 2022年:ドアノブを舐めたときの細菌の研究(安全工学賞)

この継続的な受賞は、日本の研究者が持つ「身近な疑問を科学的に解明する姿勢」と「実用性を重視する研究スタイル」が世界的に評価されている証拠といえるでしょう。

 

 

 

🎭 2025年の他の受賞研究も興味深い

今年のイグノーベル賞では、シマウシ研究以外にも興味深い研究が受賞しています。

例えば、「ナルシシストに『あなたは賢い』と伝えるとどうなるか」を調べた研究や、「トカゲがどの種類のピザを好むか」を検証した研究など、一見奇抜に見えながらも、人間や動物の行動原理を解明する重要な研究ばかりです。

🎯 まとめ:シマウシが拓く農業の未来

2025年のイグノーベル賞受賞により、世界的注目を集めた「シマウシ」研究。

一見ユーモラスに見える発想から生まれたこの技術は、実は農業現場の深刻な課題を解決する画期的なソリューションでした。

🔑 この記事のポイント

  • 確実な効果:ハエの数を半分以下(129匹→56匹)に減らし、牛のストレス行動も25%減少
  • 科学的根拠:アパーチャ効果による錯視でハエの着地を阻害する明確なメカニズムがある
  • 実証済み技術:山形県、岩手県での実証実験で効果が確認されている
  • 環境への配慮:殺虫剤を使わない持続可能な害虫対策として期待される
  • 日本の快挙:19年連続のイグノーベル賞受賞という世界記録を達成

持続性という技術的課題はあるものの、既に各地で実証実験が進んでおり、近い将来には革新的な農業技術として確立される可能性が高いでしょう。

シマウマから学んだ知恵が、日本の農業を、そして世界の畜産業を変える日は、そう遠くないかもしれません。

 

🤔 よくある質問(FAQ)

❓ シマウシとは何ですか?
シマウシとは、黒毛和牛に白いペンキでシマウマのような縞模様を描いた牛のことです。農研機構の兒嶋朋貴研究員らが開発した革新的なハエ対策技術で、2025年イグノーベル賞を受賞しました。
❓ シマウマ模様でハエはどれくらい減るのですか?
実験結果では、普通の牛に付着したハエが平均129匹だったのに対し、シマ模様の牛では56匹と半分以下に激減しました。また、牛がハエを追い払う動作も約25%減少しています。
❓ なぜシマウマ模様がハエに効果的なのですか?
最も有力な説はアパーチャ効果による錯視現象です。ハエの目が縞模様を見ると混乱し、着地のコントロールを失ってしまいます。また、縞模様による体温調節効果も虫除けに寄与していると考えられています。
❓ シマウシ技術は実用化されているのですか?
山形県小国町や岩手県で実証実験が行われ、効果が確認されています。ただし、ペイントが数日で落ちる持続性の課題があり、長期間維持できる技術の開発が実用化の鍵となっています。

 

 

 

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