2025年11月3日の夜、東京・世田谷区で痛ましい事件が起こりました。生後3カ月の赤ちゃんが母親によって命を奪われ、母親は「ごめんなさい、私は死ねなかった。赤ちゃんをやった」と通報しました。
この事件の背景には、離婚と親権をめぐる深刻なトラブルがありました。しかし、この事件は母親一人を責めるべき問題ではなく、育児を取り巻く様々な問題を考えるきっかけでもあります。
この記事では、事件の詳細と背景、そして困ったときにどうすればいいのかを解説します。

📋 この記事でわかること
🔍 世田谷区で何が起きたのか?事件の概要
📅 事件発生日時:2025年11月3日午後10時~11時頃
📅 通報日時:2025年11月4日午前6時40分頃
📍 発生場所:東京都世田谷区松原のマンション
👶 被害者:優愛ちゃん(生後3カ月)
⚖️ 容疑者:鈴木沙月容疑者(28)※殺人容疑で逮捕
2025年11月3日の夜、東京都世田谷区松原にあるマンションの一室で、生後3カ月の優愛ちゃんが母親によって命を奪われました。
朝日新聞の報道によると、事件は11月3日午後10時から11時頃に発生し、優愛ちゃんは浴室で包丁で切りつけられました。
翌日の11月4日午前6時40分頃、母親の鈴木沙月容疑者(28)自身が「ごめんなさい、私は死ねなかった。赤ちゃんをやった」と110番通報しました。
警察官が駆けつけたところ、優愛ちゃんは浴室の風呂のふたの上に横たわった状態で見つかり、その場で死亡が確認されました。首や腹に複数の切り傷があり、浴室の隣のトイレから包丁が見つかっています。
⚖️ 逮捕
警視庁北沢署は11月4日、鈴木容疑者を殺人の疑いで逮捕しました。容疑を認めているということです。
では、なぜこのような痛ましい事件が起きてしまったのでしょうか。
💔 事件の背景に何があったのか?離婚と親権をめぐるトラブル
この事件の背景には、離婚と親権をめぐる深刻なトラブルがありました。
📞 事件前の警察への相談
鈴木容疑者は、事件が起きる前に2度、警察に110番通報していました。
朝日新聞の報道によると、今年5月に「離婚トラブル」で110番通報し、さらに11月1日夜には「親権をめぐるトラブルで口論になった」と通報していました。
⚖️ 親権が夫に決まった経緯
📅 事件直前の状況
親権は夫が持つ方向で決まっており、優愛ちゃんは11月4日に夫のもとに行くことになっていました。事件当日、夫は実家に帰省して不在でした。
鈴木容疑者は取り調べに対し、「主人と離婚する話が進んでいて、親権を取られるくらいなら子どもを殺して自分も死のうと思った」と供述しています。
この言葉から、親権を失うことへの絶望感と、「私は死ねなかった」という通報時の言葉から、心中を考えていた可能性が浮かび上がります。
🏠 家族構成と孤立
鈴木容疑者は夫と優愛ちゃんの3人家族でした。事件当日、夫は実家に帰省して不在。容疑者は一人で優愛ちゃんと過ごしていたと見られます。
翌日に子どもが夫のもとに行くという状況で、追い詰められた心理状態だった可能性があります。
では、こうした極限の状態に至る背景には、どのような問題があるのでしょうか。
❓ なぜ追い詰められてしまったのか?育児と心の問題
今回の事件は、離婚と親権問題が直接的な原因でした。しかし、育児の大変さや心の問題も、母親を追い詰める要因の一つになっていた可能性があります。
👶 生後3カ月の育児がどれほど大変か
生後3カ月の赤ちゃんは、まだ首も据わり始めたばかりの、とても小さくて繊細な存在です。この時期の育児は想像以上に過酷です。
赤ちゃんは2-3時間おきに起きて泣きます。夜も関係ありません。授乳やおむつ替えを、昼も夜も繰り返します。
😴 慢性的な睡眠不足の影響
母親はまとまった睡眠が取れないため、頭がぼーっとして判断力が低下します。疲労が蓄積し、体も心も限界に近づきます。
🏠 離婚トラブルと育児の両立
離婚の話が進んでいる中での育児。夫婦関係の悪化、親権をめぐる争い、将来への不安。こうしたストレスを抱えながら、24時間赤ちゃんの世話をするのは、心身ともに大きな負担です。
😔 誰にも相談できない孤立
「離婚のことを周りに知られたくない」「親権を争っていることを相談できない」「弱音を吐いたら、母親失格だと思われる」
そんな思いから、多くの人が悩みを一人で抱え込んでしまいます。特に離婚トラブルを抱えている場合、周囲に助けを求めることが難しくなります。
💔 心のバランスが崩れていく
睡眠不足、孤立、離婚のストレス、親権を失う不安。これらが重なると、心のバランスが崩れていきます。
「もう無理」「親権を失うなら」「一緒に死にたい」と考えてしまう状態に追い込まれることがあります。今回の事件も、容疑者がこうした状態に追い込まれていた可能性が考えられます。
ここで、育児にまつわる心の問題について詳しく見ていきましょう。
💊 産後うつ・育児ノイローゼとは何か?
今回の事件の直接的な原因は離婚と親権問題でしたが、産後うつや育児ノイローゼといった心の問題も、母親を追い詰める要因となることがあります。
これらは、決して特別な人だけがなるものではありません。
🌸 産後うつとは
産後うつは、出産後にホルモンバランスが急激に変化することで起こる、心の不調です。気分が落ち込む、何もする気が起きない、眠れない、食欲がないといった症状が現れます。
⚠️ 実は、産後うつは
10人に1人
が経験すると言われています
30人のクラスなら、3-4人が経験する計算です。珍しいことではないのです。
産後うつの原因は、主に以下の3つです。
1️⃣ ホルモンバランスの急激な変化
出産後、女性の体内では「エストロゲン」というホルモンが急激に減少します。このホルモンの変化が、脳内の「セロトニン」という幸せを感じる物質を減らしてしまいます。
その結果、気分が不安定になり、不安や孤独を感じやすくなります。これは体の仕組みの問題で、「気持ちの持ちよう」では解決できません。
2️⃣ 育児のストレス
慣れない育児、赤ちゃんの泣き声、睡眠不足。これらすべてが強いストレスとなります。
「赤ちゃんがかわいいと思えない」「育児が辛い」と感じてしまい、それに罪悪感を抱いてしまうのです。
3️⃣ 孤立と助けのなさ
周りに頼れる人がいない、夫が協力的でない。そんな状況で一人で育児を抱え込むと、心が追い詰められていきます。
😰 育児ノイローゼとは
育児ノイローゼは、育児のストレスから心が疲れ果てた状態を指します。産後うつと似ていますが、産後うつがホルモンの変化が主な原因なのに対し、育児ノイローゼは育児そのもののストレスが原因です。
症状としては、イライラする、些細なことで子どもを怒鳴ってしまう、子どもがかわいいと思えない、自分が母親失格だと感じるといったものがあります。
育児ノイローゼも、決して「甘え」や「母親の覚悟が足りない」からなるものではありません。誰でもなりうる状態なのです。
⚡ 「自分は大丈夫」と思っていても
⚠️ 注意
「私は大丈夫」「そんなことにはならない」と思っている人ほど、要注意です。真面目で責任感が強い人、完璧主義の人ほど、産後うつや育児ノイローゼになりやすいと言われています。
「ちゃんとしなきゃ」と思うほど、心が疲れていくのです。
では、今回の事件で容疑者は今後どうなるのでしょうか。
⚖️ 母親は今後どうなるのか?法的な見通し
鈴木容疑者は殺人容疑で逮捕され、現在、警察の取り調べを受けています。
今後、検察が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合は裁判が行われます。
📖 今後の流れ
警察の捜査では、容疑者の精神状態を詳しく調べるでしょう。産後うつや育児ノイローゼなどの精神的な問題があったかどうか、離婚と親権問題がどのように影響したか、専門家による鑑定が行われる可能性があります。
もし、心神喪失(自分の行動を理解できない状態)や心神耗弱(判断能力が著しく低下した状態)が認められた場合、刑事責任が問われないか、減軽される可能性があります。
ただし、これらはすべて今後の捜査や鑑定の結果次第です。現時点では、容疑者がどのような精神状態だったか、どのような経緯で事件に至ったかの詳細は明らかになっていません。
この事件は、法的な問題だけでなく、社会全体で考えるべき問題を提起しています。
では、もし自分や身近な人が同じような状況になったら、どうすればいいのでしょうか。
📞 同じような状況になったらどうすればいいか?相談窓口
もし、あなた自身や身近な人が育児で困っていたら、離婚や親権で悩んでいたら、助けを求めてください。助けを求めることは、決して恥ずかしいことではありません。
✨ 実は、24時間無料で
相談できる窓口がたくさんあります
📱 今すぐ電話できる相談窓口
📞 児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」
189
⏰ 受付時間:24時間365日
💰 通話料:無料
📝 内容:子育ての悩み、虐待に関する相談
この番号に電話すると、お住まいの地域の児童相談所につながります。「虐待」という言葉に抵抗があるかもしれませんが、「育児が辛い」「子どもにイライラしてしまう」という相談でも大丈夫です。
📞 24時間子どもSOSダイヤル
0120-0-78310
(なやみいおう)
⏰ 受付時間:24時間365日
💰 通話料:無料
📝 内容:子どもや子育てに関するあらゆる悩み
📞 児童相談所相談専用ダイヤル
0120-189-783
⏰ 受付時間:24時間365日
💰 通話料:無料
📝 内容:子育て全般の相談
🏥 赤ちゃんを育てられない場合
もし、「どうしても育てられない」と感じたら、赤ちゃんを預ける場所があります。
🏥 慈恵病院「こうのとりのゆりかご」
📍 場所:熊本市
📞 電話番号:0120-783449
(フリーダイヤル)
⏰ 受付時間:24時間365日
📝 内容:妊娠・出産・子育ての相談、赤ちゃんの預け入れ
慈恵病院は、親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営しています。2007年の開設以来、170名以上の赤ちゃんの命を救ってきました。
「赤ちゃんを預けるなんて」と思うかもしれません。でも、赤ちゃんと母親、両方の命を守ることが最優先です。
🏢 地域の支援も活用しよう
お住まいの地域の保健所や子育て支援センターでも、育児の相談ができます。
「自治体名 子育て相談」で検索すると、お住まいの地域の相談窓口が見つかります。
💪 助けを求めることは強さの証
「こんなことで相談するなんて」
「母親なのに情けない」
と思う必要はありません。
助けを求めることは、
弱さではなく強さの証です。
自分と赤ちゃんの命を守るために、勇気を出して相談してください。
📝 まとめ:育児や離婚で困ったら、一人で抱え込まないで
この記事のポイントをまとめます。
✅ 2025年11月3日夜、世田谷区松原で生後3カ月の優愛ちゃんが母親によって命を奪われる事件が発生しました
✅ 事件の背景には離婚と親権をめぐる深刻なトラブルがあり、容疑者は「親権を取られるくらいなら子どもを殺して自分も死のうと思った」と供述しています
✅ 産後うつは10人に1人が経験する一般的な状態で、誰にでも起こりうることです
✅ 育児や離婚で困ったら、189(いちはやく)など24時間対応の相談窓口に連絡してください
✅ 助けを求めることは恥ずかしいことではなく、自分と赤ちゃんを守る大切な行動です
この事件は、母親一人を責めるべき問題ではありません。離婚と親権をめぐる問題、育児を取り巻く環境、支援の不足、孤立といった社会全体の問題です。
もし、あなた自身や身近な人が育児や離婚で困っていたら、ためらわずに助けを求めてください。相談窓口の電話番号をスマホに登録しておくだけでも、いざという時の安心につながります。
あなたは一人じゃありません。
助けてくれる人は必ずいます。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: この事件はいつ、どこで起きたのですか?
2025年11月3日午後10時から11時頃に、東京都世田谷区松原のマンションで発生しました。母親による110番通報は翌4日午前6時40分頃でした。
Q2: 事件の背景には何があったのですか?
離婚と親権をめぐる深刻なトラブルがありました。容疑者は5月に「離婚トラブル」、11月1日夜に「親権をめぐるトラブル」で110番通報していました。親権は夫が持つ方向で決まっており、優愛ちゃんは11月4日に夫のもとに行くことになっていました。
Q3: 産後うつはどのくらいの人が経験しますか?
産後うつは、出産した女性の10-15%、つまり7人から10人に1人が経験すると言われています。30人のクラスなら3-4人が経験する計算で、決して珍しいことではありません。
Q4: 育児で困ったとき、どこに相談すればいいですか?
児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」、24時間子どもSOSダイヤル「0120-0-78310」、児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」など、24時間無料で相談できる窓口があります。また、地域の保健所や子育て支援センターでも相談できます。
Q5: 「こうのとりのゆりかご」とは何ですか?
熊本市の慈恵病院が運営する、親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる施設です。2007年の開設以来、170名以上の赤ちゃんの命を救ってきました。24時間体制で妊娠・出産・子育ての相談も受け付けています(0120-783449)。
Q6: 母親は今どうなっているのですか?
鈴木沙月容疑者(28)は殺人容疑で逮捕され、容疑を認めています。今後、検察が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合は裁判が行われます。精神状態についても専門家による鑑定が行われる可能性があります。