2025年12月29日の早朝、東北自動車道で歩行者が死亡する事故が発生しました。
なぜ男性は高速道路上にいたのか。
運転手はどうなるのか。
この記事では、NEXCO東日本の統計データと複数の弁護士見解に基づき、高速道路での歩行者事故の法的責任と、万が一の対処法を解説します。
決して珍しい出来事ではありません。
📋 この記事でわかること
東北道・蓮田SA付近で歩行者死亡事故が発生
2025年12月29日午前4時半頃、東北自動車道下り線の蓮田サービスエリア付近で、20代から30代とみられる男性が乗用車にはねられ、死亡しました。
テレビ朝日系(ANN)の報道によると、乗用車を運転していたのは60歳の男性で、けがはありませんでした。
事故の影響で、岩槻インターチェンジから久喜白岡ジャンクションの間が一時通行止めとなりました。
警察は、なぜ男性が高速道路上にいたのか経緯を調べています。
時速120kmは1秒間に約33メートル進む速度。つまり、3秒で約100メートル移動します。
午前4時半といえば、12月下旬ではまだ真っ暗な時間帯。
車のヘッドライトが届く距離は一般的に100メートル程度とされています。
時速120kmで走行中に100メートル先の歩行者を発見したとしても、完全に停止するまでには約170メートルが必要です。
発見から停止までの距離が、視認可能距離を大きく超えてしまう——これが高速道路での歩行者事故が起きる物理的な背景です。
では、そもそもなぜ男性は高速道路上にいたのでしょうか。
なぜ男性は高速道路上にいたのか?考えられる5つの理由
高速道路への立入理由で最も多いのは「道を間違えた」です。
特に20代でスマートフォンのナビアプリによる誤進入が急増しています。
NEXCO東日本の発表によると、高速道路への立入通報は年間約1,500件、1日あたり約4件発生しています。
立入理由を整理すると、主に5つのパターンがあります。
理由①:道を間違えた(最多)
国土交通省の資料によると、立入理由の最多は「道を間違えた」です。
スマートフォンのナビアプリを見ながら歩いていて、気づいたら高速道路に入っていた——というケースが増えているとされています。
理由②:車両故障・事故後の行動
車が故障して高速道路上で止まってしまい、助けを求めて歩き出すケースです。
本来はガードレールの外側に退避すべきですが、パニック状態で車線上を歩いてしまうことがあります。
理由③:認知症などの疾患
認知機能の低下により、高速道路であることを認識できずに立ち入ってしまうケースです。
高齢者に多い傾向があります。
理由④:サービスエリアからの誤った徒歩移動
サービスエリアやパーキングエリアから、本線に出てしまうケースです。
深夜帯に酔った状態で迷い込むパターンも報告されています。
理由⑤:意図的な立入
自殺目的やその他の理由で、意図的に高速道路に入るケースも存在します。
男性が高速道路上にいた理由は、現時点では調査中です。ただ、いくつかの状況証拠から推測できる部分があります。
まず、被害者は20代から30代の男性とされています。
前述のとおり、この年代は立入理由の最多が「道を間違えた」であり、スマホナビの誤認による誤進入が増加している世代です。
また、事故現場は蓮田サービスエリア付近です。
サービスエリアからの徒歩移動の可能性も否定できません。
さらに、午前4時半という時間帯は、深夜の活動を終えて帰宅する途中や、早朝の移動中といった状況が考えられます。
ただし、これらはあくまで可能性の一つです。
車両故障後の行動や、その他の事情があった可能性もあります。警察の調査結果を待つ必要があります。
いずれにせよ、高速道路への歩行者の立入は法律で禁止されています。
道路法第48条の11および高速自動車国道法第17条により、歩行者・自転車・原付・125cc以下の二輪車は高速道路を通行できません。
では、万が一高速道路で歩行者を轢いてしまった場合、運転手はどのような責任を問われるのでしょうか。
運転手は罪に問われる?高速道路での歩行者事故の過失割合
一般道とは逆に、歩行者側の責任が圧倒的に重くなります。
「人を轢いたら運転手が悪い」——これは一般道では正しい認識です。
横断歩道では歩行者が優先され、人身事故を起こせば運転手の責任が重く問われます。
しかし、高速道路ではこの常識が逆転します。
デイライト法律事務所の解説によると、高速道路は歩行者の通行が法律で禁止されているため、そこに歩行者がいること自体が「歩行者側の重大な過失」とみなされます。
なぜ運転手にも20%の過失があるのか?
これは「前方注視義務」によるものです。
道路交通法第70条は、運転手に対して常に前方を注視し、安全に運転する義務を課しています。たとえ高速道路であっても、この義務は免除されません。
ただし、この20%という数字は「基本過失割合」であり、状況によって変動します。
| 状況 | 歩行者の過失 | 運転手の過失 |
|---|---|---|
| 基本(歩行者が道路上にいた) | 80% | 20% |
| 故障車両の付近にいた場合 | 40% | 60% |
| 歩行者が酩酊状態だった場合 | 80%以上 | 20%以下 |
| 運転手に速度超過があった場合 | 80%以下 | 20%以上 |
故障車両の付近に歩行者がいた場合、運転手はその存在を予見すべきだったとして、過失割合が60%に増加します。
一方、歩行者が酩酊状態で車線上に寝ていたような場合は、歩行者の過失がさらに重くなる可能性があります。
民事と刑事は別の問題
民事上の過失割合と、刑事上の責任は別の問題です。
弁護士法人小杉法律事務所の解説によると、刑事責任については「予見可能性」と「回避可能性」が重要な判断基準になります。
また、夜間の高速道路で突然歩行者を発見しても、物理的に回避が困難なケースが多いです。
こうした状況では、運転手に刑事責任を問うことが難しい場合もあります。
過去の判例でも、高速道路上の歩行者事故で運転手が不起訴や無罪となったケースが存在します。
今回の事故で60歳の運転手がどのような処分を受けるかは、現時点では未確定です。
警察は事故の詳しい経緯を調査中であり、その結果を踏まえて判断されることになります。
Yahoo!ニュースのコメント欄では「運転手がかわいそう」という意見に3,000件以上の共感が集まっていました。
「高速道路に人が歩いていること自体が問題」「夜明け前の真っ暗な時間帯に回避は無理」という声が多数を占めています。
法的にも社会的にも、高速道路での歩行者事故は一般道とは異なる視点で捉えられているのが実情です。
では、運転中に高速道路で歩行者を発見した場合、どうすればよいのでしょうか。
高速道路で歩行者を見かけたらどうすべき?通報方法と対処法
運転中の携帯電話使用は道路交通法で禁止されています。
必ず同乗者から通報するか、最寄りのサービスエリア・パーキングエリアに停車してから通報してください。
NEXCO東日本によると、サービスエリアやパーキングエリアに設置されている非常電話からも通報できます。
通報時に伝えるべき情報
- 場所(路線名、上り・下り、キロポスト表示や最寄りのインターチェンジ)
- 歩行者の人数と様子(歩いている、座っている、倒れているなど)
- 自分の連絡先
自分が故障・事故に遭った場合の対応
- ハザードランプを点灯する
- 車を路肩に寄せて停車する
- 発炎筒を焚く・三角表示板を置く(これが最優先)
- ガードレールの外側に退避する
- 安全な場所から#9910または110番に通報する
Yahoo!コメントでも「先に発炎筒を焚け!電話は二の次」という指摘がありました。
後続車への警告が最優先です。
高速で走行する車から見て、夜間に人を発見し回避することは物理的に困難です。
自分の身を守るためにも、必ずガードレールの外側に退避してください。
まとめ
📝 今回の事故と高速道路での歩行者事故のポイント
- 12月29日午前4時半頃、東北道・蓮田SA付近で20〜30代男性が乗用車にはねられ死亡
- 高速道路での歩行者事故の基本過失割合は歩行者80%:運転手20%
- 高速道路への立入通報は1日約4件発生、20代の誤進入が最多
- 立入理由の最多は「道を間違えた」(スマホナビの誤認が増加)
- 歩行者を発見したら#9910または110番に通報
年末年始は高速道路の利用が増える時期です。
万が一に備えて、発炎筒と三角表示板の位置を確認しておくことをおすすめします。
❓ よくある質問
📚 参考文献