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埼玉で14体が無許可土葬された事件|なぜ起きた?死体遺棄罪になる?イスラム教徒の土葬墓地不足問題をわかりやすく解説

 

2025年9月末、SNS上である事件が大きな話題となった。

埼玉県本庄市の霊園で、14体もの遺体が無許可で土葬されていたというのだ。

「これは死体遺棄じゃないのか」「犯罪だろ」――X(旧Twitter)には怒りの声が溢れ、瞬く間に拡散された。

いったい何が起きたのか。なぜこんなことになったのか。そして、法律的にはどうなるのか。

最新の報道と信頼できる情報源を基に、事件の全貌と、その背景にある日本社会の深刻な問題を解説する。

画像: 霊園の墓地に無断で埋葬される様子をイメージした写真。日本の霊園、重機、墓石が見える風景。暗めのトーンで緊張感を演出

画像: 霊園の墓地に無断で埋葬される様子をイメージした写真。日本の霊園、重機、墓石が見える風景。暗めのトーンで緊張感を演出




 

 

 

📍 埼玉の霊園で14体が無許可土葬|何が起きたのか

事件が起きたのは、埼玉県本庄市にある「本庄児玉聖地霊園」だ。

この霊園の管理者である早川壮丞さんは、ある日異変に気づいた。

普段は足を踏み入れない場所に、重機が通った跡があったのだ。

その跡をたどっていくと、石とブロック塀が並べられている場所があった。区画外の土地に、勝手に墓が作られていたのだ。


現代ビジネスの報道によると、無断で土葬を行ったのは群馬県伊勢崎市のモスク関係者を名乗るパキスタン人だという。

しかも、その数は14体。

重機まで使って、霊園側に何の許可も取らずに、勝手に墓地を作り上げていたのだ。


💡 実は、本庄児玉聖地霊園は2019年からイスラム教徒の土葬を正式に受け入れている霊園だ。つまり、正式な手続きを踏めば合法的に土葬できる場所だった

それなのに、なぜこんなことが起きたのか。


 

 

 

❓ なぜ14体も無許可で埋葬?「200万円支払う」念書も反故に

早川さんは、この無断埋葬を発見した後、警察に相談した。

警察が介入する事態にまで発展し、最終的に関係者と話し合いの場が設けられた。

そこで取り交わされたのが、「200万円を支払う」という念書だった。


正規の埋葬代金には満たないが、少なくとも何らかの責任は取ってもらおうという形での合意だった。

しかし、ここからさらに問題が悪化する。


⚠️ 関係者は1円も支払わず、数ヵ月後に消息不明になったのだ。

早川さんは現代ビジネスの取材に対し、こう語っている。

「こんなの遺体遺棄と同じですよ」


霊園側は、正式な土葬を受け入れる準備も体制も整えていた。それなのに、無断で埋葬し、約束したお金も払わず、姿を消す――これは単なるトラブルではなく、明らかに悪質な行為だった。

ちなみに、本庄市役所の担当者は「民間同士のやりとりのため、行政としては介入できる立場にない」とコメントしている。

つまり、霊園側は泣き寝入りするしかない状況に追い込まれているのだ。


 

 

 

⚖️ 「死体遺棄」なのか|法律的にはどうなる?

SNS上では「これは死体遺棄だ」「犯罪じゃないのか」という声が多数上がっている。

法律的には、どうなのか。


日本の刑法第190条には、「死体遺棄罪」という犯罪が定められている。

これは、遺体を適切に埋葬せず放置したり、不適切な場所に埋めたりする行為を罰する法律だ。

法定刑は3年以下の懲役。罰金刑はなく、有罪になれば必ず懲役が科される重い犯罪だ。


ベンナビ刑事事件の解説によると、「死体遺棄」とは「社会風俗・習俗上の埋葬とは認められない方法によって遺体を放棄する行為」を指す。

今回のケースは、墓地の管理者の許可を得ず、区画外に勝手に埋葬したわけだから、この定義に当てはまる可能性が高い。


さらに、日本には「墓地、埋葬等に関する法律」(通称:墓埋法)という法律もある。

この法律では、土葬を行う際には自治体からの埋葬許可証墓地管理者の許可の両方が必要だと定められている。

今回の事件では、少なくとも墓地管理者の許可は得ていない。つまり、墓埋法にも違反している可能性がある。


💡 実は、日本では土葬は法律で禁止されていない。

適切な手続きを踏めば、土葬は合法だ。

本庄児玉聖地霊園も、正式に土葬を受け入れている霊園だ。

にもかかわらず、なぜこんな「無断土葬」が起きてしまったのか。

その背景には、イスラム教徒が抱える深刻な問題がある。


 

 

 

🕌 イスラム教では火葬が禁止|日本で土葬できる場所はわずか10ヵ所

イスラム教では、宗教上の理由で火葬が絶対に禁止されている。

これは、預言者ムハンマドが土葬だったことに従う教えだ。イスラム教徒(ムスリム)にとって、火葬は考えられない選択肢なのだ。


khb東日本放送の取材で、あるイスラム教徒はこう語っている。

「(火葬は)火を使って骨だけ出るじゃないですか、怖いですね。人間は土からつくられる。亡くなった時もやっぱり土に戻る」

これは宗教的な信念であり、簡単に変えられるものではない。


では、日本にはどれくらい土葬できる場所があるのか。

全国でわずか10ヵ所ほど

47都道府県あるのに、土葬可能な墓地は10ヵ所。しかも、東北地方には1つもない。九州や中国地方より西にも、土葬墓地は存在しない。


一方、早稲田大学の店田廣文名誉教授の研究によると、日本に住むイスラム教徒は約34万人いる。

これは鳥取県の人口とほぼ同じだ。


34万人に対して、土葬できる場所が10ヵ所しかない。この絶対的な不足が、今回のような「無断土葬」を生み出す土壌になっている。

ちなみに、おはかんりのレポートによると、本庄児玉聖地霊園は2019年から正式にイスラム教徒の土葬を受け入れ始め、これまでに110件の埋葬が行われている(ムスリム区105件、キリスト区5件)。

国籍別では、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、インドと、イスラム教徒が多い国々が上位を占める。日本国籍の人も6名いる。


💡 実は、日本の火葬率は99.97%で世界一だ。

比較すると、アメリカは45%、イギリスは75%、フランスは34%。

日本が圧倒的に火葬中心の社会であることが分かる。

この「火葬ほぼ100%」の社会で、宗教的な理由で火葬を選べない人たちが、行き場を失っているのだ。


 

 

 

🌐 全国で深刻化する「闇土葬」問題|日本に住むイスラム教徒34万人の行き場がない

土葬墓地の不足は、全国で深刻化している。

東北地方には土葬墓地が1つもない。そのため、東北で亡くなったイスラム教徒の遺体は、多額の費用をかけて関東まで運ばれることもある。


九州でも同様だ。

大分県日出町では、別府ムスリム協会が土葬墓地の建設を計画したが、地域住民の反対により何年も実現していない。反対理由は「地下水が汚染される」「農作物への風評被害が起きる」「土地価格が下落する」といったものだ。


宮城県でも土葬墓地の整備計画があったが、2025年9月に白紙撤回された。県知事選挙で「移民に繋がりかねない」として反対派の候補が当選したことが背景にある。


なぜ、こんなにも土葬墓地の建設が進まないのか。

nippon.comの分析によると、背景には「NIMBY(Not In My Back Yard=自分の裏庭には作らないで)」という心理がある。

土葬墓地の必要性は理解できる。宗教的な配慮も大切だ。でも、自分の家の近くには建ててほしくない――この心理が、各地で建設計画を頓挫させているのだ。

結果として、適切な土葬の場所が確保できないイスラム教徒の中には、今回のような「無断土葬」に手を染める人が出てくる。

あるいは、山を購入して私的に土葬を行おうとするケースも報告されている(これも違法になる可能性が高い)。


日本は、外国人労働者の受け入れを積極的に進めている。人口減少社会において、外国人労働者は経済を支える重要な存在だ。

しかし、「死後の受け皿」は全く整っていない


「ゆりかごから墓場まで」という言葉がある。人を受け入れるなら、その人が亡くなった後のことまで考えなければならない。


💡 実は、多文化共生を掲げる日本だが、「死後の共生」はまだ実現していないのだ。

本庄市の土葬墓地管理者、早川さんは現代ビジネスの取材でこう語っている。

「人口減少が進み、労働力が足りない中、今後もムスリムは増えるでしょう。いずれ墓が足りなくなるかもしれない。当然、ムスリム向けの土葬墓地は必要だと思います」

早川さん自身、無断土葬の被害者でありながら、土葬墓地の必要性を訴えている。


この問題を放置すれば、今回のような「闇土葬」事件はさらに増えるだろう。

一方で、地域住民の不安も無視できない。

衛生面での懸念、風評被害への恐れ――これらは理解できる感情だ。


本庄市は独自に霊園近くの溜池の水質調査を毎年実施しており、これまでに異常は確認されていない。科学的には問題ないことが証明されているが、感情的な不安は簡単には消えない。

この問題に、簡単な答えはない。

しかし、少なくとも「知ること」から始める必要がある。


日本に住む34万人のイスラム教徒が、最後の場所を持てずにいる。

この現実を、私たちはどう受け止めるべきなのか。


 

 

 

📝 まとめ:埼玉14体無許可土葬事件が示す日本社会の課題

🔍 この記事のポイント

  • 埼玉県本庄市の霊園で、14体の遺体が無許可で土葬される事件が発生した
  • 群馬県伊勢崎市のモスク関係者を名乗るパキスタン人が、200万円支払うと念書を交わしたが1円も払わず消息不明
  • 法律的には「死体遺棄罪」に該当する可能性があり、3年以下の懲役という重い犯罪
  • イスラム教では宗教上の理由で火葬が絶対に禁止されているが、日本で土葬できる場所はわずか10ヵ所
  • 日本に住むイスラム教徒は約34万人いるが、東北にも九州にも土葬墓地がなく、深刻な墓地不足が「闇土葬」を生み出している

この事件は、単なる一部の悪質な行為では片付けられない。

外国人労働者の受け入れを進める日本が、「死後の受け皿」を用意できていないという構造的な問題を露呈している。


宗教的な信念を持つ人たちが、最後の場所を持てない。

地域住民の不安も無視できない。


この難しい問題に、私たちはどう向き合うべきなのか――それを考えるきっかけとして、この事件を捉える必要があるのではないだろうか。


❓ よくある質問(FAQ)

Q1: 埼玉の霊園で何が起きたのですか?

埼玉県本庄市の本庄児玉聖地霊園で、群馬県伊勢崎市のモスク関係者を名乗るパキスタン人が、14体の遺体を無許可で土葬しました。重機を使って区画外に勝手に墓を作り、霊園管理者が発見して問題が発覚しました。

Q2: なぜ200万円の念書が反故にされたのですか?

警察介入後、関係者は「200万円を支払う」という念書を取り交わしましたが、1円も支払わず数ヵ月後に消息不明になりました。本庄市役所は民間同士のやりとりとして介入できず、霊園側は泣き寝入り状態です。

Q3: 死体遺棄罪になるのでしょうか?

刑法第190条の死体遺棄罪に該当する可能性があります。無許可での埋葬は「社会風俗・習俗上の埋葬と認められない方法」にあたり、法定刑は3年以下の懲役です。墓地埋葬法にも違反している可能性があります。

Q4: なぜイスラム教徒は火葬できないのですか?

イスラム教では宗教上の理由で火葬が絶対に禁止されています。預言者ムハンマドが土葬だったことに従う教えで、「人間は土からつくられ、土に戻る」という信念があります。イスラム教徒にとって火葬は考えられない選択肢です。

Q5: 日本で土葬できる場所はどれくらいありますか?

全国でわずか10ヵ所ほどしかありません。47都道府県あるのに対し、東北地方には1つもなく、九州・中国地方より西にも土葬墓地は存在しません。一方、日本に住むイスラム教徒は約34万人おり、深刻な墓地不足が「闇土葬」を生み出しています。

Q6: なぜ土葬墓地の建設が進まないのですか?

各地で地域住民の反対により建設計画が頓挫しています。反対理由は「地下水汚染の懸念」「農作物への風評被害」「土地価格の下落」などです。土葬墓地の必要性は理解できても「自分の家の近くには建ててほしくない」という心理(NIMBY)が建設を阻んでいます。

 

📚 参考文献リスト

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