2025年10月22日、大手VTuber事務所ANYCOLORが、驚くべき発表をしました。
所属VTuber・甲斐田晴さんへの誹謗中傷事件で、加害者である20代女性の「心理」を公開したのです。企業が加害者の内面をここまで詳しく公開するのは、極めて異例のこと。
💭 「VTuberが自分に反応してくれている」「面白がっている」
そんな歪んだ感情が、なぜ若い女性を犯罪者に変えてしまったのでしょうか。
この記事では、ANYCOLORが公開した加害者心理の全貌、具体的な荒らし行為の内容、そして書類送検から罰金刑に至るまでの流れを詳しく解説します。
📋 この記事でわかること

🔍 20代女性がVTuberに誹謗中傷―ANYCOLORが異例の「加害者心理」公開に踏み切った理由
ANYCOLOR株式会社の公式発表によると、加害者は20代後半の女性でした。
被害を受けたのは、にじさんじ所属のVTuber・甲斐田晴さん。彼はVΔLZ(ヴァルツ)やROF-MAO(ろふまお)というユニットでも活動する人気ライバーです。
⚠️ なぜ企業が加害者の心理を公開したのか?
ANYCOLORは、今回の意識調査について次のように説明しています。
「悪質な誹謗中傷行為や荒らし行為などが後を絶たない現状を踏まえ、これらの行為がなぜ発生してしまうのか、その根本的な原因や背景を当社として多角的に理解することが、誹謗中傷行為等への効果的な対策を講じていくうえで不可欠であると考えた」
つまり、加害者を罰するだけでは不十分で、「なぜそうなったのか」を明らかにすることで、同じような事件を防ぎたいという強い意志があったのです。
実は、企業が加害者の心理分析を詳細に公開するケースは、過去にほとんど例がありません。それだけ、この問題が深刻だということです。
👉 では、この女性は具体的にどんなことをしたのでしょうか?
⚡ 執拗なコメント連投、なりすまし配信、脅迫まで―具体的な荒らし行為の内容
ITmediaの報道によると、加害者が行った荒らし行為は大きく分けて4つあります。
🔴 4つの悪質な荒らし行為
1️⃣ YouTubeでの執拗なコメント連投
甲斐田晴さんの配信や他のライバーの配信で、短時間に何度も何度もコメントを書き込み続けました。これによって、配信を楽しみにしていた視聴者が不快な思いをし、配信自体も妨害されました。
2️⃣ 甲斐田晴さんのイラストを無断使用したなりすまし配信
XやYouTubeで、甲斐田晴さんのイラストを勝手に使って、まるで本人かのように見せかける行為をしました。これは、甲斐田晴さんの名誉を傷つけるだけでなく、ファンを混乱させる悪質な行為です。
3️⃣ ハッシュタグを悪用したグロ画像・動画の拡散
甲斐田晴さんや他のライバーが使うハッシュタグに、グロテスクな画像やホラー動画を大量に投稿しました。ファンがハッシュタグを見ようとすると、そうした不快な画像が目に入ってしまう状態を作り出したのです。
4️⃣ リアルイベント会場への危害予告
甲斐田晴さんが所属するユニット「VΔLZ」のリアルイベント会場に、危害を加えるような書き込みをしました。これは脅迫に当たる極めて深刻な行為です。
これらの行為を見ると、単なる「悪ふざけ」では済まされない悪質さがわかります。
🤔 でも、なぜこんなことをしてしまったのでしょうか?
💔 「VTuberが自分に反応してくれている」―歪んだ承認欲求が生んだ異常な心理状態
ANYCOLORが公開した聞き取り調査の結果から、加害者の心理状態が明らかになりました。
荒らし行為の理由は「好きなVTuberとの距離を縮めたかった」
信じられないかもしれませんが、加害者は甲斐田晴さんのことを「好き」だったと語っています。その上で、「自分の好きなVTuberとの距離感を一方的に縮めようとした」と説明しています。
背景にあったのは、強い承認欲求と日頃のストレス、そして精神的に不安定な状態でした。
💬 荒らし行為をしている時の感情
加害者は、荒らし行為をしている時の心境について、次のように語っています。
- 「面白がっているという感情」
- 「VTuberが自分に反応していて、異常な承認欲求を満たしている」
つまり、荒らしコメントをすることで甲斐田晴さんが反応する(注意する、無視する、など)のを見て、「自分を認識してくれている」と感じ、それが快感になってしまったのです。
実は、「好き」という感情が、こうした歪んだ形で表れてしまうことがあります。本来は応援したい気持ちが、承認欲求の暴走によって「注目されたい」「反応してほしい」という欲求に変わり、最終的には犯罪行為に至ってしまったのです。
✍️ 加害者の反省
聞き取り調査で、女性は次のように語っています。
「これらの行為は、私の未熟な人間性、インターネット利用に関する認識の甘さや、自己中心的でゆがんだ承認欲求から生まれたものであり決して許されるものではない」
そして、にじさんじとは永久に距離を置くことを決め、ANYCOLORや甲斐田晴さんに謝罪しています。
⚖️ では、この女性はどのような処罰を受けたのでしょうか?
⚖️ 書類送検から罰金刑、損害賠償へ―法的措置の結果と和解内容
ANYCOLORは、刑事・民事の両方で加害者の責任を追及しました。
⚡ 刑事責任:業務妨害罪で書類送検→罰金刑
加害者は、業務妨害罪の容疑で書類送検されました。
「書類送検」とは、警察が証拠や調書を検察に送ることです。その後、検察が起訴するかどうかを判断します。
今回のケースでは、管轄の裁判所が罰金刑を言い渡しました。罰金刑とは、お金を支払うことで刑罰とするものです。
業務妨害罪の法定刑は、法律の専門家によると、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
50万円というと、Nintendo Switchが約100台買える金額です。決して軽い金額ではありません。
💰 民事責任:損害賠償金の支払い+投稿禁止
刑事責任とは別に、民事でも責任を追及されました。
民事では、次の条件で和解が成立しています。
- ANYCOLORに対して損害賠償金を支払うこと
- 今後、ANYCOLORや所属VTuberに関する投稿をインターネット上で一切行わないこと
具体的な損害賠償金の額は公表されていませんが、誹謗中傷による損害賠償は数十万円から数百万円になることが多いとされています。
📚 刑事と民事の違い
少し難しい話になりますが、刑事と民事の違いを簡単に説明します。
- 刑事責任:国が犯罪者を罰すること。罰金刑や懲役刑など。
- 民事責任:被害者が加害者にお金などで償いを求めること。損害賠償など。
今回のケースでは、両方の責任を追及されたため、加害者は罰金を支払い、さらに損害賠償金も支払うことになったのです。
❓ でも、ここで疑問が湧きませんか?「なぜ、普通の若い女性がこんなことをしてしまったの?」
🧠 なぜ人は「アンチ」になるのか?承認欲求とストレスが引き起こす危険なメカニズム
実は、今回の加害者のような心理は、誰にでも起こりうるものなのです。
💡 承認欲求とは?
心理学の専門家によると、承認欲求とは「他人から認められたい、評価されたい」という誰もが持っている正常な欲求です。
有名な心理学者マズローは、人間の欲求を5段階に分類し、承認欲求はその4番目に位置づけています。つまり、承認欲求を持つこと自体は、何もおかしなことではありません。
⚠️ 承認欲求が暴走する時
問題は、承認欲求が暴走してしまう時です。
承認欲求が暴走する原因には、次のようなものがあります。
1️⃣ 自己肯定感の低さ
自分に自信がなく、他人からの評価に過度に依存してしまう
2️⃣ 日頃のストレス
ストレスの発散先として、他人への攻撃を選んでしまう
3️⃣ 精神的な不安定さ
心のバランスが崩れている時は、冷静な判断ができなくなる
今回の加害者も、「強い承認欲求と日頃のストレス」があったと語っています。
VTuber文化を研究する専門家は、VTuberとファンの関係を「ケアへの憧れ」という視点から分析しています。ファンは、VTuberに「認められたい」「ケアされたい」という欲求を持ち、それが健全な形で満たされる時は良いのですが、満たされない時に歪んだ形で表れることがあるのです。
VTuberの特徴は、ファンとの距離が近いことです。配信中にコメントを読んでくれたり、名前を呼んでくれたりすることがあります。これはファンにとって嬉しいことですが、同時に「もっと反応してほしい」「もっと認識してほしい」という欲求を強く刺激してしまう可能性もあります。
🌐 インターネットの匿名性が攻撃性を増幅させる
誹謗中傷の心理を研究する専門家によると、匿名で書き込める環境では、「没個性化」という現象が起きます。これは、個人が集団の中に埋没することで、普段は抑えている攻撃性が表に出てしまう現象です。
また、SNSでは「集団極性化(サイバーカスケード)」という現象も起きやすくなります。これは、似たような意見を持つ人が集まることで、意見がどんどん極端になっていく現象です。
つまり、承認欲求+ストレス+匿名性+集団極性化という要素が重なると、誰でもアンチになってしまう可能性があるのです。
🛡️ では、私たちはどうすればこのような事態を防げるのでしょうか?
🛡️ VTuberへの誹謗中傷を防ぐために―健全なファン活動と相談窓口
最後に、誹謗中傷を防ぐための具体的な方法を紹介します。
✅ 健全なファン活動のために
VTuberを本当に応援したいなら、次のことを心がけましょう。
1️⃣ 適切な距離感を保つ
VTuberはキャラクターであり、配信者も一人の人間です。「認められたい」という気持ちは自然ですが、それを押し付けてはいけません。
ファン文化について考察しているブログでは、「いいねされたらラッキー!」くらいの謙虚な心持ちでいることが大切だと指摘されています。
2️⃣ ストレスを適切に管理する
日頃のストレスが溜まっていると、感情的になりやすくなります。適度な運動や趣味、友人との会話など、健全なストレス発散方法を見つけましょう。
3️⃣ 投稿する前に一呼吸置く
何かを投稿しようとしたら、まず一呼吸置いて考えましょう。「これを投稿して、本当に大丈夫?」「後で後悔しない?」と自分に問いかけることが大切です。
心理学では、これを「メタ認知」と呼びます。自分の感情や行動を客観的に見る力です。
📞 相談窓口を活用する
もし、あなた自身がストレスを抱えていたり、誹謗中傷の被害に遭っていたりするなら、一人で抱え込まずに相談してください。
無料で相談できる窓口
総務省が案内している相談窓口には、次のようなものがあります。
🔹 総務省「違法・有害情報相談センター」
- 専門の相談員が、削除方法などについてアドバイスしてくれます
- ウェブサイト:https://www.ihaho.jp
🔹 法務省「インターネット人権相談受付窓口」
- 削除依頼の方法を教えてくれたり、場合によっては削除要請もしてくれます
- 電話:みんなの人権110番 0570-003-110(平日8時30分~17時15分)
- ウェブサイト:https://www.jinken.go.jp
🔹 セーファーインターネット協会「誹謗中傷ホットライン」
- 誹謗中傷の連絡を受け付け、プロバイダに対応を促してくれます
🔹 警察「サイバー犯罪相談窓口」
- 各都道府県警察に設置されています
- 最寄りの警察署に問い合わせてください
これらの窓口は、すべて無料で利用できます。一人で悩まず、ぜひ相談してください。
📝 まとめ
この事件から学べることを、改めて整理しましょう。
💡 この記事のポイント
- ANYCOLORが加害者の心理分析を公開したのは、誹謗中傷を根絶するための異例の対応だった
- 20代女性は、「好きなVTuberとの距離を縮めたい」という歪んだ動機から、執拗なコメント連投、なりすまし配信、グロ画像拡散、危害予告という4つの悪質な行為を行った
- 加害者は業務妨害罪で書類送検され罰金刑を受け、さらに損害賠償金の支払いと今後の投稿禁止という民事責任も負った
- 承認欲求は誰にでもある正常な欲求だが、ストレスや自己肯定感の低さと組み合わさると暴走し、誹謗中傷につながる危険性がある
- VTuberとファンの距離の近さや、インターネットの匿名性が、承認欲求の暴走を加速させる可能性がある
- 健全なファン活動のためには、適切な距離感を保ち、ストレスを適切に管理し、投稿前に冷静に考えることが大切
💭 最後に
この事件は、誹謗中傷が「ちょっとした悪ふざけ」では済まされない深刻な犯罪であることを示しています。
でも同時に、加害者も最初は普通の「ファン」だったということも忘れてはいけません。承認欲求は誰にでもあり、誰でも同じような状況に陥る可能性があるのです。
VTuberを本当に応援したいなら、健全な距離感を保ち、自分の感情をコントロールすることが何より大切です。
もし、あなた自身がストレスを抱えていたり、誹謗中傷について悩んでいたりするなら、ぜひ相談窓口に連絡してみてください。一人で抱え込む必要はありません。
VTuberもファンも、みんなが笑顔でいられるファンコミュニティを、一緒に作っていきましょう。
💬 あなたは、VTuberとどんな関係を築いていきたいですか?
📚 参考文献
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. VTuber誹謗中傷事件で加害者はどんな人物?
ANYCOLORの公式発表によると、加害者は20代後半の女性です。甲斐田晴さんのファンでしたが、承認欲求とストレスから荒らし行為を行いました。
Q2. 具体的にどんな荒らし行為をしたの?
4つの悪質な行為を行いました。①YouTube配信での執拗なコメント連投、②なりすまし配信、③ハッシュタグを悪用したグロ画像拡散、④リアルイベント会場への危害予告です。
Q3. 加害者はなぜ誹謗中傷をしてしまったの?
加害者は「好きなVTuberとの距離を縮めたかった」と語っています。強い承認欲求と日頃のストレス、精神的な不安定さが背景にありました。VTuberが自分に反応することで異常な承認欲求を満たしていたと説明しています。
Q4. 法的にはどんな処罰を受けたの?
刑事責任として業務妨害罪で書類送検され、罰金刑を言い渡されました。民事責任として損害賠償金の支払いと、今後ANYCOLORや所属VTuberに関する投稿禁止で和解が成立しています。
Q5. 承認欲求が暴走するとなぜ誹謗中傷につながるの?
承認欲求自体は正常な欲求ですが、自己肯定感の低さ、ストレス、精神的不安定さが重なると暴走します。さらにVTuberとファンの距離の近さやインターネットの匿名性が、攻撃性を増幅させる可能性があります。
Q6. VTuber誹謗中傷を防ぐにはどうすればいい?
適切な距離感を保ち、ストレスを適切に管理し、投稿前に冷静に考えることが大切です。もし悩んでいるなら、総務省の違法・有害情報相談センター(0570-003-110)や法務省のインターネット人権相談窓口など、無料の相談窓口を活用してください。