⚠️ 実は、日本では1週間に約10人の小中高生が自ら命を絶っています
2024年、子どもの自殺者数は過去最多の529人に
2025年10月、厚生労働省が公表した自殺対策白書で明らかになった衝撃的な事実。日本の小中高生の自殺者数が529人と過去最多を記録しました。
これは前年より16人増加し、1980年の統計開始以降、最も深刻な数字です。
さらに驚くべきは、全体の自殺者数は減少傾向にあるにもかかわらず、子どもと若者の自殺だけが増え続けているという現実。
一体なぜ、若い命が失われ続けているのでしょうか。
この記事では、最新のデータと専門家の分析をもとに、子どもや若者の自殺の実態、その背景にある深刻な問題、そして私たちができる対策について、事実に基づいて詳しく解説します。

📋 この記事でわかること
📊 子どもの自殺者数529人で過去最多【2024年白書の衝撃データ】
2024年の小中高生の自殺者数は529人。
この数字がどれほど深刻か、まず具体的に見ていきましょう。
⚡ 過去最多の529人、1週間で約10人の計算
厚生労働省と警察庁が公表した2024年のデータによると、小中高生の自殺者数は529人で、前年より16人増加しました。
💡 この数字を分かりやすく言い換えると
1日に約1.4人、1週間で約10人の小中高生が自殺しているという計算になります。毎週、日本のどこかの学校で、クラスメイトが1人いなくなっているようなペースです。
内訳を見ると:
- 小学生:15人
- 中学生:163人
- 高校生:351人
学年が上がるにつれて増加していることがわかります。
🔍 実は、女子の自殺者が初めて男子を上回った
2024年の注目すべき変化があります。
小中高生の自殺者数で、女子(290人)が男子(239人)を初めて上回ったのです。
男子は2年連続で減少している一方、女子は2年連続で増加。特に女子中学生と定時制・通信制高校の女子が大きく増えています。
この背景には、後で詳しく説明する若年女性特有の問題が関係していると考えられています。
📅 自殺が最も多いのは9月
月別で見ると、9月が最も多く59人でした。
新学期が始まり、夏休みの開放感から一転して学校生活のプレッシャーに戻る時期。この時期の子どもたちの心理的負担は想像以上に大きいことがわかります。
❗ 総自殺者数は減っているのに、子どもだけ増えている矛盾
ここで驚くべき事実があります。
実は、日本全体の自殺者数は減少しているのです。
2024年の全年齢の自殺者数は20,320人で、前年より1,517人減少。1978年の統計開始以降、2番目に少ない数字となりました。
📌 つまり
大人の自殺は減っているのに、子どもの自殺だけが増え続けているという矛盾した状況。これは、子どもたち特有の深刻な問題が存在することを示しています。
🌍 G7で10代の死因1位が自殺なのは日本だけ
国際的に見ても、日本の状況は異常です。
G7各国のデータによると、10~19歳の死因で自殺が1位になっているのは日本だけ。
他の先進国では、若い世代の死因1位は交通事故や病気ですが、日本だけが自殺なのです。15~24歳の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)を見ても、日本はドイツの7.7、アメリカの13.3、イギリスの6.6と比べて17.8と非常に高い数値を示しています。
では、なぜこれほど子どもや若者の自殺が増えているのでしょうか。
🔍 なぜ子どもや若者の自殺が増えているのか【5つの主な原因】
警察庁の自殺統計原票では、自殺の原因・動機を「家庭問題」「健康問題」「経済・生活問題」「勤務問題」「交際問題」「学校問題」「その他」「不詳」に分類しています。
2024年の小中高生の自殺において、原因として最も多かったのは以下の通りです。
1️⃣ 学校問題:272件(最多)
学校に関する問題が最も多く、全体の半数以上を占めています。
💡 実は、その内訳を見ると意外な事実があります
「学業不振」が65件に対し、「学友との不和(いじめ以外)」が60件とほぼ同じくらい多いのです。つまり、勉強ができないことよりも、友達との人間関係で悩んでいる子どもが多いということ。
「成績が悪い」よりも「学校に居場所がない」「友達と上手くいかない」という悩みが、子どもたちを追い詰めているのです。
2️⃣ 健康問題:164件
2番目に多いのが健康問題。特に「うつ病」などのメンタルヘルスの課題が背景にあると分析されています。
若者では、無職者の自殺死亡率が特に高く、その原因として「病気の悩み(うつ病)」が最も高い割合を占めています。
心の健康を損なうと、将来への希望を失い、自殺のリスクが高まるという悪循環が起きているのです。
3️⃣ 家庭問題:108件
家庭での問題も深刻です。日本財団の調査によると、家庭問題の内訳では、親や兄弟姉妹など家族との関係の不和が原因の65%を占めています。
小学生では、家庭問題が最も多い原因となっており(男子35.9%、女子38.3%)、家庭が子どもにとって安心できる場所でなくなっている実態がうかがえます。
4️⃣ 年代別の特徴
原因は年代によって異なります:
- 小学生:家庭問題が最多
- 中学生・高校生:学校問題が最多
- 大学生:進路に関する悩みが最多(後述)
成長とともに、悩みの中心が家庭から学校、そして将来へと移っていくことがわかります。
5️⃣ 複合的な要因
多くの場合、自殺は1つの原因だけでなく、複数の要因が重なって起こります。
例えば、いじめで学校に行けなくなり、それが家庭内の不和につながり、さらにうつ病を発症するといった具合です。
自殺統計原票では、1人につき最大4つまで原因・動機を計上できるようになっており、実際に複数の原因を抱えている子どもが多いことが明らかになっています。
これらの原因の中で、特に近年注目されているのが「進路の悩み」です。
🎓 「進路の悩み」で自殺する若者が最多の背景
大学生や専修学校生など、進路選択を控えた若者の自殺には、特徴的な傾向があります。
📈 21歳がピーク:就活との関連
いのち支える自殺対策推進センターの分析によると、大学生の自殺者数は男女とも21~22歳がピークになっています。
💡 実は
この年齢は大学3年生から4年生、つまり就職活動が本格化する時期と完全に重なっています。
📊 「進路に関する悩み」が最も高い割合
自殺対策白書のデータでは、大学生の自殺の原因・動機として、男性では「学業不振」「その他進路に関する悩み」「うつ病」の順に多いことが示されています。
「その他進路に関する悩み」には、就職活動の失敗、内定が取れない不安、自分の将来が見えない焦りなどが含まれます。
🚃 「正解の道」を求めるプレッシャー
なぜ進路の悩みが自殺につながるのでしょうか。
日本社会には「良い大学→良い会社→安定した人生」という「正解の道」があるという考え方が根強く残っています。
そのレールから外れること、就活に失敗することが「人生の終わり」のように感じられてしまうのです。
「失敗したらもう取り返しがつかない」「一度つまずいたら終わり」。そんな思い込みが、若者を追い詰めています。
👥 男女で異なる傾向
興味深いことに、女性大学生の自殺の原因・動機を見ると、男性と比較して「うつ病」が著しく高くなっています。
一方、「学業不振」や「その他進路に関する悩み」は男性よりも低い傾向にあります。
これは、女性の場合、進路の悩みよりもメンタルヘルスの問題が直接的な原因になりやすいことを示しています。
そして、若年女性には、さらに深刻な問題があります。
💊 若年女性に多い「服毒自殺」の実態【市販薬ODの危険性】
2024年の自殺対策白書で明らかになった重要な事実があります。
若年女性では、自殺の手段として「服毒(医薬品)」の割合が高かったのです。
💊 「服毒」とは何か
服毒とは、薬を大量に飲むことで自殺を図る方法です。
特に若年女性の間では、市販薬を大量に摂取する「OD(オーバードーズ)」が問題になっています。
ODとは「Over Dose」の略で、適正量を超えた医薬品を過剰に摂取することを指します。
📊 市販薬ODが10代で急増している
精神科医の報告によると、かつてODは精神科で処方される睡眠薬などを使って行われることが多かったのですが、処方薬への規制が強化された結果、近年では市販薬を使ったODにシフトしています。
ドラッグストアで簡単に手に入る市販薬が、若者たちのODに使われるようになったのです。
💊 使用される市販薬の実態
2022年の全国の精神科医療施設による調査では、市販薬ODで使用される薬の成分として、約7割でデキストロメタファン(咳止め薬の成分)が使われていることが明らかになっています。
他にも、ブロムワレリル尿素を含む睡眠改善薬や、風邪薬、痛み止めなど、身近な市販薬が乱用されています。
⚠️ 「市販薬では死なない」という誤った認識
⚠️ 実は、ここに大きな問題があります
SNS上で「ODでは死なない」という誤った認識が広がっているのです。ファッション感覚でODした様子をSNSに投稿する若者もいて、それを見た他の若者が「市販薬では死なないんだ」と誤解してしまうケースが報告されています。
しかし、これは完全に間違いです。実際に市販薬のODで死亡した事例が複数報告されています。2023年には滋賀県で女子高生が市販薬の過剰摂取により死亡する痛ましい事件も起きました。
💀 ODの本当の危険性
市販薬を大量に摂取すると:
- 幻覚や錯乱状態になる
- 重篤な臓器障害を引き起こす
- 致死的な状態になる
- 回復しても後遺症が残ることがある
「死なないから大丈夫」という認識は非常に危険です。
たとえ死に至らなくても、体に深刻なダメージを与える行為なのです。
そして、子どもたちを追い詰める要因として、もう1つ見逃せない問題があります。
📱 いじめとSNSが子どもの心を追い詰める構造
日本財団の調査によると、自殺念慮や自殺未遂の原因として、48%の若者が「学校問題」を挙げています。
その内訳を見ると、49%が「いじめ」を原因としていました。
つまり、自殺を考えたり自殺未遂をした若者の約4人に1人が、いじめが原因だったということです。
📊 ネット上のいじめが過去最多
文部科学省の2023年度調査によると、全国の小・中・高校などにおける「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」という回答が2万4,678件(前年比758件増)に上り、年々増加しています。
⏰ SNSいじめの怖さ:24時間逃げ場がない
💡 実は、昔のいじめと今のいじめには大きな違いがあります
昔は、学校でいじめられても、家に帰れば一時的にでもそこから離れることができました。家は「逃げ場」だったのです。しかし今は違います。SNSによって24時間つながり続けるため、家に帰ってもいじめは終わりません。
専門家の分析によると、SNSいじめの相談件数の約6割がネット絡みであり、その多くは現実の人間関係と連動しているといいます。
📱 SNSいじめの具体的な手口
SNSを使ったいじめには、様々な形があります:
1️⃣ グループ外し
被害者を含むグループとは別に、被害者以外のメンバーで新たなグループを作り、そこで交流する「SNS外し」。
知らないうちに仲間外れにされていることに気づいたとき、子どもたちは深く傷つきます。
2️⃣ 集団での誹謗中傷
グループ内で特定の子が不愉快に思う写真や動画を共有したり、その子を加工した写真をスタンプ代わりにして笑い者にしたりする行為。
3️⃣ なりすまし
いじめられている子に「なりすまし」て、問題発言をし、その子の評判を落とす。
4️⃣ 隠し撮りと拡散
ターゲットになった子を隠し撮りして、その写真を面白おかしく加工し、SNSで拡散する。
実際に、自分の写真が勝手にSNS上にアップされ、どんどん拡散されていることを知った子どもが、大きなショックを受けて自殺を図ってしまった事例も報告されています。
💬 文字だけのコミュニケーションによる誤解
SNSのもう1つの問題は、文字だけでやり取りするため、誤解が生まれやすいことです。
実際に会って話すときは、表情や声のトーンで相手の気持ちがわかります。しかし、SNSの文章だけでは、送った側の意図が伝わらず、「きつい言い方をされた」「嫌われた」と受け取られてしまうことがあります。
冗談のつもりで送ったメッセージが、相手を深く傷つけてしまう。そんなすれ違いから、いじめに発展するケースも少なくありません。
🔔 通知音におびえる子どもたち
SNSでいじめられている子どもは、スマホの通知音を聞くたびにビクッとします。「また何か言われているのではないか」という恐怖が、24時間つきまといます。
夜も眠れず、心も体も疲れ果て、追い詰められていく。それが、現代のSNSいじめの実態です。
では、こうした状況に対して、私たちに何ができるのでしょうか。
🤝 子どもや若者の自殺を防ぐために私たちができること
子どもや若者の自殺は、決して「個人の問題」ではありません。社会全体で取り組むべき課題です。
📞 相談窓口を知っておく
まず、悩んでいる本人や周りの人が知っておくべき相談窓口があります。
💬 SNS相談(LINE・チャットで匿名相談可能)
実は、電話で相談するのは勇気がいるという人も多いです。
そんな人のために、LINEやチャットで匿名で相談できる窓口があります。
厚生労働省のSNS相談窓口では、様々な団体がLINEやチャットでの相談を受け付けています。
時間帯や曜日は団体によって異なりますが、夜間や週末も対応している窓口があります。
「誰かに相談したいけど、電話は苦手」という人は、まずLINEで相談してみてください。
🆘 その他の相談窓口
- いのちの電話
- よりそいホットライン
- 24時間子供SOSダイヤル
🏠 家庭でできること
相談窓口だけではありません。家庭での小さな行動が、子どもの命を救うことがあります。
1️⃣ 温かい食事を用意して、帰りを待つ
ある小学校の先生が保護者に伝えた言葉が印象的です。
「子どもさんが躓き、悩み苦しんでいても、温かい食事を作り帰ってくるのを待ってあげていてください。そうすれば、必ず、相談もしてくるし自分で乗り越えることができる」
家が安心できる場所であること。それだけで、子どもは外での辛さに耐えられることがあるのです。
2️⃣ 話を聞く
説教したり、すぐに解決策を提示したりする必要はありません。
ただ、子どもの話を最後まで聞いてあげること。それだけで、子どもは「自分は一人じゃない」と感じられます。
3️⃣ 子どもの異変に気づく
- スマホを見ているときの表情
- 通知音への反応
- 食欲や睡眠の変化
- 学校に行きたがらない様子
こうした小さな変化に気づいたら、無理に問い詰めず、「何かあった?話したいことがあったら聞くよ」と伝えてあげてください。
🏫 学校での取り組み
国は2023年6月に「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を発表し、タブレット端末を活用した対策を進めています。
子どもたちが定期的に気持ちの変化やいじめの有無を入力し、学校側が早期にリスクを把握する取り組みです。
また、「死にたい」「虐待」といったキーワードを検索すると、自動的に相談窓口の情報が表示される「SOSフィルター」を導入する自治体も増えています。
⚖️ いじめた側への対応も必要
現在の日本では、いじめられた側が転校したり不登校になったりすることが多く、いじめた側は何のペナルティも受けずに学校に通い続けるケースがほとんどです。
この理不尽な状況を変えるため、いじめた側への罰則を厳しくすることや、保護者にも責任を持ってもらう仕組みが必要だという声が高まっています。
🌈 社会全体でできること
「必ずしも立派な学歴や良い会社に入らないと『お先真っ暗』」という風潮を変えていく必要があります。
どのような場所や職種であれ、真面目に働いてさえいれば、ある程度は将来に対する展望を描けるような社会へ。多様な生き方が認められ、一度失敗しても何度でもやり直せる社会へ。
そんな社会を作ることが、根本的な自殺対策になるのです。
📝 まとめ
2024年、日本の小中高生の自殺者数は529人と過去最多を記録しました。以下が重要なポイントです:
- 1週間で約10人の小中高生が自殺している計算
- 原因の1位は学校問題(272件)で、特に人間関係の悩みが多い
- 大学生は21歳がピークで、就活のプレッシャーが背景に
- 若年女性では市販薬ODが問題化。「死なない」は誤解で実際に死亡例あり
- SNSいじめは24時間逃げ場がない構造で、子どもを追い詰める
- 相談窓口:こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)、LINEでの匿名相談も可能
もし、あなた自身が、あるいはあなたの周りの誰かが苦しんでいるなら、一人で抱え込まないでください。話すだけでも楽になることがあります。
そして、私たち大人ができることは、「話を聞くこと」「温かい食事を用意して帰りを待つこと」「逃げ道があることを伝えること」。
小さなことの積み重ねが、誰も自殺に追い込まれない社会への第一歩になります。
🆘 すぐに相談したい方へ
こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
SNS相談(LINE):厚生労働省「まもろうよ こころ」
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
あなたは一人じゃない。必ず、あなたを支えてくれる人がいます。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 2024年の子どもの自殺者数は何人ですか?
2024年の小中高生の自殺者数は529人で、前年より16人増加し、1980年の統計開始以降で過去最多となりました。1週間で約10人が自殺している計算になります。
Q2. 子どもや若者の自殺が増えている主な原因は何ですか?
最も多いのは学校問題(272件)で、特に友達との人間関係の悩みが深刻です。次いで健康問題(うつ病など164件)、家庭問題(108件)が続きます。大学生では進路の悩みが最多で、21歳がピークとなっています。
Q3. 若年女性に多い「服毒自殺」とは何ですか?
市販薬を大量に摂取する「OD(オーバードーズ)」が若年女性の間で問題化しています。SNSで「市販薬では死なない」という誤った情報が広がっていますが、実際には死亡例があり非常に危険です。咳止め薬などが乱用されています。
Q4. SNSいじめが子どもを追い詰める理由は何ですか?
SNSによって24時間つながり続けるため、昔のように「家に帰れば終わる」いじめではなくなりました。グループ外し、誹謗中傷、なりすまし、写真の拡散などが行われ、通知音におびえながら逃げ場のない状態に追い込まれます。
Q5. 子どもや若者の自殺を防ぐために相談できる窓口はありますか?
こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)や、LINEでの匿名相談が可能なSNS相談窓口があります。電話が苦手な人でも、LINEやチャットで気軽に相談できる体制が整っています。24時間対応の窓口もあります。
Q6. 家庭でできる子どもの自殺予防対策は何ですか?
温かい食事を用意して帰りを待つこと、説教せず話を最後まで聞くこと、スマホを見る時の表情や通知音への反応など小さな異変に気づくことが大切です。家を安心できる場所にすることが、子どもの命を救うことにつながります。