📋 この記事でわかること
⚠️ おこめ券を配った台東区で「届かない世帯」が1〜2割に達し、物流業界から悲鳴が上がっています。
政府が物価高対策として推奨する「おこめ券」は金券扱いのため置き配ができず、再配達が増加する見込みです。
すでに先行配布した東京都台東区では、約14万世帯のうち1〜2割が届かず返送されました。
なぜこのような事態になっているのか、背景と対策を詳しく解説します。

おこめ券が「届かない」問題が浮上|金券扱いで置き配不可
💡 結論:おこめ券は金券扱いのため、紛失防止の観点から原則として対面での手渡しが必要となり、玄関先への置き配ができません。
共同通信の報道によると、2025年12月29日、おこめ券の配送方法をめぐり物流業界から懸念の声が上がっていることが明らかになりました。
おこめ券は現金と同じ価値を持つ「金券」として扱われます。
そのため、届いたことを記録に残す必要があり、日本郵便の簡易書留か佐川急便の宅配便での配送が基本となります。
なぜ金券だと置き配できないのか
その理由は、紛失や盗難が起きた場合の責任問題にあります。
現金や商品券が玄関先から盗まれた場合、誰が損失を負担するのかが曖昧になります。
配送業者にとっては、金券を置き配して紛失すれば弁償リスクを負う可能性があるのです。
一般的な荷物であれば、近年普及が進んだ「置き配」で不在でも受け取れます。
しかし、おこめ券はこの便利な受け取り方法が使えません。
結果として、在宅していないと受け取れず、再配達を依頼するしかない状況が生まれます。
🚚 物流業界の声:「デジタルで配布できるものを選ぶようにできないのか」
物量増加と人手不足が深刻化する中、対面受け取りが必須となる配送物が増えることへの危機感がにじみます。
では、実際に先行配布した自治体ではどのような事態が起きているのでしょうか。▼
台東区の先行事例|約14万世帯中「1-2割」が届かず返送
💡 結論:政府に先駆けておこめ券を配布した東京都台東区では、対象約14万世帯のうち1〜2割が再配達でも届かず返送されるという事態が発生しました。
台東区の公式発表によると、区は2025年10月24日から12月中旬にかけて、全世帯へおこめ券を送付しました。
配布額は1世帯あたり4,400円分(440円×10枚)を基本とし、18歳以下の子どもがいる世帯や3人以上の世帯には8,800円分が届きます。
配送方法は日本郵便の簡易書留か佐川急便の宅配便を使用。
どちらも対面での受け取りが必要となります。
共同通信の報道によると
約14万世帯のうち
1〜2割が届かず返送された
単純計算すると、1.4万〜2.8万世帯が受け取れていない計算になります。
10軒に1〜2軒は届かないという数字は、予想以上に深刻といえます。
なぜこれほど返送率が高いのか
台東区は都心に位置し、単身世帯や共働き世帯の割合が高い地域です。
昼間に在宅している人が少なく、簡易書留の配達時間帯(通常は日中)に受け取りにくい構造があります。
また、再配達の依頼自体が面倒だと感じる人や、不在票に気づかない人もいるでしょう。
何度か再配達を試みても届かなければ、最終的に区へ返送されることになります。
これが都市部特有の「届かない問題」の正体です。
📮 返送された場合の対応:
台東区では返送された世帯に対し、年内をめどに「受取りについて」のはがきを送付。
令和8年1月9日までに連絡がない場合は受け取りを辞退したものとみなすとの注意書きもあります。
このような課題がある中、他の自治体はどのような判断を下しているのでしょうか。▼
配布する自治体・しない自治体|対応が二極化
💡 結論:おこめ券の配布については、配布を決定した自治体と見送りを表明した自治体に対応が二極化しています。
配布を決定した主な自治体
- 山梨県
- 福井市
- 七飯町(北海道)
- 豊中市(大阪府)
- 尼崎市(兵庫県)
一方で、配布しない方針を明らかにした自治体も多数あります。
配布しない主な自治体と代替策
| 自治体 | 代替策 |
|---|---|
| 福岡市 | 光熱費支援 |
| 北九州市 | プレミアム商品券 |
| 広島県廿日市市 | 全市民に現金3,000円給付 |
| 岡山市 | 全市民に現金3,000円給付 |
| 江戸川区 | 住民税非課税世帯への現金給付 |
| 仙台市 | みやぎポイント3,000円分 |
東京新聞の調査(12月5日時点)によると、首都圏28市区のうちおこめ券配布を明言した自治体はゼロでした。
27自治体が「検討中」と回答し、江戸川区のみが配布しない方針を表明しています。
なぜ配布をためらう自治体が多いのか
最大の理由は経費の問題です。
おこめ券は1枚500円で購入して440円分の米が買えるため、経費率は約12%。
つまり、3,000円相当を配布するには約3,400円の予算が必要になります。
さらに郵送料や事務手数料を考えると、現金給付の方が効率的という判断になります。
広島県廿日市市の例では、現金給付を選んだ理由として「事務費の抑制」を挙げています。
また、おこめ券は全国共通で使えるため、地元経済への還元効果が薄いという指摘もあります。
住民が他の自治体の店舗で使えば、配布した自治体には何のメリットもありません。
こうした費用対効果への疑問が、自治体の判断を分けているのです。
では、配布が行われる地域の住民は、どうすれば確実に受け取れるのでしょうか。▼
届いたら確実に受け取るには|再配達を避ける3つの方法
💡 結論:おこめ券を確実に受け取るためには、配達日時の事前確認、不在票への迅速対応、転居届の提出が有効です。
① 配達予定通知サービスに登録する
日本郵便の「ゆうびんID」や佐川急便の「スマートクラブ」に登録しておくと、荷物の配達予定がメールやアプリで届きます。
事前に届く日がわかれば、在宅時間を調整しやすくなります。
② 不在票が入ったら即日対応する
不在票を見つけたら、その日のうちに再配達を依頼しましょう。
後回しにすると忘れてしまい、保管期限が過ぎて返送されるリスクが高まります。
簡易書留の場合、郵便局での保管期間は原則7日間です。
③ 転居届を出していない場合は早めに手続きする
引っ越し後に転居届を出していないと、旧住所に届いて受け取れません。
特に単身赴任や一人暮らしを始めたばかりの方は注意が必要です。
⚠️ 見落としがちな重要ポイント
台東区の例では、おこめ券が届かなかった世帯に「受取りについて」のはがきが届きます。
このはがきに記載された期限(令和8年1月9日)までに受取方法を連絡しないと、受け取りを辞退したとみなされます。
届かないまま放置していると、結果的にもらえなくなる可能性があるのです。
おこめ券の配布がある自治体にお住まいの方は、まず自治体の公式サイトで配布時期と受取方法を確認しておくことをおすすめします。
最後に、この物流問題に対する今後の展望を見ていきます。▼
「デジタル配布にできないのか」物流業界の悲鳴と今後の課題
💡 結論:物流業界からは「デジタルで配布できるものを選ぶべき」との声が上がっており、今後の政策見直しが焦点となります。
共同通信の報道では、物流業界からの不満がはっきりと伝えられています。
「デジタルで配布できるものを選ぶようにできないのか」
この声の背景には、業界全体が直面している深刻な課題があります。
再配達問題の社会的コスト
損保ジャパン総合研究所のレポートによると、再配達は社会全体に大きなコストを発生させています。
- 再配達率:約11.9%(2021年10月時点)
- 労働力換算:年間約9万人分のドライバー労働力
- CO2排出:年間約42万トン(2015年度推計)
トラックドライバー
9万人分の仕事量
が不在による再配達で消費されている
2024年問題との重複
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限が設けられました。
人手不足と労働時間制限が重なり、配送キャパシティはすでに限界に近づいています。
政府は再配達率を6%に下げることを目標に掲げ、置き配の普及を推進してきました。
しかし、おこめ券は金券扱いのため置き配ができません。
⚡ 再配達削減を進める政策と、再配達を増やす政策が同時に走っている
この矛盾が、物流業界の不満の根本にあります。
デジタル代替案は実現可能か
一部の自治体はすでにデジタル地域通貨やポイント付与を選択しています。
仙台市の「みやぎポイント」や、各地のプレミアム商品券のデジタル版がその例です。
ただし、デジタル配布にはスマートフォンを持たない高齢者への対応という課題があります。
「誰も取り残さない」という政策理念と、効率的な配布方法の両立が求められます。
物価高対策としてのおこめ券配布は、受け取る住民を支援するはずの施策です。
しかし現実には、配送を担う物流業界への負担転嫁という側面も見えてきました。
今後、自治体や政府がどのような判断を下すのか、引き続き注目が必要です。
まとめ
- おこめ券は金券扱いのため置き配不可、対面での手渡しが原則
- 台東区では約14万世帯中1〜2割が返送される事態が発生
- 首都圏28市区で配布を明言した自治体はゼロ(12月5日時点)
- 確実に受け取るには配達通知サービス登録と不在票への即日対応が有効
- 物流業界からは「デジタル配布にしてほしい」との声
配布対象となる自治体にお住まいの方は、公式サイトで配布時期と受取方法を確認し、届いたら早めに受け取りましょう。
届かなかった場合の連絡期限にも注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
参考文献
- 共同通信/OANDA転載「おこめ券、物流負担懸念」 - 物流問題の一次報道
- 台東区公式「区内の全世帯へ『おこめ券』を配布します」 - 配布実績・受取方法
- 東京新聞「『おこめ券を配る』と明言した自治体はゼロ」 - 首都圏自治体調査
- 補助金ポータル「おこめ券はいつ届く?配る自治体・配らない自治体まとめ」 - 自治体対応状況
- 損保ジャパン総合研究所「再配達問題と宅配便業界の課題」 - 再配達の社会的コスト