2025年10月13日、東京・歌舞伎町で14歳の女子中学生が転落死する事故が起きました。
警察の発表によると、この少女はオーバードーズ(薬の過剰摂取)の状態だったとされています。
📊 実は今、高校生の約60人に1人、つまりクラスを2つ合わせたら1人が市販薬のオーバードーズを経験しているというデータがあります。
これは決して他人事ではありません。
あなたの周りにも、助けを必要としている人がいるかもしれません。この記事では、オーバードーズとは何か、なぜ若者が薬に手を出してしまうのか、そして今すぐ相談できる窓口について、分かりやすくお伝えします。

📖 この記事でわかること
📰 歌舞伎町で起きた事件の概要
2025年10月13日の午後5時40分頃、東京・新宿区歌舞伎町2丁目で、14歳の女子中学生がビルの階段から転落して死亡する事故が発生しました。
警視庁新宿署の発表によると、少女は自ら飛び降りたとみられ、オーバードーズ(薬の過剰摂取)の状態だった可能性があるとのことです。
転落時、下にいた20代の男性が巻き込まれて頭を打つなどのけがをしましたが、命に別条はありません。
少女は歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる場所に出入りしていたことが確認されています。警視庁は、スマートフォンを解析するなどして詳しい経緯を調べています。
この事件は、今若者の間で深刻化しているオーバードーズ問題を象徴する出来事として注目されています。
💭 では、そもそもオーバードーズとは何なのでしょうか?次のセクションで詳しく見ていきましょう。
💊 オーバードーズとは?その危険性
オーバードーズ(Overdose、略してOD)とは、薬を決められた量以上に大量に飲むことです。
最近では、風邪薬や咳止め薬などの市販薬を、病気を治すためではなく「嫌なことを忘れたい」「気分を変えたい」という理由で大量に飲む若者が増えています。
🚨 実は、市販薬でもこんなに危険
「市販薬なら安全」と思っている人もいるかもしれません。
でも実は、市販薬は違法薬物より危険な面もあるんです。
国立精神・神経医療研究センターの調査によると、過去1年以内に市販薬のオーバードーズを経験した高校生は約60人に1人。これは、クラスを2つ合わせたら1人いる計算です。
⚠️ どんな症状が出るのか
オーバードーズをすると、次のような症状が現れます:
- 眠気や疲労感がなくなる
- 気分が落ち着いたり、高揚したりする
- 意識がもうろうとする
- 吐き気や嘔吐
- めまいや頭痛
でも、これらは一時的なものです。
実際には、体の中では深刻なことが起きています。
☠️ 命に関わる危険性
市販薬には様々な成分が入っています。例えば、風邪薬にはカフェインが入っていますが、大量に摂取すると心臓の鼓動が乱れて不整脈を起こし、最悪の場合死亡することがあります。
また、解熱剤のアセトアミノフェンを大量に飲むと、肝臓が壊死して死に至ることもあります。
厚生労働省の報告では、オーバードーズにより急性中毒で救急搬送される人が年々増加しているとされています。
⚡ 依存症になる危険
さらに怖いのは、繰り返し使う中で同じ量では効かなくなり、どんどん使う量が増えてしまうこと(耐性)です。最終的には、やめたくてもやめられない依存症の状態になってしまいます。
実際、精神科医療施設における調査では、2012年から2020年にかけて、市販薬を主な薬物とする依存症患者が約6倍に増加しています。
💭 なぜこれほど多くの若者がオーバードーズに走ってしまうのでしょうか?その背景を見ていきましょう。
😢 なぜ若者がオーバードーズに走るのか
では、なぜ10代の若者たちが薬に手を出してしまうのでしょうか。
💬 実は「助けて」のサイン
オーバードーズをしてしまう若者の多くは、決して「悪いこと」をしたいわけではありません。
- いじめを受けている
- 親との関係がうまくいかない
- 学校で孤立している
- 将来への不安が強い
こうした「つらい気持ち」から逃れたくて、薬に頼ってしまうのです。
犯罪心理学者の調査によると、若者がオーバードーズに走る背景には、家庭や学校で感じている「孤独感や強いストレス」があり、気分を変えるための手段として選んでしまう傾向があるとされています。
🏪 「市販薬だから大丈夫」という誤解
若者がオーバードーズに走るもう一つの理由は、手に入れやすさです。
違法薬物と違って、市販薬は薬局やドラッグストアで誰でも買えます。インターネットでも簡単に購入できてしまいます。
「市販薬だから違法じゃない」「捕まらない」という自己正当化もしやすいのです。
📈 ドラッグストアが増えた背景
実は、2009年の薬事法改正以降、ドラッグストアチェーンの大規模展開が始まりました。
💡 現在、国内のドラッグストアチェーン業界の市場規模は8兆円を超えるほどになっています。
街を歩けばすぐにドラッグストアがある。この「アクセスのしやすさ」が、若者のオーバードーズ増加の一因になっているのです。
📱 SNSでの情報拡散
もう一つ見逃せないのが、SNSの影響です。
「ODしたら楽しくなった」「つらい気持ちがODで和らいだ」といった投稿を見て、興味を持ってしまう若者がいます。
また、「めじOD」「レタス追い焚き」といった隠語を使って、オーバードーズの情報が若者の間で共有されています。
でも、これらの投稿には「その後どうなったか」は書かれていません。
一時的に楽になっても、依存症になったり、最悪の場合命を落としたりする危険性があることは伝わっていないのです。
💭 事件の少女が出入りしていた「トー横」とは、どんな場所なのでしょうか?
🏙️ トー横に若者が集まる理由
事件のあった少女が出入りしていたという「トー横」。これはどんな場所なのでしょうか。
📍 トー横とは
トー横とは、東京・新宿区歌舞伎町にある「新宿東宝ビル(TOHOシネマズ新宿)」の横にあるシネシティ広場周辺のことです。
「東宝ビルの横」を略して「トー横」と呼ばれています。
📅 2019年頃から若者が集まり始めた
メディアの報道によると、トー横に未成年者が目立ち始めたのは2019年秋頃からです。
最初は、SNSで知り合った若者たちがオフ会の待ち合わせ場所として使っていました。
それが次第に、歌舞伎町で遊ぶ前の集合場所となり、やがて居場所のない若者たちが集まる場所になっていったのです。
🤝 なぜトー横に集まるのか
家にも学校にも居場所がない。
そんな若者たちがトー横に集まる理由は、「匿名性が担保される」ことにあります。
学校では、自分の名前や学力、家庭環境などがすべて知られてしまいます。でもトー横では、自分が誰なのか、何をしているのかを他人に伝える必要がありません。
専門家の分析によると、「自分が誰か知られてしまうリスク」がないことが、若者にとっての居心地の良さにつながっているとされています。
同じような境遇の仲間と出会い、「ここなら自分でいられる」と感じられる場所。それがトー横なのです。
⚠️ トー横の問題点
でも、トー横は決して安全な場所ではありません。
報道によると、トー横では以下のような問題が起きています:
- オーバードーズによる転落事故
- 未成年への性的被害
- 暴力事件
- 違法薬物の売買
居場所を求めて集まった若者たちが、かえって危険に巻き込まれてしまう。それがトー横の現実です。
💚 でも大丈夫。今すぐ相談できる窓口があります。次のセクションで詳しく紹介します。
☎️ 今すぐ相談できる窓口一覧
もしあなた自身がオーバードーズをしていたり、身近な人がオーバードーズをしていたりする場合、どこに相談すればいいのでしょうか。
実は、24時間無料で相談できる窓口があります。
📞 電話で相談できる窓口
📞 よりそいホットライン
- 電話番号:0120-279-338(フリーダイヤル・無料)
- 受付時間:24時間365日
- どんな悩みにもよりそって、一緒に解決方法を探してくれます
📞 24時間子供SOSダイヤル
- 電話番号:0120-0-78310(なやみいおう)
- 受付時間:24時間365日
- いじめや虐待など、子どもの人権問題に関する相談ができます
💬 LINEやチャットで相談できる窓口
電話は苦手という人も多いですよね。そんな人には、LINEやチャットでの相談がおすすめです。
💬 若者メンタルサポート協会
- 方法:LINE相談
- 対象:10代専門
- 時間:24時間365日受付
- 公式サイト
💬 あなたのいばしょ
- 方法:チャット相談
- 対象:年齢や性別を問わず誰でも
- 時間:24時間365日
- 匿名で利用できます
✅ 大切なこと
これらの相談窓口は:
- すべて無料です
- 秘密は絶対に守られます
- 匿名でも相談できます
「相談したら怒られるかも」「親に連絡されるかも」と心配する人もいるかもしれません。
でも大丈夫です。相談員は、あなたの話を否定せずに聞いてくれます。あなたの同意なしに、勝手に誰かに連絡することもありません。
一人で抱え込まず、まずは話してみることが大切です。
💭 もし身近な人がオーバードーズをしていたら、どうすればいいのでしょうか?
🤲 家族や友人ができること
もし身近な人がオーバードーズをしていたら、どうすればいいのでしょうか。
❌ まず大切なこと:頭ごなしに否定しない
「なんでそんなことするの!」「すぐにやめなさい!」
そう言いたくなる気持ちは分かります。
でも、専門家の助言によると、オーバードーズを頭ごなしに否定したり、力ずくで薬を取り上げたりすることは、かえって状況を悪化させる可能性があるとされています。
なぜなら、オーバードーズは本人にとって「生きていくために必要な手段」になっているからです。
💚 「辛かったんだね」と寄り添う
まずは、オーバードーズをしてしまうほど追い詰められていた気持ちを受け止めてあげることが大切です。
💬 「辛かったんだね」
💬 「しんどかったんじゃない?」
こうした声かけから始めてみてください。
👨⚕️ 専門家に相談する
家族だけ、友人だけで解決しようとすると、負担が大きくなってしまいます。
東京都の支援情報では、以下のような専門機関に相談することが推奨されています:
- 各都道府県の精神保健福祉センター
- 薬物依存症の治療を行う医療機関
- 依存症の家族会や自助グループ
これらの専門機関では、本人だけでなく家族の相談も受け付けています。
「自分の育て方が悪かったのでは」と自分を責めている家族も少なくありません。でも、家族にも家族のための支援が必要です。
📅 「今日1日」という考え方
依存症の自助グループには「今日1日」という考え方があります。
これから先ずっとやめられるかどうかは分からないけれど、「今日だけは使わないでいよう」という考え方です。
この1日、1日の積み重ねが、1週間、1か月、1年と薬を使わない時間を延ばしていきます。
🚨 緊急時の対応
もし意識がない、呼吸が苦しそうなど、命に関わる状況の場合は、すぐに119番(救急車)を呼んでください。
薬のシートや空き箱が残っていたら取っておいて、救急隊員に渡してください。何の薬を飲んだか分かると、治療がスムーズになります。
📝 まとめ
この記事でお伝えした重要なポイント:
- オーバードーズは身近な問題:高校生の約60人に1人(2クラスに1人)が市販薬のオーバードーズを経験している
- 市販薬でも命に関わる:肝障害や心肺停止など、深刻な健康被害や死亡のリスクがある
- 「助けて」のサイン:オーバードーズをしてしまう背景には、孤独やストレス、居場所の喪失がある
- 24時間相談できる:よりそいホットライン(0120-279-338)など、無料で匿名で相談できる窓口がある
- 頭ごなしに否定しない:身近な人がオーバードーズをしていたら、まず「辛かったんだね」と寄り添い、専門家に相談する
歌舞伎町で起きた事件は、決して特殊なケースではありません。
あなたの周りにも、今まさに「助けて」と言えずに苦しんでいる人がいるかもしれません。
もしあなた自身がオーバードーズをしているなら、またはその誘惑にかられているなら、どうか一人で抱え込まないでください。
あなたの辛さを受け止めてくれる人がいます。今すぐ相談できる窓口があります。
そして、もし身近な人がオーバードーズをしているなら、「辛かったんだね」と寄り添ってあげてください。
オーバードーズは「助けて」のサインです。
この記事が、誰かの命を救うきっかけになることを願っています。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: オーバードーズとは何ですか?
薬を決められた量以上に大量に飲むことで、最近では市販薬を「嫌なことを忘れたい」という理由で過剰摂取する若者が増えています。高校生の60人に1人が経験しているという調査結果があります。
Q2: オーバードーズの危険性は?
市販薬でも肝障害、心肺停止、死亡のリスクがあります。特に風邪薬のカフェインによる不整脈や、解熱剤による肝臓壊死など、命に関わる深刻な健康被害が起こる可能性があります。
Q3: なぜ若者がオーバードーズに走るのですか?
いじめ、親との関係悪化、学校での孤立、将来への不安など、「つらい気持ち」から逃れたくて薬に頼ってしまうケースが多いです。市販薬の入手しやすさやSNSでの情報拡散も背景にあります。
Q4: トー横とは何ですか?
新宿歌舞伎町の東宝ビル横にある広場周辺で、家庭や学校に居場所がない若者が「匿名性が担保される場所」として集まるようになった場所です。2019年秋頃から未成年者が目立ち始めました。
Q5: 今すぐ相談できる窓口はありますか?
よりそいホットライン(0120-279-338)、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)など、24時間無料で相談できる窓口があります。LINEやチャットでの相談も可能で、すべて匿名で利用できます。
Q6: 身近な人がオーバードーズをしていたらどうすればいいですか?
頭ごなしに否定せず、まず「辛かったんだね」と寄り添うことが大切です。家族だけで解決しようとせず、精神保健福祉センターなどの専門機関に相談することが推奨されています。
📚 参考文献