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リビア参謀総長がトルコで墜落死―「革命の英雄」の死と14年続く分裂国家の行方

「カダフィ政権を倒した軍人」が墜落死した。

12月23日夜、トルコの首都アンカラで、リビア軍のハダッド参謀総長ら5人を乗せた政府専用機が墜落し、全員が死亡しました。

ハダッド氏は、2011年に独裁者カダフィ大佐を倒した「革命の英雄」の一人。

そして現在も東西に分裂したままのリビアで、軍の統一を進めてきた重要人物でした。

なぜトルコを訪問していたのか、リビアはなぜ分裂しているのか、今後どうなるのか。

この記事では、10代でもわかるように背景から解説します。

リビア参謀総長がトルコで墜落死―「革命の英雄」の死と14年続く分裂国家の行方

リビア参謀総長がトルコで墜落死―「革命の英雄」の死と14年続く分裂国家の行方

 

 

 

 

リビア軍参謀総長ら5人がトルコで墜落死―何が起きたのか

📌 結論:12月23日夜、トルコの首都アンカラを離陸したリビア政府専用機が電気系統の故障を報告後に墜落。参謀総長ら5人全員が死亡しました。

ロイター通信によると、事故の経緯は次のとおりです。

現地時間20時10分、機体はアンカラのエセンボーア国際空港を離陸。

行き先はリビアの首都トリポリでした。

離陸から約40分後の20時52分、パイロットが「電気系統の故障」を報告し、緊急着陸を要請。

しかし、その直後に交信が途絶えました。

トルコ当局が捜索を開始し、アンカラ南方約74キロのハイマナ地区で機体の残骸を発見。

墜落現場は、ケシッカヴァク村から約2キロ南の地点でした。

墜落した機体は「Falcon 50」という3発エンジンのビジネスジェット。

機体番号は「9H-DFJ」で、リビア政府が使用していた専用機でした。

墜落時、アンカラ上空では爆発のような光が目撃され、複数のメディアが映像を放送しています。

トルコ当局は墜落直後、アンカラ空港を一時閉鎖し、複数の民間機を他の空港へ迂回させました。

アンカラ検察庁が捜査を開始しています。

💡 注目ポイント:トルコ政府高官は初期報告として「破壊工作(テロ・暗殺)の可能性は否定される」との見方を示しており、現時点では技術的な故障が原因と見られています。

では、この事故で亡くなった5人はどのような人物だったのでしょうか。

 

 

 

死亡した5人は誰?軍幹部の顔ぶれと役職

📌 結論:参謀総長を含む軍幹部4人と、広報カメラマン1人の計5人が死亡しました。

アルジャジーラの報道によると、死亡者は以下の通りです。

 

🔹 ムハンマド・アリ・アフマド・アル=ハダッド中将
リビア軍の参謀総長(軍のトップ)。2020年8月から現職を務めていました。

🔹 アル=フィトゥーリ・ガリービル少将
陸軍参謀長。地上部隊の作戦を統括する立場でした。

🔹 マフムード・アル=カタウィ准将
軍事製造庁の長官。武器や装備の調達を担当していました。

🔹 ムハンマド・アル=アサウィ・ディアブ氏
参謀総長の顧問。ハダッド氏の側近として同行していました。

🔹 ムハンマド・オマル・アフマド・マフジューブ氏
参謀総長室の広報カメラマン。公式訪問の記録を担当していました。

 

つまり、リビア軍のトップとナンバー2クラスが同時に命を落としたことになります。

⚠️ さらに、機体には乗員3人も搭乗しており、計8人が犠牲となりました。

リビアのドベイバ暫定首相は「悲劇的で痛ましい事故」と発表し、リビア全土で3日間の国喪を宣言しています。

では、トップだったハダッド参謀総長とはどんな人物だったのでしょうか。

 

 

 

ハダッド参謀総長とはどんな人物?「反カダフィ」から軍トップへ

📌 結論:2011年にカダフィ独裁政権を倒した反体制派の中心人物。2020年から参謀総長として軍を率いていました。

AL-Monitorによると、ハダッド氏は2020年8月、当時のサラージ首相によって参謀総長に任命されました。

ハダッド氏の出身地は、リビア西部の都市ミスラタ。

2011年の「アラブの春」でカダフィ政権に対する反政府運動が起きた際、ハダッド氏は反体制派として武装闘争に参加しました。

「ハルブース旅団」と呼ばれる武装グループのリーダーを務め、独裁政権の打倒に貢献した人物です。

「彼は法規に従い、どの民兵組織にも傾かない姿勢で知られていた」

「民兵が大きな力を持つリビアで、彼は規律と責任を重んじる人物として尊敬されていた」

― アルジャジーラ トリポリ駐在記者

リビアでは、カダフィ政権崩壊後も多くの武装グループ(民兵)が独自に活動しています。

💡 そんな中で「ルールを守る軍人」として信頼されていたのが、ハダッド氏でした。

では、なぜハダッド氏はトルコを訪問していたのでしょうか。

 

 

 

なぜトルコを訪問していた?派遣延長承認の翌日に墜落した背景

📌 結論:トルコ軍のリビア派遣延長が議会で承認された翌日の「公式訪問」でした。軍事協力の強化が目的と見られています。

⚠️ 注目すべきタイミング:墜落の前日、12月22日にトルコ国会で「リビアへのトルコ軍派遣を2年間延長する」大統領令が承認されたばかりでした。

これを受けて、ハダッド氏は12月23日にアンカラを訪問。

トルコのギュレル国防相、バイラクタルオール参謀総長らと会談しました。

トルコとリビアの関係は、2020年以降急速に深まっています。

2020年、リビアの首都トリポリが東部勢力に攻撃された際、トルコは軍事支援を行い、首都陥落を防ぎました。

以来、トルコはリビア西部の暫定政府にとって最大の支援国となっています。

両国は2022年にエネルギー分野での協力協定も締結。

トルコにとってリビアは、北アフリカにおける重要な拠点なのです。

💡 意外な事実:トルコはNATO(北大西洋条約機構)の加盟国。NATO加盟国がアフリカに軍を派遣しているという点は、意外に思う人も多いかもしれません。

では、そもそもリビアはなぜトルコの支援を必要としているのでしょうか。

その理由を理解するには、リビアの「分裂」について知る必要があります。

 

 

 

リビアはなぜ2つに分裂?10分でわかる内戦の背景

📌 結論:2011年のカダフィ政権崩壊後、「西部(トリポリ)」と「東部(トブルク)」の2つの政府が並立。14年間、統一できていません。

まず、リビアの基本情報から確認しましょう。

リビアは北アフリカにある国で、面積は約176万平方キロメートル。

日本の約4.5倍の広さがある、アフリカ有数の産油国です。

🚨 外務省の海外安全情報では、リビア全土が「レベル4:退避勧告」に指定されています。これは日本政府が出す最も厳しい警告レベルで、「どんな目的であれ渡航を止めてください」という意味です。

なぜそこまで危険なのか。

それは、リビアが14年間も「分裂状態」にあるからです。

 

🔸 2011年:カダフィ政権の崩壊

2011年、中東・北アフリカで「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が広がりました。

リビアでも反政府デモが発生し、42年間続いたカダフィ独裁政権が崩壊。

カダフィ大佐自身も反体制派に殺害されました。

🔸 2014年:東西に分裂

しかし、カダフィ政権が倒れた後、各地の武装グループ(民兵)が勢力争いを始めます。

2014年、リビアは「西部」と「東部」に分裂しました。

🔵 西部(トリポリ)
国連が承認する「暫定統一政府」の拠点。
トルコやカタールが支援。

🔴 東部(トブルク)
ハフタル将軍率いる「リビア国民軍」の拠点。
ロシア、エジプト、UAE、サウジアラビアが支援。

つまり、同じ「リビア」という国の中に、2つの政府と2つの軍隊が存在しているのです。

🔸 2019年〜2020年:首都攻防戦

2019年4月、東部のハフタル将軍が首都トリポリへの進軍を開始。

内戦が激化しましたが、トルコの軍事支援を受けた西部勢力が巻き返し、2020年10月に停戦合意が成立しました。

🔸 現在:停戦は続くが分裂は解消されず

停戦後、国政選挙の実施が計画されましたが、延期を繰り返しています。

笹川平和財団の分析によると、「外国勢力の関与が紛争を長引かせる要因」となっているとのことです。

ハダッド参謀総長は、この分裂した状況で「軍の統一」を進める立場にありました。

では、そのハダッド氏が亡くなったことで、リビアはどうなるのでしょうか。

 

 

 

参謀総長死亡でリビアはどうなる?今後の影響と課題

📌 結論:軍統一を進めていた重要人物の死亡により、リビアの安定化プロセスに影響が出る可能性があります。

まず確実なこととして、リビア政府は3日間の国喪を宣言しました。

ドベイバ暫定首相は声明で「国家と軍にとって大きな損失」と述べています。

今後の影響として、以下の点が考えられます。

 

🔸 後任人事の不透明さ

参謀総長と陸軍参謀長が同時に亡くなったため、軍の指揮系統に空白が生じています。

後任が誰になるかは現時点で発表されていません。

🔸 軍統一プロセスへの影響

ハダッド氏は、東部勢力との対話を通じて「リビア軍の統一」を進めてきました。

この取り組みが継続されるかは、後任の方針次第と考えられます。

🔸 トルコとの関係

墜落がトルコ国内で起きたこと、そして派遣延長承認の翌日だったことから、両国関係への影響を懸念する声もあります。

ただし、トルコ政府は事故直後から捜査に全面協力しており、リビア政府も「事故」との認識を示しています。

🔸 国際社会の反応

国連リビア支援ミッション(UNSMIL)をはじめ、各国からハダッド氏への追悼の声が上がっています。

リビア情勢の安定化は、地中海を渡ってヨーロッパを目指す難民・移民問題にも直結するため、国際的な関心事でもあります。

リビアは今、カダフィ政権崩壊から14年経っても統一政府を持てていない状態です。今回の事故が、この困難な状況にどのような影響を与えるのか。国際社会の注目が集まっています。

 

 

 

まとめ

📝 この記事のポイント

  • 12月23日、リビア軍ハダッド参謀総長ら5人を乗せた政府専用機がトルコで墜落し、全員が死亡した
  • ハダッド氏は2011年にカダフィ政権を倒した反体制派出身で、2020年から参謀総長を務めていた
  • 墜落は、トルコ議会がリビアへの軍派遣延長を承認した翌日に起きた
  • リビアは2011年以降、西部と東部に分裂したままで、14年間統一できていない
  • 軍統一を進めていたハダッド氏の死亡により、リビアの安定化プロセスへの影響が懸念される

リビアは日本から遠い国ですが、石油資源を持つ重要な国であり、ヨーロッパへの難民ルートにもなっています。

今回の事故をきっかけに、リビア情勢に関心を持ってみてはいかがでしょうか。

 

よくある質問

Q. ハダッド参謀総長とはどんな人物ですか?

A. 2011年にカダフィ独裁政権を倒した反体制派の中心人物で、2020年から参謀総長を務めていました。民兵に傾かず法規を守る姿勢で尊敬されていた軍人です。

Q. 墜落事故の原因は何ですか?

A. パイロットが「電気系統の故障」を報告後に墜落しました。トルコ当局は破壊工作の可能性を否定しており、技術的故障が原因と見られています。

Q. リビアはなぜ分裂しているのですか?

A. 2011年のカダフィ政権崩壊後、武装グループが勢力争いを始め、2014年に西部(トリポリ)と東部(トブルク)に分裂。14年間統一できていません。

Q. 今後リビアはどうなりますか?

A. 軍統一を進めていた参謀総長の死亡で、安定化プロセスに影響が出る可能性があります。後任人事や今後の方針に国際社会の注目が集まっています。

 

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