2024年11月23日、大相撲九州場所千秋楽で横綱・大の里が緊急休場。初土俵以来一度も休んだことがなかった25歳の横綱に何が起きたのか、詳しく解説します。
2024年11月23日、大相撲九州場所千秋楽。多くのファンが注目していた横綱・大の里と豊昇龍による結びの一番が、突然消えました。
理由は大の里の休場。実は、2023年夏場所の初土俵以来、一度も休んだことがなかった25歳の横綱が、優勝争いの千秋楽に限って休場するという異例の事態となったのです。
左肩の怪我を抱えながら14日目まで土俵に上がり続けた大の里に何が起きたのか。そして、いつ復帰できるのか。詳しく見ていきましょう。

📋 この記事でわかること
大の里が九州場所千秋楽を緊急休場―左肩鎖関節損傷の詳細
大の里は13日目の取組で左肩鎖関節を負傷し、14日目まで強行出場するも千秋楽は休場を決断。これが初土俵以来、初めての休場となりました。
日本経済新聞の報道によると、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が23日朝に「左の肩鎖関節を痛めた。今朝稽古場で体を動かしてみたが、本人とも話して無理させずに休ませることにした」と説明しました。
怪我をしたのは、13日目(11月21日)の安青錦戦。この一番で左肩を強打したとみられます。
それでも大の里は14日目に出場。しかし、琴桜との一番では左を全く使えず、力なく敗れてしまいました。
土俵下で一番を見守っていた九重審判長(元大関千代大海)も「力なく、どこか本調子じゃない感じに見えた」と異変を感じ取っていたといいます。
この時点で大の里の成績は11勝3敗。豊昇龍、安青錦と並んで優勝争いのトップに立っていました。
千秋楽の結びの一番では、同じ3敗の豊昇龍と対戦する予定でした。横綱同士の優勝をかけた一番。多くのファンが楽しみにしていた取組です。
しかし、23日朝の稽古で体を動かしてみた結果、とても土俵に上がれる状態ではないと判断。大の里は休場を決断しました。
大の里は2023年夏場所の初土俵から、一度も休場したことがありませんでした。新十両、新入幕、新関脇、新大関、そして横綱昇進。わずか1年半というスピード出世を支えたのは、この「無休」の記録だったのです。
それだけに、優勝争いの千秋楽での休場は、本人にとって無念の決断だったはずです。
結びの一番で対戦予定だった豊昇龍は不戦勝。同じ3敗の安青錦が大関・琴桜に敗れれば、豊昇龍の優勝が決まる状況となりました。
では、大の里が痛めた「肩鎖関節」とは、どこの部分なのでしょうか。そして、この怪我はどれくらいで治るのでしょうか。
肩鎖関節損傷とは?―復帰までの期間と治療方法
肩鎖関節損傷は、回復に軽度で2〜3週間、重度では2〜3ヶ月かかる怪我です。相撲などのコンタクトスポーツで特に多く発生し、無理な出場は重症化のリスクが高まります。
肩鎖関節ってどこ?
肩鎖関節は、鎖骨の外側の端と、肩甲骨の「肩峰(けんぽう)」という部分がつながっている関節です。
簡単に言うと、鎖骨と肩をつないでいる関節。この関節があることで、私たちは腕を自由に動かすことができます。
なぜ相撲で多い怪我なのか
札幌スポーツクリニックの解説によると、肩鎖関節損傷は「ラグビー、柔道、レスリング、相撲などで肩から落ちたり、肩を打つことで起こります」とされています。
相撲では、相手を投げる時や投げられる時に、肩から土俵に落ちることがよくあります。この時、肩に強い衝撃が加わると、鎖骨と肩甲骨をつないでいる靭帯が損傷してしまうのです。
損傷の程度で回復期間が変わる
肩鎖関節損傷は、損傷の程度によって6段階(TypeⅠ〜Ⅵ)に分類されます。
■ 軽度(TypeⅠ〜Ⅱ)の場合:
・靭帯の一部が傷んでいる状態
・回復期間:2〜3週間
・治療:固定とリハビリ
■ 中度〜重度(TypeⅢ以上)の場合:
・靭帯が完全に切れている状態
・回復期間:2〜3ヶ月、または手術が必要
・治療:固定、リハビリ、場合により手術
足立慶友整形外科の情報では、「脱臼直後は、断裂した関節包などの軟部組織が修復するまで、損傷の程度によりますが約3週間程度の固定期間を要します」と説明されています。
無理な出場が危険な理由
肩鎖関節を痛めた状態で相撲を取り続けると、さらに損傷が悪化する可能性があります。
軽度の損傷だったものが、無理を続けることで靭帯が完全に切れてしまう。そうなると、手術が必要になったり、回復に数ヶ月かかったりします。
大の里が14日目まで出場を続けたのは、優勝争いの責任感からでしょう。しかし、千秋楽で休場を決断したのは、初場所を見据えた正しい判断だったと言えます。
では、この怪我を抱えた大の里の今後はどうなるのでしょうか。
大の里の今後―冬巡業休場で初場所への影響は
大の里は冬巡業を休場する見通しで、初場所(2025年1月12日初日)には復帰できる可能性が高いです。ただし、無理のない調整が必要となります。
冬巡業は休場の方向
師匠の二所ノ関親方は、中日スポーツの取材に対して「冬巡業に関しても、たぶん休場の方向になります」と明かしました。
冬巡業は11月下旬から12月下旬まで行われます。全国各地を回り、ファンとの交流やちびっこ相撲など、本場所とは違った形で相撲を楽しむイベントです。
しかし、巡業でも稽古や土俵入りなど、肩に負担がかかる動作があります。
この時期に無理をすれば、初場所に間に合わなくなる可能性もあります。冬巡業を休むのは、初場所を見据えた戦略的な判断なのです。
初場所には復帰できる?
千秋楽の休場(11月23日)から初場所初日(2025年1月12日)まで、約1ヶ月半あります。
先ほど説明したとおり、肩鎖関節損傷の一般的な回復期間は:
- 軽度:2〜3週間
- 中度:1〜2ヶ月
大の里の損傷が軽度から中度であれば、1ヶ月半あれば回復できる計算です。
ただし、「治る」ことと「相撲が取れる」ことは別の話。横綱として土俵に上がるには、十分な稽古を積んで体を仕上げる必要があります。
1. 冬巡業を休場して肩を完全に回復
2. 12月中旬から徐々に稽古を再開
3. 初場所に万全の状態で臨む
横綱としての責任と長期的視点
「優勝争いの千秋楽に休場するなんて」と批判する声もあるかもしれません。
しかし、ここで無理をして重症化すれば、初場所どころか、複数場所を休場する事態になりかねません。最悪の場合、横綱生命に関わる可能性もあります。
2023年夏場所から1年半、一度も休まず土俵に上がり続けた大の里。その頑張りは素晴らしいものでした。
だからこそ、ここは一度立ち止まり、しっかり治療に専念する。長い横綱人生を考えれば、それが最善の選択です。
ファンとしては、初場所で元気な大の里の姿を見られることを願うばかりです。
さて、大の里が休場した千秋楽、優勝争いはどうなったのでしょうか。
波乱の優勝争い―琴桜が初優勝、安青錦の快進撃
大の里の休場で優勝争いは大波乱。琴桜が豊昇龍との相星決戦を制し、14勝1敗で初優勝を飾りました。これは、元横綱の祖父と同じ「琴桜」の名で、51年ぶりの快挙となります。
14日目終了時点の状況
14日目を終えた時点で、3敗でトップに並んでいたのは3人。
- 横綱・大の里(11勝3敗)
- 横綱・豊昇龍(11勝3敗)
- 関脇・安青錦(11勝3敗)
2敗で追っていたのは、大関・琴桜(12勝2敗)。
千秋楽、大の里が休場したことで、豊昇龍は不戦勝で12勝3敗に。琴桜は安青錦を破れば13勝2敗。そうなれば、琴桜と豊昇龍の優勝決定戦となる予定でした。
琴桜vs豊昇龍の相星決戦
しかし、安青錦が琴桜に敗れたため、優勝争いは琴桜と豊昇龍の2人に絞られました。
両者とも13勝1敗。千秋楽の結びの一番が、そのまま優勝決定戦となったのです。
時事通信の報道によると、大関同士の千秋楽相星決戦は、2003年名古屋場所以来、実に21年ぶりの出来事でした。
一進一退の攻防の末、琴桜がはたき込みで豊昇龍を破り、14勝1敗で初優勝を果たしました。
51年ぶりの「琴桜」優勝
琴桜という四股名には、特別な意味があります。
琴桜の祖父は、元横綱・琴桜(53代横綱)。1973年名古屋場所で優勝を果たした名横綱です。
琴桜は今年5月の夏場所から、父で師匠の佐渡ケ嶽親方の現役時代の四股名「琴ノ若」から、祖父の「琴桜」を継承しました。
祖父が1973年に優勝した時、琴桜はまだ生まれていません。それから51年。祖父の名を継いで、同じ大関の地位で優勝。まるで運命のような物語です。
松戸市の公式サイトによると、琴桜は千葉県松戸市出身。松戸市出身力士の幕内優勝は史上初の快挙とのことです。
安青錦の異例のスピード出世
もう一人、今場所で注目を集めたのが、関脇・安青錦です。
安青錦は21歳、ウクライナ出身。2022年、ロシアによるウクライナ侵攻の戦火を逃れて日本に来ました。
東京新聞の記事によると、両親が避難生活を強いられる中、「勝つ姿を見せたい」という思いで相撲に打ち込んできました。
2023年9月場所で初土俵。そこから、わずか13場所で関脇に昇進。これは、付け出しデビュー力士を除けば、史上最速の記録です。
今場所も11勝4敗の好成績。13日目には、横綱・豊昇龍を破る金星を挙げました。
次の初場所では、大関昇進を目指す位置にいます。戦火を逃れて来日してから、わずか2年半。その成長スピードは驚異的です。
次場所への期待
琴桜は来場所、横綱昇進を目指します。今年の年間最多勝(66勝)にも輝き、勢いは十分です。
豊昇龍も13勝2敗の優勝次点。次場所も綱取りに挑みます。
安青錦は大関昇進へ。
そして、大の里は怪我から復帰し、連覇を狙います。
初場所は、まさに「頂上決戦」の様相となりそうです。
しかし、今回の大の里の休場は、相撲界にとって極めて異例の出来事でした。その意味を考えてみましょう。
千秋楽休場の異例さ―横綱同士の結びが消えた衝撃
千秋楽に横綱が休場し、横綱同士の結びの一番が消えるのは、極めて異例の事態です。しかし、これは初場所を見据えた長期的な判断として、評価すべきものでもあります。
なぜ千秋楽休場が問題なのか
大相撲では、千秋楽は特別な日です。
15日間の興行を締めくくる最終日。優勝争いの行方が決まる日。多くのファンが注目し、チケットも高値で取引されます。
特に今回は、横綱・大の里と横綱・豊昇龍の結びの一番。両者とも3敗で並んでおり、優勝争いに絡む可能性がありました。
この「横綱同士の結びの一番」が、休場によって消えてしまった。日本経済新聞の報道では「横綱同士の結びの一番が休場でなくなるのは極めて異例の事態」と指摘されています。
通常、横綱同士の結びが消えるのは、両横綱とも不在の場合や、怪我で場所前から休場している場合です。
千秋楽の朝になって、突然休場。しかも、優勝争いに絡んでいる状況で。これは、本当に珍しいケースなのです。
横綱の責任とは
横綱には、特別な責任があります。
番付の頂点に立つ存在として、どんな状況でも土俵に上がり、ファンに最高の相撲を見せる。それが横綱の務めだとされています。
しかし、怪我を抱えたまま土俵に上がることは、本当に正しいのでしょうか。
無理な出場で重症化し、長期休場を余儀なくされた横綱は、過去にも何人もいます。
大相撲界では、怪我による休場や引退が力士のキャリアに大きな影響を与えることが少なくありません。元大関・貴景勝(現湊川親方)の引退についても、こちらの記事で詳しく解説しています。
千秋楽に無理をして出場し、怪我が悪化。その結果、初場所を全休、3月場所も休場。そうなれば、横綱としての地位も危うくなります。
大の里は、初土俵から1年半で横綱に昇進した逸材です。まだ25歳。これから長く、土俵で活躍してほしい力士です。
そう考えれば、千秋楽1日を休むことで、初場所以降の土俵人生を守る。これは、長期的に見れば正しい判断だったのではないでしょうか。
ファンの反応と今後への期待
SNSでは、様々な反応がありました。
「優勝争いの千秋楽に休場なんて」という批判的な声。「怪我なら仕方ない。しっかり治してほしい」という応援の声。
どちらの気持ちも、よくわかります。
楽しみにしていた横綱同士の一番が見られなかった失望。その一方で、大の里の将来を心配する気持ち。
ファンとしては、複雑な思いを抱えたまま、九州場所が終わりました。
しかし、だからこそ、初場所への期待が高まります。
万全の状態に回復した大の里が、再び土俵に上がる姿。
そして、琴桜、豊昇龍、安青錦との熱戦。
その姿を見られることを、多くのファンが待っています。
まとめ
大の里の九州場所千秋楽休場について、重要なポイントをまとめます。
📌 怪我の詳細
- 13日目の安青錦戦で左肩鎖関節を損傷
- 14日目まで強行出場するも千秋楽は休場
- 初土俵以来、初めての休場
⏰ 回復の見通し
- 肩鎖関節損傷は回復に2週間〜3ヶ月かかる
- 冬巡業は休場の方向
- 初場所(2025年1月)には復帰できる可能性が高い
🏆 優勝争いの結果
- 琴桜が豊昇龍との相星決戦を制して初優勝(14勝1敗)
- 元横綱の祖父と同じ「琴桜」の名で51年ぶりの優勝
- 安青錦は史上最速で関脇昇進、次場所は大関取り
💭 千秋楽休場の意味
- 横綱同士の結びの一番が消えるのは極めて異例
- しかし初場所を見据えた長期的判断として評価すべき
- 無理な出場は重症化リスクが高く、横綱生命に関わる
大の里の休場は、優勝争いの千秋楽という最悪のタイミングでした。しかし、25歳の若き横綱には、まだまだ長い土俵人生があります。
今は治療に専念し、初場所で万全の姿を見せてほしい。多くのファンが、そう願っているはずです。
大の里の千秋楽休場について、どう思いますか?
「正しい判断」か「横綱として残念」か。
ぜひコメント欄で教えてください!
よくある質問(FAQ)
Q1: 大の里はいつ復帰できますか?
A: 初場所(2025年1月12日初日)には復帰できる可能性が高いです。
肩鎖関節損傷の回復期間は軽度で2〜3週間、中度で1〜2ヶ月。千秋楽休場(11月23日)から初場所まで約1ヶ月半あるため、回復期間的には十分です。ただし、冬巡業は休場して治療に専念する見通しです。
Q2: 肩鎖関節損傷とはどんな怪我ですか?
A: 鎖骨と肩甲骨をつなぐ関節の怪我で、相撲などコンタクトスポーツで多く発生します。
肩から落ちたり強打したりすることで、鎖骨と肩甲骨をつなぐ靭帯が損傷します。損傷の程度により6段階(TypeⅠ〜Ⅵ)に分類され、軽度なら固定とリハビリ、重度なら手術が必要になることもあります。
Q3: 九州場所は誰が優勝しましたか?
A: 大関・琴桜が14勝1敗で初優勝を果たしました。
千秋楽で豊昇龍との相星決戦(13勝1敗同士)を制し、初優勝。元横綱の祖父と同じ「琴桜」の名で、51年ぶりの優勝となりました。大関同士の千秋楽相星決戦は2003年以来21年ぶりの出来事でした。
Q4: 千秋楽に横綱が休場するのは珍しいですか?
A: はい、極めて異例の事態です。
特に優勝争いに絡んでいる横綱が、千秋楽の朝になって突然休場するのは非常に珍しいケースです。横綱同士の結びの一番が休場で消えることも極めて異例で、通常は場所前から休場している場合や両横綱とも不在の場合のみです。