⚾ ドラフト1位の剛速球投手が、たった4年で契約終了。1年目は154キロで快投したのに、なぜ?
2025年10月1日、阪神タイガースから衝撃的な発表がありました。
2021年のドラフト1位で入団した森木大智投手(22歳)が、わずか入団4年で戦力外通告を受けたのです。
高卒1年目に最速154キロの剛速球でプロデビューを飾り、5回まで1安打の快投。
誰もが「未来のエース」を確信した若き右腕は、なぜこんなにも早く阪神を去ることになったのでしょうか。

📋 この記事でわかること
⚾ 森木大智とは?ドラフト1位で期待された剛速球投手
森木大智(もりき だいち)は、高知県土佐市出身の22歳の投手です。
💡 驚きの事実
実は中学3年生の時、軟式野球ながら球史上最速となる150キロを記録し、「スーパー中学生」として全国的に注目を集めました。
この記録は軟式球史上最速として今も語り継がれています。
高知高校に進学後も1年生からエースとして活躍。150キロ超の剛速球を武器に、高校野球界屈指の投手として評価されていました。
そして2021年、阪神タイガースがドラフト会議で1位指名。
ドラフト1位というのは、その年に入団する新人選手の中で「最も期待される選手」に与えられる特別な指名順位です。
つまり、阪神は数多くの候補の中から、森木を「一番欲しい選手」として選んだのです。
ちなみに森木は、阪神の大エースだった藤川球児に憧れを持っていたそうで、憧れの球団への入団は夢の実現でもありました。
背番号は20。これから阪神の未来を背負っていく、そんな期待が込められた番号でした。
では、そんな期待の星がなぜ戦力外に?次のセクションで詳しく見ていきましょう。
❓ なぜ戦力外に?制球力の謎の悪化
期待のドラフト1位投手が、なぜわずか4年で戦力外通告を受けることになったのか。
最大の理由は、制球力の急激な悪化でした
制球力とは、「狙った場所に正確にボールを投げる能力」のこと。
プロの投手にとって、球速と同じくらい、いや、それ以上に重要な能力です。
森木の場合、1年目は問題なかったこの制球力が、2年目以降に突然崩れてしまいました。
🔍 制球力悪化の原因
野球専門家の分析によると、森木は2年目の秋に首の故障を経験。
この怪我をきっかけに、投球フォームが崩れてしまったと言われています。
実は、フォームが崩れると制球力は一気に悪化します。
体の使い方が少しでも変わると、ボールのリリースポイント(手からボールが離れる位置)がズレてしまい、狙った場所に投げられなくなるのです。
森木の成績を見ると、その深刻さがよく分かります。
📊 3年目(2023年シーズン)の成績
- 二軍で21試合に登板
- 20.2イニング(約20回投げた)
- 防御率11.32
防御率11.32という数字がどれだけ深刻かというと、1試合(9回)投げるごとに平均11点以上取られている計算になります。
プロとしては極めて厳しい数字です。
さらに問題だったのは、投げたイニング数を上回る数の四球を出していたこと。
つまり、ストライクゾーンにボールが入らず、バッターを歩かせてばかりいたのです。
この深刻な制球難により、森木は2023年シーズン終了後、育成契約へと格下げになりました。
育成契約とは、支配下選手(一軍で試合に出られる選手)から外され、二軍での再挑戦を目指す契約のこと。背番号も20から120に変更されました。
2024年シーズン、育成選手として再起を目指した森木でしたが、二軍でも結果を残すことができず、ついに2025年10月1日、戦力外通告という結果になってしまいました。
森木本人もインタビューで「フィジカルと技量が全然マッチせず、フォームが安定しなかった」と振り返っています。
野球の専門家の中には、森木の症状が「イップス」の可能性を指摘する声もあります。
イップスとは、精神的な原因などで、今までできていた動作が突然できなくなる症状のこと。多くのプロ選手を苦しめてきた、非常に厄介な問題です。
それにしても、1年目の森木は本当に良かったんです。次で見ていきましょう。
✨ 1年目は完璧だった!バンテリンドームの鮮烈デビュー
「でも、1年目は良かったんじゃないの?」
そう思った方、その通りです。実は森木の1年目の登板は、誰もが度肝を抜かれる完璧な内容だったのです。
🌟 2022年8月28日の伝説的デビュー
敵地・バンテリンドーム(名古屋)で行われた中日ドラゴンズ戦。
高卒1年目の森木に、いきなり先発のチャンスが巡ってきました。
初回、先頭バッターに対して投じた初球は152キロの直球。
そして2球目には、この日最速となる154キロをマーク。
常時140キロ台後半の速球を投げ込み、変化球も織り交ぜながら、5回までわずか1安打という圧倒的な投球内容でした。
最終的には6回3失点で敗戦投手にはなったものの、高卒ルーキーとしては驚異的なパフォーマンス。
阪神ファンは「未来の大黒柱」を確信したのです。
当時の報道でも、森木の投球は「文句なしのプロデビュー」と評価されていました。
この完璧だった1年目と、2年目以降の急激な悪化。そのギャップの大きさが、多くの人に「なぜ?」という疑問を抱かせているのです。
森木だけではありません。実は同じ年にドラフトで入った選手たちも厳しい状況に。
👥 同期ドラ2の鈴木勇斗、日本シリーズ活躍の渡辺諒も戦力外
今回、阪神が戦力外通告を行ったのは森木だけではありません。
合計7選手が来季の契約を結ばないことになりました。
その中には、森木と同じ2021年ドラフト組の鈴木勇斗投手も含まれています。
鈴木はドラフト2位で入団した左腕投手。最速152キロの速球を持ち、クレイトン・カーショウ(メジャーリーグの名投手)を参考にした独特の投球フォームが特徴でした。
しかし、一軍での登板機会を得られないまま、2024年シーズン後に育成契約へ。そして今回、森木と同様に戦力外通告を受けることになりました。
📌 2021年ドラフト投手陣の結果
ドラフト1位と2位の投手が揃って4年で戦力外。
2021年の阪神ドラフトは、投手陣にとって厳しい結果となりました。
また、2023年の日本シリーズで活躍した渡辺諒内野手も戦力外に。
渡辺は2023年、日本ハムからトレードで阪神に加入。
日本シリーズ第1戦では、あの山本由伸投手(現ドジャース)から先制適時打を放つという大活躍を見せました。
しかし、2024年シーズンは22試合の出場にとどまり、今回の戦力外通告となりました。
他には、佐藤蓮投手(2020年ドラフト3位)、川原陸投手、野口恭佑外野手、ホセ・ベタンセス投手も戦力外に。
このうち、森木、佐藤蓮、渡辺、野口、ベタンセスの5選手は現役続行を希望しています。
同じドラフトでも、こんなに明暗が分かれることがあります。次はその対比を見てみましょう。
⚡ 「神ドラフト」2020年組との明暗…佐藤蓮も脱落
森木たちの2021年ドラフト組が苦戦する一方で、わずか1年前の2020年ドラフト組は「神ドラフト」と呼ばれるほどの大成功を収めています。
その明暗は、あまりにも対照的です。
🏆 2020年ドラフト組の2024年シーズン活躍
1位・佐藤輝明
1年目から主砲として24本塁打
2024年シーズンは16本塁打・70打点を記録
阪神の4番打者として不動の地位
5位・村上頌樹
チームのエースとして活躍
2024年は7勝11敗・防御率2.58
3年連続で規定投球回到達
6位・中野拓夢
セカンドのレギュラーとして定着
5年連続で規定打席到達
守備でもゴールデングラブ賞受賞
8位・石井大智
2024年は56試合で30ホールドを記録
防御率1.48という安定した成績
セットアッパーとして重要な役割
2020年ドラフトの成功は、1位から下位指名まで、ほぼすべての選手が一軍で活躍するという、球団史に残る大当たりドラフトでした。
ところが、この「神ドラフト」でも、たった1人だけ戦力外通告を受けた選手がいます。
それが佐藤蓮投手です。
佐藤蓮は2020年ドラフト3位。一度育成契約に格下げされながらも、2024年に支配下選手に復帰し、プロ初登板も果たしました。
しかし、2025年シーズンは右肘の手術を受けるなど、結果を残せず。森木と同じく、今回の戦力外通告の対象となりました。
「神ドラフト」と呼ばれる2020年組ですら、1人は脱落。
森木たちの2021年組は、さらに厳しい結果に。
わずか1年の違いですが、ドラフトの当たり外れは、こんなにも明暗を分けるのです。
では、森木の今後はどうなるのでしょうか。
🌟 森木の今後は?トライアウトで再起なるか
戦力外通告を受けた森木ですが、現役続行を希望しています。
まだ22歳。野球選手としては、これからが本番の年齢です。
森木が次に目指すのは、トライアウトでの再起です。
📅 2025年トライアウト情報
2025年11月12日、マツダスタジアム(広島)で開催予定のトライアウトに参加することで、他球団との契約のチャンスを掴むことができます。
2025年11月6日の発表で、森木を含む38人の参加予定選手が公表されました。
トライアウトとは、戦力外通告を受けた選手が、12球団のスカウトの前で実力をアピールする場のこと。
ここで好印象を与えれば、新しい球団との契約や、独立リーグ・社会人野球への道が開けます。
2025年のトライアウトは、これまでNPB(日本野球機構)と選手会が共同で開催していましたが、今回から選手会の単独開催に変更。
「エイブル トライアウト2025〜挑め、その先へ〜」というテーマで、戦力外選手のセカンドキャリア支援も目的とした新しい形での開催となります。
過去には、トライアウトから独立リーグを経て、NPBに復帰した選手もいます。藤井皓哉投手がその代表例です。
森木にも、まだチャンスは十分にあります。
💪 再起への希望
中学時代に「スーパー中学生」と呼ばれた才能。
1年目に見せた154キロの剛速球。
その才能が、もう一度花開く日が来るかもしれません。
トライアウトでの活躍、そして新天地での再起。多くの野球ファンが、森木の復活を期待しています。
📝 この記事のまとめ
- 阪神のドラフト1位・森木大智投手が入団4年で戦力外通告を受けた
- 最大の理由は、2年目以降の制球力の急激な悪化(首の故障からフォーム崩壊)
- 1年目は154キロの剛速球で5回まで1安打という完璧なデビューだった
- 同期のドラフト2位・鈴木勇斗や、日本シリーズで活躍した渡辺諒も戦力外に
- 1年前の2020年ドラフト組は「神ドラフト」と呼ばれる大成功を収めている
- 森木はまだ22歳で現役続行を希望、11月12日のトライアウトに参加予定
プロ野球の世界の厳しさを感じさせるニュースですが、まだ若い森木には十分な可能性が残されています。
新天地での活躍を、応援したいですね。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: 森木大智はなぜ戦力外になったのですか?
最大の理由は制球力の急激な悪化です。2年目の秋に首を痛めてフォームが崩れ、3年目には防御率11.32という深刻な成績に。投げたイニング数を上回る四球を出すなど、プロとして求められる制球力を維持できなかったことが戦力外通告につながりました。
Q2: 森木の1年目の成績はどうだったのですか?
2022年8月28日、バンテリンドームでの初登板では最速154キロをマークし、5回まで1安打の圧巻の投球を見せました。最終的には6回3失点で敗戦投手になりましたが、高卒ルーキーとしては驚異的なパフォーマンスで、阪神ファンに「未来のエース」を予感させる内容でした。
Q3: 2021年ドラフトで森木と同期の選手も戦力外になりましたか?
はい。同じ2021年ドラフト2位の鈴木勇斗投手も戦力外通告を受けました。鈴木は一軍登板のないまま育成契約となり、森木と同様に今回の戦力外対象となりました。ドラフト1位と2位の投手が揃って4年で戦力外という厳しい結果になりました。
Q4: 2020年ドラフトの「神ドラフト」とは何ですか?
阪神の2020年ドラフトは1位から下位指名までほぼ全員が一軍で活躍する大成功となり、「神ドラフト」と呼ばれています。2024年シーズンでは、1位佐藤輝明(16本塁打・70打点)、5位村上頌樹(7勝)、6位中野拓夢(レギュラー)、8位石井大智(防御率1.48)など、球団の主力として活躍。ただし3位佐藤蓮のみが今回戦力外となりました。
Q5: 森木大智の今後の進路はどうなりますか?
森木は現役続行を希望しており、2025年11月12日にマツダスタジアムで開催されるトライアウトに参加予定です。ここで他球団のスカウトにアピールできれば、新しい球団との契約や、独立リーグ・社会人野球での再起の道が開けます。まだ22歳と若く、再起の可能性は十分にあります。
Q6: 渡辺諒選手も戦力外になったのですか?
はい。渡辺諒内野手も今回の戦力外通告の対象となりました。渡辺は2023年の日本シリーズ第1戦で山本由伸投手から先制適時打を放つ活躍を見せましたが、2024年シーズンは22試合の出場にとどまり、戦力外通告を受けました。現役続行を希望しています。
📚 参考文献リスト
- 阪神公式発表 - 森木大智戦力外通告(東スポWEB)
- 森木大智 - Wikipedia
- 森木大智の現状分析 - 野球フクノスケ
- 森木大智の1年目の活躍と本人コメント(Yahoo!ニュース)
- 鈴木勇斗 - Wikipedia
- 渡邉諒 - Wikipedia
- 阪神2020年「神ドラフト」の活躍 - 高校野球ドットコム
- エイブル トライアウト2025開催情報 - 日本プロ野球選手会