2025年10月4日、自民党の新総裁に選ばれた高市早苗氏が「馬車馬のように働く」と発言したことが、思わぬ政党間の論争に発展しています。
共産党のトップである志位和夫議長が「人間は馬ではない」と批判したのに対し、日本保守党の北村晴男参院議員が「実に下らない批判です」と反論。SNS上でも賛否両論が巻き起こっています。
いったい何が問題なのでしょうか?順を追って見ていきましょう。
📋 この記事でわかること
📢 高市氏「馬車馬のように働く」発言が波紋
2025年10月4日、自民党総裁選で高市早苗氏が小泉進次郎氏との決選投票を制し、自民党史上初の女性総裁に選ばれました。
決選投票の結果は185票対156票。高市氏の勝利です。
総裁選出後、高市氏は両院議員総会(自民党の国会議員が集まる会議)で、こう語りました。
「全世代総力結集で、全員参加で頑張らなきゃ立て直せませんよ。だって今、人数少ないですし、もう全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます」
さらに続けて、こう宣言しました。
「私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて、まいります」
💡 ポイント
5回も「働いて」を繰り返す、かなり強い決意表明です。この発言は、自民党の国会議員たちに向けたものでした。
選挙で大敗続きの自民党を立て直すため、議員全員で必死に頑張ろうという呼びかけだったわけです。
ところが、この「馬車馬のように働く」という表現が、ある政党から強い批判を受けることになります。
では、誰がどんな批判をしたのでしょうか?
![自民党総裁選で勝利し、両院議員総会であいさつする高市早苗氏(日本人女性、青いスーツ姿、真剣な表情で演説している様子)を生成AIで作成]](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/o/okseeme0327/20251005/20251005104047.jpg)
❌ 志位氏「人間は馬ではない」と批判
批判の声を上げたのは、共産党のトップである志位和夫議長でした。
志位氏は10月4日の夜、自身のX(旧Twitter)でこう投稿しました。
「『全員に馬車馬のように働いてもらう』にものけぞった。人間は馬ではない。公党の党首が使ってよい言葉とは思えない」
「のけぞった」という表現から、かなりの衝撃を受けたことが伝わってきます。
志位氏の批判のポイントは2つです。
1つ目は「人間は馬ではない」という点。文字通りに受け取れば、確かに人間と馬は違います。
2つ目は「政党のトップが使ってよい言葉とは思えない」という点。つまり、総裁という立場の人が使うべき表現ではないという主張です。
この批判は、高市氏の発言を「人間を馬扱いしている」と解釈したものと考えられます。
しかし、この批判に対して、すぐさま反論の声が上がりました。
反論したのは誰?そしてなぜ?
⚡ 北村晴男氏「実に下らない批判」と反論
志位氏の批判に反論したのは、日本保守党の北村晴男参院議員です。
北村氏は5日、自身のXで志位氏の投稿を引用し、こう一言だけ投稿しました。
「実に下らない批判です」
たった一文ですが、非常に明快な反論です。
ところで、この北村晴男氏とは一体誰なのでしょうか?
北村氏は弁護士で、かつて日本テレビの人気番組「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演していた人物です。テレビで顔を見たことがある人も多いでしょう。
そして実は、2025年の参院選で日本保守党から比例代表で出馬し、97万5千票という驚異的な票数を獲得。
これは全当選者の中で個人名票のトップでした。
つまり、単なる新人議員ではなく、高い知名度と支持を持つ実力者なのです。
🤔 疑問
では、なぜ北村氏は「下らない批判」と断じたのでしょうか?その理由を理解するには、「馬車馬のように働く」という表現の意味を正しく知る必要があります。
📚 「馬車馬のように働く」は日本語の一般的な比喩表現
実は、「馬車馬のように働く」という表現は、日本語では非常に一般的な「例え話」なのです。
中学校の国語の授業で、「比喩表現」や「直喩(ちょくゆ)」という言葉を習ったことを覚えていますか?
「比喩表現」とは、何かを説明するときに、別のものに例えて表現する方法のことです。
例えば:
- 「彼女の笑顔は太陽のようだ」
- 「時間が矢のように過ぎる」
- 「雪のように白い肌」
これらは全て、実際には太陽でも矢でも雪でもありませんが、そのイメージを借りて表現しているわけです。
「馬車馬のように働く」も、まったく同じです。
goo国語辞書によると、この表現の意味はこうです。
「わき目もふらずに、いちずに物事をすることのたとえ」
つまり、「一生懸命に、集中して働く」という意味を表すための例え話なのです。
では、なぜ「馬車馬」が使われるのでしょうか?
💡 豆知識
昔、馬車を引く馬は、目の両側に覆いをつけられていました。
これは、馬が周りに気を取られず、前方だけを見て進むようにするためです。この姿から、「わき目もふらず一心不乱に働く様子」を「馬車馬のように働く」と表現するようになったのです。
ですから、高市氏が「馬車馬のように働く」と言ったのは:
✗ 「人間を馬扱いしている」のではなく
◯ 「一生懸命働く様子を、馬車馬に例えている」
ということなのです。
同じような例え話として、こんな表現もあります:
- 「身を粉にして働く」→実際に体が粉になるわけではない
- 「猫の手も借りたい」→実際に猫に手伝ってもらうわけではない
- 「働きバチのように働く」→人間がハチになるわけではない
これらと同じように、「馬車馬のように働く」も、ただの例え話なのです。
北村氏が「下らない批判」と言ったのは、おそらくこの点を指摘したかったのでしょう。つまり、一般的な日本語の比喩表現を、文字通りに解釈して批判することは的外れだ、という主張です。
では、世論はこの論争をどう見ているのでしょうか?
💬 世論は賛否両論も「比喩表現として普通」が多数
では、この論争に対して、世論はどう反応したのでしょうか?
Yahoo!ニュースのコメント欄を見てみると、興味深い傾向が見えてきます。
最も多くの共感を集めたコメントの1つは、こんな内容でした(要約):
「比喩もあるかもしれないし、それくらいの覚悟が必要だということ。国民にではなく、自民党の議員がすべきことという意味では?多くの給与をもらっているのだから当然だと思います」
📊 注目データ
このコメントには、なんと9280もの「共感した」が押されています。
別のコメントでは:
「比喩法は中学校で詳しく習う表現技法。表現を豊かにする効果があります。それを知らず字義にとらわれ一面的な見方しかできなければ、話者の意図を誤解することになります」
こちらには1310の共感がありました。
さらに、多くのコメントで指摘されていたのは:
- 「日本人には違和感ない比喩表現なのにね」
- 「比喩表現って知らないのかしら」
- 「同感です。馬車馬のように、は人=馬という意味ではありません」
- 「まあ日本人なら普通の比喩表現なんですけどね」
つまり、多くの人が「これは普通の日本語表現だ」と感じているわけです。
もちろん、批判的な意見もありました:
- 「ワークライフバランスを捨てるなんて、時代に逆行している」
- 「国のトップがこういう発言をするのはどうなのか」
しかし、全体としては「比喩表現として普通」「議員向けの覚悟の表明」という受け止め方が多数派でした。
興味深いのは、石破茂首相(当時総裁)もこの発言にコメントしていることです。
石破首相は両院議員総会で、高市氏の発言を受けてこう述べました。
「あそこまで『ワークライフバランスをやめた』と言われると大丈夫か、という気がしないではない」
一見、心配しているように聞こえます。しかし、続けてこうフォローしました。
「全身全霊、国家国民のために、という決意の表れだと思う」
つまり、石破首相も高市氏の発言を「過激」とは思いつつも、「覚悟の表明」として理解していたのです。
これらの反応から、論争の本質が見えてきます。
🎯 まとめ:政党間の価値観の違いが浮き彫りに
今回の「馬車馬」論争を整理してみましょう。
📌 起きたこと:
- 高市早苗氏が自民党総裁に選出(初の女性総裁)
- 高市氏が議員向けに「馬車馬のように働く」と発言
- 共産党・志位和夫議長が「人間は馬ではない」と批判
- 日本保守党・北村晴男氏が「下らない批判」と反論
- 世論は「普通の比喩表現」という反応が多数
🔍 論点:
志位氏は「馬車馬」という表現を、人間を動物扱いする不適切な言葉と捉えた。北村氏や多くの人は、これを「一心不乱に働く」という意味の一般的な比喩表現と捉えた。
🌟 背景
高市氏の発言は、国民向けではなく自民党議員向けのものだった。
選挙で大敗続きの自民党を立て直すための覚悟の表明だった。
「馬車馬のように働く」は中学校で習う一般的な比喩表現。
この論争は、一見すると言葉の解釈をめぐる小さな対立に見えます。
しかし、その背景には、保守と革新、働き方に対する価値観、政治家の覚悟のあり方など、日本政治の根本的な対立軸が透けて見えます。
高市氏は10月15日に予定される首班指名選挙で、日本初の女性首相に就任する見通しです。
「馬車馬のように働く」という一言から始まった今回の論争は、新しい時代の幕開けを象徴する一幕となったのかもしれません。
📝 この記事のポイント
- 高市早苗氏が自民党初の女性総裁に選出され、「馬車馬のように働く」と発言
- 共産党・志位氏が「人間は馬ではない」と批判
- 日本保守党・北村氏が「下らない批判」と反論
- 「馬車馬のように働く」は中学校で習う一般的な比喩表現
- 世論は「普通の日本語表現」という受け止めが多数
あなたは、この「馬車馬」論争についてどう思いますか?
コメント欄で意見を聞かせてください。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 高市早苗氏の「馬車馬のように働く」発言はなぜ批判されたのですか?
共産党の志位和夫議長が「人間は馬ではない」と文字通りに解釈し、人間を動物扱いする不適切な表現だと批判しました。しかし実際には一般的な比喩表現で、「一心不乱に働く」という意味を表す例え話です。
Q2. 北村晴男氏はなぜ「下らない批判」と反論したのですか?
「馬車馬のように働く」は中学校で習う一般的な比喩表現であり、文字通り人間を馬扱いしているわけではないためです。日本語の表現技法を理解していれば、批判は的外れだという主張です。
Q3. 「馬車馬のように働く」の本当の意味は何ですか?
「わき目もふらずに、いちずに物事をすること」を意味する比喩表現です。昔、馬車を引く馬が目に覆いをつけて前方だけを見て働いた姿から、一生懸命に集中して働く様子を表す言葉として使われています。
Q4. 世論はこの論争をどう受け止めていますか?
Yahoo!ニュースのコメント欄では、「普通の比喩表現」「議員向けの覚悟の表明」という受け止め方が多数派でした。最多のコメントには9280もの共感が集まり、批判を疑問視する声が目立ちました。