
2025年12月7日に中京競馬場で行われるチャンピオンズカップ。
レモンポップが引退し、「絶対王者」がいなくなった今年は、まさに戦国時代の様相を呈しています。
そんな中で注目を集めているのが、3歳馬のナルカミとルクソールカフェです。
ジャパンダートクラシック(JDC)を制したナルカミ、武蔵野ステークスを圧勝したルクソールカフェ。
この2頭は古馬との初対決で、どこまで通用するのでしょうか。
過去10年のデータと前哨戦の結果から、今年のチャンピオンズカップを徹底分析します。
この記事でわかること
ナルカミとルクソールカフェ、3歳馬は古馬に勝てるのか
結論から言うと、3歳馬は十分に勝負になります。
過去10年のチャンピオンズカップで、3歳馬の成績は【2-2-2-12】。
勝率11.1%、複勝率33.3%という数字は、実は4歳馬の勝率5.3%、複勝率13.2%を大きく上回っています。
「経験豊富な古馬の方が有利なのでは?」と思いがちですが、データは真逆を示しているわけです。
ナルカミ:4連勝でダート3歳王者に
ナルカミは10月8日のジャパンダートクラシックを圧勝し、4連勝で3歳ダート王の座を射止めました。
このレースでは前半1000mを60秒2というハイペースで突っ込みながら、上がり3ハロン39秒0はメンバー中最速。
逃げた馬が上がりも一番速いという、まさに「強すぎた」内容でした。
戸崎圭太騎手は「本当に強い内容でした」と振り返っています。
田中博康調教師によると、ナルカミは「特別に心肺機能が高い馬」とのこと。
精神面や体のバランスにはまだ課題があるものの、それが解消されればさらに強くなる可能性を秘めています。
つまり、成長の余地がまだまだあるということです。
ルクソールカフェ:カフェファラオの弟が覚醒
ルクソールカフェは11月15日の武蔵野ステークスを3馬身半差で圧勝しました。
1番人気のコスタノヴァが大出遅れするアクシデントがあったとはいえ、直線で他馬を突き放す強い内容でした。
騎乗したダミアン・レーン騎手は「精神的にも体の面でも全体的に力強くなりました」とコメント。
新馬戦以来の騎乗でしたが、その成長ぶりに驚いていました。
実はこの馬、2021年・2022年のフェブラリーステークスを連覇したカフェファラオの弟なんです。
父は米国三冠馬のAmerican Pharoah。
血統的にもダートで大物になる下地は十分にあります。
3歳馬が活躍する理由
ダートでは「経験が重要」とよく言われますが、3歳馬の好走率が高いのはなぜでしょうか。
理由は大きく2つあります。
- 1つ目:そもそも3歳でチャンピオンズカップに出てくる馬は、世代トップクラスの実力馬に限られる
- 2つ目:若い馬特有の勢いと上昇度が、経験不足を補って余りある
過去10年で3歳馬は2勝しており、2018年のルヴァンスレーヴ、2019年のクリソベリルがこのレースを制しています。
ナルカミもルクソールカフェも、この系譜に連なる可能性は十分にあるでしょう。
ただし、気になるデータもあります。
古馬勢では5歳【3-2-3-29】複勝率21.6%、6歳【3-4-1-27】複勝率22.9%と、経験を積んだ馬たちもしっかり結果を残しています。
「猛者たちも簡単には王座を渡さない」という指摘は、的を射ていると言えます。
「データ不気味」みやこS組、大敗しても侮れない理由
前走みやこステークス組には、実は見逃せないデータがあります。
過去10年の成績は【0-1-5-28】。
勝ち馬こそ出ていませんが、3着馬が5頭もいるんです。
さらに驚くべきは、その内訳。
4着以内からの馬は【0-1-2-16】なのに対し、10着以下の大敗馬から【0-0-3-4】も3着に来ているんです。
つまり、みやこステークスで大敗しても、チャンピオンズカップでは巻き返す可能性があるということ。
「前走の着順で切ってはいけない」というのが、このローテーションの特徴です。
今年のみやこS組をチェック
今年のみやこステークスは11月9日に京都で行われ、ダブルハートボンドがJRAレコード(1分47秒5)で優勝しました。
このレースからチャンピオンズカップに向かう主な馬を見てみましょう。
ダブルハートボンド(1着)
レコード勝ちの勢いそのままに参戦。牝馬については次のセクションで詳しく解説します。
ラムジェット(4着)
東京ダービー6馬身差圧勝の実績を持つ4歳馬。追い込み一辺倒の脚質が中京コースでどう出るか。
アウトレンジ(7着)
帝王賞2着の実力馬。1番人気で7着に敗れましたが、「休み明けと割り切れば」という見方もできます。
ペリエール(10着)
今夏のエルムステークス勝ち馬。前走は不振でしたが、北海道ダート1700m2戦2勝の実績があり、コーナー4回の競馬でも結果を残しています。
ペリエールは「以前のイメージとは違う」馬に変わっています。
大敗したからといって、安易に消してしまうのは危険かもしれません。
なぜみやこS組は巻き返すのか
みやこステークスからチャンピオンズカップへは、約1ヶ月のインターバルがあります。
この期間は調子を上げ直すのにちょうど良い長さです。
また、京都と中京はどちらも左回りですが、コース形態は異なります。
みやこステークスで合わなかった馬が、中京コースでは力を発揮するケースがあるのです。
穴馬を探すなら、みやこステークス組、特に大敗馬は要チェックと言えるでしょう。
牝馬ダブルハートボンドに勝機はあるか
牝馬がダートG1を勝つのは、実は非常に難しいことです。
過去10年のチャンピオンズカップで、牝馬の成績は【1-0-0-6】。
勝ったのは2015年のサンビスタただ1頭で、それも10年前の話です。
ダートは芝以上に牡馬の壁が高いと言われており、これはパワーやスタミナが問われるダート戦で、牡馬の身体的優位性が顕著に出るためと考えられています。
ダブルハートボンドの強み
では、今年のダブルハートボンドに可能性はあるのでしょうか。
この馬の最大の強みは、みやこステークスをJRAレコードで勝ったという事実です。
1分47秒5という勝ちタイムは、2019年にスマハマが中京で出した1分47秒6を0秒1更新するもの。
馬場状態は不良でしたが、それでも歴代最速のタイムを叩き出したのは紛れもない実力の証です。
鞍上の坂井瑠星騎手は「レコードは出るかなと思っていた」と振り返っており、陣営も馬の状態の良さを感じていました。
ダブルハートボンドは父キズナ、母パーシステントリーの4歳牝馬。
デビューから無傷の5連勝で挑んだブリーダーズゴールドカップで2着に敗れましたが、得意の1800m戦で巻き返しました。
牝馬が勝つための条件
過去の牝馬G1制覇を振り返ると、サンビスタは同年のレディスプレリュードを勝ち、JBCレディスクラシックでも好走するなど、勢いに乗った状態で挑んでいました。
ダブルハートボンドもレコード勝ちの勢いは十分。
ただし、10年間牝馬が勝っていないという事実は重く受け止める必要があります。
「牡馬の壁を乗り越える馬が現れるだろうか」という問いかけは、まさにこのレースの注目ポイントの1つです。
ちなみに、JBCレディスクラシック2着のテンカジョウもチャンピオンズカップに登録しています。
牝馬2頭が牡馬相手にどこまで食い下がれるか、注目です。
初ダートG1シックスペンス、南部杯2着の価値
芝の重賞を複数勝っている実力馬が、ダートに転向して話題を呼んでいます。
シックスペンスは10月13日のマイルチャンピオンシップ南部杯で、初ダートながら2着に好走しました。
勝ったウィルソンテソーロには4馬身差をつけられましたが、3着のペプチドナイル以下は突き放しています。
「初ダートでJpn1・2着」というのは、なかなかできることではありません。
血統的裏付け
シックスペンスがダートで走れる理由は、血統にあります。
父キズナはダートでも大物を輩出していますが、さらに注目なのは母のフィンレイズラッキーチャーム。
実はこの馬、アメリカのダートG1を勝った実績のある馬なんです。
芝で磨いたスピードと、母譲りのダート適性。
この組み合わせが、初ダートでの好走を支えたと言えるでしょう。
JRAダートG1での課題
南部杯は盛岡競馬場のダート1600mで行われました。
盛岡は東京競馬場を模したコース設計で、直線に坂があるのが特徴です。
一方、チャンピオンズカップの舞台となる中京は、アップダウンが激しくスタミナ戦になりやすいコース。
距離も1800mに延びます。
シックスペンスにとって、南部杯とは異なる条件でどこまで通用するかが「試金石」となります。
「JRAのダートG1でどこまで通用するか」という指摘は、今回の最大の注目ポイントです。
注目の穴馬と前走ローテ別データ
最後に、前走のローテーション別データをまとめておきましょう。
チャンピオンズカップは多彩なローテーションから馬が集まるレースで、それぞれに特徴があります。
ローテーション別成績(過去10年)
マイルCS南部杯組【4-2-1-9】
複勝率43.8%と最も高い好走率を誇ります。
特に1着馬は【3-0-0-1】と抜群。
今年はウィルソンテソーロ、シックスペンスなどがこのローテーションです。
JBCクラシック組【3-5-1-22】
頭数が多く主要路線。複勝率29.0%。
3着馬からの好走が目立ち【2-1-0-3】。
今年の3着サントノーレは地方馬ですが、出走が叶えば注目です。
武蔵野S組【0-2-0-23】
勝ち馬は出ていませんが、2着馬が2頭。
ルクソールカフェの圧勝内容をどう評価するかがポイント。
みやこS組【0-1-5-28】
先ほど詳しく解説した通り、3着が多いローテーション。
大敗馬も侮れません。
今年の特殊事情:JBCクラシックの距離
重要なポイントがあります。
過去10年のJBCクラシックは、開催地によって距離が1900m〜2100mと様々でしたが、チャンピオンズカップ(1800m)より長いケースがほとんどでした。
つまり「距離短縮」で臨むのが通常のパターンだったわけです。
しかし、今年のJBCクラシックは船橋1800mで開催されました。
チャンピオンズカップと「同距離」というのは、過去10年で初めてのケース。
この条件変化がどう影響するかは未知数です。
注目の穴馬候補
データを踏まえると、以下の馬が穴馬候補として浮上します。
ペリエール
みやこS10着からの巻き返しを狙う。夏の北海道ダート2戦2勝で「以前のイメージとは違う」馬に変貌。
サントノーレ
JBCクラシック3着の地方馬。出走可否は除外対象のため不透明ですが、「出走が叶った際は注目」。
メイショウハリオ
JBCクラシック2着の8歳馬。川崎記念を制するなど衰え知らずで、JRA・G1制覇を悲願としています。
まとめ
今年のチャンピオンズカップのポイントを整理します。
- 3歳馬の複勝率33.3%は4歳馬より高く、ナルカミ・ルクソールカフェは十分に勝負になる
- みやこS組は大敗馬も侮れない。過去10年で10着以下から3着が3頭
- 牝馬の壁は高い(10年で1勝のみ)が、レコード勝ちのダブルハートボンドに注目
- シックスペンスの初ダートG1が試金石。南部杯2着の実力がJRAで通用するか
- マイルCS南部杯組が最も好成績。JBCクラシック組は「同距離臨戦」という新条件
レモンポップという絶対王者がいなくなり、今年は例年以上の混戦が予想されます。
3歳馬の台頭か、古馬の意地か、それとも牝馬の歴史的快挙か。
12月7日、砂上の王座を巡る戦いの行方から目が離せません。
よくある質問
Q. チャンピオンズカップ2025はいつ開催される?
A. 2025年12月7日(日)15時40分発走予定です。中京競馬場のダート1800mで行われます。
Q. 3歳馬はチャンピオンズカップで通用する?
A. 過去10年で3歳馬の複勝率は33.3%と、4歳馬(13.2%)より高い成績を残しています。ナルカミ・ルクソールカフェともに勝負になる可能性は十分あります。
Q. みやこS組が「データ不気味」と言われる理由は?
A. 過去10年で3着が5頭いるうえ、10着以下の大敗馬からも3頭が3着に来ているためです。前走の着順だけで切るのは危険なローテーションです。
Q. 牝馬がチャンピオンズカップを勝った例はある?
A. 過去10年で1頭だけです。2015年のサンビスタが勝利しましたが、それ以降10年間牝馬の優勝はありません。