
🎊 実は、あなたのスマホ製造にも使われている日本発の新素材が、
2025年ノーベル化学賞を受賞しました。しかも京都大学は2日連続の快挙です。
2025年10月8日午後6時45分頃、世界が注目する発表がありました。
ノーベル化学賞に、京都大学の北川進特別教授(74)ら3名が選ばれたのです。
前日には同じ京大関係者の坂口志文氏がノーベル生理学医学賞を受賞したばかり。
2日連続の日本人受賞という史上稀な快挙に、日本中が沸いています。
📋 この記事でわかること
🏆 2025年ノーベル化学賞・北川進氏ら3名が受賞!受賞理由は「MOF」の開発
今回の受賞者は以下の3名です。
- 北川進氏(京都大学特別教授、74歳)
- Richard Robson氏(メルボルン大学、88歳)
- Omar M. Yaghi氏(カリフォルニア大学バークレー校、60歳)
受賞理由は「MOF(多孔性金属錯体)」という革新的な素材の開発です。
日本経済新聞の報道によると、この素材は脱炭素や創薬、化学など幅広い産業の発展に寄与することが評価されました。
📊 日本人のノーベル化学賞受賞
2019年の吉野彰氏(リチウムイオン電池の開発)以来6年ぶり、9人目の快挙です。
実は、前日の10月7日には大阪大学の坂口志文氏がノーベル生理学医学賞を受賞していました。
2日連続で日本人がノーベル賞を受賞するのは極めて稀なことです。
でも、ここで多くの人が疑問に思うはず。
「MOFって何?」
🔬 MOF(多孔性金属錯体)って何?10代でもわかる簡単解説
MOFを一言で表すと「穴だらけの特殊な素材」です。
「穴だらけって役に立つの?」と思うかもしれませんが、この穴こそがMOFの最大の特徴なんです。
三井金属の解説によると、MOFは金属イオンと有機配位子という2つの材料が自動的につながってできる素材です。
イメージとしては「ジャングルジムのような構造」「蜂の巣のような穴」を思い浮かべてください。
💡 MOFの構造イメージ
金属イオンがジャングルジムの節(つなぎ目)の役割を果たし、有機配位子が棒の役割を果たします。
そして驚くことに、この構造は溶液を混ぜるだけで自動的に組み上がるんです。
従来の多孔性材料としては活性炭やゼオライトがありました。
消臭剤や吸着剤として古くから使われてきた素材です。
でもMOFは何が革命的なのか?
それは「孔の大きさや性質を自在に設計できる」という点です。
金属イオンと有機配位子の組み合わせを変えることで、目的に応じた性能を持つMOFを作り出せます。
その組み合わせ数は理論上無限。現在既に23,000種類以上のMOFが開発されています。
じゃあ、このMOFの何がそんなにすごいのでしょうか?
✨ MOFの何がすごい?ノーベル賞級の「穴」の秘密
MOFの驚異的な性能は、まず「表面積の広さ」にあります。
たった1gのMOFで、最大8000平方メートル以上の表面積を持つものがあるんです。
⚽ たった1gで
サッカーコート1面分以上!
活性炭やゼオライト(100~900m²/g)の
約10倍以上の表面積です
Chem-Stationの解説によると、活性炭やゼオライトの表面積が100~900m²/g程度なのに対し、MOFは桁違いの性能を誇ります。
なぜこんなに広い表面積が重要なのか?
それは「吸着できる物質の量」に直結するからです。
表面積が広ければ広いほど、たくさんの分子を吸着できます。
さらにMOFのすごいところは「狙った物質だけを選んで吸着できる」という点です。
例えば、排ガスの中からCO2だけを効率よく取り出したり、複数のガスが混ざった中から特定のガスだけを分離したりできます。
これは孔の大きさを分子レベルで調整できるからこそ可能な技術です。
🔍 分子サイズのフィルター
大きなガス分子は通さず、小さなガス分子だけを通す。
まるで分子サイズのフィルターのような働きをするわけです。
金属と有機配位子の組み合わせは無限にあるため、用途に応じて最適なMOFを設計できます。
じゃあ実際にMOFはどこで使われているのでしょうか?
🌍 MOFは既に実用化!身近なところで使われている用途とは
「すごいのは分かったけど、実際に使われてるの?」
実は既に実用化されています。
🍎 果物の鮮度保持
イギリスの企業が開発したのは、果物の鮮度を保つMOFです。
果物は熟すとエチレンというガスを放出し、それがさらに傷みを早めます。
MOFがこのエチレンを吸着することで、果物を新鮮に保てるんです。
📱 有毒ガスの安全輸送
アメリカの企業は、半導体製造に使う有毒ガスをMOFで安全に運ぶ技術を実用化しました。
従来は高圧ボンベで運んでいましたが、MOFに吸着させることで低圧(1気圧以下)でも大量のガスを運べます。
💡 あなたのスマホにも関係が?
もしボンベが破損しても有毒ガスが漏れないため、安全性が飛躍的に向上しました。
あなたのスマホに使われている半導体も、この技術で作られている可能性があります。
♻️ CO2回収装置
環境分野での応用も進んでいます。
BASFの発表によると、ドイツの化学大手BASFは2023年にMOFを年間数百トン規模で商業生産する体制を構築しました。
これはCO2回収用の固体吸着剤として使われます。
工場の排ガスから効率よくCO2を分離・回収できれば、温暖化ガスの排出を大幅に減らせます。
日本のスタートアップ企業シンクモフも、MOFを使ったCO2回収装置の実用化を進めています。
従来の方法よりも電力消費量を8割削減できるとされています。
🔮 今後の展望
今後期待されているのが水素貯蔵です。
水素エネルギー社会の実現には、水素をいかに効率よく貯蔵・運搬するかが鍵となります。
MOFはその解決策として注目されています。
医療分野では、薬を必要な場所にだけ届けるドラッグデリバリーシステムへの応用も研究されています。
でも、ここまでくると疑問が湧きませんか?
「なんで京大ばっかりノーベル賞を取るの?」
🎓 京大すごすぎ!2日連続ノーベル賞は史上稀な快挙
今回の北川進氏の受賞で、京都大学関係者のノーベル賞受賞者は11名となりました。
しかも前日の10月7日には、京大卒業生の坂口志文氏(大阪大学)がノーベル生理学医学賞を受賞したばかり。
🏆 2日連続での日本人受賞は
極めて稀な出来事です
京都大学の公式発表によると、京大関係者の受賞者数11名はアジアの大学で最多です。
ちなみに日本人のノーベル賞受賞者(自然科学分野)は全体で27名。
京大関係者だけで4割以上を占めていることになります。
なぜ京大はこれほど多くのノーベル賞受賞者を輩出するのか?
その理由の一つが「自由の学風」と言われています。
京大は創立から120年以上、基礎研究を重視し、研究者の自由な発想を尊重してきました。
📚 京大の教育方針
「対話を根幹とした自学自習」という教育方針が、創造性あふれる研究者を育ててきたわけです。
実は、日本初のノーベル賞受賞者も京都帝国大学(現・京都大学)の湯川秀樹氏でした。
1949年に物理学賞を受賞した湯川氏の快挙は、敗戦で悲嘆に暮れていた日本国民を大いに勇気づけました。
それから76年。
京大は今もノーベル賞級の研究を生み出し続けています。
では、今回受賞した北川進氏とはどんな人物なのでしょうか?
👨🔬 北川進氏のプロフィールと研究の歴史
北川進氏は1951年7月4日生まれの74歳。
京都市下京区の出身です。
1974年に京都大学工学部石油化学科を卒業後、同大学院で博士課程を修了しました。
🔬 研究者としての歩み
博士課程修了後、北川氏は近畿大学理工学部で研究者としてのキャリアをスタートさせました。
そして1989年、近畿大学助教授時代に運命的な発見をします。
それがMOFの原型となる多孔性配位高分子でした。
Wikipediaによると、実は当初、北川氏は「失敗したな」と思ったそうです。
💫 偶然の大発見
でもよく観察すると、無数の穴が空いていて、それをうまく利用できるのではないかと気づきました。
これが世界を変える大発見の始まりでした。
1992年に東京都立大学(現・首都大学東京)理学部教授に就任。
1997年にドイツの化学会誌に初めてMOFに関する論文を発表し、各国で研究が盛んになりました。
1998年には母校の京都大学に戻り、工学研究科教授に就任。
2007年から京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)の副拠点長、2013年からは拠点長を務めています。
🏅 数々の受賞歴
ノーベル賞受賞の前から、北川氏の研究は世界的に高く評価されてきました。
- 2010年:トムソン・ロイター引用栄誉賞(ノーベル賞の前哨戦と言われる賞)
- 2011年:紫綬褒章を受章
- 2016年:日本学士院賞
- 2017年:藤原賞とソルベイ未来化学賞
そして2025年、ついに化学の最高峰であるノーベル賞に輝いたのです。
1989年の発見から36年、論文発表から28年。
長年の地道な研究が、ついに世界最高の栄誉として実を結びました。
📝 まとめ:日本発の革新素材が世界を変える
2025年のノーベル化学賞は、日本発の革新的素材「MOF」に与えられました。
この記事のポイントをまとめます。
- 京都大学の北川進氏ら3名がノーベル化学賞を受賞
- 受賞理由は「MOF(多孔性金属錯体)」という穴だらけの特殊な素材の開発
- MOFは1gでサッカーコート1面分以上の表面積を持つ驚異的な性能
- 既に果物の鮮度保持、半導体ガス輸送、CO2回収などで実用化
- 京大は前日の坂口志文氏に続き2日連続でノーベル賞受賞という快挙
「穴だらけの素材」という一見役に立たなそうなMOFは、今や地球温暖化対策の切り札として期待されています。
CO2回収、水素貯蔵、医療応用。MOFの可能性は無限大です。
1989年の発見当初、北川氏は「失敗したな」と思ったそうです。
でもその「失敗」が、世界を変える大発見になりました。
🌟 京都大学は2日連続のノーベル賞受賞という史上稀な快挙を達成。
日本の科学技術の底力を世界に示しました。
MOFという日本発の素材が、未来の地球を救う日が来るかもしれません。
あなたは、このMOFという素材についてどう思いましたか?もしかしたら、あなたの身の回りでも既に使われているかもしれませんね。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 2025年ノーベル化学賞の受賞者は誰ですか?
京都大学の北川進氏、メルボルン大学のRichard Robson氏、カリフォルニア大学バークレー校のOmar M. Yaghi氏の3名です。受賞理由はMOF(多孔性金属錯体)という革新的な素材の開発です。
Q2. MOF(多孔性金属錯体)とは何ですか?
MOFは金属イオンと有機配位子が自動的につながってできる「穴だらけの特殊な素材」です。ジャングルジムや蜂の巣のような構造を持ち、孔の大きさや性質を自在に設計できるのが特徴です。
Q3. MOFの何がすごいのですか?
たった1gで最大8000平方メートル以上(サッカーコート1面分以上)の表面積を持ち、狙った物質だけを選んで吸着できる点です。活性炭の約10倍以上の性能を誇ります。
Q4. MOFは実際にどこで使われていますか?
果物の鮮度保持、半導体製造用の有毒ガス安全輸送、CO2回収装置などで既に実用化されています。スマホ製造にも使われている可能性があります。今後は水素貯蔵や医療応用も期待されています。
Q5. なぜ京都大学はノーベル賞受賞者が多いのですか?
京大は「自由の学風」と基礎研究重視の姿勢で知られています。今回で京大関係者のノーベル賞受賞者は11名となり、アジアの大学で最多です。前日には坂口志文氏も受賞し、2日連続の快挙となりました。
Q6. 北川進氏はどのような研究者ですか?
1951年生まれの74歳で、京都市出身。1989年に近畿大学でMOFを発見し、1997年に初論文を発表。発見当初は「失敗したな」と思ったそうですが、それが世界を変える大発見になりました。36年の研究がついに実を結びました。