2025年10月13日、184日間にわたって開催された大阪・関西万博が閉幕しました。最終的な入場者数は約2529万人。
目標の2820万人には届かず、多くのメディアが「目標未達」と報じています。でも実は、この数字の裏には意外な真実が隠されていました。
💡 この記事のポイント
入場者数は届かなかったけど、運営で得た利益は最大280億円の黒字。しかも、20年前の愛知万博の入場者数2205万人は超えています。
「失敗」と言われる大阪万博、本当に失敗だったのでしょうか？
この記事では、入場者数が届かなかった本当の理由と、それでも「成功」と言える根拠を、データと事実に基づいて詳しく解説します。
📋 この記事でわかること
📊 【速報】大阪万博が閉幕、入場者数は想定届かず2529万人―でも愛知万博は超えた
2025年10月13日、大阪市此花区の人工島「夢洲（ゆめしま）」で開催されていた大阪・関西万博が、184日間の会期を終えて閉幕しました。
日本国際博覧会協会の発表によると、12日時点での一般入場者数は速報値で約2529万人でした。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、165の国・地域・国際機関が参加した今回の万博。運営する日本国際博覧会協会が当初想定していた2820万人には、約291万人届きませんでした。
でも、ここで注目すべき数字があります。2005年に開催された愛知万博（愛・地球博）の入場者数は2205万人。
つまり、大阪万博は20年前の愛知万博を約324万人も上回っているんです。
✅ 入場者数の比較
• 大阪万博：2529万人
• 愛知万博：2205万人
• 差：+324万人（大阪が上回る）
最終日の13日には、参加国などがまとめた「大阪・関西万博宣言」が発表されました。会場のシンボルである大屋根「リング」になぞらえ、「多様でありながら、ひとつ」というメッセージを世界に発信しました。
閉会式では、万博の名誉総裁を務める秋篠宮さまが「多くの人々が夢洲に集い、つながり、相互理解を深め、人類が直面している共通の課題への解決策を共に考える機会を得たことは非常に意義深い」と述べられています。
大阪府の吉村洋文知事も「ありがとう」を7回繰り返してボランティアや関係者に謝意を示し、「またいつの日か、ここ日本で万博をやりましょう」と呼びかけました。
🤔 目標には届かなかった。でも、愛知万博は超えた。
この「届かなかったけど超えた」という不思議な結果、いったいどういうことなのでしょうか？
🎫 なぜ目標に届かなかった？「死にチケット140万枚」問題と予約システムの闇
目標2820万人に対して2529万人。約291万人の差は、なぜ生まれたのでしょうか？
実は、この背景には「買ったのに使えないチケット」という深刻な問題がありました。
💀 「死にチケット」140万枚の衝撃
産経新聞の報道によると、購入されたものの未使用の入場券が、少なくとも140万枚存在していました。
これは、チケットを買った人の約6人に1人が実際には万博に行けなかったことを意味します。使いたくても使えない「死にチケット」が大量に発生してしまったのです。
運営する日本国際博覧会協会は払い戻しを行わないとしています。購入しながら来場できない数がこれほど多いのは、チケット販売の制度設計に課題があったのではないかという指摘も出ています。
⚙️ 複雑すぎた予約システム
大阪万博は「並ばない万博」を目指し、来場日時の事前予約制を採用しました。東ゲート、西ゲートでそれぞれ午前9時、10時、11時、正午、午後5時の5つの時間帯に分かれていました。
でも、この予約システムが思わぬ障壁になってしまいます。
開幕直後から入場ゲートには来場者が連日行列を作り、「並ばない万博」は早くから実現できていませんでした。さらに終盤の駆け込み需要で連日20万人前後が押し寄せる盛況ぶりを見せると、予約枠が埋まってしまったのです。
🚫 予約システムの問題点
公式サイトでは、閉幕までほぼ全日の予約枠が「空き枠なし」と表示される状態に。キャンセルで空きが出てもすぐに埋まるため、チケットを持っていても予約が取れず、結局来場できない人が続出しました。
SOMPOインスティチュート・プラスの分析によると、8月29日の時点で約1955万枚の入場券が販売されていたにも関わらず、実際の入場者数は約1657万人でした。その差は約300万枚にも達していたのです。
🏗️ その他の問題点
予約システムだけが原因ではありませんでした。
開幕時には海外パビリオンの建設が遅れ、インドなど4カ国がまだ開館していない状態でした。前回のドバイ万博が新型コロナの影響で1年延期されたため、各国の準備期間が大幅に圧縮されてしまったことが大きな要因とされています。
また、6月から8月にかけての暑さ対策も課題でした。万博会場は基本的に雨や直射日光を避ける施設が限られており、給水スポットの少なさも指摘されていました。
開幕前からのネガティブ報道も影響したと考えられます。パビリオンの建設遅延や会場での飲食代の高さなど、マイナスイメージの情報が目立っていました。
👉 こうした複数の要因が重なり、目標の2820万人には届かなかったのです。でも、ここで話は終わりません。
💰 「失敗」と言われた大阪万博、実は運営収支280億円の黒字だった
入場者数は目標に届かなかった。多くのメディアが「失敗」と報じた。
でも実は、大阪万博は経済的には大成功を収めていたんです。
📈 愛知万博を超える黒字額
日本経済新聞の報道によると、大阪・関西万博の運営収支は230億～280億円の黒字になる見通しと発表されました。
💡 これ、実は凄い数字なんです
2005年の愛知万博の黒字額は129億円でした。つまり、大阪万博は愛知万博の黒字額を2倍以上も上回ったことになります。
運営費は当初計画の約1.4倍となる1160億円に膨らみました。赤字になるのではないかという懸念もありました。
でも、入場券の売上とグッズ販売のライセンス料などが計画を約230億円も上回ったのです。
さらに、支出を最大50億円減らすこともできました。その結果、最終的に230億～280億円の黒字という、愛知万博を超える収益性を達成したのです。
🌐 経済波及効果は約2.9兆円
日本総研の分析と三菱UFJ銀行の解説によると、大阪・関西万博がもたらす経済波及効果は約2.9兆円とされています。
内訳を見ると、万博関連の建設投資による効果が約8570億円、運営やイベントで約6808億円、国内外からの来場者が会場内外で消費することによる効果が約1兆3777億円です。
会場建設や周辺インフラ整備に伴う需要、会期中の観光消費、関連グッズ販売など、多岐にわたる分野への波及が含まれています。
ただし、日本総研では「大阪・関西地域だけを見ると費用対効果は大きいが、その他の地域での経済的恩恵は限定的」という指摘もあります。
💸 費用の全体像
大阪万博にかかった費用の全体像も見てみましょう。
会場内の建物の建設に充てる「会場整備費」は2350億円。当初は1250億円の予定でしたが、資材費の高騰などで2度上振れしました。この費用は国、大阪府・市、経済界で3等分されています。
国の負担は、会場建設費や途上国などの出展支援費用、警備費などを合わせて計約1649億円でした。
📊 結論
こうした巨額の費用がかかっていますが、運営収支では黒字を達成。入場者数は目標に届かなかったものの、経済的には成功を収めたと言えるのです。
「失敗」という言葉だけで語るには、あまりにも単純すぎる結果でした。
🔄 愛知万博と比較してわかった「大阪万博の本当の評価」
実は、大阪万博の「目標未達だけど最終的には成功」というパターン、20年前の愛知万博でも見られた光景なんです。
📉 愛知万博も開幕当初は苦戦していた
データで越境者に寄り添うメディア「データのじかん」の分析によると、愛知万博も開幕当初は苦戦していました。
2005年3月25日の初日、入場者数はわずか4万3023人。これは会期中の最低来場者数でした。春休み期間だったにも関わらず、人が集まらなかったのです。
⚠️ 不振の理由
混雑を懸念しての来場控えや、飲食物の持ち込み制限への反発などでした。メディアでも「大丈夫か？」という論調が目立っていました。
でも、愛知万博はそこから巻き返します。
📈 後半に急激な盛り上がり
愛知万博の目標入場者数は1500万人でした。開幕当初の状況から、この目標達成は難しいのではないかと言われていました。
ところが、8月29日から9月25日までの約1ヶ月間に、入場者数が急増したのです。1日あたりの最多入場者数は9月18日の28万1441人を記録しました。
企業などが配布した入場券を持っている人が、最後の短期間に万博を訪れたことが大きな要因とされています。最終的な入場者数は約2200万人となり、目標の1500万人を大幅に上回る大成功を収めました。
運営側が来場者からの声を反映して改善を続けたこと、実際に足を運んだ人々によるポジティブな口コミが広がったことも、成功につながりました。
🔁 大阪万博も同じパターンをたどった
大阪万博も、愛知万博と似たパターンをたどりました。
訪日ラボの分析によると、大阪万博の初日来場者数は約14万6426人と、比較的好調なスタートを切りました。でも、2日目以降は落ち込みが見られます。
その後、終盤の駆け込み需要で連日20万人前後が押し寄せる盛況ぶりを見せました。予約枠が埋まってしまい、来場したくてもできない人が出るほどでした。
愛知万博と同じく、後半になって一気に盛り上がったのです。
🌏 参加国数や規模の違い
愛知万博と大阪万博には、いくつかの違いもあります。
参加国・地域は、愛知万博が121カ国・地域だったのに対し、大阪万博は165カ国・地域と大幅に増えました。
テーマも異なります。愛知万博は「自然の叡智」をテーマに、環境保護や自然との共生を重視していました。大阪万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、先端医療やデジタル技術の活用を大きな柱にしていました。
会場の特徴も違います。愛知万博は愛知県長久手市の広いエリアに展開していたのに対し、大阪万博は人工島・夢洲の木造リング内に凝縮されていました。
✨ 共通点
でも、「開幕当初は苦戦→後半に盛り上がり→最終的に成功」という大きな流れは共通しています。
大阪万博は「失敗」だったのか？
歴史を見れば、むしろ「万博らしい成功パターン」をたどったと言えるのかもしれません。
🌍 次回2030年サウジアラビア万博は規模4倍！大阪の教訓が生きるか
大阪万博が閉幕し、次の万博に注目が集まっています。
次回2030年の万博は、中東のサウジアラビアで開催されます。その規模は、大阪万博をはるかに超えるものになりそうです。
🕌 リヤド万博の概要
読売新聞の報道によると、次回の登録博はサウジアラビアの首都リヤドで2030年10月1日～2031年3月31日に開かれます。
テーマは「変化の時代：共に先見性のある明日へ」です。
📏 圧倒的な規模
会場の面積は、大阪・関西万博の4倍となる600ヘクタール。半年間で4000万人以上の来場を見込んでいます。
大阪万博の目標が2820万人だったことを考えると、リヤド万博の目標4000万人は非常に野心的な数字です。
🛢️ サウジアラビアの国家戦略「ビジョン2030」
日々の栞の解説によると、リヤド万博はサウジアラビアの国家変革ロードマップ「ビジョン2030」と密接に関わっています。
「ビジョン2030」は、石油依存経済から脱却しようとする国家プロジェクトです。世界有数の産油国として知られるサウジアラビアですが、脱炭素社会の浸透で石油需要の減少が想定されるため、観光客誘致などに取り組んでいます。
リヤド万博は、この「ビジョン2030」の集大成という位置づけです。15年間にわたる国家改革の成果を世界に示す、威信をかけたイベントとも言えます。
🗳️ 圧勝で勝ち取った開催権
日本経済新聞の報道によると、2023年11月28日に開かれたBIE（博覧会国際事務局）総会で、リヤドが2030年万博の開催地に決定しました。
投票では、リヤドが119票を獲得。韓国の釜山が29票、イタリアのローマが17票でした。規定の3分の2超を第1回投票で獲得する圧勝でした。
サウジアラビアはドバイ万博の2倍近い4000万人以上の来場者を想定した大規模な開催計画を策定し、ムハンマド皇太子を中心に誘致運動を展開してきました。
🤝 大阪の教訓は生きるか
大阪万博では、予約システムの複雑さや「死にチケット」問題など、いくつかの課題が明らかになりました。
日本はリヤド万博に向けて、運営ノウハウの提供や研修会の開催、経験者の派遣などで協力する予定です。大阪万博の混雑対策なども、リヤド万博に提供されることが期待されています。
🚀 未来への期待
4倍の規模、4000万人の目標。サウジアラビアは本気で世界最大級の万博を目指しています。大阪万博で得た経験と教訓が、5年後のリヤド万博でどう生かされるのか。次の万博にも注目です。
📝 まとめ：大阪万博は「失敗」ではなく「万博らしい成功」だった
大阪・関西万博について、重要なポイントをまとめます。
- 入場者数は2529万人で目標2820万人には届かなかったが、愛知万博の2205万人は超えた
- 「死にチケット」約140万枚が発生し、複雑な予約システムが来場の障壁になった
- 運営収支は最大280億円の黒字で、愛知万博の129億円を大幅に上回る成功を収めた
- 愛知万博も開幕当初は苦戦したが、後半の盛り上がりで大成功に転じたという共通パターンがある
- 次回2030年サウジアラビア・リヤド万博は大阪の4倍の規模で、大阪の教訓が生かされる見込み
入場者数という一つの指標だけ見れば「目標未達」です。でも、収益性や愛知万博との比較、後半の盛り上がりを考えると、大阪万博は「万博らしい成功パターン」をたどったと言えます。
予約システムの課題や建設遅延など、改善すべき点もたくさんありました。でも、184日間で2529万人が訪れ、世界165カ国・地域が参加し、最大280億円の黒字を達成した。この事実は、単純に「失敗」とは呼べないものです。
5年後のサウジアラビア・リヤド万博は、大阪の4倍の規模で開催されます。大阪万博で得た経験が、次の成功につながることを期待したいですね。
💬 あなたの意見を聞かせてください
大阪万博について、どう思いますか？
目標に届かなかったけど黒字を達成した今回の万博、成功だったと思いますか？
それとも課題が多かったと感じますか？
❓ よくある質問（FAQ）
Q1. 大阪万博の最終的な入場者数はどのくらいでしたか？
大阪・関西万博の最終入場者数は約2529万人でした。目標の2820万人には届きませんでしたが、2005年の愛知万博の2205万人を約324万人上回る結果となりました。
Q2. なぜ入場者数が目標に届かなかったのですか？
主な理由は「死にチケット」問題です。購入されたものの未使用の入場券が約140万枚存在し、複雑な予約システムによって来場できない人が続出しました。また、海外パビリオンの建設遅延や暑さ対策の課題なども影響しました。
Q3. 大阪万博は経済的に失敗だったのですか？
いいえ、経済的には成功でした。運営収支は最大280億円の黒字となり、愛知万博の129億円を大幅に上回りました。また、経済波及効果は約2.9兆円と試算されています。
Q4. 愛知万博と大阪万博の違いは何ですか？
参加国数（愛知121カ国→大阪165カ国）、テーマ（愛知「自然の叡智」→大阪「いのち輝く未来社会のデザイン」）、会場構成などが異なります。ただし、「開幕当初は苦戦→後半に盛り上がり→最終的に成功」という流れは共通しています。
Q5. 次回の万博はいつどこで開催されますか？
次回の万博は2030年10月1日～2031年3月31日にサウジアラビアの首都リヤドで開催されます。会場面積は大阪の4倍の600ヘクタールで、目標来場者数は4000万人以上と、非常に大規模な万博となる予定です。
