2025年10月27日、東京証券取引所が衝撃的な発表を行いました。
精密小型モーターで世界シェアNo.1を誇るニデック(旧:日本電産)が、「特別注意銘柄」に指定されたのです。
これは、企業の内部管理体制に重大な問題があると判断された時に出される"要注意マーク"。過去には東芝やオリンパスも指定されており、最悪の場合、上場廃止につながる可能性もあります。
さらにニデックは、日本を代表する株価指数「日経平均株価」からも11月5日付で除外されることが決定。投資家だけでなく、経済界全体に衝撃が走っています。
⚠️ 東芝以来の異例事態
売上高2兆円超、従業員約13万人を抱える世界的企業に、一体何が起きたのでしょうか?
この記事では、ニデックの特別注意銘柄指定について、専門知識がなくても分かるように徹底解説します。
📑 この記事でわかること

📢 ニデックが特別注意銘柄に!何が起きたの?【速報まとめ】
💡 実は、あなたが使っているパソコンのハードディスクにも、ニデック製のモーターが入っている可能性が高いんです。
それほど身近な製品を作る世界的企業が、今、大きな問題に直面しています。
⚡ 10月27日に東証が異例の発表
日本取引所グループの公式発表によると、東京証券取引所は2025年10月27日の取引終了後、ニデックを特別注意銘柄に28日付で指定すると発表しました。
これは東芝以来の大企業での指定となります。
🔍 何が問題だったのか
問題の核心は、ニデックの2025年3月期の決算書について、監査法人のPwCジャパンが「意見不表明」としたこと。
簡単に言えば、「この決算書が正しいかどうか、判断できません」と会計の専門家が匙を投げた状態です。
📉 株価への影響は即座に
10月27日の発表を受け、取引時間終了後の私設取引システム(PTS)でニデック株は急落。投資家の不安が一気に広がりました。
実は、不適切会計の疑いが発表された9月4日には、株価が一時22%急落してストップ安を記録。
さらに10月24日には、業績予想未定と配当無配の発表を受けて、一時前日比11%安の2,277円まで下落し、4月以来の日中安値を付けました。
⚠️ ムーディーズも格付け見直し
格付け大手のムーディーズ・ジャパンは10月3日、ニデックの発行体格付け「A3」(シングルAマイナス相当)を格下げ方向で見直すと発表しました。
理由は「財務報告の質と信頼性についての不確実性」。格付けが下がれば、銀行から資金を借りる際の金利が上昇する懸念があります。
📊 日経平均からも即除外
日本経済新聞の報道によると、日経平均株価の構成銘柄からニデックを除外し、代わりにイビデンを11月5日付で追加することが決定。
TOPIXからも11月4日に除外される予定です。
📅 時系列でまとめると
- 📌 6月:イタリア子会社で関税支払い不備が発覚、有価証券報告書の提出を延期
- 📌 9月3日:不適切な会計処理の疑いで第三者委員会を設置
- 📌 9月4日:株価が一時22%急落(ストップ安)
- 📌 9月26日:有価証券報告書を提出するも、監査法人が「意見不表明」
- 📌 10月3日:ムーディーズが格付けを格下げ方向で見直し
- 📌 10月23日:2026年3月期の業績予想を未定に変更、中間配当を無配、自社株買いを中止
- 📌 10月24日:株価が一時11%安(2,277円)
- 📌 10月27日:東証が特別注意銘柄指定を発表
- 📌 10月28日:特別注意銘柄に正式指定
- 📌 11月4日:TOPIXから除外予定
- 📌 11月5日:日経平均から除外予定
短期間に次々と悪いニュースが重なり、投資家の不安は高まる一方です。
❓ そもそも「特別注意銘柄」って何なのでしょうか?
⚠️ 「特別注意銘柄」って何?→簡単に言うと「要注意マーク」
⚽ 実は、特別注意銘柄は「サッカーのイエローカード」みたいなもの。
レッドカード(上場廃止)になる一歩手前の警告です。
📋 特別注意銘柄の正式な定義
東京証券取引所が、上場会社の内部管理体制などについて改善の必要性が高いと認めた際に指定するのが特別注意銘柄です。
具体的には、以下のような場合に指定されます:
- 有価証券報告書の虚偽記載が判明した場合
- 監査法人から「不適正意見」または「意見不表明」を受けた場合
- 適時開示に関わる規定違反があった場合
🔄 指定されるとどうなる?
指定後、原則として1年経過後に内部管理体制などの審査が行われます。
ここで3つのシナリオがあります:
✅ シナリオ1:改善が認められた場合
特別注意銘柄の指定が解除され、通常の上場銘柄に戻ります。
⚠️ シナリオ2:改善はあるが運用が不十分な場合
指定が継続され、内部管理体制確認書の再提出が求められます。
❌ シナリオ3:改善の見込みがない場合
上場廃止となります。
💼 投資家にとっての意味
特別注意銘柄に指定されると、投資家は大きく警戒します。
なぜなら、企業の決算書の信頼性が揺らいでいる状態だからです。「この会社の数字、本当に正しいの?」という疑問が生まれるわけです。
また、一部の機関投資家は規定により特別注意銘柄への投資を制限されているため、売却圧力が高まります。
⏰ 最悪のケース:1年を待たずに上場廃止も
内部管理体制等が適切に整備・運用される見込みがないと東証が判断した場合、1年の猶予期間を待たずに上場廃止となるケースもあります。
🤔 ではなぜ、ニデックはこの「イエローカード」を受けることになったのでしょうか?
🔍 なぜニデックが指定された?監査法人の「意見不表明」とは
👮 実は、監査法人は「会計の警察」みたいなもの。
決算書が正しいかチェックする重要な役割があります。
📊 監査意見の4つの種類
日本公認会計士協会の説明によると、監査法人は決算書を監査した後、以下の4つのいずれかの意見を表明します:
1️⃣ 無限定適正意見
「決算書はすべて正しいです」という最も良い評価。ほとんどの企業がこれを受けます。
2️⃣ 限定付適正意見
「一部に問題はあるけど、全体としては正しいです」という評価。
3️⃣ 不適正意見
「決算書は正しくありません」という最も厳しい評価。
4️⃣ 意見不表明
「判断するための証拠が十分に得られませんでした」という評価。
ニデックが受けたのは、この4番目の「意見不表明」です。
❓ 意見不表明が意味すること
意見不表明は「重要な監査手続が実施できず、結果として十分な監査証拠が入手できない場合」に表明されます。
これは決算書が「正しくない」と断定しているわけではありません。
しかし、「正しいかどうか判断できない」というのは、投資家にとっては「正しくない」のと同じくらい深刻です。決算書の信頼性が確認できないからです。
🔎 ニデックで何が起きていたのか
ニデックの公式発表によると、7月22日に子会社のニデックテクノモータから、中国子会社での不適切な会計処理の疑いが報告されました。
その調査過程で、他のグループ会社やニデック本体でも不適切な会計処理の疑いが次々と浮上。
さらに深刻なのは、経営陣が関与または認識していた可能性を示唆する資料が複数発見されたことです。
🌍 イタリア子会社の関税問題
問題の発端は6月に発覚したイタリア子会社の貿易取引上の問題でした。
詳細な報道によると、ニデックFIRインターナショナルは中国製の部品を使いイタリアで製造したモーターを米国に輸出していました。
欧州基準では原産国をイタリアとしていましたが、米国基準では中国を原産国とすべきだったため、追加関税の支払い不備が発覚したのです。
🇨🇳 中国子会社の具体的問題
日本経済新聞の報道によると、ニデックテクノモータの中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)では、2024年9月下旬に取引先からの値引きに相当する購買一時金約2億円を適切に処理しなかった可能性が指摘されています。
🔬 第三者委員会による調査
ニデックは9月3日に第三者委員会を設置。西村あさひ法律事務所の弁護士や公認会計士など、独立した専門家が調査にあたっています。
調査の対象は:
- 資産評価減の時期を恣意的に調整した疑い
- 不適切会計の影響額
- 原因究明と再発防止策
しかし、日本経済新聞の報道によると、第三者委員会の調査終了時期は現時点で不明。決算スケジュールがいつ正常化するかの見通しも示せていない状態です。
⚠️ 過去の決算訂正の恐れも
東証は「過去の決算を訂正する恐れがある状態」と指摘しています。
これは、すでに発表された過去の決算書の数字が変わる可能性があるということ。投資家が参考にしていた数字が間違っていたかもしれないのです。
この状況が、特別注意銘柄指定という厳しい措置につながりました。
📈 そして、影響は市場全体にも及んでいます。
📉 日経平均からも即除外!格付け引き下げで金融面にも影響
📊 実は、日経平均は「日本経済の通知表」みたいなもの。
そこから外されるのは、企業にとって大きなダメージです。
📈 日経平均株価とは
日経平均株価は、東京証券取引所プライム市場に上場する代表的な225銘柄の株価を平均した指数です。
日本経済の状況を示す最も重要な指標の一つとして、毎日ニュースで報道されています。
ニデックはこの225銘柄の一つでしたが、特別注意銘柄指定を受けて除外されることになりました。
⚡ なぜ即座に除外されたのか
通常、日経平均の銘柄入れ替えは年に1〜2回の定期見直しで行われます。
しかし今回は、特別注意銘柄指定という異例の事態を受けて、臨時での除外が決定。発表から除外まで、わずか1週間強という異例の速さです。
これは、日経平均株価の構成銘柄として不適切だと判断されたことを意味します。
🔄 イビデンが補充銘柄に
ニデックの代わりに採用されるのは、電子部品メーカーのイビデンです。
イビデンは半導体パッケージ基板で世界トップシェアを持つ企業で、時価総額や流動性の面から選ばれました。
💰 投資家への具体的な影響
日経平均から除外されると、以下のような影響が出ます:
1️⃣ 指数連動型ファンドからの売却
日経平均株価に連動する投資信託やETF(上場投資信託)は、ニデック株を売却せざるを得ません。これらのファンドは「日経平均の構成銘柄と同じ株を持つ」ことで指数に連動させているため、除外銘柄は自動的に売却されます。
2️⃣ 株価の下落圧力
大量の売却が予想されるため、株価には下落圧力がかかります。実際、発表後の私設取引システムでは、ニデック株は10%以上下落する場面もありました。
3️⃣ 知名度・注目度の低下
日経平均は「日本を代表する企業225社」という意味合いがあります。そこから外れることで、企業の知名度や投資家からの注目度が低下する可能性があります。
💳 格付け引き下げと金融面への影響
Bloomberg の報道によると、格付け大手のムーディーズ・ジャパンは10月3日、ニデックの発行体格付け「A3」(シングルAマイナス相当)を格下げ方向で見直すと発表しました。
格付けが下がると、以下のような影響があります:
💸 借り入れ金利の上昇懸念
格付けが下がると、銀行から資金を借りる際の金利が上昇する可能性があります。ニデックの2025年3月末時点の借入状況は、京都銀行(765億円)、三菱UFJ銀行(630億円)、欧州投資銀行(372億円)、三井住友銀行(320億円)となっており、金利上昇は財務負担の増加につながります。
📊 社債の信用スプレッド拡大
投資家がリスクを回避し、国債利回りに対する上乗せ幅(スプレッド)が拡大しています。これは、ニデックが新たに社債を発行する際のコストが高くなることを意味します。
🏢 企業価値の毀損
社会的信用力が損なわれ、企業価値・株主価値の毀損につながる恐れがあります。公募増資などの資金調達にも影響を及ぼすと考えられます。
📊 機関投資家の動向
日本経済新聞の報道によると、ニデック株は機関投資家が約3割を保有しています。
複数の大手国内運用会社は「指定された段階で一律で売るルールはない」としていますが、年金資金を受託運用する場合は「説明責任が発生し、運用担当者が売却を選ぶ可能性は高い」との声があります。
また、日経平均やTOPIXの算出対象から外れることで、指数連動ファンドが売却する前に先回りするヘッジファンドの動きも活発になりそうだとの指摘もあります。
📊 TOPIXからも除外
日本取引所グループの発表によると、ニデックは11月4日にTOPIX(東証株価指数)からも除外されます。
TOPIXは東証プライム市場の全銘柄を対象とした指数ですが、特別注意銘柄は除外される規定になっています。
📚 こうした厳しい措置は、過去にも例があります。
🔄 過去の例:東芝とオリンパスはどうなった?
🎭 実は、オリンパスは特設注意市場銘柄から復活後、株価が20倍にまで回復。
一方、東芝は結局上場廃止に…
過去の事例を見ることで、ニデックの今後を考えるヒントになります。
❌ 東芝のケース:最終的に上場廃止へ
東芝は2015年に不正会計が発覚し、特設注意市場銘柄(現在の特別注意銘柄の前身制度)に指定されました。
📌 問題の発覚
2015年に1,500億円を超える利益の水増しが判明。歴代3社長が関与していた組織的な不正でした。
📌 特設注意市場銘柄に指定
東証は2015年9月、東芝を特設注意市場銘柄に指定。上場廃止の瀬戸際に立たされました。
📌 指定解除も問題は継続
2017年10月に指定は解除されましたが、その後も米国原子力子会社の巨額損失問題などが発覚。監査法人との対立で決算発表が遅れるなど、混乱が続きました。
📌 最終的に上場廃止
2023年12月、投資ファンドによる完全子会社化が完了し、74年の上場の歴史に幕を下ろしました。
上場廃止の直接的な原因は会計問題ではありませんが、不正会計問題が企業価値を大きく毀損し、再建の過程で非公開化を選ばざるを得なくなった経緯があります。
✅ オリンパスのケース:見事に復活
一方、オリンパスは困難を乗り越えて復活を果たしました。
📌 問題の発覚
2011年に約1,000億円規模の損失隠しが発覚。英国人社長の内部告発がきっかけでした。株価は2,700円から400円まで暴落し、上場廃止の危機に。
📌 特設注意市場銘柄に指定
2012年1月、オリンパスは特設注意市場銘柄に指定されました。12月14日までに中間決算を提出できなければ上場廃止という瀬戸際でしたが、期限内に提出し、まずは上場廃止を免れました。
📌 改革の実行
オリンパスは経営陣を刷新し、徹底的なガバナンス改革を実施。2013年に米国の投資ファンド、バリューアクトが株主となり、経営改革を主導しました。
📌 驚異的な復活
カメラ事業などの不採算部門を売却し、医療機器に経営資源を集中。2016年3月に特設注意市場銘柄の指定が解除されました。その後の株価は右肩上がりに上昇し、2019年にバリューアクトが参画してからの約3年で株価は約3倍に。問題発覚時の底値から見ると、約20倍にまで回復しました。
🔍 何が明暗を分けたのか
❌ 東芝の問題点
- 不正発覚後も新たな問題が次々と浮上
- 監査法人との対立で決算発表が遅れる
- 原子力事業の巨額損失など、事業面でも深刻な問題
- 経営再建の道筋が見えず、最終的に非公開化を選択
✅ オリンパスの成功要因
- 経営陣の刷新とガバナンス改革の徹底
- 不採算事業の売却と医療機器への集中
- 外部投資家(バリューアクト)による経営改革の推進
- 本業の技術力は健在で、事業そのものは成長可能だった
重要なのは、「会計問題の解決」だけでなく、「事業の立て直し」と「信頼の回復」の3つが揃うかどうか。
オリンパスは3つすべてを実現しましたが、東芝は困難でした。
🏢 では、ニデック自体はどんな会社で、なぜこのような問題が起きたのでしょうか?
🏭 ニデックってどんな会社?なぜこんな大企業で問題が?
🚀 実は、ニデックは28歳の永守重信さんが「金なし、経験なし、知名度なし」から始めて、世界一のモーターメーカーに育て上げた会社なんです。
⚙️ ニデックの事業内容
ニデックの公式サイトによると、ニデックの主力製品は電動機(モーター)です。
「回るもの、動くもの」というキャッチフレーズで知られ、超小型から超大型まで、あらゆるサイズのモーターを製造しています。
🔧 具体的な製品
- パソコンのハードディスクドライブ(HDD)用モーター:世界シェアトップ
- 自動車の電動パワーステアリング用モーター
- 家電製品(エアコン、冷蔵庫など)用モーター
- スマートフォンの振動モーター
- 産業用ロボットのモーター
- 電気自動車(EV)用駆動モーター
あなたが普段使っている製品の中にも、ニデック製のモーターが入っている可能性が高いのです。
📊 驚異的な企業規模
- 💰 売上高:2兆3,482億円(2023年度)
- 👥 従業員数:約13万人
- 🌍 グループ会社:世界47カ国に300以上
- 🌏 海外売上比率:約84%
まさに世界的な巨大企業です。
👨💼 永守重信創業者の「伝説」
ニデックを語る上で欠かせないのが、創業者の永守重信氏です。
9月7日の永守賞表彰式後のコメントでは、不適切会計の疑いについて「隠すことなくすべての問題についてオープンにやっていく」と述べています。
現在は代表取締役グローバルグループ代表(取締役会議長)として経営に関与し、2025年4月からは岸田光哉氏が社長兼CEOに就任しています。
🎯 1973年の創業
永守氏は28歳の時、わずか3人の仲間と共に日本電産(現ニデック)を創業。資金も経験も知名度もない「ないないづくし」のスタートでした。創業直後には第1次オイルショックが発生し、いきなり逆風に見舞われます。
💪 三大精神で成長
永守氏が掲げた三大精神は:
1. 「情熱、熱意、執念」
2. 「知的ハードワーキング」
3. 「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」
この精神で社員を鼓舞し、会社を成長させていきました。
🔄 M&Aの鬼
永守氏は「M&Aの鬼」「買収王」の異名を持ちます。経営不振に陥った企業を次々と買収し、ニデック流の経営で再建。これまでに300社以上を傘下に収めています。買収した企業はすべて黒字化させるという驚異的な実績を誇ります。
📜 創業時の三つの誓い
1. 同族会社にしない
2. 下請けはやらない
3. 世界に君臨する企業を目指す
この誓いを守り、50年で売上高2兆円超の世界的企業に育てました。
⚠️ なぜ問題が起きたのか
これほどの成功を収めた企業で、なぜ会計問題が起きたのでしょうか?
🌍 急速なグローバル展開の影
世界47カ国に300以上のグループ会社を持つということは、管理も300倍複雑になるということです。特に海外子会社では、現地の商習慣や法規制への対応が難しく、本社の目が届きにくい面があります。今回問題が発覚したのは、イタリアや中国の子会社でした。
🔄 積極的なM&A戦略の裏側
300社以上を買収したということは、それぞれ異なる企業文化を持つ会社を統合してきたということ。会計処理の方法も、内部管理の仕組みも、元々バラバラだった可能性があります。それらを完全に統一し、本社が管理するのは容易ではありません。
⚡ 成長優先の経営
永守氏の「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という精神は成長の原動力でしたが、一方で内部統制やコンプライアンスへの目配りが後回しになっていた可能性も指摘されています。特に、経営陣の関与を示唆する資料が見つかっているという点は深刻です。これが事実なら、「トップダウンでの不適切な会計処理」だった可能性があるからです。
📊 過去にも会計問題が発生
実は、ニデックでは近年、会計に関する問題が相次いで発生しています。2024年5月には子会社の売上高計算ミスなどが明らかになり、過去に公表していた有価証券報告書や決算短信を訂正。2023年3月期と2024年3月期の連結利益を計82億円下方修正しました。今回の問題は、こうした体質的な課題が表面化したとも言えます。
🏢 企業文化との関係
永守氏の強烈なリーダーシップは企業の成長を支えた一方で、「永守氏の方針には逆らえない」という空気が社内にあったとの指摘もあります。
もし経営陣が会計処理に関与していたとすれば、それを止められる人がいなかった可能性があります。
ただし、これらはまだ調査中の段階。第三者委員会の結果を待つ必要があります。
🔮 では、ニデックは今後どうなるのでしょうか?
🔮 今後どうなる?上場廃止の可能性と復活のシナリオ
🌟 実は、オリンパスのように復活できる可能性もゼロではありません。
すべては第三者委員会の調査と、ニデックの改善努力次第です。
📅 今後のスケジュール
⏱️ 1年以内(2026年10月頃まで)
特別注意銘柄指定後、原則1年以内に内部管理体制等の改善が求められます。
この期間中、ニデックは:
- 第三者委員会の調査に全面協力
- 不適切会計の全容解明
- 原因究明と再発防止策の策定
- 内部管理体制の抜本的改革
これらを実行し、東証に改善を認めてもらう必要があります。
🔍 審査のタイミング
2026年10月頃に、東証が内部管理体制等の審査を実施。
ここで以下のいずれかが判定されます:
- 改善が認められる → 指定解除
- 改善はあるが運用が不十分 → 指定継続
- 改善の見込みなし → 上場廃止
❌ 上場廃止のシナリオ
最悪の場合、以下のような経路で上場廃止に至る可能性があります:
パターン1:1年後の審査で不合格
2026年10月頃の審査で「改善の見込みなし」と判断されれば、上場廃止となります。
パターン2:1年を待たずに上場廃止
第三者委員会の調査結果があまりに深刻で、改善の見込みがないと判断されれば、1年を待たずに上場廃止となる可能性もあります。
⚠️ 上場廃止になると
- 株式の売買ができなくなる(一部、店頭取引などは可能な場合あり)
- 企業の社会的信用が大きく低下
- 資金調達が困難に
- 取引先との関係にも影響
✨ 復活のシナリオ
一方で、オリンパスのような復活の道もあります。
🎯 必要な3つの条件
1️⃣ 会計問題の完全解決
- 第三者委員会による徹底調査
- 過去の決算の適切な訂正
- 関与した人物の責任追及
- 再発防止策の確実な実行
2️⃣ 内部管理体制の抜本的改革
- 経営陣の刷新(必要に応じて)
- コンプライアンス体制の強化
- グループ会社管理体制の再構築
- 監査体制の強化
3️⃣ 事業の立て直しと成長
- 本業の競争力は維持・強化
- 不採算事業の整理(必要に応じて)
- 成長戦略の明確化
- ステークホルダーの信頼回復
💪 ニデックの強みは残っている
重要なのは、ニデックの本業自体には大きな問題がないという点です。
- ✅ 精密小型モーターで世界シェアNo.1
- ✅ HDD用モーターなど独占的な地位を持つ製品
- ✅ 電気自動車(EV)市場での成長機会
- ✅ 50年かけて築いた技術力とブランド
会計問題が解決し、信頼が回復すれば、オリンパスのように復活できる可能性は十分にあります。
📝 投資家へのアドバイス
現時点でニデック株を保有している、または購入を検討している方へ:
1️⃣ 感情的な判断は避ける
株価の急落を見て慌てて売却したり、逆に「安いから買おう」と安易に飛びつくのは避けましょう。
2️⃣ 公式情報を待つ
第三者委員会の調査結果が最も重要です。それが出るまでは、確実なことは何も言えません。
3️⃣ リスク許容度を考える
上場廃止のリスクがゼロではない以上、失っても困らない資金以外は投資すべきではありません。
4️⃣ 長期的視点を持つ
もし復活するとしても、オリンパスのケースを見ると数年単位の時間がかかります。短期的な株価の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で判断しましょう。
⏳ 1年後が運命の分かれ道
ニデックにとって、これからの1年が企業の未来を決める重要な期間となります。
東芝のように上場廃止の道を辿るのか。
それとも、オリンパスのように復活を遂げるのか。
すべては、第三者委員会の調査結果と、ニデック自身の改善努力にかかっています。
📋 まとめ:ニデック特別注意銘柄指定のポイント
ニデックの特別注意銘柄指定について、重要なポイントをまとめます。
✅ 発生した事実
- 2025年10月28日にニデックが特別注意銘柄に指定された
- 理由は監査法人PwCジャパンによる「意見不表明」
- 不適切な会計処理の疑いで第三者委員会が調査中
- 日経平均から11月5日に除外、TOPIXからも11月4日に除外
- ムーディーズが格付け「A3」を格下げ方向で見直し
- 株価は9月4日に22%急落、10月24日には11%安
✅ 特別注意銘柄の意味
- 内部管理体制に改善が必要と東証が判断した「要注意マーク」
- 1年後の審査で改善がなければ上場廃止の可能性
- 東芝以来の大企業での指定という異例の事態
✅ 過去の事例から学ぶ
- 東芝は最終的に上場廃止(2023年)
- オリンパスは復活し、株価は約20倍に回復
- 明暗を分けたのは「問題解決」「改革実行」「事業の立て直し」の3点
✅ ニデックの今後
- 第三者委員会の調査結果が最も重要
- 本業の技術力は健在で、復活の可能性はある
- 1年後の審査が運命の分かれ道
- 格付け引き下げや機関投資家の売却圧力など、金融面での影響も深刻
✅ 投資家の方へ
- 公式情報を待ち、感情的な判断は避ける
- 上場廃止のリスクを十分に理解する
- 長期的な視点で冷静に判断する
🌟 世界的な企業であるニデックがどのような道を選ぶのか、注目が集まっています。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. ニデックが特別注意銘柄に指定されたのはいつですか?
2025年10月28日に正式指定されました。東京証券取引所が10月27日に指定を発表し、翌28日から適用されています。
Q2. 特別注意銘柄とは何ですか?
東京証券取引所が、企業の内部管理体制に改善の必要性が高いと認めた際に指定する銘柄です。上場廃止の一歩手前の警告で、サッカーのイエローカードのようなものと考えるとわかりやすいでしょう。
Q3. なぜニデックは特別注意銘柄に指定されたのですか?
監査法人PwCジャパンが2025年3月期の有価証券報告書について「意見不表明」としたためです。不適切な会計処理の疑いがあり、経営陣の関与を示唆する資料も発見されています。
Q4. ニデックは日経平均からいつ除外されますか?
2025年11月5日に日経平均株価から除外されます。また、TOPIXからも11月4日に除外される予定です。代わりにイビデンが日経平均に採用されます。
Q5. 上場廃止になる可能性はありますか?
可能性はあります。特別注意銘柄指定後、1年後の審査で内部管理体制の改善が認められなければ上場廃止となります。ただし、適切に改善すれば指定解除される可能性もあります。
Q6. 過去に似たケースはありますか?
東芝とオリンパスが類似のケースです。東芝は最終的に上場廃止となりましたが、オリンパスは経営改革を実行し復活、株価は約20倍に回復しました。
Q7. ニデックはどんな会社ですか?
精密小型モーターで世界シェアNo.1を誇る企業です。1973年に永守重信氏が創業し、売上高2兆円超、従業員約13万人の世界的企業に成長しました。HDDモーター、自動車部品、家電用モーターなどを製造しています。
Q8. 投資家はどう対応すべきですか?
感情的な判断を避け、第三者委員会の調査結果など公式情報を待つことが重要です。上場廃止のリスクを理解した上で、長期的な視点で冷静に判断しましょう。
Q9. 格付け引き下げとは何ですか?どんな影響がありますか?
格付け大手ムーディーズがニデックの信用格付け「A3」を格下げ方向で見直すと発表しました。格付けが下がると、銀行から資金を借りる際の金利が上昇し、社債発行のコストも高くなります。また、企業の信用力が低下していると市場に認識され、資金調達が難しくなる可能性があります。
Q10. 株価はどれくらい下がりましたか?
不適切会計の疑いが発表された9月4日には株価が一時22%急落してストップ安を記録。さらに10月24日には業績予想未定と配当無配の発表を受けて一時前日比11%安の2,277円まで下落し、4月以来の日中安値を付けました。投資家の不安が株価に大きく反映されています。