2025年10月14日、くら寿司が公式サイトで緊急声明を発表しました。山形南館店で発生した迷惑行為について、実行者を既に特定し、警察に相談しながら対応を進めているとのこと。
動画には女子高生とみられる人物がレーン上の寿司を素手で触ったり、醤油差しから直接口に流し込んだりする様子が記録されていました。
SNSで瞬く間に拡散され、「またか」「スシロー事件を忘れたのか」と怒りの声が殺到しています。
過去のスシロー「ペロペロ少年」事件(日本経済新聞)では、約6700万円という衝撃的な損害賠償請求がありました。今回の事件では、実行者にどんな責任が問われるのでしょうか。
詳しく見ていきます。
⚡ この事件のポイント
✅ 実行者は既に特定済みで警察も動いている
✅ レーン上の寿司を素手で触り、醤油差しから直飲み
✅ 過去のスシロー事件では6700万円の請求も
✅ AI監視カメラが全店舗で稼働中
📋 この記事でわかること

🍣 くら寿司で何があった?迷惑動画の全容
レーン上の寿司を素手で触り、醤油差しから直飲み
週刊女性PRIMEの報道によると、動画には女子高生と見られる制服姿の女性が、回転レーンを流れる寿司を素手で触る様子が映っていました。
しかも、一度触った寿司をそのままレーンに戻したり、卓上の醤油差しを直接口に流し込んだりする行為も確認されています。
他の客が食べるはずだった寿司に触り、みんなが使う調味料を直接口につける。想像するだけで不快感を覚える内容です。
SNS拡散の流れ:BeReal→X→TikTok
この動画は最初、「BeReal(ビーリアル)」という若者向けSNSに投稿されました。
BeRealは位置情報を付けて投稿できる機能があり、The Audienceの報道によると今回は「山形市、高堂」という地名がはっきりと記録されていたのです。
その後、動画はX(旧Twitter)やTikTokにも転載され、暴露系配信者のコレコレ氏の配信でも取り上げられたことで拡散が一気に加速しました。
再生回数は数万回を超え、コメント欄は「またか」「スシロー事件の再来」「親の教育はどうなってる?」といった厳しい意見で埋め尽くされています。
実は、ラーメン店でも迷惑行為を撮影
週刊女性PRIMEの報道では、この女子高校生と見られる女性らの迷惑行為はくら寿司だけにとどまらなかったことも明らかになっています。
ラーメン店で素手でラーメンを食べる動画も拡散されていたのです。
面白半分で行っていたのでしょうが、歯止めが利かなくなっていた可能性があります。
💡 実は、AI監視システムが既に稼働していた
くら寿司には既にAI監視カメラシステムが設置されていました。くら寿司の公式発表によると、2023年3月2日から全店舗で「新AIカメラシステム」が導入されています。
つまり、今回の迷惑行為も、システムによって検知されていた可能性が高いのです。
それでも迷惑行為は止められませんでした。技術だけでは限界があるということでしょう。
👤 実行者は誰?くら寿司の迅速な特定対応
くら寿司「実行者は既に特定済み」
くら寿司は10月14日に公式サイトで発表した声明の中で、「実行者についてはすでに特定しており、地元警察に相談しながら対応を進めてまいります」と明言しています。
企業側の対応は非常に迅速でした。
動画が拡散された直後から、店舗の特定、防犯カメラの映像確認、実行者の特定まで、素早く進められたようです。
ネット上では個人特定の動きも
一方、SNS上では「特定班」と呼ばれる人たちが、動画から実行者の個人情報を特定しようとする動きも見られました。
The Audienceの報道によると、制服のデザインや位置情報から学校名が推測され、さらには氏名、住所、インスタグラムアカウント情報までもが拡散されているとのことです。
しかし、これらの情報は未確認のものが多く、誤情報のリスクが高いのが現実です。
誤特定のリスクと二次被害
過去の類似事件では、無関係の人物が巻き込まれ、自宅への嫌がらせや学校への抗議電話が相次いだ事例があります。
実は、個人情報を拡散する行為自体が名誉毀損罪やプライバシー侵害に問われる可能性もあるのです。
「正義感」のつもりでも、誤った情報を拡散すれば、無関係な人の人生を破壊してしまうかもしれません。
公式の発表を待つことが大切です。
🤖 くら寿司の対応は?AI監視カメラの実力
即座にレーン商品を全入れ替え
くら寿司は動画に気づいた時点で、レーンに流れている商品を全て入れ替える対応を取りました。
「もしかしたら触られた寿司が混ざっているかもしれない」という不安を完全に取り除くための措置です。
また、しょうゆなど卓上の調味料は、普段から客が入れ替わるたびに交換し、容器を消毒しているとのこと。
衛生管理には万全を期しているということですね。
AI監視カメラシステムの仕組み
🔍 実は、座席番号まで特定できる高性能システム
くら寿司のAIカメラは、迷惑行為をした人の座席番号まで正確に特定できる仕組みになっています。
日本経済新聞の報道によると、仕組みはこうです。
①AIカメラが監視
レーン上部に設置されたカメラが、寿司を覆う「抗菌寿司カバー」の動きを24時間監視しています。
②異常を検知
一度取った皿をレーンに戻すなど、不審な動きをAIが自動で検知します。
③本部にアラート
異常を検知すると、埼玉県と大阪府にある本部のタブレット端末に即座に警告が表示されます。
④店舗に連絡
本部には常時6〜7人の担当者がおり、該当した客を店内の防犯カメラの映像から確認。悪質な行為と判断すれば、すぐに店舗に電話して対応を指示します。
店舗名だけでなく、皿番号や座席番号まで分かるので、ピンポイントで対応できるのが特徴です。
警察への通報も視野に
場合によっては、速やかに警察へ通報することも可能な体制になっています。
「店舗遠隔支援システム」を活用することで、迷惑行為発生時の録画映像や対応中の店舗の様子も本部で確認できるからです。
つまり、迷惑行為をした瞬間から、全ての行動が記録されているということ。
「バレないだろう」という考えは、完全に間違っているのです。
⚖️ 法的責任はどうなる?スシロー事件との比較
スシロー事件:6700万円請求→調停成立
過去のスシロー「ペロペロ少年」事件(日本経済新聞)では、衝撃的な展開がありました。
2023年1月、岐阜県のスシロー店舗で、当時17歳の少年が醤油差しの注ぎ口や湯飲みを舐める動画が拡散。
この一件で親会社の株価が一時160億円以上下落し、スシローの運営会社は少年に対して約6700万円の損害賠償を求めて提訴しました。
💰 6700万円ってどれくらい?
親が一生働いても払いきれないかもしれない金額です。
新卒の平均年収が約250万円として、税金を考えずに計算しても約27年分の年収に相当します。
しかし、2023年7月31日付で調停が成立し、訴えは取り下げられました。
スシロー側は「先方に責任を認めていただき、納得のできる相応の内容で和解した」とコメントしています。
具体的な金額は明らかにされていませんが、実際に支払われた金額は6700万円よりは少なかったと見られています。
ただし、少年は家庭裁判所に送致されており、刑事面での責任も問われました。
また、高校を自主退学し、氏名や画像も拡散されてしまい、社会的な制裁も十分に受けているという声もありました。
刑事責任:偽計業務妨害罪や器物損壊罪
迷惑行為は、刑事責任も問われる可能性があります。
偽計業務妨害罪
お店の営業を邪魔する犯罪です。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
器物損壊罪
醤油差しや寿司など、他人の物を汚したり壊したりする犯罪です。罰則は3年以下の懲役または30万円以下の罰金。
未成年であっても、14歳以上であれば刑事責任を問われる可能性があります。
民事責任:損害賠償の範囲
民事面では、お店に与えた損害を弁償しなければなりません。
ゴールドオンラインの弁護士解説によると、損害賠償の範囲として認められる可能性があるのは以下のようなものです。
- 醤油ボトルや湯飲みなどの備品を取り換える費用
- 店内の設備の大規模な清掃にかかった費用
- 一時的な売上の減少
- 企業イメージの低下による損害
ただし、「その行為から通常生じる損害」に限られます。
例えば、スシローの株価下落160億円が全て少年の責任かというと、それは証明が難しいでしょう。同業他社との競争など、他の要因も考えられるからです。
実は、自己破産しても逃げられない
破産法253条1項2号では、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は免責されないと定められています。
ここでの「悪意」とは、単なる「わざと」を超えて、「積極的に害を与えようとする意図」のことです。
醤油ボトルを舐めたり、寿司につばをつけて、さらにそれを撮影してSNSで拡散する行為は、お店に損害を与えることを認識し、積極的にこれを容認していると判断される可能性が十分あります。
つまり、「一生かかって払い続けなければいけないお金」になるかもしれないのです。
未成年の場合は保護者が責任を負う可能性も
実行者が未成年の場合、保護者が代わりに賠償責任を負う可能性もあります。
民法714条では、責任能力のない未成年者が他人に損害を与えた場合、監督義務者である親が責任を負うと定められています。
また、責任能力がある未成年者(一般的には12〜13歳以上)でも、監督義務者である親に監督義務違反があれば、親も責任を問われる可能性があります。
「子どもがやったこと」では済まされないのです。
🔄 なぜ繰り返される?迷惑動画が消えない理由
SNS承認欲求:「バズりたい」「注目されたい」
週刊女性PRIMEの報道によると、今回の事件でも、実行者は「面白半分で行っていた」と見られています。
SNSで注目を集めたい、フォロワーを増やしたい、「いいね」をもらいたい。
そんな承認欲求が、モラルを上回ってしまうのです。
「友達がウケるかも」「バズるかも」という軽い気持ちが、取り返しのつかない結果を招きます。
実は、過去の教訓が次世代に伝わっていない
実は、約10年前にも同じような迷惑行為が相次いでいました。「バカッター」と呼ばれた騒動です。
東洋経済オンラインの記事では、専門家がこう指摘しています。
「世代交代」により、過去の炎上事例の教訓が次世代に共有されていないのではないか、と。
当時の事件を知らない若い世代が、また同じことを繰り返してしまう。
スシローの6700万円請求という衝撃的なニュースがあったにもかかわらず、まだ模倣犯が出てくるのです。
情報は拡散されても、「自分は大丈夫」「そこまで大事にはならないだろう」という甘い考えが消えません。
ネットリテラシーの低さ
BeRealに位置情報を付けて投稿したことが、今回の店舗特定につながりました。
「限られた友達にしか見せないから大丈夫」と思っていたのかもしれません。
しかし、一度ネットに上げた情報は、あっという間に拡散されます。
スクリーンショットを撮られ、別のSNSに転載され、永遠に消えない「デジタルタトゥー」として残ってしまうのです。
セルフサービス型店舗の構造的問題
ITmediaの記事では、専門家が「機械化の悪い面が露呈した」と指摘しています。
回転寿司のようなセルフサービス型店舗は、効率化のために従業員の目が届きにくい構造になっています。
「誰も見ていない」という錯覚が、悪ふざけを誘発してしまう環境なのです。
AI監視カメラはその対策として導入されましたが、それでも完全には防げません。
技術だけでは解決できない、人間のモラルの問題なのです。
🎯 繰り返される理由のまとめ
- SNS承認欲求:「バズりたい」気持ちがモラルを超える
- 世代交代:過去の教訓が次世代に伝わっていない
- ネットリテラシー:デジタルタトゥーのリスク認識不足
- 構造的問題:セルフサービス型の「誰も見ていない」錯覚
📝 まとめ:「ちょっとした悪ふざけ」が人生を左右する
2025年10月のくら寿司山形南館店での迷惑動画事件について見てきました。
重要なポイントをまとめます。
- 実行者は既に特定済み:くら寿司は迅速に対応し、警察にも相談している
- AI監視カメラが稼働中:座席番号まで特定できる高性能システムが全店舗に導入済み
- 過去には6700万円の請求も:スシロー事件では高額な損害賠償請求があった(その後調停成立)
- 自己破産でも逃げられない:悪質な迷惑行為による損害賠償は免責されない可能性がある
- 教訓が伝わっていない:世代交代により、過去の炎上事例から学べていない
「ちょっとした悪ふざけ」のつもりが、人生を左右する大きな代償になる可能性があります。
SNSでの承認欲求と引き換えに失うものは、想像以上に大きいのです。
くら寿司のようにAI監視システムを導入しても、完全には防げません。
最終的には、私たち一人ひとりのモラルと判断にかかっています。
「バズりたい」「注目されたい」という気持ちは理解できます。
でも、その方法を間違えると、取り返しのつかないことになる。
動画を撮る前に、「これを自分の親に見せられるか?」と一度考えてみてください。
それが、自分の人生を守る第一歩になるはずです。
あなたは、今回の事件についてどう思いますか?
SNSでの承認欲求と迷惑行為について、考えるきっかけになれば幸いです。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. くら寿司で何があったの?
2025年10月、くら寿司山形南館店で女子高生とみられる人物がレーン上の寿司を素手で触り、醤油差しから直接口に流し込む動画がSNSで拡散されました。実行者は既に特定され、警察への相談も進んでいます。
Q2. 迷惑行為をするとどうなる?
刑事面では偽計業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)、民事面では損害賠償請求の可能性があります。過去のスシロー事件では約6700万円の請求がありました。また、自己破産しても免責されない可能性があります。
Q3. くら寿司のAI監視システムってどんな仕組み?
レーン上部のAIカメラが寿司カバーの不審な動きを24時間監視し、異常を検知すると本部にアラートが送られます。座席番号まで特定でき、本部から即座に店舗へ連絡・対応指示が出る高性能システムです。2023年3月から全店舗で稼働しています。
Q4. なぜ迷惑動画は繰り返されるの?
SNSでの承認欲求、過去の教訓が次世代に伝わっていない「世代交代」問題、ネットリテラシーの低さ、セルフサービス型店舗の構造的問題などが理由として挙げられています。専門家は「誰も見ていない」という錯覚と「バズりたい」欲求が交わる場所が飲食店だと指摘しています。
📚 参考文献
- 週刊女性PRIME - くら寿司迷惑行為詳細
- 日本経済新聞 - スシロー事件調停成立
- くら寿司公式 - 新AIカメラシステム
- 日本経済新聞 - くら寿司AI監視システム導入
- ゴールドオンライン - 法的責任解説
- 弁護士ドットコム - 非免責債権について
- 東洋経済オンライン - 世代交代問題
- ITmedia - 専門家見解
- The Audience - 店舗特定経緯