📋 この記事でわかること
2026年1月6日、鳥取県と島根県で震度5強を観測する地震が発生しました。その直後からTikTokには「被害映像」と称する動画が次々と投稿されました。しかし鳥取県の平井伸治知事は「砂丘に地割れなど全くない」と即座に否定。全国初の「フェイク情報対応チーム」を持つ鳥取県が、AIフェイク動画にどう立ち向かったのでしょうか。
TikTokに投稿された「被害動画」の正体
地震直後にTikTokに投稿された「鳥取砂丘の地割れ」「公園の液状化」「落石」の動画は、すべてAI生成によるフェイクでした。
2026年1月6日午前10時18分頃、島根県東部を震源とするマグニチュード6.4の地震が発生。鳥取県と島根県の5市町で震度5強を観測しました。
その直後から、TikTokには衝撃的な「被害映像」が次々と投稿されました。鳥取砂丘に巨大な亀裂が走る映像、公園の地面が池のように液状化する映像、山から岩が転がり落ちる映像——。
しかし、これらはすべて生成AI技術で作られたフェイク動画だったのです。
平井伸治知事は1月7日、被害状況の視察後にこう断言しました。
「砂丘に地割れなど全くない。安心して遊びに来てほしい」
——平井伸治 鳥取県知事
知事はフェイク動画が県民生活や地域経済に混乱をもたらすことを強く懸念。県はTikTokに対し、適切な処置を求めていく方針を示しています。
しかし、フェイクと片付けられない事実もあります。実は米子市では、本当に液状化が起きていました。
フェイクと現実の境界線——本当に起きていた被害
フェイク動画が拡散する一方で、米子市湊山公園では実際に4カ所で液状化が発生し、立入禁止になっていました。
ここが今回の騒動の複雑なところです。「公園が液状化」というフェイク動画が拡散していた同じ時間、実際に米子市の公園で液状化が起きていたのです。
中海に面した湊山公園では、地震の影響で園内4カ所で液状化が発生。芝生広場では目の細かい砂が地表に吹き出し、直径約30センチの穴が開いていました。市は公園を立入禁止に。
🔍 つまり……
「公園の液状化」自体は嘘ではなかった。ただし、TikTokで拡散した映像はAIが作った偽物でした。
今回の地震による被害は、中国地方4県で計9人がけが(重傷2人、軽傷7人)。鳥取県西部では「長周期地震動」の階級4を観測しました。これは4段階のうち最も強い揺れで、「はわないと動くことができない」レベルです。
▲ 報道ステーションによる地震被害の詳細映像。実際の液状化現象も確認できます
では、この混乱にどう対応したのか。実は鳥取県には、こうした事態に備えた専門チームがありました。
🏛️ 全国初の取り組み
鳥取県は2024年11月、全国の自治体で初めて「フェイク情報対応実証チーム」を発足させていました。慶應義塾大学の山本龍彦教授がデジタル倫理アドバイザーとして監修し、SNS投稿を分析するシステムを導入。鳥取県に関連する情報を常時監視していました。
今回の地震発生後、このチームが即座に監視を強化。フェイク動画の拡散を早期に察知し、知事の否定コメントにつなげました。
では、なぜ災害が起きるたびにフェイク動画が拡散するのでしょうか。そして、私たちはどう見分ければいいのでしょうか。
なぜ災害時にフェイクが増えるのか——見分け方も解説
災害時にフェイクが増える理由は「注目を集めやすいから」。能登半島地震でも偽の救助要請が拡散した前例があります。
災害時にフェイク動画が増える理由は、シンプルに言えば「バズりやすいから」です。
災害直後は誰もが情報を求めています。衝撃的な映像は瞬く間に拡散され、投稿者は大量の「いいね」や再生回数を獲得できます。SNSのアルゴリズムは注目を集める投稿を優先的に表示するため、フェイク動画が本物の報道より先に広まることも珍しくありません。
2024年1月の能登半島地震では、偽の救助要請がネット上で大量に拡散しました。存在しない住所からの「助けて」という投稿、過去の災害映像を転用した「被害状況」、AI生成の被災地画像——。混乱に乗じた偽情報は、救助活動の妨げにすらなったのです。
では、AI生成のフェイク動画をどう見分ければいいのでしょうか。あなたが今日からできるチェックポイントを3つ紹介します。
🔎 フェイク動画を見分ける3つのポイント
1. 背景の一貫性をチェック
AI生成の映像は、背景の細部が不自然なことが多いです。建物の窓が歪んでいたり、電線が途中で消えていたり、人の動きがぎこちなかったりします。
2. 文字や看板を確認
現在のAIは日本語のテキスト生成が苦手です。看板や標識の文字が読めなかったり、意味不明な文字列になっていたりする場合は要注意。
3. 公式発表と照合する
最も確実なのは、自治体や気象庁の公式発表と照らし合わせること。衝撃的な映像を見ても、すぐに拡散せず、まず公式情報を確認する習慣をつけましょう。
地震活動は今も続いています。正確な情報を見極めながら、引き続き注意が必要です。
まとめ——地震活動は継続中、情報の見極めを
気象庁は今後1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意を呼びかけています。
今回の騒動で明らかになったのは、AI技術の進歩によってフェイク動画の作成が容易になったこと、そして災害時の情報の真偽を見極めることがますます難しくなっているということです。
鳥取県が全国に先駆けて専門チームを設置していたのは、先見の明がありました。しかし、すべての自治体がそうした体制を整えているわけではありません。最終的には、私たち一人ひとりが情報を見極める力を持つ必要があります。
災害時にSNSで流れてくる映像、
あなたならどう判断しますか?
衝撃的な映像を見たとき、すぐにシェアボタンを押す前に、一度立ち止まって考えてみてください。
その映像は本物なのか。公式発表と一致しているか。拡散することで誰かの役に立つのか、それとも混乱を広げるだけなのか。
地震活動は継続中です。気象庁の最新情報を確認しつつ、SNSの情報は公式発表と照らし合わせる習慣を、ぜひ今日から始めてください。
❓ よくある質問
鳥取砂丘の地割れ動画は本物ですか?
いいえ、AI生成によるフェイク動画です。平井知事は「砂丘に地割れなど全くない」と否定しています。
今回の地震で本当に液状化は起きましたか?
はい、米子市湊山公園で4カ所の液状化が確認され、立入禁止になっています。TikTokのフェイク動画とは別に、実際の被害は発生しています。
鳥取県はどう対応していますか?
2024年11月に発足した全国初の「フェイク情報対応実証チーム」が監視を強化し、TikTokに適切な処置を求めています。
AI生成のフェイク動画はどう見分ければいいですか?
背景の一貫性、テキストの不自然さ、公式発表との照合が重要です。複数の情報源で確認する習慣をつけましょう。
今後の地震活動はどうなりますか?
気象庁は1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意を呼びかけています。引き続き警戒が必要です。
リアルタイムニュース.com 編集部
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