この記事でわかること
「カード十数枚で3000万円」
大晦日の池袋で起きた強盗事件は、私たちの常識を覆すものでした。
2025年12月31日夜、東京・池袋のトレカ専門店に男3人組が押し入りました。
奪われたのはポケモンカードなど十数枚。
被害額は約3000万円に上ります。
しかも被害店舗は、この2ヶ月で3度目の被害でした。
なぜカードがそれほどの価値を持つのか。
なぜ同じ店が繰り返し狙われるのか。
事件の全容と背景を詳しく解説します。

大晦日の池袋で何が起きたのか
2025年12月31日午後8時30分頃、東京都豊島区東池袋のトレーディングカード専門店で強盗事件が発生しました。
朝日新聞の報道によると、客を装って入店した男3人組のうち1人が、ハンマーのようなものでショーケースを叩き割りました。
止めに入ろうとした従業員を残る2人が制止。
その間にポケモンカードなど十数枚、約3000万円相当を奪って逃走したとされています。
犯行時間はわずか数分。
店内には当時、従業員と客を合わせて4人がいましたが、幸いけが人は出ていません。
3人組は全員が黒い服装にマスク、帽子を着用。
警視庁は強盗事件として、逃げた3人の行方を追っています。
「十数枚で3000万円」という被害額に、多くの人が驚きを隠せません。
都心の新築マンションの頭金に相当する金額が、手のひらに乗るサイズのカードに詰まっている。
現金や宝石ではなく、カードが強盗のターゲットになる時代が来たのです。
被害に遭った店舗は、実はこれが初めてではありませんでした。
被害店舗「NO LIMIT」の悲痛な告白
被害に遭ったのは「NO LIMIT」という池袋の人気トレカショップです。
事件から約1時間半後、店舗の公式X(旧Twitter)に投稿された言葉は、あまりにも悲痛なものでした。
「先ほど営業中に強盗集団が入りました。大変申し訳ありません。押さえつけられたり恐怖で死にかけましたがスタッフたちは無事です。被害額は3000万以上です、、もういやです。」
この投稿は瞬く間に拡散。
閲覧数は1250万を超え、東京都の人口に匹敵する数の人々の目に触れました。
リポストは1万1000件以上、いいねは6万8000件を超えています。
NO LIMITとは
NO LIMITは「日本一長い営業時間のカードショップ」を掲げる人気店です。
東池袋駅から徒歩圏内という好立地で、ポケモンカードのオリパ(ランダムでカードが当たるくじ形式の販売)などを展開。
SNSでの発信も活発で、トレカファンの間では知られた存在でした。
しかし、その人気と知名度が、皮肉にも犯罪者のターゲットリストに載る原因となってしまったのかもしれません。
2ヶ月で3度目の被害
実は、NO LIMITが被害に遭うのはこれが初めてではありません。
2025年11月3日にも、同店の倉庫が盗難被害に遭っていたことが報じられています。
その際の被害額は2000万円超。
店舗は当時「もうきついです」と悲鳴を上げていました。
さらにXユーザーの指摘によると、10月にも被害があったとされています。
つまり、わずか2ヶ月の間に3度も狙われたことになります。
なぜ繰り返し狙われるのか
犯罪学では「繰り返し被害化」という現象が知られています。
一度被害に遭った対象は、再び狙われやすくなるというものです。
理由は単純で、犯人にとって「成功した場所」だからです。
NO LIMITの場合、高額カードの在庫があることがSNSなどで広く知られていました。
人気店であるがゆえに、「ここには価値あるものがある」と犯罪者に認識されてしまった可能性があります。
24時間に近い長時間営業も、夜間の人員が手薄になる時間帯を生み出しやすい構造です。
人気と繁盛が、そのまま犯罪リスクに直結してしまう。
トレカ業界が抱える構造的な問題が、ここに凝縮されています。
しかし、そもそもなぜカード十数枚が3000万円もの価値を持つのでしょうか。
なぜポケモンカードは3000万円になるのか
ポケモンカードが高額化した理由は、30年の歴史による希少性と、投資対象としての需要爆発です。
最高額のカードは5億1000万円で落札
30年で激減した初期カード
ポケモンカードゲームは1996年に日本で誕生しました。
当時は子供向けのおもちゃという位置づけで、1パック数百円で買えるものでした。
しかし30年近い歳月が経ち、状況は一変しています。
初期に発売されたカードの多くは、子供たちが遊んで傷んだり、捨てられたりして激減。
当時はスリーブ(保護ケース)で保管する文化もなく、美品で残っているカードはごくわずかです。
「1996年の初版カードを完璧な状態で持っている人」は、もはや世界でも限られています。
希少性を生む3つの仕組み
ポケモンカード高額ランキング(Altema)によると、希少性を生み出す仕組みは主に3つあります。
- 大会の賞品カード:1998年の公式大会の優勝賞品はわずか7枚しか存在しない
- エラーカード:印刷ズレや誤植など、製造ミスで生まれた希少カード
- 限定配布カード:特定のイベントや店舗でしか手に入らなかったカード
世界に7枚。それを欲しがるコレクターは何万人もいる。
価格が高騰するのは当然の帰結です。
2018年以降の投資需要爆発
転機となったのは2018年頃でした。
YouTuberたちがポケモンカードの開封動画を投稿し始め、大人の間でブームが再燃。
さらに株式投資家や転売業者が「値上がりする資産」として注目し始めました。
日本経済新聞も、トレカの投資対象化について報じています。
PSA鑑定(カードの状態を10段階で評価する世界基準の認定)が普及し、カードは「美術品」や「金融商品」に近い扱いを受けるようになります。
円安も追い風となり、海外からの需要も急増。
2026年はポケモン30周年という節目の年であり、市場はさらなる高騰を見込んでいます。
最高額5億1000万円の衝撃
2024年、ニューヨークのオークションで「ピカチュウイラストレーター」というカードが約5億1000万円で落札されました。
日本の平均年収の100年分以上に相当する金額です。
YouTuberのHIKAKINさんが5000万円でカードを購入したことも話題になりました。
「子供のおもちゃ」から「投資対象」へ、そして今や「強盗のターゲット」へ。
ポケモンカードの立ち位置は、30年で劇的に変わってしまいました。
このような高額カードが存在するからこそ、トレカ店は新たな犯罪ターゲットになっています。
急増するトレカ盗難、業界が抱える構造的課題
トレカ専門店を狙った盗難は2022年末から急増しており、宝石店に比べて手薄な警備体制が狙われています。
2022年末からの盗難急増
リサイクル通信の報道によると、2022年末から2023年にかけて、都内だけでも秋葉原、池袋、町田などで相次いで盗難事件が発生しました。
秋葉原のある店舗は、オープンからわずか6日で強盗被害に遭っています。
開店直後で防犯体制が整っていなかったことを突かれた形です。
なぜ宝石店より狙われやすいのか
日本経済新聞は、トレカ店が狙われやすい構造的な理由を指摘しています。
「貴金属店と比べて警備が手薄」という点です。
宝石店であれば、防犯カメラ、センサー、警備員の配置、厳重なショーケースなど、何重もの対策が施されています。
一方、トレカ店の多くは「子供たちが気軽に来られる雰囲気づくり」を重視してきました。
厳重なセキュリティは、お店の親しみやすさを損なう可能性がある。
このジレンマが、結果として防犯の隙を生んでいます。
換金しやすいカードの特性
しかも、カードは換金しやすいという特性があります。
- フリマアプリやオークションサイトで個人間取引が可能
- 宝石のように刻印や登録番号で追跡することが難しい
- PSA鑑定済みカード以外は足がつきにくい
「価値が高く、警備が手薄で、換金しやすい」
犯罪者から見れば、トレカ店は格好のターゲットに映ってしまうのです。
業界では防犯カメラの増設やショーケースの強化など対策が進められていますが、コストとの兼ね合いもあり、十分とは言えない状況が続いています。
まとめ:事件の要点と今後の展開
大晦日に発生したこの強盗事件は、トレカが高額資産となった時代を象徴しています。
事件の要点
- 発生日時:2025年12月31日 午後8時30分頃
- 場所:東京都豊島区東池袋のトレカ専門店「NO LIMIT」
- 犯人:男3人組(黒い服装、マスク、帽子)
- 手口:客を装い入店→ハンマーでショーケース破壊→従業員を制止→逃走
- 被害:ポケモンカードなど十数枚、約3000万円相当
- けが人:なし
捜査の現状
警視庁は強盗事件として捜査を進めています。
犯人3人の行方を追っており、防犯カメラの映像解析などが行われているとみられます。
読者が知っておくべきポイント
1. ポケモンカードは「おもちゃ」ではなく「高額資産」として狙われる時代になった
2. 被害店舗は2ヶ月で3度目の被害という異常事態
3. トレカ業界全体で盗難が急増しており、構造的な課題がある
4. 犯人逮捕に向けた捜査が進行中
続報が入り次第、情報を更新します。
よくある質問
Q. 被害に遭った店舗はどこですか?
東京都豊島区東池袋にあるトレカ専門店「NO LIMIT」です。東池袋駅から徒歩圏内の人気店です。
Q. なぜポケモンカードは3000万円もするのですか?
30年の歴史による希少性と、投資対象としての需要爆発が理由です。大会賞品など数枚しかないカードも存在します。
Q. 盗まれたカードは取り返せますか?
PSA鑑定済みのカードであれば番号で追跡できる可能性がありますが、すべてのカードが対象ではありません。
Q. トレカ店の盗難は増えていますか?
2022年末から急増しています。宝石店に比べて警備が手薄なことが狙われる原因とされています。
参考文献
- 朝日新聞デジタル - 大みそかの池袋でトレカ強盗か
- NO LIMIT池袋 公式X - 被害報告投稿
- 日本経済新聞 - ポケモン・遊戯王…高騰トレカが標的に
- リサイクル通信 - トレカ盗難急増の実態
- Altema - ポケモンカード高額ランキング