退職代行サービスが広がる中、2025年8月に「イテクレヤ」という退職引き止めサービスが登場しました。
「退職代行の逆?」と驚く人も多いこのサービス、実は社員を無理に引き止めるのではなく、会社の問題点を見つけ出すための「組織診断サービス」なんです。
料金は最大300万円かかった事例もあり、驚きの実態が明らかになっています。
📋 この記事でわかること

💼 イテクレヤとは?退職代行時代に登場した「引き止めサービス」の正体
イテクレヤは、株式会社おくりバントが2025年8月1日に正式リリースした退職引き止めサービスです。
東京都新宿区に本社を置く広告企画会社が運営しており、代表取締役社長は西久保剛氏。
退職代行サービスの普及により、突然社員が辞めるケースが増える中、企業側の悩みに応える形で誕生しました。
ただし、このサービスには重要なポイントがあります。
⚠️ 重要なポイント
「無理に引き止めることを目的としたものではない」と公式に明言されているんです。
では何をするのかというと、企業側からは見えづらい「退職に至る本当の原因」を追求し、その改善策を提示すること。
つまり、社員を引き止めるというより、会社の問題点を見つけ出す「組織診断サービス」としての性格が強いんです。
退職代行が「辞めたい人」を助けるサービスなら、イテクレヤは「辞められたくない会社」を助けるサービス。
そう考えると分かりやすいですね。
🎵 サービス名「イテクレヤ」の由来は?あの有名曲から着想
「イテクレヤ」という独特なサービス名、実は意外なところから生まれました。
FRIDAYの取材によると、社内で退職引き止めサービスを始めようと話し合っていた際、若手女性社員が提案したそうです。
そのヒントになったのが、三木道山さんの代表曲「Lifetime Respect」の有名なフレーズ。
「一生一緒にいてくれや」
この歌詞から着想を得て、「イテクレヤ」というサービス名が誕生したんです。
2001年に大ヒットした曲なので、20代後半以上の人なら聞き覚えがあるかもしれません。
一見ふざけた名前に見えますが、「社員に会社に居続けてほしい」という経営者の願いを込めたネーミングだったんですね。
実際、先行導入した企業からは「"イテクレヤ"などと名乗っているのでふざけて終わるのかと思いきや、意外にも真面目に対応してくれて驚きました」という声も上がっています。
🔄 イテクレヤの仕組みと6つのステップ
イテクレヤのサービスは、具体的にどんな流れで進むのでしょうか。
公式プレスリリースによると、6つのステップで進行します。
📍 ステップ1:経営層への聞き取り
まず経営者や人事責任者と面談を行います。
現在の組織状況や離職の傾向についてヒアリングし、「社内で退職理由として何が想定されているのか」を確認。
経営側の認識を整理するところからスタートします。
📍 ステップ2:社員への匿名インタビュー
退職希望者を含む複数名の社員に対し、匿名でインタビューを実施。
職場環境・人間関係・業務内容への不満や不安を丁寧に聞き取ります。
匿名性を担保することで、社員が率直な本音を話せる環境を作るのがポイントです。
📍 ステップ3:経営層へのフィードバック
収集した社員の声を整理し、プライバシーに配慮した形で経営層へ報告。
見過ごされがちな課題や潜在的な離職要因が共有されます。
📍 ステップ4:改善策の提案
ヒアリング結果をもとに、退職要因を解消するための制度設計や仕組みづくりの改善案を提示。
必要に応じて、社員の声を継続的に拾い上げる「イテクレヤ・ホットライン」という匿名相談窓口の設置も提案されます。
📍 ステップ5:改善策の実施支援
提示された改善策を実行する場合、運用設計まで支援。
定期的なフォローや効果測定の仕組みづくりも含まれるため、改善策が形骸化しないようフォローします。
📍 ステップ6:社員へのフィードバック
最後に、経営者から社員へヒアリング内容への理解と感謝を伝え、改善策を説明。
イテクレヤの担当者も同席し、双方にとって前向きな対話をサポートします。
この6段階を通じて、一度きりの対症療法ではなく、継続的な組織改善につなげる仕組みになっているんです。
💰 料金はいくら?300万円かかった事例も
イテクレヤの料金、気になりますよね。
実は公式には明確な料金表がなく、個別見積もり制となっています。
なぜかというと、アウトプット(成果物)の内容や媒体によって費用が大きく変動するため。
記事化・動画化などの形式や、調査にかかる期間によって金額が決まるシステムです。
FRIDAYの取材で明らかになった事例では
A社のケースで300万円かかったと報告されています
調査に3ヶ月を要したため、この金額になったそうです。
新車1台分以上の費用と考えると、かなり高額ですよね。
ただし、運営会社のおくりバント全体の価格スタンスとして「常に地域最安値を目指しており、目を背けたくなるような価格は提示しない」と公式サイトに明記されています。
とはいえ、本格的な組織改善を行うにはそれなりの投資が必要、ということでしょう。
企業規模や調査内容によって金額は変わるため、導入を検討する場合は個別に相談が必要です。
😮 経営者と社員の「深刻なミスマッチ」事例
イテクレヤを利用したA社の事例から、興味深い事実が明らかになりました。
経営者と社員の間に、退職理由について深刻な認識のズレがあったんです。
A社の社長は、社員が辞める理由をこう考えていました。
💭 経営者の想定(大所高所の視点)
「わが社では仕事の幅に限界がある」
「ある程度キャリアを積んだ社員は他社でステップアップしたいのでは」
つまり、組織的な問題や成長機会の不足を想定していたんです。
ところが、社員へのインタビューで出てきた不満は全く違いました。
💢 社員の実際の不満(生々しい具体例)
「仕事関係の書籍を経費で申請できると言われたのに、実際に申請すると嫌味のようなことを言われた」
「Aさんの言動が恐い」
経営者が考える「大所高所からの組織的問題」と、社員が感じる「生々しい具体的な不満」。
この大きなギャップが、退職を生み出していたんです。
さらに驚くべきことに、調査した社員10人のうち、多くが潜在的な退職意向を持っていました。
しかし調査後、経費の使い方を明確にする、社長と社員のコミュニケーションを密にするなどの改善点を実行すると、当該の10人は「もう少しがんばってみる」と仕事に前向きになったそうです。
💡 重要な気づき
経営者が思っている退職理由と、社員の本音は全く違う。
この事例は、多くの企業に当てはまる課題かもしれません。
🍬 「ガムを噛む音が不快」から見える本当の問題
イテクレヤの調査で出てきた不満の中に、一見些末に思える内容がありました。
この不満を聞いて、どう思いますか?
「そんな小さなことで退職?」と感じる人もいるかもしれません。
でも西久保社長は、この不満に重要な意味を見出しました。
「一見、些末な不満のようにも思えます。しかし見方を変えると、ガムを噛む音について忠告できないほど上司と部下の関係性が悪化しているとも考えられる」
つまり、ガムの音自体が問題なのではなく、「それすら言えない関係性」が問題だったんです。
日ごろから誰とでもコミュニケーションをとれる雰囲気があれば、「ちょっとガムの音気になるんで」と軽く言えるはず。
それができないということは、職場の心理的安全性が失われているサイン。
小さな不満の裏に、大きな問題が隠れている好例ですね。
同じ退職するにしても、言葉のミスマッチなくお互いが理解していればウィンウィンの関係で会社を辞められる、と西久保社長は語っています。
📊 成功事例と失敗事例-改善に至るのは数社のみ
イテクレヤは画期的なサービスですが、実は成功率はそれほど高くありません。
FRIDAYの取材によると、これまで20社ほどから依頼がありましたが、実際に改善に至ったのは数社ほどだそうです。
なぜ改善できない企業が多いのでしょうか。
大きな理由は、経営者の姿勢にあります。
❌ 改善できない企業の特徴
「社内からこんな不満がある」と伝えると、「誰が言ったんだ?」と犯人捜しをする経営者もいるそうです。
企業の問題点を明らかにすることは、ある意味で社内で恥を晒すこと。
しかもイテクレヤはPR会社が運営しているため、実績を各企業の問題点として社外に公表することもあります。
組織改善のためにウミを出すには、経営者の本気の覚悟が必要なんです。
一方、成功事例もあります。
✅ 成功事例:株式会社JAM
最初のクライアントとなった株式会社JAMの酒井社長は、「本当に自分を理解できました。今後も困難に直面した際には、今回の経験を思い出して乗り越えていきたい」とコメント。
社員からも「会社が私たちの声を真剣に受け止めてくれたのが伝わった」「今まで不明瞭だった昇給ルールが明確になったのがありがたかった」という声が上がっています。
改善に至った企業に共通するのは、経営者が自分の未熟さに真摯に向き合い、本気で組織を変えようとする姿勢です。
逆に言えば、形だけの導入では効果は期待できないということですね。
📈 退職代行が普及した社会背景-23.2%の企業が経験
そもそも、なぜイテクレヤのようなサービスが必要になったのでしょうか。
背景にあるのは、退職代行サービスの急速な普及です。
2024年上半期(1月〜6月)に退職代行サービスを
利用して退職した人がいた企業は
23.2%
マイナビの調査によると、つまり、約4社に1社が退職代行による退職を経験しているんです。
さらに過去の推移を見ると:
- 2021年:16.3%
- 2022年:19.5%
- 2023年:19.9%
- 2024年上半期:23.2%
年々増加傾向にあることが分かります。
年代別では、日本経済新聞の報道によると、直近1年間で退職した人のうち20代が18.6%と最も多く、30代17.6%、40代17.3%と続きます。
若い世代ほど退職代行を利用する傾向が強いんです。
退職代行を利用する理由トップ3
1. 「退職を引き留められた(引き留められそうだ)」が40.7%
2. 「自分から退職を言い出せる環境でない」(32.4%)
3. 「退職を伝えた後トラブルになりそう」(23.7%)
こうした状況の中、企業側も突然の離職に悩まされるようになりました。
イテクレヤは、この社会背景を受けて登場したサービスなんです。
ただし、退職代行の普及は「退職を言い出しにくい職場環境」があることの裏返しでもあります。
イテクレヤを導入する前に、まず社員が安心して退職を切り出せる環境を作ることが、本質的な解決策かもしれません。
✅ まとめ:引き止めではなく、組織診断が本質
イテクレヤについて、重要なポイントをまとめます。
- イテクレヤは2025年8月1日にリリースされた退職引き止めサービスで、東京都新宿区の株式会社おくりバントが運営
- サービス名は三木道山の「Lifetime Respect」から着想を得て、若手女性社員が提案
- 6つのステップで進行:経営層ヒアリング→社員匿名インタビュー→フィードバック→改善策提示→実施支援→社員へのフィードバック
- 料金は個別見積もり制で、3ヶ月の調査で300万円かかった事例もある
- 経営者と社員の認識ギャップが明らかに。経営者は「組織的問題」を想定するが、社員の不満は「経費申請時の嫌味」など具体的
- 「ガムを噛む音」という些末な不満も、実は深刻な関係性悪化のサインである
- 20社から依頼があったが改善に至ったのは数社。経営者の本気の覚悟が必要
- 退職代行利用者がいた企業は23.2%(2024年上半期)と増加傾向にあり、イテクレヤの登場背景となっている
💡 イテクレヤの本質は、「引き止め」ではなく「組織診断」です。
社員を無理に引き止めるのではなく、会社の問題点を見つけ出し、改善につなげる。
そのプロセスで結果的に退職を防げる場合もある、というサービスなんです。
あなたの職場にも、表面化していない不満や問題はありませんか?
退職代行を使われてから慌てるのではなく、日頃からコミュニケーションをとれる環境を作ることが、何より大切かもしれません。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: イテクレヤとは何ですか?
イテクレヤは、2025年8月1日に正式リリースされた退職引き止めサービスです。株式会社おくりバントが運営し、企業側から見えづらい退職の本当の原因を追求し、改善策を提示する組織診断サービスとしての性格が強いです。
Q2: イテクレヤの料金はいくらですか?
料金は個別見積もり制で、アウトプット内容や媒体によって変動します。FRIDAYの取材では、3ヶ月の調査で300万円かかった事例が報告されています。企業規模や調査内容によって金額が変わります。
Q3: イテクレヤのサービスはどのような流れで進みますか?
6つのステップで進行します。経営層ヒアリング、社員への匿名インタビュー、経営層へのフィードバック、改善策の提案、実施支援、社員へのフィードバックという流れです。匿名性を担保することで社員の率直な本音を引き出します。
Q4: イテクレヤの成功率はどのくらいですか?
FRIDAYの取材によると、これまで20社ほどから依頼がありましたが、実際に改善に至ったのは数社のみとされています。経営者が自分の未熟さに真摯に向き合い、本気で組織を変えようとする覚悟が成功の鍵となります。
Q5: なぜ退職引き止めサービスが必要になったのですか?
退職代行サービスの急速な普及が背景にあります。マイナビの調査によると、2024年上半期に退職代行を利用して退職した人がいた企業は23.2%に達しており、年々増加傾向にあります。企業側も突然の離職に悩まされる状況が増えています。
Q6: 経営者と社員の認識にはどのようなギャップがありますか?
経営者は「仕事の幅の限界」「ステップアップ希望」など組織的問題を想定しますが、社員の実際の不満は「経費申請時の嫌味」「上司の言動が恐い」など具体的で感情的な内容です。この認識のズレが退職を生み出す大きな要因となっています。
📚 参考文献・出典
- 株式会社おくりバント公式プレスリリース(2025年9月5日)
- マイナビキャリアリサーチLab「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」
- 日本経済新聞「退職代行、20代の5人に1人が利用」(2024年10月3日)
- 株式会社JAM「退職ラッシュを食い止めろ!退職引き止めサービス『イテクレヤ』の挑戦」
- FRIDAY「退職引き止めサービス『イテクレヤ』…社長が語る『経営者と社員の不満分析』深刻ミスマッチ&トラブル」(2024年11月20日配信)