2025年9月16日、大阪市内で開かれた会議で、万博の大屋根リング保存が正式に合意されました。
でも、ちょっと待ってください。
「万博の黒字分を活用する」って言うけれど、そもそも万博は本当に黒字なんでしょうか?
実は、この「黒字」という言葉には大きなカラクリがあるんです。

📖 この記事でわかること
💰 大屋根リング保存費用は最大76億円!黒字前提の危うい資金計画
まず気になるのが、大屋根リングの保存にいくらかかるのか、ですよね。
会場北東の200メートル部分を保存する今回の計画では、改修費用だけで41億円から76億円もかかるんです。
さらに、10年間の維持管理費が約16億円。
💡 合計すると、最大で92億円にもなります。
これ、どのくらいすごい金額か想像できますか?
たとえば、大阪府民約880万人で割ると、1人あたり約1,000円。
4人家族なら4,000円を、この木造建築物の保存のために負担することになるかもしれません。
でも、実はもっと深刻な問題があるんです。
大屋根リングの建設費、覚えていますか?
なんと約350億円もかけて作ったんです。
⚠️ つまり、建設費350億円をかけて作り、さらに保存に最大92億円。
合計すると442億円もの巨額が、この木造建築物に投じられることになります。
「でも、万博は黒字になるから大丈夫でしょ?」
そう思った方、ちょっと待ってください。
その「黒字」の中身を、次で詳しく見ていきましょう。
🎯 なぜ大屋根リングを残すのか?吉村知事「石にしがみついてでも」発言の真意
驚くことに、大屋根リングは最初から「万博が終わったら解体する」という約束だったんです。
なのに、なぜ急に「保存しよう」という話になったんでしょうか?
大阪府の吉村洋文知事は、2025年6月3日の検討会で「石にしがみついてでも後世に残したい」と発言しています。
かなり強い決意ですよね。
📰 参考:吉村知事「石にしがみついてでも後世に残したい」発言報道
吉村知事がよく持ち出すのが、1970年大阪万博の「太陽の塔」との比較です。
「太陽の塔も当初は撤去予定だった。でも残して、今では重要文化財になった」
確かにそうですね。
でも、実は太陽の塔と大屋根リングには決定的な違いがあるんです。
📊 保存決定プロセスの違い
- ✅ 太陽の塔:高校生の手紙がきっかけで、市民の署名活動によって保存決定
- ❌ 大屋根リング:政治主導で保存を推進
なぜ吉村知事はそこまでこだわるんでしょうか?
考えられる理由の一つは、万博への批判をかわすためかもしれません。
「無駄遣い」と批判された350億円の大屋根リング。
これを「後世に残る素晴らしい遺産」として保存すれば、批判を「先見の明があった」という評価に変えられるかもしれない。
そんな政治的な思惑が透けて見えます。
でも本当に、税金を使ってまで残す価値があるんでしょうか?
📈 万博は本当に黒字?運営費969億円と建設費2350億円の不都合な真実
ここで、みなさんが一番気になる「万博は黒字なの?」という疑問にお答えしましょう。
💥 結論から言うと、
「運営費」だけ見れば黒字の見込みです。
でも、全体で見れば大赤字なんです。
どういうことか、詳しく説明しますね。
万博の費用は大きく2つに分かれています。
- 運営費:スタッフの人件費、電気代、警備費など(約1160億円)
- 建設費:会場の建物、大屋根リングなどの建設費(約2350億円)
運営費は、主に入場券の売上でまかないます。
黒字になるには969億円の入場料収入が必要で、これは入場券約1800万枚分。
8月には突破して、約100億円の黒字が見込まれています。
「じゃあ黒字じゃん!」
ちょっと待ってください。
これ、チケット代だけの話なんです。
建設費2350億円はどうなるかというと...
⚠️ すでに税金で払い済みなんです。
国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担して、もう支払っています。
この2350億円は絶対に返ってきません。
さらに、インフラ整備を含めた総事業費は約7600億円にものぼります。
💰 つまり、こういうことです。
- ✅ 運営費:100億円の黒字(見込み)
- ❌ 建設費:2350億円の赤字(確定)
- 📌 差し引き:2250億円の大赤字
これが「万博は黒字」という言葉の真実なんです。
「運営費が黒字だから成功」というのは、7600億円かけてイベントを開いて、チケット代だけ黒字になったから「成功だ!」と言っているようなもの。
普通の感覚で考えたら、どう思いますか?
💬 コメント欄に見る市民の本音「結局税金の無駄遣い」
この大屋根リング保存のニュースに対して、市民はどう思っているんでしょうか?
Yahoo!ニュースのコメント欄を見てみると、賛否両論が激しく交わされています。
👎 反対派の声:
- 「何年保存するんだ。黒字額で賄える廃棄まで含めた保存年数なんて数年なんじゃないのか」
- 「この大屋根リングは無駄遣いでは無かったと象徴するための保存。吉村氏のプライドの為でしょうw」
- 「これ以上 税金を食い物にしないでください」
👍 賛成派の声:
- 「黒字額充当ならいいのでは?」
- 「クラファンしよう。微々たる額かもしれませんが、集まると思いますよ」
興味深いのは、「クラウドファンディング」を提案する声があることです。
実際、高校生による保存署名活動も始まっています。
Change.orgでは「大屋根リングを一周保存してください」という署名が集められ、「エッフェル塔も太陽の塔も当初は取り壊される予定だった」という主張も見られます。
でも、コメントで最も多いのは「運営費だけ黒字でも、建設費を考えれば大赤字」という冷静な指摘です。
「運営費の黒字ラインの来場者数やチケット販売数としての当初目安は既に超えましたが、会場内の設備などの建設費まで考えれば、100%赤字になります」
つまり、多くの市民は「黒字」という言葉のカラクリに気づいているんです。
🗼 太陽の塔は市民が守った、大屋根リングは政治が決めた その決定的な違い
最後に、よく比較される「太陽の塔」との違いを整理してみましょう。
実は、この2つには決定的な違いがあるんです。
📊 太陽の塔と大屋根リングの比較
【太陽の塔(1970年)】
- 保存のきっかけ:高校生の手紙
- 決定プロセス:市民の署名活動
- 当時の費用:不明(現在の価値で数億円程度と推定)
- 現在の評価:重要文化財に指定
【大屋根リング(2025年)】
- 保存のきっかけ:吉村知事の提案
- 決定プロセス:政治主導の決定
- 費用:建設費350億円+保存費最大92億円
- 将来の評価:?
太陽の塔は、市民が「壊さないで」と声を上げて守った建築物です。
だから50年たった今でも、多くの人に愛されているんです。
一方、大屋根リングは政治家が「残したい」と言って、税金で保存しようとしています。
この違い、大きくないですか?
さらに重要なのは、太陽の塔は芸術家・岡本太郎の作品として芸術的価値が認められていたこと。
一方、大屋根リングは「世界最大の木造建築」という記録はありますが、芸術作品ではありません。
50年後、大屋根リングは太陽の塔のように愛される存在になるでしょうか?
それとも「なぜこんなものに税金を使ったんだ」と言われるでしょうか?
📝 まとめ:本当に必要な議論とは
今回の大屋根リング保存問題で明らかになったことをまとめます。
- ✅ 保存費用は最大92億円、建設費と合わせると442億円の巨額投資
- ✅ 万博は「運営費」だけ黒字、全体では2000億円以上の大赤字
- ✅ 太陽の塔は市民が守った、大屋根リングは政治が決めた
- ✅ 市民からは「税金の無駄遣い」との批判が多数
結局のところ、この問題の本質は「税金の使い道として適切か」ということです。
運営費が黒字になったとしても、それは入場者が払ったチケット代。
建設費の2350億円は、すでに私たちの税金から支払われています。
その上さらに、保存に最大92億円。
この判断が正しかったかどうかは、50年後にならないとわからないかもしれません。
でも今、私たち市民ができることは、「運営費黒字」という言葉に惑わされず、全体の収支をきちんと見ることです。
あなたは、大屋根リングの保存についてどう思いますか?
❓ よくある質問
Q1. 大屋根リングの保存費用はいくらかかるの?
改修費用が41億円から76億円、10年間の維持管理費が約16億円で、合計最大92億円かかる見込みです。建設費350億円と合わせると、総額442億円もの投資になります。
Q2. なぜ吉村知事は大屋根リングを保存したいの?
「石にしがみついてでも後世に残したい」と発言し、太陽の塔のようなレガシーにしたいと考えています。批判された350億円の投資を「先見の明があった」という評価に変えたい政治的思惑も透けて見えます。
Q3. 万博は本当に黒字になるの?
運営費だけ見れば約100億円の黒字見込みですが、建設費2350億円は既に税金で支払い済みで回収不能です。全体では2250億円以上の大赤字というのが実態です。
Q4. 太陽の塔と大屋根リングの違いは何?
太陽の塔は高校生の手紙がきっかけで市民の署名活動により保存が決定しました。一方、大屋根リングは政治主導で保存が推進されています。また、太陽の塔は芸術作品として価値が認められていましたが、大屋根リングは記録的建築物という違いもあります。