現地10月31日、ワールドシリーズ第6戦で先発マウンドに上がった山本由伸投手。
6回1失点の好投で役割を果たしましたが、実は解説の田口壮氏は投球中から疲労への懸念を示していたのです。
「前腕を揉むような仕草があった」「少し気になっていた」—MLB経験者だからこそ見抜けた、山本の疲労のサイン。
その背景には、2日前の延長18回という異例の激闘での準備がありました。
それでも投げ切った山本の奮闘と、田口氏が称賛した理由を詳しく解説します。

📋 この記事でわかること
⚾ 山本由伸がワールドシリーズ第6戦で6回1失点の好投!
現地10月31日(日本時間11月1日)、ドジャースの山本由伸投手は敵地トロント・ロジャースセンターで行われたワールドシリーズ第6戦に先発登板しました。
この試合、ドジャースはシリーズ成績2勝3敗。
負ければ敗退という、まさに後がない状況でした。
山本はこのプレッシャーのかかる重要な試合で、6回を96球で投げ切ります。
5安打6奪三振1四球1失点という成績で、先発投手としての役割をしっかり果たしました。
実は山本、第2戦でも完投勝利を挙げていて、今回が2度目の先発。前回登板から中5日(後で詳しく解説します)での登板でした。
チームを救うための、まさに必死の投球だったのです。
では、この好投の裏に隠された疲労のサインとは何だったのでしょうか。
😰 田口壮氏が懸念した山本由伸の疲労サイン〜前腕を揉む仕草も
しかし、この試合で解説を務めていた元MLB選手の田口壮氏は、山本が投げている最中から気になることがあったと語っています。
田口氏が指摘したのは、山本の疲労のサインでした。
「少し気になっていたのは、ブルペンの時もダグアウトでも、前腕を揉むような仕草があったんですね」
前腕を揉む—これは、野球選手としては珍しい仕草だと田口氏は言います。
「なかなかそういうこと見たことないです。少し張りがあるのかなという感じで」
さらに田口氏は、投球内容にも疲労の影響が出ていると分析しました。
相手の右打者へのスプリット(落ちる変化球)が内角に行ってしまった場面について、こう述べています。
「おそらくですけども、握力的な問題もあるのかなと。少しスプリットが抜けたりとかカーブが引っかかったりというボールが出てきています」
つまり、ボールをしっかり握れていない可能性があるということです。
それでも山本は粘り強く投げ続けました。
田口氏は試合後、このように称賛しています。
「かなり疲れたと思います。本当によく投げました。6回をしっかり1点で抑えたのは素晴らしいですね」
🕐 なぜ疲れていた?延長18回の準備が影響
では、なぜ山本は疲労を抱えていたのでしょうか。
その理由は、2日前の第3戦にありました。
ワールドシリーズ第3戦は、なんと延長18回という異例の長時間試合。
試合時間は6時間39分にも及ぶ、まさに死闘でした。
最終的には、ドジャースのフリーマンがサヨナラホームランを打って決着。
しかし、この試合で山本は特別な役割を果たしていたのです。
第2戦で105球を投げて完投勝利を挙げた山本。その2日後の第3戦で、延長18回に入ったドジャースはブルペンの投手を使い切りそうになっていました。
そこで山本は、万が一に備えてブルペンで投球練習を開始したのです。
完投から中1日(投げた翌日)でのブルペン入りは、投手にとって異例の負担。
結局、フリーマンのサヨナラで山本が投げることはありませんでしたが、準備をしたこと自体が体への大きな負荷となっていました。
田口氏は、この影響を指摘しています。
「おそらく延長18回の時に、ブルペンで(肩を)作って、それから調整してきましたけど、かなり疲れたと思います」
つまり、第6戦での登板は中5日という標準的な間隔だったものの、その間に延長18回での準備という特別な負担があったのです。
📅 「中5日」とは?登板間隔の意味を解説
ここで、よく出てくる「中5日」という言葉を解説しておきましょう。
「中5日」とは、先発投手が投げた後、5日間休んでから次に投げることを意味します。
- 10月26日(第2戦):完投勝利
- 10月27日・28日・29日・30日・31日:5日間休み
- 11月1日(第6戦):先発登板
このように、投げた日と次に投げる日の間に5日間が入るので「中5日」と呼ばれます。
MLBでは、先発投手は通常「中4日」または「中5日」で投げることが多く、日本の「中6日」より間隔が短いのが特徴です。
中5日は決して短い間隔ではなく、むしろ標準的な登板間隔。
しかし山本の場合、この5日間の中に延長18回での準備が入っていたため、通常の中5日とは状況が違っていたのです。
🎯 それでも6回1失点!イニング別の投球内容
では、疲労を抱えながらも、山本はどのような投球をしたのでしょうか。
イニング別に見ていきましょう。
✨ 1回・2回:完璧なスタート
立ち上がりの山本は素晴らしかったです。
2回まで、打者6人を連続でアウトに仕留めました。
疲労のサインはまだ表に出ていない状態でした。
⚠️ 3回:適時打を許す
3対0とリードした3回、ブルージェイズのジョージ・スプリンガーに適時打を許して1点を失います。
田口氏が指摘していた「スプリットが抜ける」場面が、このあたりから出始めたのかもしれません。
💪 4回〜6回:粘りの投球
失点後も山本は踏ん張りました。
ブルージェイズ打線を抑え続け、追加点を与えません。
握力的な問題を抱えながらも、経験と技術でカバーする投球でした。
最終的に6回まで投げ切り、96球で降板。
5安打6奪三振1四球1失点という成績は、状況を考えれば十分すぎる内容です。
田口氏が「本当によく投げました」と称賛したのも納得の奮闘でした。
👤 田口壮とは?MLB経験豊富な元選手が解説
ところで、この試合で解説を務めていた田口壮氏とは、どんな人物なのでしょうか。
田口壮氏は、元プロ野球選手。
1991年にドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団し、5度のゴールデングラブ賞を獲得した守備の名手です。
2002年にMLBのセントルイス・カージナルスに移籍。
その後、フィラデルフィア・フィリーズなどでもプレーし、なんとMLBで2回のワールドシリーズ制覇を経験しています。
メジャーで8シーズンもプレーした日本人選手は、それほど多くありません。
特に「最強のスーパーサブ」として評価が高く、控え選手ながらチームに欠かせない存在でした。
現役引退後は野球解説者として活躍。
MLB経験者だからこそ見抜ける、選手の細かい変化や疲労のサインを的確に指摘できるのです。
山本の前腕を揉む仕草に気づいたのも、田口氏自身がMLBの厳しい環境で戦ってきた経験があるからこそ。
「前腕を揉むなんて見たことない」という言葉には、重みがあります。
🏆 ワールドシリーズ第6戦の結果は?ドジャースの運命
山本が6回1失点で降板した後、試合はどうなったのでしょうか。
記事執筆時点では試合の結果が確定していませんが、山本の後を託されたのはドジャースの救援陣です。
ドジャースは2勝3敗で後がない状況。
この第6戦に負ければ、ブルージェイズの優勝が決まってしまいます。
山本が役割を果たした今、救援陣がリードを守り切れるかどうか。
そして打線が追加点を取れるかどうか。
もし第6戦に勝てば、シリーズは3勝3敗のタイに。最終第7戦で決着をつけることになります。
ドジャースの連覇への道は、山本と救援陣、そして全選手の奮闘にかかっているのです。
📝 この記事のポイントまとめ
- 山本由伸は第6戦で6回1失点の好投を見せた
- 田口壮氏は投球中から前腕を揉む仕草などの疲労サインを指摘
- 疲労の原因は2日前の延長18回での中1日ブルペン準備
- 「中5日」は標準的な登板間隔だが、山本は特殊な状況だった
- 疲労を抱えながらも役割を果たした山本を田口氏は称賛
山本由伸の奮闘について、あなたはどう思いますか?
疲労を抱えながらも投げ切る姿に、プロフェッショナルの覚悟を感じた人も多いのではないでしょうか。
❓ よくある質問(FAQ)
6回96球で5安打6奪三振1四球1失点という成績でした。負ければ敗退の重要な試合で、先発投手としての役割をしっかり果たしました。
ブルペンやダグアウトで前腕を揉む仕草、握力的な問題によるスプリットが抜ける場面、カーブが引っかかる場面などを指摘しました。MLB経験者だからこそ見抜けた細かいサインです。
2日前のワールドシリーズ第3戦が延長18回(6時間39分)の死闘となり、山本は完投から中1日でブルペンで投球練習をして準備していました。この異例の負担が疲労の原因と考えられます。
先発投手が投げた後、5日間休んでから次に投げることを意味します。MLBでは標準的な登板間隔で、日本の「中6日」より間隔が短いのが特徴です。
元プロ野球選手で、オリックスで5度のゴールデングラブ賞を獲得後、MLBに移籍。セントルイス・カージナルスやフィラデルフィア・フィリーズで2回のワールドシリーズ制覇を経験した日本人選手です。
ドジャースは2勝3敗で後がない状況でした。この第6戦に負ければブルージェイズの優勝が決まり、勝てばシリーズは3勝3敗のタイとなり第7戦で決着する展開でした。
📚 参考文献リスト
- ドジャース、WS連覇へ背水の第6戦 山本由伸「100%の自分で」- 日本経済新聞
- 山本由伸、3試合連続完投なるか WS第6戦は最大の正念場 - MLB公式サイト
- 田口壮 - Wikipedia
- ドジャースがWS第3戦に勝利 延長18回の死闘を制す - MLB公式サイト