📰 2025年10月17日、岩手県北上市の温泉旅館で、60歳の男性がクマに襲われて亡くなる事故が起きました。
亡くなったのは、プロレスの試合で審判を務めていた笹崎勝巳（ささざき・かつみ）さんです。実は、笹崎さんが働いていた温泉施設から歩いて20分ほどの場所では、わずか8日前にもクマによる死亡事故が起きていました。
「温泉施設なら安全」と思いがちですが、今、日本中でクマ被害が急増しています。なぜこのような事故が起きてしまったのか、そして私たちはどう身を守ればいいのか、詳しく見ていきましょう。
📑 この記事でわかること
👤 笹崎勝巳さんとは？プロレス界で活躍したレフェリー
笹崎勝巳さんは、プロレスの試合で審判（レフェリー）を務めていた人物です。試合が正しく進むように見守り、反則をチェックし、勝敗を判定するのがレフェリーの仕事。選手たちの技を間近で見ながら、安全に試合を進行させる重要な役割を担っていました。
笹崎さんは1965年2月12日に東京都板橋区で生まれ、60歳でした。Wikipediaによると、平成元年（1989年）から全日本女子プロレスで働き始め、その後はZERO1や全日本プロレス、マリーゴールドなど、複数の団体で活躍していました。
💡 実は...
笹崎さんは全日本女子プロレス時代に「ハリセン太郎」という名前で活動していたこともあります。プロレス界では「タイガー勝巳」という愛称で呼ばれ、寡黙だけど仕事熱心で、周囲からは「優しくて穏やか」と評判の人でした。
岩手めんこいテレビの報道によると、笹崎さんには幼い娘さんが2人いました。最後にレフェリーを務めたのは、女子プロレス団体「マリーゴールド」のリングだったそうです。
普段は東京を拠点に活動していた笹崎さんですが、この日は岩手県の温泉旅館で清掃の仕事をしていました。プロレスのレフェリーだけでなく、温泉施設でも働いていたんです。
次のセクションでは、事件が起きた瀬美温泉でどのような状況だったのか、詳しく見ていきます。
📍 事件の詳細：岩手県北上市の温泉旅館で何が起きたのか
事故が起きたのは、2025年10月16日の午前中でした。
笹崎さんが働いていたのは「瀬美温泉（せみおんせん）」という温泉旅館です。北上観光コンベンション協会の情報によると、この温泉は岩手県北上市の山間部にある一軒宿で、JR北上駅から車で約25分の場所にあります。周りは深い森に囲まれていて、川のせせらぎが聞こえる静かな場所です。「美人の湯」として人気があり、3種類の違う温泉を楽しめることで知られていました。
🕐 10月16日：行方不明に
10月16日の午前10時頃、笹崎さんは露天風呂の清掃作業をしていました。この作業は1人で行っていたそうです。
しかし、時間が経っても笹崎さんが戻ってこないことに気づいた温泉の支配人が、午前11時15分頃、警察に通報しました。
警察が現場に駆けつけると、露天風呂には複数の血痕があり、清掃道具が散乱していました。血痕は柵の外へと続いていて、その周辺には動物の毛も落ちていたそうです。
🔍 10月17日：遺体発見とクマ駆除
IAT岩手朝日テレビの報道によると、警察と猟友会が約40人体制で捜索を開始。翌17日の午前9時過ぎ、温泉から約100メートル離れた山の中で、笹崎さんの遺体が発見されました。遺体の近くにいたクマ1頭が、その場で駆除されたということです。
⚠️ 衝撃的な事実
実は、この地域では8日前にも同じようなクマ被害が起きていました。
10月8日、瀬美温泉から西に1.8キロ（歩いて20分ほど）離れた場所で、キノコ採りに来ていた73歳の男性がクマに襲われて亡くなっています。
岩手日報の報道によると、この男性の遺体も損傷が激しく、頭部と胴体が離れた状態で発見されたそうです。
警察は、この2つの事件が同じクマによるものである可能性も視野に入れて調査を進めています。
なぜこのような事故が続けて起きているのでしょうか。次のセクションでは、2025年のクマ被害急増の背景を見ていきます。
📊 なぜクマに襲われたのか？2025年に急増するクマ被害の背景
「温泉施設でクマに襲われるなんて」と思うかもしれません。でも実は、2025年は全国的にクマ被害が過去最悪のペースで増えているんです。
📈 岩手県だけで24件もの被害
盛岡市の公式発表によると、岩手県では2025年4月1日から10月13日までに、24件23名の人身被害が発生しています。
特に衝撃的だったのが、7月4日に北上市で起きた事故です。80代の女性が自宅の居間でクマに襲われて亡くなりました。自宅でクマに襲われるなんて、想像しただけで恐ろしいですよね。
この状況を受けて、岩手県は7月4日に「クマ出没警報」を発表しました。4月に出していた「注意報」から「警報」に切り替えたんです。それだけ深刻な状況だということです。
🌍 全国でも過去最悪のペース
岩手県だけではありません。全国的にもクマ被害が急増しています。
環境省のデータを分析した調査によると、2023年度（令和5年度）は198件219人のクマ被害があり、死亡者は6人。これは統計を取り始めて以来、過去最多の数字でした。
そして2025年も、この記録を上回るペースで被害が増え続けているんです。
🌰 クマが人里に降りてくる理由
なぜこんなにクマ被害が増えているのでしょうか。
🔑 最大の理由
「山に餌がない」こと。
クマの主食はドングリやブナの実などの木の実です。これらの実がたくさん実る年（「豊作の年」）は、クマは山の中で十分に食べ物を見つけられるので、わざわざ人里に降りてきません。
でも、実が少ない年（「凶作の年」）は違います。お腹を空かせたクマたちは、食べ物を探して人間の住む場所まで降りてくるんです。
東北森林管理局の発表によると、2025年は東北各県でブナが大凶作の見通しとのこと。だから、クマが大量に人里に出没することが懸念されていたんです。
実際、4月の時点で岩手県のクマ目撃件数は219件と、4月としては過去最多を記録していました。予想通り、クマたちが人間の生活圏に出てきてしまったんです。
🏨 温泉施設が危険な理由
「でも、温泉施設は安全な場所じゃないの？」と思うかもしれません。
実は、瀬美温泉のような山間部にある温泉施設は、元々クマの生息域にとても近い場所にあります。周りを深い森に囲まれているため、クマが普通に生活している場所のすぐそばなんです。
今回の事故に重なった要因
- 1人での作業：複数人なら会話や作業音でクマに気づいてもらえたかもしれません
- 川沿いの音：川の水音で人間の足音や作業音がかき消されてしまう
- 早朝の時間帯：午前10時頃はクマが活動しやすい時間帯
- 秋の季節：冬眠に備えて大量に食べ物を食べる時期
- 近くで別の事件：人間を恐れなくなっていた可能性
こうした条件が重なって、悲劇が起きてしまったんです。
次のセクションでは、笹崎さんと一緒に仕事をしていたプロレス界の人たちからの追悼の声を紹介します。
💐 プロレス界からの追悼の声
笹崎さんの訃報を受けて、プロレス界から多くの追悼の声が寄せられています。
よろず～ニュースの報道によると、マリーゴールドのロッシー小川代表はXで次のようにコメントしました：
「こんな最期はありえないし残念無念としか言えない。笹崎の最後のレフェリーはマリーゴールドのリングだった。全女の後輩であり寡黙だが仕事熱心であり、まだ幼い女の子が二人いる。何の言葉も交わすことなく別れとなってしまった」
元女子プロレスラーでタレントの豊田真奈美さんも、Xに「ささやん、本当に悲しいよ。ささやんは本当に優しくて穏やかな思い出しかない。そんな人がこんな最期を迎えるなんて悔しくてたまらない」と投稿しています。
女子プロレスラーの堀田祐美子さんは「全女時代に苦楽をともにした。全女大量離脱、倒産の時も頑張ってくれた。最近会場で会った時も嬉しそうに娘さんの話しをしていて、幸せで良かった思っていたのに…真面目で本当に優しい人だった」とコメント。
😢 心に残るエピソード
笹崎さんは最近会った時も娘さんの話をして幸せそうだったそうです。そんな人がこんな形で亡くなってしまうなんて、本当に悲しいことです。
センダイガールズCEOの里村明衣子さんは「団体がキツイ時にZEROー1に呼んでいただき支えてくださった方。最後にレフェリーしていただいたのは今年1月」と振り返っています。
プロレス界の多くの人たちが、笹崎さんの仕事への真面目さと優しい人柄を語っています。
次のセクションでは、私たち自身がクマ被害を防ぐために何ができるのか、具体的な対策を見ていきます。
🛡️ クマ被害を防ぐために私たちができること
では、私たちはクマ被害をどうやって防げばいいのでしょうか。宮城県や環境省のクマ類出没対応マニュアルを参考に、具体的な対策を見ていきましょう。
🔔 クマと出会わないための基本対策
1️⃣ 音で存在を知らせる
クマは基本的に人間を避けようとします。だから、こちらの存在に気づいてもらうことが大切です。
・クマ鈴やラジオを携帯する
・複数人で会話しながら歩く
・見通しの悪い場所では特に大きな音を出す
山に入る時は、「今、人間がここにいますよ」とクマに教えてあげるイメージです。
2️⃣ クマが活動しやすい時間を避ける
クマは早朝（日の出頃）と夕方（日没前）に特に活発に動きます。この時間帯はできるだけ山に入らないようにしましょう。
3️⃣ クマの痕跡を見つけたら引き返す
山を歩いていて、こんなものを見つけたら要注意：
・人間と同じくらいか、それより大きいフン
・大きな足跡
・木の幹の爪痕
・木の上の「クマ棚」（クマが木の実を食べるために作った枝の集まり）
これらを見つけたら、近くにクマがいる可能性が高いです。すぐに引き返しましょう。
4️⃣ 川沿いや風の強い日は特に注意
川の水音や風の音で、お互いの気配に気づきにくくなります。今回の事故も、川沿いだったことが一因と考えられています。
🚨 もしクマと出会ってしまったら
知床財団のガイドによると、クマと遭遇した時の対応はこうです：
⚠️ 最重要：まず落ち着く
パニックになって叫んだり走ったりすると、クマを興奮させてしまいます。深呼吸して、冷静になることが大切です。
❌ 背を向けて走らない
実は、クマは時速50〜60キロで走ることができます。自転車より速いんです。人間が走って逃げることは不可能です。
しかも、クマには「逃げるものを追いかける」習性があります。背中を見せて走ると、追いかけてくる可能性が高まってしまいます。
✅ クマの目を見ながらゆっくり後退
クマと向き合ったまま、ゆっくりと後ろに下がります。「怖がっていないぞ」という態度を見せることが重要です。
💡 「死んだふり」は危険！
「クマに会ったら死んだふりをしろ」という話を聞いたことがあるかもしれません。でも、専門家の解説によると、これは間違いです。
なぜなら、クマは死んだ動物も食べるから。死んだふりをすると、かえって危険なんです。
🧴 クマ撃退スプレーの携帯
山に入る時は、クマ撃退スプレーを持つことをおすすめします。唐辛子成分が入ったスプレーで、クマの目や鼻に噴射すると強烈な刺激を与えます。
ただし、射程距離は5メートルほどと短いので、十分クマを引きつけてから使う必要があります。また、風向きに注意しないと自分にもかかってしまいます。
🛡️ 至近距離で攻撃された場合
もし万が一、至近距離で攻撃されそうになったら、顔面・頭部を両腕で覆い、すぐにうつ伏せになって致命的なダメージを最小限にとどめることが重要です。
🎒 山に入る際の装備
必須の持ち物チェックリスト
- ✅ クマ鈴またはラジオ
- ✅ クマ撃退スプレー
- ✅ 携帯電話（充電満タン）
- ✅ 複数人での行動（1人での入山を避ける）
🏨 「安全な場所」でも油断しない
今回の事故で分かったのは、「温泉施設だから安全」とは限らないということです。
⚠️ 山間部の施設での注意点
- 山間部にある施設は元々クマの生息域に近い
- 特に2025年のように餌が不足している年は、どこでもクマが出る可能性がある
- 早朝や夕方の外出は特に注意
- 1人での行動は避ける
- 地域の出没情報を事前にチェックする
「まさかこんな場所で」という油断が、一番危険なんです。
📝 まとめ：悲劇を繰り返さないために
2025年10月17日、プロレスレフェリーの笹崎勝巳さん（60歳）が、岩手県北上市の瀬美温泉でクマに襲われて亡くなりました。
🔍 事件のポイント
- 場所：岩手県北上市の山間部にある温泉施設「瀬美温泉」
- 状況：露天風呂の清掃作業中に1人で作業していた
- 発見：翌日、温泉から約100メートル離れた山中で遺体発見
- 近隣の被害：8日前にも1.8キロ先でクマによる死亡事故が発生
- 背景：2025年は東北各県でブナが大凶作で、クマが人里に大量出没
📊 2025年のクマ被害の深刻さ
- 岩手県で10月13日までに24件23名の人身被害
- 全国的に過去最悪のペースで被害が増加中
- 原因はブナなどの実の凶作で、クマの餌が山に不足
✅ 私たちができる対策
- 音で存在を知らせる（クマ鈴・ラジオ・会話）
- 早朝・夕方の山への入山を避ける
- クマの痕跡を見つけたら引き返す
- 遭遇したら落ち着いて、背を向けずゆっくり後退
- 「死んだふり」は危険（クマは死んだ動物も食べる）
- クマ撃退スプレーの携帯
- 山間部の施設でも油断しない
笹崎さんは「真面目で優しい人」と多くの人に慕われていました。最近会った時も娘さんの話をして幸せそうだったそうです。そんな人がこんな形で亡くなってしまったことは、本当に悲しいことです。
温泉施設のような「安全と思われる場所」でも、山間部であればクマのリスクはゼロではありません。特に2025年のように餌不足の年は、どこにでもクマが出る可能性があります。
私たち一人ひとりがクマ対策の知識を持ち、
基本的な対策を徹底することが、
悲劇を繰り返さないために必要です。
笹崎勝巳さんのご冥福をお祈りいたします。
❓ よくある質問（FAQ）
Q1. 笹崎勝巳さんはどんな人物でしたか？
プロレスの試合で審判（レフェリー）を務めていた60歳の男性です。1989年から全日本女子プロレスで活動を始め、ZERO1や全日本プロレス、マリーゴールドなど複数の団体で活躍していました。「タイガー勝巳」という愛称で呼ばれ、寡黙で仕事熱心、優しくて穏やかな人柄だったと多くの関係者が語っています。
Q2. 事件が起きた瀬美温泉はどこにありますか？
岩手県北上市和賀町岩崎新田にある温泉旅館です。JR北上駅から車で約25分の山間部にあり、周りを深い森に囲まれた一軒宿です。「美人の湯」として知られ、3種類の違う温泉を楽しめることで人気がありました。元々クマの生息域に近い場所に位置しています。
Q3. 2025年にクマ被害が急増している理由は何ですか？
最大の理由は、クマの主食であるドングリやブナの実などが凶作だったことです。2025年は東北各県でブナが大凶作の見通しで、山に餌がないクマたちが食べ物を求めて人里に降りてきています。岩手県では10月13日までに24件23名の人身被害が発生し、全国的にも過去最悪のペースで被害が増加しています。
Q4. クマと遭遇した時、どう対応すればいいですか？
まず落ち着くことが最重要です。背を向けて走らず（クマは時速50〜60キロで走れます）、クマの目を見ながらゆっくり後退します。「死んだふり」は危険です（クマは死んだ動物も食べます）。大声を出さず、「怖がっていない」という態度を見せることが重要です。クマ撃退スプレーの携帯も有効ですが、射程距離は約5メートルと短いので注意が必要です。
Q5. 温泉施設など「安全な場所」でもクマに注意が必要ですか？
はい、山間部にある施設は元々クマの生息域に近い場所にあります。特に2025年のように餌が不足している年は、どこにでもクマが出る可能性があります。早朝や夕方の外出を避ける、1人での行動を避ける、地域の出没情報を事前にチェックするなど、「まさかこんな場所で」という油断をしないことが重要です。
Q6. クマと出会わないためにできる対策は何ですか？
クマ鈴やラジオで音を出して存在を知らせる、複数人で行動する、早朝・夕方の活動を避ける、クマの痕跡（フン・足跡・爪痕）を見つけたら引き返すなどが基本です。川沿いや風の強い日は音が消されやすいので特に注意が必要です。クマは基本的に人間を避けようとするので、こちらの存在に気づいてもらうことが最も効果的な対策です。
