2025年11月29日、現職の厚生労働大臣である上野賢一郎氏の政治団体が、東京・赤坂のスナックに「打ち合わせ飲食代」として約31万円を支出していたことが明らかになりました。
さらに、地元・滋賀県出身の女性演歌歌手のファンクラブ会費まで政治資金から支払われていたことも判明。
事務所は「適正な支出」と主張していますが、過去にはスナック通いが議員辞職につながった例もあり、波紋を呼んでいます。
この記事では、支出の詳しい内容から法的な問題点、過去の事例、そして上野氏のこれまでの問題まで、わかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
上野厚労相のスナック政治資金問題とは?31万円の支出内訳
さらに、滋賀県出身の女性演歌歌手のファンクラブ会費として2万8600円も支払われていました。
支出の詳しい内訳
共同通信の報道によると、上野氏が代表を務める資金管理団体「うえの賢一郎・政経フォーラム」からの支出は以下のとおりです。
・スナック(会議費として):6万8200円
・ファンクラブ(行事費として):1万7600円
・スナック(打ち合わせ飲食代として):3件で計24万6100円
・ファンクラブ(会費として):1万1000円
2年間の合計は約34万円。高校生のアルバイト4ヶ月分くらいの金額が、スナックとファンクラブに使われていたことになります。
事務所の釈明
上野氏の事務所は共同通信の取材に対し、書面でこう回答しています。
「情報交換、意見交換に係る経費で、政治目的に従った適正な支出だ」
つまり、「スナックで誰かと会って話をした。それは政治活動の一環だ」という主張です。
ただ、ここで疑問が生まれます。
「打ち合わせ」や「会議」をするなら、事務所や会議室でもできるはず。なぜわざわざスナックなのか?
実は、政治資金の使い道には法律上ほとんど制限がないんです。この点については後ほど詳しく説明します。
ところで、報道で出てきた「滋賀県出身の女性演歌歌手」とは、いったい誰なのでしょうか?
「滋賀県出身の女性演歌歌手」ファンクラブの正体は?
上野賢一郎氏の選挙区は滋賀県第2区(彦根市・長浜市など)。「地元出身の演歌歌手」という条件を満たす女性歌手を調べると、みずき舞さんの名前が浮かび上がります。
みずき舞さんのプロフィール
Wikipediaの情報によると、みずき舞さんは1974年生まれ、滋賀県愛知郡愛知川町(現在の愛荘町)出身の演歌歌手です。
1992年に「細江真由子」名義でデビューし、2004年に「みずき舞」に改名。30年以上のキャリアを持つベテラン歌手です。
みずき舞さんはプロレスラーの小橋建太選手の奥さんでもあります。
2010年に結婚し、日本テレビの「踊る!さんま御殿」に夫婦で出演したこともあるんです。
また、みずき舞さんは「滋賀県警交通安全ふるさと大使」も務めており、地元との関係が深い歌手です。
上野氏が地元出身の歌手のファンクラブに入っていたとしても、それ自体は不思議ではありません。
問題は「政治資金から」という点
趣味で演歌歌手のファンクラブに入ることは、もちろん個人の自由です。
ただ、そのお金を政治資金から出すのはどうなのか?という疑問が残ります。
実は過去にも、歌手のファンクラブ会費を政治資金から支出して問題になった議員がいます。
熊本日日新聞の報道によると、小田原潔衆院議員(当時)の自民党支部は2018年に歌手のファンクラブへ「会合代」として1万5千円を支出。支部はディナーショーのチケットを購入し、小田原氏が参加したと説明しました。
そもそも、スナックやファンクラブに政治資金を使うことは、法律的に問題ないのでしょうか?
政治資金でスナック飲食は違法?法律の「穴」を解説
「え、そんな緩いの?」と思うかもしれませんが、これが実態です。
政治資金規正法の仕組み
総務省の解説によると、政治資金規正法は主に2つのことを目的としています。
① 収支の公開:政治団体のお金の出入りを国民に公開すること
② 寄付の制限:誰からいくらもらえるかの制限
つまり、この法律は「お金をどう集めるか」には厳しいけれど、「集めたお金をどう使うか」にはほとんど制限がないんです。
Wikipediaの政治資金規正法の項目にはこう書かれています。
「政治資金規正法には支出についてほぼ規制は存在しない。このため政治活動と全く関係のない使われ方(私的流用・不正蓄財)も多くなされている」
専門家の見解
この問題について、神戸学院大学の上脇博之教授(政治資金オンブズマン代表)はしんぶん赤旗の取材でこう指摘しています。
「酒を提供する店で会議を開く必要性はなく、私的な飲食代を『会議費』として支出したのなら虚偽記載罪に問われる」
つまり、「スナックで飲食=違法」ではないけれど、「本当は政治活動じゃないのに政治活動と偽って支出した」なら問題になる可能性があるということです。
税金との関係
もう一つ重要なのは、政治団体は税制上の優遇措置を受けているという点です。
普通の会社が飲食代を経費にするには厳しい条件がありますが、政治団体は比較的自由にお金を使えます。
そのため、「法律違反ではないから問題ない」とは言い切れず、「税金で優遇されている団体として適切なのか」という道義的な責任が問われるわけです。
では、過去にスナックやキャバクラへの支出で問題になった政治家はどうなったのでしょうか?
過去にスナック・キャバクラで辞職した政治家たち
過去の事例を見ると、同じような問題でも「辞職した人」と「辞職しなかった人」がいます。その違いは何だったのでしょうか。
議員辞職につながった事例:遠山清彦議員
東京新聞の報道によると、2021年、公明党の遠山清彦衆院議員は以下の問題が発覚しました。
・自身の政治団体がキャバクラなどに計約11万円を支出
・新型コロナの緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪問
遠山氏は国会内で「政治資金の使途として不適切だった。国民に本当に申し訳ない」と謝罪。
キャバクラ支出だけでなく、緊急事態宣言中の夜の街への外出が重なったことで批判が集中し、最終的に議員辞職に追い込まれました。
辞職しなかった事例:宮沢洋一経産相
2014年には、当時経済産業大臣だった宮沢洋一参院議員の政治団体が、広島市内のSMバーに約1万8千円を支出していたことが発覚しました。
宮沢氏は「私自身は行っていない。事務所関係者が誤って政治資金として支出してしまった」と釈明。
この件では大臣辞任には至らず、その後も政治活動を続けています。
他の問題事例
熊本日日新聞によると、他にも以下のような事例があります。
- 西銘恒三郎衆院議員:自民党支部でスナックへの支出が判明
- 小田原潔衆院議員(当時):歌手のファンクラブへ「会合代」として1万5千円を支出
辞職するかしないかの分かれ目
過去の事例を見ると、辞職につながったかどうかの違いは以下の点にありそうです。
① 他の問題との複合:遠山氏の場合、キャバクラ問題だけでなく緊急事態宣言中の行動が重なった
② 金額の大きさ:数万円と数十万円では印象が違う
③ 時期・状況:コロナ禍など国民が苦しんでいる時期かどうか
④ 釈明の仕方:「自分は行っていない」と言えるかどうか
上野氏の場合、金額は約31万円とやや大きめ。しかも厚生労働大臣という、国民の生活に直結する重要ポストにいます。
ただ、上野氏にはこの問題以外にも、いくつかの問題が指摘されています。
上野賢一郎氏の過去の問題点まとめ
厚生労働大臣として初入閣したばかりの上野氏ですが、政治とお金をめぐる問題は今回が初めてではありません。
旧統一教会関連団体への会費支出
Wikipediaの情報によると、上野氏の資金管理団体は以下の支出をしています。
・2018年10月:国際勝共連合(旧統一教会の関連団体)に会費として2万円
・2019年3月:世界平和女性連合(旧統一教会の関連団体)に会費として1万5千円
2022年に安倍元首相の銃撃事件をきっかけに旧統一教会と政治家の関係が問題視された際、この支出も報道されました。
公設秘書の公職選挙法違反
2025年8月、上野氏の公設秘書(60歳男性)が公職選挙法違反の疑いで書類送検されました。
この秘書は2024年の衆院選で運動員への買収で公選法違反の罪に問われ、罰金50万円の略式命令を受けて公民権停止5年の処分を受けていました。
にもかかわらず、2025年の参院選で選挙運動をしていたというものです。
上野氏は朝日新聞の取材に対し、「略式命令については知っていた」としつつも「(公民権停止は)知らなかった。秘書に確認する」と話しています。
自己寄付による税控除問題
2024年6月には、上野氏が自身の代表を務める政党支部に計1010万円を寄付し、所得税の一部控除を受けていたことが判明しました。
これは法律上は問題ないものの、「政治家が自分の政治団体に寄付して税金を減らす」という行為には批判もあります。
上野氏は「党本部に確認したところ、『法律上は問題ないが道義的観点から控えたほうがいい』ということだった。今後、寄付をする際は控除申請はしない」と話しています。
政治資金収支報告書の不記載
2022年6月には、上野氏が代表を務める「自民党滋賀県第二選挙区支部」が、他の支部からの交付金計約840万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことも報じられました。
支部側は「事務的なミス」として訂正を申し出ています。
今回のスナック問題は2025年10月にもしんぶん赤旗が報じていました。厚労相就任直前のタイミングでした。
今後の展開は?野党の反応と国会での追及
今回の報道は、政治資金収支報告書が11月に公開されたことで各社が報じたものです。
丁寧な説明が求められる理由
共同通信の報道でも指摘されているように、「政権の要職を担う立場として丁寧な説明が求められそうだ」という状況です。
厚生労働大臣は、年金・医療・介護・労働など国民生活に直結する分野のトップ。
物価高で国民が苦しむ中、「スナックで打ち合わせ」「演歌歌手のファンクラブ会費」に税制優遇を受けた政治資金を使うことへの批判は避けられないでしょう。
過去の遠山氏との違い
先ほど触れたように、遠山氏が辞職に追い込まれたのは、キャバクラ問題だけでなく、緊急事態宣言中の銀座クラブ訪問が重なったためでした。
上野氏の場合、「緊急事態宣言中」のような追加要素は今のところ報じられていません。
ただし、複数の政治資金問題を抱えていることが、今後の追及材料になる可能性はあります。
今後の注目点
- 野党が国会でこの問題を追及するか
- 上野氏がより詳細な説明を行うか
- 他の閣僚の政治資金問題も浮上するか
続報があれば、この記事を更新してお伝えします。
まとめ
今回の上野賢一郎厚労相の政治資金問題について、ポイントを整理します。
- スナック支出:2023~24年に東京・赤坂のスナックへ計31万4300円を「打ち合わせ飲食代」として支出
- ファンクラブ会費:滋賀県出身の女性演歌歌手(みずき舞さんの可能性)のファンクラブへ計2万8600円を支出
- 法律上は違法ではない:政治資金規正法には使途の制限がほとんどない
- 過去の事例:遠山清彦議員はキャバクラ支出+緊急事態宣言中の行動で議員辞職
- 上野氏の他の問題:旧統一教会関連団体への会費、公設秘書の公選法違反、自己寄付での税控除など
「スナックで打ち合わせ」が本当に政治活動なのか、それとも私的な飲食なのか。
厚生労働大臣という重要ポストにある以上、より丁寧な説明が求められることは間違いありません。
この問題について、あなたはどう思いますか?
よくある質問(FAQ)
Q. 上野賢一郎厚労相のスナック政治資金問題とは?
上野賢一郎厚生労働大臣の政治団体が、2023~24年の2年間で東京・赤坂のスナックに「打ち合わせ飲食代」として計31万4300円を支出していたことが、政治資金収支報告書から判明した問題です。さらに滋賀県出身の女性演歌歌手のファンクラブ会費として2万8600円も支出されていました。
Q. スナックへの政治資金支出は違法?
法律上は違法ではありません。政治資金規正法には「お金の集め方」への規制はありますが、「使い道」についてはほとんど制限がないためです。ただし、私的な飲食を「会議費」と偽って支出した場合は虚偽記載罪に問われる可能性があります。
Q. 報道にある「滋賀県出身の女性演歌歌手」は誰?
報道では歌手名は明かされていませんが、条件に合致する滋賀県出身の女性演歌歌手としては「みずき舞」さんが有力です。みずき舞さんはプロレスラー小橋建太選手の妻としても知られています。
Q. 過去にスナック・キャバクラ問題で辞職した政治家はいる?
2021年に公明党の遠山清彦衆院議員がキャバクラへの政治資金支出(約11万円)と緊急事態宣言中の銀座クラブ訪問が重なり、議員辞職に追い込まれました。一方、2014年の宮沢洋一経産相のSMバー支出問題では「自分は行っていない」と釈明し、辞任には至りませんでした。
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参考文献
- 共同通信(Yahoo!ニュース)- スナックに政治資金31万円 上野厚労相の資金管理団体
- 東京新聞 - 銀座クラブ訪問の公明・遠山氏 政治資金からキャバクラに支出
- 熊本日日新聞 - 理解得られず議員辞職の一因にも スナック、キャバクラに政治資金
- Wikipedia - 上野賢一郎
- Wikipedia - みずき舞
- Wikipedia - 政治資金規正法
- 総務省 - なるほど!政治資金 政治資金の規正
- しんぶん赤旗 - 政治資金を私的流用か/上野厚労相の団体