🚨 2025年10月30日未明、日本維新の会の藤田文武共同代表がX(旧Twitter)に、ある画像を投稿した。
それは「しんぶん赤旗」記者の名刺だった。記者の名前、電話番号、メールアドレスがそのまま晒されたのだ。
この行為は「犬笛」と呼ばれる。権力者が個人情報を晒すことで、支持者による攻撃を暗に煽る手法だ。
実際、公開直後から赤旗編集部には嫌がらせの電話が殺到し、1800件を超える自動返信メールが記者宛に送られた。
なぜこんなことが起きたのか。何が問題なのか。
そして、これは私たちにどう関係するのか。

📋 この記事でわかること
📱 藤田文武氏が赤旗記者の名刺をSNS公開──何が起きたのか
事の発端は、2025年10月29日に配信された「しんぶん赤旗」日曜版の記事だった。この記事は、藤田氏側が自身の公設秘書が代表を務める会社に約2000万円の公金を支出していたという疑惑を報じた。
そのうち約1965万円は政党助成金などの公金からの支出だったとされる。赤旗はこれを「身内への税金還流」と批判した。
藤田氏はこの報道に対し、10月30日未明、自身のXに反論文とともに、取材を担当した赤旗記者の名刺画像を掲載した。
名刺には、記者の氏名、所属部署、直通電話番号、FAX番号、そしてメールアドレスの一部が含まれていた。
💡 実は、藤田氏は携帯電話番号は一部を消して公開したが、編集部の直通番号とFAX番号は完全に公開したのだ。
これは明らかに意図的な行為だった。
この名刺は、赤旗記者が衆議院議員会館の藤田事務所を訪れ、質問状を渡す際に身分を明かすために渡したものだ。
取材のために渡した名刺を、本人の了解なくネット上に公表することは、明確な目的外使用だといえる。
藤田氏は「回答の全文は掲載されない」として赤旗を批判したが、名刺公開の理由については明言していない。
🐕 「犬笛」行為とは──ネット攻撃を煽る危険な手法
藤田氏の行為は「犬笛」と呼ばれる手法だ。犬笛とは、本来は特定の周波数の音を出して犬を呼び寄せる道具のこと。
人間には聞こえないが、犬には聞こえる──この特性から、SNS上では「特定の人にだけ伝わる合図」を意味するようになった。
🔍 犬笛の仕組み
権力者が直接「この人を攻撃しろ」とは言わない。しかし、個人情報を晒すことで、支持者に対して「分かるよね?」という合図を送るのだ。
そして実際に、攻撃は起きた。名刺公開の直後から、赤旗日曜版編集部の直通番号に「記者を出せ」という電話が複数かかってきた。
さらに深刻なのは、メールでの攻撃だ。藤田氏が一部を消して公表した記者のメールアドレスに、近畿地方の事業者の相談受付フォームから1800件を超える自動返信が送信された。
1日でこんなに届くのは明らかに異常だ。これは組織的な業務妨害としか言いようがない。
このように、犬笛は権力者が自分の手を汚さずに、支持者を使って攻撃させる卑劣な手法なのだ。
「私は攻撃しろなんて言っていない」と逃げることができるため、非常に悪質だといえる。
⚠️ 立花孝志と同じ手口──兵庫県知事選の教訓
実は、この「犬笛」という言葉が社会問題として注目されたのは、2024年の兵庫県知事選でのことだった。
NHK党(N国党)の立花孝志党首が、斎藤元彦知事を支援する形で立候補し、斎藤知事を批判していた元県議らの個人情報をネット上で晒したのだ。
立花氏は、内部告発を行った竹内英明元県議について「ありもしないうわさをつくった人」と批判し、死後も「逮捕される予定だった」と虚偽情報を流した。
兵庫県警トップはこれを完全否定している。
💔 深刻な被害
竹内氏は、誹謗中傷を苦に自ら命を絶った。立花氏の発言が「呼応する多くの支持者からの誹謗中傷を意識して行われた」として、竹内氏の妻が立花氏を刑事告訴している。
さらに、斎藤知事を批判していた落語家の月亭太遊さんも、犬笛による攻撃の標的にされた。
上方落語協会には抗議が殺到し、太遊さんは「迷惑をかけたくない」として協会を離れ、芸名も返上せざるを得なくなった。
プロの落語家としての道が、犬笛によって絶たれたのだ。太遊さんは「あまりにもひどすぎる」と語っている。
そして今回、藤田氏も全く同じ手口を使った。
📌 注目ポイント
藤田氏は兵庫県知事選の際、斎藤知事を批判する立場だったが、記者への攻撃手法は立花氏と同じだった。
犬笛は、人の人生を壊し、命すら奪う危険な手法なのだ。
⚖️ 名刺公開は違法?──個人情報保護法の観点から
では、名刺をネット上に公開することは違法なのだろうか。個人情報保護法の観点から考えてみよう。
名刺には、氏名、所属組織、電話番号、メールアドレスなど、「特定の個人を識別できる情報」が含まれている。これは個人情報保護法における「個人情報」に該当する。
ただし、名刺は「広く知ってもらうため」に渡すものだ。だから、通常のビジネスシーンで名刺を使うことは個人情報保護法の問題にはならない。
🚫 今回のケースが問題な理由
記者は取材のために名刺を渡したのであって、ネット上で不特定多数に公開することを許可したわけではない。
個人情報保護法の専門家によると、名刺の「目的外使用」は違法性が問われる可能性があるという。
特に、今回のように悪意のある第三者による悪用(嫌がらせなど)を誘発する形での公開は、プライバシーの侵害に当たる可能性が高い。
実際に、名刺公開後に記者への嫌がらせが発生している。これは、藤田氏の行為が単なる「情報の共有」ではなく、攻撃を煽る目的だったことを示している。
法律の専門家の中には、今回の行為は名誉毀損やプライバシー侵害で訴えることができる可能性を指摘する声もある。
📢 言論弾圧への懸念──報道の自由が脅かされる
この問題の本質は、法律違反かどうかではない。連立与党の共同代表という権力者が、批判的な報道をした記者の個人情報を晒し、攻撃を煽ったことだ。
これは明らかに、権力監視の報道を威嚇する行為だ。
記者たちは「批判的な記事を書いたら、自分の個人情報が晒されるかもしれない」と恐怖を感じるだろう。
これを「萎縮効果」という。他の記者たちも、怖くて権力者を批判できなくなってしまうのだ。
🤔 もし権力者を批判する記者がいなくなったら?
政治家は好き勝手なことをしても、誰もチェックしなくなる。税金の使い方がおかしくても、誰も追及しない。
不正があっても、誰も報じない。そんな社会になってしまう。
これは私たち一人ひとりにとって、非常に重要な問題だ。報道の自由が守られなければ、民主主義は機能しない。
💡 興味深い事実
維新の創設者である橋下徹氏も、藤田氏を批判している。橋下氏はXで「実費分以上に利益が発生していたら政治家として完全にアウトだろう」と指摘し、赤旗に「徹底解明」を求めた。
維新内部からも批判の声が上がっているのだ。
⏰ 藤田氏のその後──削除も謝罪もなし
では、藤田氏はその後どうしたのか。2025年11月3日午後5時の時点で、藤田氏のXには記者の名刺画像がそのまま掲載されたままだった。
赤旗日曜版編集部は、名刺画像の削除と掲載への謝罪を求める申し入れを行った。しかし、藤田氏は沈黙を続けている。
興味深いのは、藤田氏の対応の違いだ。公金還流疑惑については、11月2日にYouTubeで「適法だ」としながらも、「秘書が代表を務める会社に発注している構図自体が、誤解や疑念を招くという指摘も多かった。真摯に受け止めたい。今後は秘書が代表を務める会社への発注は一切行わない」と述べた。
つまり、公金還流問題では一定の譲歩を見せたが、名刺公開については何も語っていないのだ。
これは何を意味するのか。藤田氏は名刺公開を問題だと認識していないのか、それとも撤回すると支持者から批判されるのを恐れているのか。
いずれにせよ、権力者による記者への攻撃が放置されている状況は、極めて深刻だ。
📝 まとめ:私たちに何ができるのか
この問題をまとめよう。
🔍 起きたこと
- 赤旗が藤田氏の公金還流疑惑を報道
- 藤田氏が取材記者の名刺をXに公開
- 編集部に1800件超の嫌がらせメールと複数の電話が殺到
- 11月3日時点で名刺画像は削除されていない
⚠️ 問題点
- 「犬笛」という卑劣な攻撃手法
- 立花孝志と同じ手口(過去に死者も出ている)
- 個人情報保護法違反の可能性
- 権力による報道への威嚇
- 民主主義の根幹である報道の自由への脅威
✅ 私たちにできること
- この問題を知り、周りに伝えること
- 権力者の行動を監視し続けること
- 報道の自由の重要性を理解すること
犬笛は、立花孝志氏の行為で社会問題化したはずだった。しかし、連立与党の共同代表という権力者が、同じ手法を使った。
もしこれが許されるなら、今後も同様の行為が繰り返されるだろう。そして、誰も権力を批判できない社会になってしまう。
この問題がどう決着するのか、私たち一人ひとりが注視する必要がある。
💬 よくある質問(FAQ)
Q1: 藤田文武氏が赤旗記者の名刺を公開した経緯は?
2025年10月29日に赤旗日曜版が藤田氏の公金還流疑惑を報道したことへの反論として、10月30日未明に取材記者の名刺画像をX(旧Twitter)に掲載しました。名刺には記者名、所属、電話番号、メールアドレスが含まれていました。
Q2: 「犬笛」とは何ですか?
権力者が直接攻撃を指示せず、個人情報を晒すことで支持者による攻撃を暗に煽る手法です。藤田氏の名刺公開後、赤旗編集部には嫌がらせ電話と1800件超の自動返信メールが届きました。
Q3: 立花孝志氏との共通点は?
2024年兵庫県知事選で立花孝志氏も同様の犬笛行為を行い、竹内元県議が誹謗中傷を苦に自殺しています。藤田氏の手法はこれと全く同じで、権力者による個人情報晒しと攻撃煽動という点で共通しています。
Q4: 名刺公開は違法ですか?
名刺は個人情報保護法の対象となり得る情報です。取材目的で渡された名刺をネット公開することは「目的外使用」として違法性が問われる可能性があり、プライバシー侵害や名誉毀損で訴えることも可能とされています。
Q5: この問題はなぜ重要なのですか?
連立与党トップによる記者への威嚇は、報道の自由を脅かす深刻な言論弾圧です。記者が萎縮すれば権力者を批判できなくなり、民主主義の根幹が揺らぎます。11月3日時点で名刺画像は削除されておらず、問題は継続中です。
Q6: 藤田氏はその後どう対応していますか?
11月3日午後5時時点で名刺画像は削除されておらず、謝罪もありません。公金還流問題では「今後は発注しない」と譲歩しましたが、名刺公開については沈黙を続けています。赤旗は削除と謝罪を求める申し入れを行っています。