⚠️ 衝撃の事実
掘削作業で膝まで埋まったら自力脱出不可能。
2025年11月17日、元麻布で起きた事故が示す建設現場の危険性とは。
2025年11月17日正午過ぎ、東京都港区元麻布のマンション建設現場で、掘削作業中に作業員が土に埋まる事故が発生しました。
救出された作業員は意識不明の重体という深刻な状況です。
実は、このような掘削作業中の事故は「建設業三大事故」の一つと言われるほど頻発しており、2024年には建設業の死亡事故が前年比15.4%も増加しています。
「なぜ埋まってしまったのか」「どうすれば防げたのか」「最近事故が多いのはなぜか」—この記事では、掘削事故の実態と、業界が直面している深刻な構造問題について詳しく解説します。

📋 この記事でわかること
📍 元麻布の掘削事故で何が起きたのか【事故の詳細】
まず、今回の事故の詳細を確認していきましょう。
日テレNEWSの報道によると、2025年11月17日正午すぎ、東京都港区元麻布のマンション建設中の工事現場で、「掘削作業中に作業員が埋まった」と119番通報がありました。
作業員1人が土の中に埋まり、その後救出され病院に搬送されましたが、意識不明の重体とのことです。
⏰ 注目ポイント
事故が起きたのは正午過ぎという点が注目されます。通常、建設現場では正午から昼休みに入ることが多く、Yahoo!ニュースのコメント欄でも「正午の昼休み中に、なんらかの作業をしていたのか」という指摘がありました。
もし昼休み中だとすれば、周囲に他の作業員が少なく、異変に気づくのが遅れた可能性も考えられます。
警視庁は現在、事故の詳しい状況を調査しています。
🔍 掘削作業で作業員が埋まった原因は?【技術的原因】
では、なぜこのような事故が起きてしまったのでしょうか。
現時点では警察の調査中ですが、Yahoo!ニュースのコメント欄には建設業の専門知識を持つ人々からの指摘が多数寄せられており、そこから推測される原因を見ていきます。
🏗️ 掘った土を近くに積み上げてしまった可能性
あるコメントでは、こんな指摘がありました:
「掘削深さはそんなに深くなさそうですが、掘削した土を掘削堀山のすぐ近くに置いてしまってるので掘削深さが深いのと同じ状態になってしまったんでしょうね」
これはどういうことでしょうか?
穴を掘ると、当然ながら掘った土が出てきます。この土をどこに置くかが重要なのですが、もし掘削箇所のすぐ近くに積み上げてしまうと、その重さで土の壁が崩れやすくなるんです。
想像してみてください。砂場で穴を掘って、掘った砂を穴のすぐそばに山のように積んだら、その重さで穴の壁が崩れてきますよね。
それと同じことが、大規模に起きたと考えられます。
⚠️ 狭い敷地での擁壁工事の危険性
別のコメントでは「高低差のある狭い敷地での擁壁工事は事故が多く、発生した場合深刻な事故になる」という指摘もありました。
擁壁工事とは、崖や高低差のある場所で土が崩れないように壁を作る工事のことです。
狭い敷地だと、掘った土を場外に運び出すにはコストがかかるため、現場に積み上げてしまうケースが多いそうです。
💬 現場の声
あるコメントでは「多分作業してた人も『やべーなー』位は思っていたと思いますが、現場は行って残土置く場所が少なくても作業中止なんてありえないだろうし、もう作業するしかなかったんでしょうね」という、現場の切実な声もありました。
⚡ 掘削作業の危険性—「膝まで埋まったら終わり」の恐怖【一般的危険性】
ここまでは今回の事故について見てきましたが、実は掘削作業そのものが非常に危険な作業なんです。
どれくらい危険なのか、具体的に見ていきましょう。
🚨 膝上まで埋まると自力では脱出不可能
建設現場の安全対策に詳しい専門家の分析によると、土砂に埋もれた場合の危険性は想像以上に深刻です。
💀 致命的な危険
膝上まで埋まったら、自力では脱出できません。
これは驚きですよね。膝の高さって、座った時の座面くらいの高さです。たったそれだけの深さでも、土の重さと圧力で身動きが取れなくなってしまうんです。
😱 胸の上まで埋まると息を吸い込めない
さらに恐ろしいのは、胸の上まで埋まった場合です。
息を吐くことはできても、吸い込むことができなくなります。
なぜかというと、胸を膨らませて息を吸おうとしても、周りの土の重さでそれができないからです。
つまり、胸まで埋まると、窒息の危険性が極めて高くなります。
💥 落ちてきた土砂が直撃すれば骨が折れる
さらに、崩落時に落ちてきた土砂が直撃すれば、骨が折れても不思議ではありません。
土は見た目以上に重く、大量の土が一気に崩れてくると、その衝撃は相当なものになります。
📊 建設業の三大事故の一つ
安全教育センターの解説によると、掘削作業中の崩壊・倒壊事故は、建設業の三大事故の一つとされています。
つまり、建設現場で最も起きやすく、最も危険な事故の一つなんです。
😮 意外な事実
労働安全衛生総合研究所のデータでは、崩壊土量50㎥未満の小規模な崩壊による災害が6割を占めるという結果が出ています。
50㎥というと、2トントラック約25台分の土の量です。大規模な工事よりも、むしろ小規模な掘削作業の方が事故が多いというのは、驚きですよね。
これは、小規模だからこそ安全対策が甘くなりがちだからと考えられます。
🌧️ 降雨後3日以内の事故が6割
さらに重要なデータとして、災害発生の3日前までに降雨があった例が6割を占めるという統計もあります。
雨が降ると地盤が緩むため、崩落のリスクが大幅に上がるんです。
📈 建設現場の事故はなぜ増えているのか【社会問題・統計】
ここまで掘削事故の危険性を見てきましたが、実は最近、建設現場全体で事故が増えているんです。
なぜこのような状況になっているのでしょうか。
📊 2024年の建設業死亡事故は15.4%増加
2024年の労働災害統計によると、業種別に見ると、建設業での死亡者数が120人と最も多く、前年同期比で16人増加しており、増加率は15.4%にも及んでいます。
これは非常に深刻な数字です。
実は2023年には建設業の死亡事故は減少傾向にあったのですが、2024年に入って再び急増しているんです。
❓ なぜ事故が増えているのか?
Yahoo!ニュースのコメント欄には、現場を知る人からこんな指摘がありました:
「この30年、建設業の重大災害が減っていたがここにきて、急激に増えている」
では、なぜ急に増えているのでしょうか。考えられる理由を見ていきます。
① 仕事の増加→現場の増加
建設投資が増えており、工事現場の数が増えています。
現場が増えれば、それだけ事故のリスクも増えるというわけです。
② にわか作業員の増加
仕事が増えているのに対して、熟練した作業員が不足しているため、経験の浅い作業員が増えています。
特に「50歳を過ぎてから建設業の世界に飛び込んでくる人が増えている」という指摘がありました。経験が浅いと、危険を察知する能力も低くなりがちです。
③ 作業員の高齢化
建設業界の統計によると、2022年時点で建設業就業者の55歳以上が36%を占めています。
つまり、現場で働く人の3人に1人以上が55歳以上なんです。高齢化が進むと、反応速度や判断力の低下も懸念されます。
④ パワハラ規制で厳しい指導ができない
コメントには「建設業は怒鳴られて覚える時代が長く続いたが、今はパワハラで出来ない」という指摘もありました。
これは難しい問題ですが、適切な安全教育と危険の伝達が十分にできていない可能性があります。
⑤ 工期短縮の圧力
「建設コストがドンドン跳ね上がり、1日でも工期を短縮したがる傾向」があるという指摘もありました。
コストが上がる中、少しでも早く終わらせようとすると、狭い空間での混在作業が増え、事故のリスクが高まります。
🌡️ 気候変動の影響も
また、「人体が対応に苦慮する程に変わってしまった気候(酷すぎる夏)」という指摘もありました。
近年の猛暑は作業員の体力を奪い、集中力の低下につながっている可能性があります。
💔 深刻な現実
コメントには「犠牲者はいつも若者かお年寄り、そして給料の安い人が犠牲になっている」という切実な声もありました。
経験の浅い若手作業員や、体力が衰えた高齢作業員が、危険な作業を担当せざるを得ない構造的な問題があるようです。
建設現場での事故について詳しくは、10メートル転落の生存率は50%?赤穂市建設現場事故で見る安全対策の現実でも解説していますので、あわせてご覧ください。
⚖️ 掘削作業の安全対策—法的基準と現場の実態【予防・対策】
それでは、こうした事故を防ぐための安全対策はどうなっているのでしょうか。
法律ではしっかりとした基準が定められています。
📏 深さ1.5m超えたら土留め必須
国土交通省が定める「建設工事公衆災害防止対策要綱」では、地面を掘削する際に深さ1.5mを超える場合は原則として土留めを施工すると規定されています。
土留めとは、掘削した穴の壁が崩れないように、板や鋼材で支える仕組みのことです。
1.5mというと、だいたい大人の肩くらいの高さです。それ以上深く掘る場合は、必ず土留めをしなければならないんです。
👷 地山の掘削作業主任者の配置
労働安全衛生規則では、掘削面の高さが2m以上になる場合は、「地山の掘削作業主任者」が指揮することが義務付けられています。
つまり、ある程度の深さを掘る場合は、専門の資格を持った責任者が現場にいなければならないということです。
✅ その他の安全対策
安全対策としては、他にも以下のようなものがあります:
- 一人作業の禁止:掘削作業者以外の者が土の動きを監視する
- 降雨時の作業中止:地盤が緩んでいるので作業は中止する
- 2日以上掘削状態を維持する場合の点検義務:き裂や湧水などを確認
😞 しかし、現場では守られないことも
ここまで見てきたように、法律では厳格な基準が定められています。
しかし、実際の現場では守られないケースがあるのが現実のようです。
🚨 現場の実態
日経コンストラクションが報じた佐世保市の事故事例では、深さ3mの穴を掘ったにもかかわらず、土留めの矢板を設置していなかったことが明らかになっています。
施工者は計画書では「深さ1.5mを超える前に土留めを設置する」と書いていたのに、実際には深さ3mまで掘った後に設置しようとしていたんです。
❓ なぜ守られないのか?
Yahoo!ニュースのコメントには、こんな指摘がありました:
「土木の掘削作業はかなり危険を伴うんだよな…役所のお偉いさんが検査の日程調整するのもかなりの問題だよな。作業効率も悪くなるし、地盤が柔らかい場所は掘ってからすぐにでもブロックを積みたいんだよな」
つまり、検査の日程の都合や工期の問題で、本来のタイミングで安全対策ができないことがあるようです。
また、別のコメントでは「現場や管理会社に責任があるのは当然のことだが、ここで現場や管理会社の責任を問う人たちが別な場所では安価短期な業者の選定をしていたりする」という指摘もありました。
安い見積もりで短い工期を要求すれば、現場での安全対策が十分にできなくなる—そんな構造的な問題があるのかもしれません。
🙏 元麻布の作業員のその後と今後の対応【続報・展望】
最後に、今回の事故についてのまとめと今後の展望を見ていきます。
💔 作業員の状態
現時点で、救出された作業員は意識不明の重体で病院に搬送されています。
一刻も早い回復を祈るばかりです。
🔎 警視庁の調査
警視庁は現在、事故の詳しい状況を調査しています。
なぜこのような事故が起きたのか、安全対策は適切だったのか、今後明らかになっていくでしょう。
⚠️ 建設業界全体への警鐘
今回の事故は、建設業界全体が抱える深刻な問題を浮き彫りにしました。
🚨 求められる対策
- 法律で定められた安全基準を守ること
- コスト削減・工期短縮よりも人命を最優先すること
- 人手不足・高齢化という構造的問題への対応
建設現場で働く方々の安全を守るために、発注者・施工者・行政が一体となった取り組みが不可欠です。
📝 まとめ
2025年11月17日に発生した元麻布の掘削事故について、この記事では以下の点を解説しました:
📌 事故の概要
- 東京都港区元麻布のマンション建設現場で掘削作業中に作業員が土に埋まる
- 作業員は意識不明の重体で病院に搬送
- 正午過ぎという昼休み時間帯に発生
🔍 事故の推定原因
- 掘削箇所の近くに残土を積み上げた可能性
- 狭い敷地での擁壁工事の危険性
- 土留めの不備の可能性
⚠️ 掘削作業の危険性
- 膝上まで埋まると自力脱出不可能
- 胸部まで埋まると呼吸困難で致命的
- 小規模な掘削ほど事故率が高い(土量50㎥未満が6割)
- 降雨後3日以内の事故が6割
📈 建設現場事故の増加
- 2024年の建設業死亡事故は15.4%増加
- 仕事の増加、にわか作業員の増加、高齢化、工期短縮圧力などが背景
- 55歳以上が36%を占める高齢化
⚖️ 安全対策と現場の実態
- 深さ1.5m超えたら土留め必須という法的基準
- しかしコスト・工期の都合で守られないケースも
- 安全対策よりも効率が優先される構造的問題
建設現場での事故を減らすためには、安全基準の徹底と、業界全体の構造改革が必要です。
この記事を読んで、建設現場の安全について考えるきっかけになれば幸いです。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: 元麻布の掘削事故で何が起きたのですか?
2025年11月17日正午過ぎ、東京都港区元麻布のマンション建設現場で掘削作業中に作業員が土に埋まり、救出されましたが意識不明の重体となりました。警視庁が詳しい状況を調査しています。
Q2: 掘削作業で作業員が埋まった原因は何ですか?
現時点では調査中ですが、掘削した土を掘削箇所の近くに積み上げたことで、その重さで土の壁が崩れやすくなった可能性や、狭い敷地での擁壁工事の危険性、土留めの不備などが推測されています。
Q3: 掘削作業にはどのような危険性がありますか?
膝上まで埋まると自力では脱出できず、胸の上まで埋まると息を吸い込めなくなり窒息の危険性があります。掘削作業中の崩壊・倒壊事故は建設業の三大事故の一つとされており、小規模な掘削ほど事故率が高いという特徴があります。
Q4: なぜ建設現場の事故が増えているのですか?
2024年の建設業死亡事故は前年比15.4%増加しています。仕事の増加による現場数の増加、経験の浅い作業員の増加、作業員の高齢化(55歳以上が36%)、建設コスト高騰による工期短縮圧力などが背景にあります。
Q5: 掘削作業の安全基準はどうなっていますか?
国土交通省の基準では、深さ1.5mを超える掘削では原則として土留めを施工することが規定されています。また、掘削面の高さが2m以上の場合は地山の掘削作業主任者の配置が義務付けられています。しかし現場では予算や工期の都合で守られないケースもあります。
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建設現場の安全について、みんなで考えていきましょう。
📚 参考文献
- 2024年労働災害発生状況 死亡者数366人、建設業での事故が15.4%増加
- 掘削作業等での安全対策について|安全教育センター
- 土留めせずに深さ3m掘削|日経コンストラクション
- 溝掘削工事の土砂崩壊災害|労働安全衛生総合研究所
- 建設業界の2025年問題 深刻な人材難にどう立ち向かうべきか
- 上下水道工事での土砂崩落事故を絶対に起こさないために|高知市
- 10メートル転落の生存率は50%?赤穂市建設現場事故で見る安全対策の現実