リアルタイムニュース.com

今を逃さない。瞬間を捉える。あなたの時代を映す鏡

ノースサファリサッポロが閉園した本当の理由|川の水を無断使用で道警が捜索

2025年9月30日、札幌市南区の「ノースサファリサッポロ」が20年間の営業に幕を下ろしました。

「日本一危険な動物園」として延べ200万人が訪れた人気施設。なぜ突然閉園することになったのでしょうか。


実は、この動物園には3つもの法令違反の疑いがかけられていました。中でも最も驚くべきは「川の水を無断で使い続けていた」という事実。

 

そして2025年10月、閉園からわずか3週間後。道警が3日間にわたる大規模捜索に踏み切りました。


人気施設の裏側で何が起きていたのか。その全貌をお伝えします。


 

 

🏛️ ノースサファリサッポロが9月末に突然閉園

札幌の山あいに建つ動物園風の施設と、その横を流れる小さな川のイメージ。日本人の家族連れが動物園の看板を見上げている様子

札幌の山あいに建つ動物園風の施設と、その横を流れる小さな川のイメージ。日本人の家族連れが動物園の看板を見上げている様子





 

2025年9月30日午後5時。札幌市南区の「ノースサファリサッポロ」が完全に閉園しました。


最終日には、別れを惜しむ家族連れや観光客が詰めかけました。20年間続いた「日本一危険な動物園」としての営業が終わりを迎えたのです。


 

ノースサファリサッポロは2005年7月に開園した体験型動物園。ライオンへの餌やり、ヘビを首に巻く体験など、他の動物園ではできない「危険な」体験が話題を呼びました。


これまでに延べ200万人以上が訪れていました。HBC北海道放送の報道でも大きく取り上げられた人気施設でした。


 

 

 

動物との距離の近さが最大の特徴。ノースサファリサッポロ公式サイトでも「ふれあい体験」の豊富さを売りにしていました。


しかし、この人気施設が突然の閉園を迎えた背景には。深刻な問題が隠されていたのです。


では、なぜ人気施設が閉園に追い込まれたのでしょうか。その理由を詳しく見ていきましょう。

 

⚠️ 閉園の本当の理由は「3つの法令違反疑惑」

ノースサファリサッポロが閉園に追い込まれた理由。それは単純な経営不振ではありませんでした。


読売新聞の報道によると、運営会社「サクセス観光」には3つもの法令違反の疑いがかけられていたのです。


 

📌 3つの法令違反

1. 河川条例違反
近くを流れる川の水を無断で使用していた疑い


2. 都市計画法違反
許可を得ずに建物を建て続けていた疑い


3. 国土利用計画法違反
大規模な土地購入を届け出なかった疑い

 

実は、札幌市は2004年から2024年までの20年間に。なんと17回も行政指導を行っていました。


それでも違法状態は改善されず。事業はむしろ拡大を続けていたのです。


 

 

 

そして2025年10月23日、ついに北海道警察が動きました。閉園からわずか3週間後、運営会社の事務所や前社長の自宅など。


複数の場所で3日間にわたる大規模な家宅捜索が行われたのです。北海道新聞でも大きく報じられました。


では、具体的にどのような違反があったのでしょうか。まず最も身近で分かりやすい「川の水の無断使用」から見ていきましょう。

 

💧 川の水を無断使用してアザラシやビーバーを飼育

先ほど挙げた3つの違反の中で、最も身近で分かりやすいのが「川の水の無断使用」です。


園の近くを流れる「滝の沢川」という小さな川があります。この川に取水管を設置し、水の一部を園内に引き込んでいました。


 

引き込んだ水は。アザラシやビーバーを飼育するための池に使われていたとされています。


「川の水を使うくらい、いいんじゃないの?」と思うかもしれません。しかし、これは立派な違法行為なのです。


 

💡 普通河川とは?


滝の沢川は「普通河川」という分類で、札幌市が管理しています。川の水を私的に利用するには、管理者である札幌市長の許可が必要なのです。

 

ところが札幌市は、サクセス観光に対して一度も使用許可を出していませんでした。つまり、20年以上にわたって無断で水を使い続けていたということになります。


 

 

 

使用後の水は浄化槽を通して排水されていたようです。しかし、許可なく公共の資源を使っていた事実は変わりません。


実は、これは初めての問題ではありませんでした。Wikipediaの記録によると、2004年にも川の水を引き込む工事を無許可で行い


札幌市の指導を受けて一度は取りやめていたのです。それが再び行われていたことが、今回の捜索で明らかになりました。


川の水の問題だけではありませんでした。次は、さらに深刻な「建物の無許可建築」について見ていきましょう。

 

🏗️ 許可なく118棟もの建物を建て続けた

川の水の問題よりもさらに深刻。それが建物の無許可建築でした。


ノースサファリサッポロがある場所は「市街化調整区域」という特殊なエリア。


 

🏘️ 市街化調整区域とは?


簡単に言えば「本来、建物を建ててはいけない場所」のこと。農地や森林を守るため、住宅や商業施設の建設が原則として禁止されているのです。

 

なぜそのような場所で動物園を営業できていたのでしょうか。


答えは「無許可で建て続けていたから」です。


 

HTBの報道によると、2025年9月18日時点で。園内には118棟もの違法建築物が確認されました。


獣舎だけでなく、飲食施設や宿泊施設まで含まれています。


 

 

 

特に問題だったのは、2024年に「アザラシと共に泊まれる宿泊施設」も無許可で開設していたこと。行政指導を受けながら、新しい施設を作り続けていたのです。


運営会社の設立者・星野和生氏(当時社長)は、建設業出身でした。インタビューで彼は語っています。


「自分で建設会社をやっていたのもあって『作れるな』という感覚が大きかった」


 

⚠️ 驚きの事実

星野氏は違法であることを認識していました。「市街化調整区域に建物を建てる方々が(他にも)たくさんいた中で。そこはちょっと甘く考えていた」と述べているのです。

 

札幌市は2004年から計17回にわたって行政指導を行いました。


それでも建物は増え続け、2024年末時点では183棟にまで膨れ上がっていました。なぜ17回も指導を受けながら営業を続けられたのか。


行政の対応にも疑問が残ります。


建物の違反だけではありません。次は、2024年に発覚した「土地購入の届出懈怠」について見ていきます。

 

🏞️ 約10万㎡の土地購入も届出せず

3つ目の違反は、土地取引に関するものです。


2024年1月、サクセス観光は札幌市内の宗教法人から。約9万8000平方メートルの土地を購入しました。


 

この面積、どのくらいかイメージできますか?東京ドームが約4万7000平方メートルなので。東京ドーム約2個分という広大な土地です。


 

 

 

これほど大規模な土地取引を行う場合。「国土利用計画法」という法律により、契約後に自治体へ届け出る義務があります。


これは土地の投機的取引を防ぎ、適正な土地利用を確保するための制度です。


 

しかし、サクセス観光はこの届出を行いませんでした。


購入した土地で何をする予定だったのか。詳細は明らかになっていません。


 

閉園が決まった2025年3月より前の購入だったことから。事業拡大を計画していた可能性がありますが、詳細は不明です。


この違反も、道警の捜索対象に含まれています。


3つの法令違反が明らかになった中、道警がついに動きました。次は、10月に行われた大規模捜索の詳細を見ていきましょう。

 

🚔 道警が10月に3日間の大規模捜索を実施

2025年10月23日。閉園から3週間が経過したノースサファリサッポロに、道警の捜査車両が次々と入っていきました。


HTBの中継によると、この日の午前中から家宅捜索が始まり。3日間にわたって続けられました。


 

📅 捜索の詳細

10月23日(初日)
運営会社「サクセス観光」の事務所。2025年3月に辞任した前社長・星野和生氏の自宅。後任の目黒清志社長の自宅などが捜索されました。


10月24日(2日目)
園内の施設が重点的に捜索されました。札幌市の開発指導課や動物愛護管理センターの職員も立ち会いました。


10月25日(最終日)
捜査員が段ボール1箱を持って建物から出てきたことが確認されています。

 

 

 

容疑は、都市計画法違反、河川条例違反、国土利用計画法違反。そして動物愛護法違反です。


なぜこのタイミングで捜索が行われたのでしょうか。


 

HBCの報道によると、札幌市は2025年12月26日までに施設を全面撤去するよう運営会社に勧告していました。


建物が撤去されてしまえば。無許可開発の証拠が失われてしまいます。


 

道警は証拠保全のため、閉園を待った上で違法建築の現状を確認する必要があったのです。


💡 異例の展開


通常、警察は行政から告発を受けてから動きます。しかし今回は、札幌市の告発より前に。道警が独自に捜索に踏み切ったという異例の展開でした。それほど事態が深刻だったということでしょう。

法令違反の問題も深刻ですが。多くの人が最も心配しているのは、残された動物たちの行方です。次は、その現状を見ていきましょう。

 

🐾 残された319頭の動物たちの行方は?

法令違反の問題と並んで大きな懸念。それが残された動物たちの行方です。


ノースサファリサッポロでは、閉園時点で640頭の動物が飼育されていました。HBCの報道によると、閉園までに約半数が他の施設などに移動。


しかし、9月5日時点でまだ319頭が園内に残っていたのです。


 

 

 

内訳は以下の通りです:


  • 哺乳類:209頭
  • 鳥類:79羽
  • 爬虫類:31匹

 

⚠️ 特に問題なのが...

ライオンやトラなど「特定動物」と呼ばれる危険な動物たち。これらは約20頭残っており、人に危害を加える恐れがあるため。受け入れ先を見つけるのが非常に難しいのです。

 

閉園から1ヶ月以上が経過した現在も。これらの動物たちの多くが園内に残されたままだと考えられます。


運営会社は「時間は要するが、動物たちにできる限り負担のないように細心の注意を払い解決をする」とコメント。飼育費用は企業や個人からの寄付でまかなう計画だとしています。


 

しかし、具体的な移動先や完了時期は明らかになっていません。


UHBの報道によると、札幌市民からは「札幌市円山動物園で引き取れないか」という意見も寄せられているそうです。


 

 

 

しかし、円山動物園の担当者は「われわれの施設はこれが限界だと思っています。安易に受け入れることはできない」と回答。


動物の移転には、適切な飼育環境の確保、輸送の安全性、費用負担など。高いハードルがあるのです。


 

ライオンの餌代だけで年間35万円かかると言われています。大型猛獣を引き取るには、施設の整備費用や人件費も含めて。


莫大なコストがかかります。


違法状態で営業を続けた結果、最も大きな犠牲を強いられているのが。何の罪もない動物たちなのです。


では、ノースサファリサッポロは今後どうなるのでしょうか。再開の可能性と今後の展開を見ていきましょう。

 

🔮 再開の可能性と今後の展開

では、ノースサファリサッポロは今後どうなるのでしょうか。


運営会社は、2029年末までに施設の撤去を完了させる計画を示しています。


 

しかし札幌市は。2025年12月26日までにすべての建物を撤去するよう勧告しています。


この期限までに撤去が完了しない場合。市は「除却命令」という法的措置を出す方針を示しています。


 

除却命令が出されても従わない場合は。さらに刑事告発に踏み切る可能性があります。


⏰ 撤去完了時期のズレ

運営会社側と札幌市の間には。撤去完了時期に4年近いズレがあるのです。

 

また、運営会社は国や札幌市から合わせて約6700万円の補助金を受給していました。しかし都市計画法違反にあたるとして交付が取り消され。


全額返還を求められています。


 

 

 

道警の捜索で押収された資料をもとに。刑事事件として立件されるかどうかが今後の焦点になります。


再開の可能性については、極めて低いと言わざるを得ません。


 

3つの法令違反、刑事捜査の対象、多額の補助金返還。そして何より市街化調整区域という立地の制約。


これらの問題をすべてクリアして再び営業許可を得ることは。現実的に不可能でしょう。


 

2025年3月、代表取締役だった星野和生氏は辞任。園長だった目黒清志氏が後任に就任しました。


目黒氏は「動物たちの移動と撤去まで責任をもって実行する」としていますが。課題は山積しています。


 

20年間にわたって札幌の観光スポットとして親しまれてきた施設の終焉。それは地域経済にも影響を与えています。


周辺の飲食店や宿泊施設、従業員の雇用など。閉園による影響は広範囲に及んでいます。


 


 

📝 まとめ:法令違反の上に成り立っていた「人気施設」の終焉

ノースサファリサッポロの閉園問題のポイントをまとめます:


 

  • 2025年9月30日に閉園:20年間で延べ200万人が訪れた「日本一危険な動物園」が営業終了


  • 3つの法令違反:河川条例違反(川の水の無断使用)、都市計画法違反(118棟の無許可建築)、国土利用計画法違反(土地購入の届出懈怠)


  • 20年間で17回の行政指導:札幌市の指導を受けながらも違法状態が継続・拡大


  • 道警が3日間の捜索:2025年10月23-25日に大規模な家宅捜索を実施


  • 319頭の動物が残留:ライオンやトラなど約20頭の特定動物を含む動物たちの移動先が未定


  • 再開の可能性は極めて低い:複数の法的問題と刑事捜査により、営業再開は困難

 

 

 

「人気があれば法令違反も許される」という状況が。20年間も続いてきたことに驚きを感じた方も多いのではないでしょうか。


行政指導を17回も受けながら営業を続けられたという事実。それは日本の行政システムの課題も浮き彫りにしています。


 

そして今、最も心配なのは残された319頭の動物たち。人間の都合で連れてこられ、人間の都合で行き場を失った彼らが。


一日も早く安全な環境で暮らせることを願うばかりです。


 

観光と法令遵守のバランス、動物福祉の在り方、行政対応の実効性。ノースサファリサッポロの問題は、私たちに多くの課題を投げかけています。


 


 

❓ よくある質問(FAQ)

Q1: ノースサファリサッポロはなぜ閉園したのですか?

札幌市南区の「ノースサファリサッポロ」は、川の水の無断使用、118棟の無許可建築。土地購入の届出懈怠という3つの法令違反により、2025年9月30日に閉園しました。


札幌市から20年間で17回の行政指導を受けても改善されず。最終的に道警の捜索を受けるに至りました。


Q2: 残された動物たちはどうなりますか?

閉園時に640頭いた動物のうち。約半数の319頭が園内に残されています。


ライオンやトラなど約20頭の特定動物を含み。受け入れ先の確保が困難な状況です。


運営会社は「動物の福祉を最優先にする」としていますが。具体的な移動先や時期は明らかになっていません。


Q3: 川の水を無断使用していたとは具体的にどういうことですか?

園の近くを流れる「滝の沢川」に取水管を設置。アザラシやビーバー飼育用の池に水を引き込んでいました。


普通河川の水を私的利用するには札幌市長の許可が必要です。しかし一度も許可を得ておらず、20年以上にわたって無断使用を続けていたことが発覚しました。


Q4: なぜ20年間も違法営業を続けられたのですか?

札幌市は2004年から2024年まで計17回の行政指導を行いました。しかし運営会社は改善せず事業を拡大し続けました。


市街化調整区域での無許可建築という違法状態を知りながら。「他にも建てている人がいた」と甘く考えていたと前社長が語っています。


行政対応の限界が問題となっています。


Q5: 道警の捜索はいつ行われましたか?

2025年10月23日から25日まで3日間にわたり。運営会社の事務所、前社長・現社長の自宅、園内施設などが捜索されました。


都市計画法違反、河川条例違反、国土利用計画法違反、動物愛護法違反の容疑で。札幌市の告発前に道警が独自に捜索に踏み切った異例の展開でした。


Q6: ノースサファリサッポロは再開する可能性がありますか?

再開の可能性は極めて低いと考えられます。3つの法令違反、刑事捜査の対象、約6700万円の補助金返還要求。


市街化調整区域という立地制約など。複数の法的問題をクリアして営業許可を得ることは現実的に不可能な状況です。


 


 

📚 参考文献

 

プライバシーポリシー / 運営者情報 / お問い合わせ