2025年12月3日、奈良県斑鳩町で79歳の男性が逮捕されました。
近隣に住む50代女性に対して2年以上にわたり「殺すぞ」「家燃やすぞ」といった暴言を繰り返し、女性をうつ状態に追い込んだとされています。
「暴言だけで逮捕されるの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、事件の詳細と、なぜ言葉の暴力が「傷害罪」になるのかを分かりやすく解説します。

📋 この記事でわかること
「家燃やすぞ」「殺すぞ」2年以上の暴言で逮捕された79歳男性とは
奈良県斑鳩町に住む無職の畑野皎洋容疑者(79歳)が、近隣住民への暴言で傷害容疑で逮捕・送検されました。
日テレNEWS NNNの報道によると、畑野容疑者は2023年から2025年9月までの2年以上にわたり、近所に住む50代の女性やその家族に暴言を吐き続けました。
その結果、女性をうつ状態にさせた疑いが持たれています。
被害女性が録音していた音声には、畑野容疑者が女性に向かって発した言葉が記録されていました。
- 「はよ出て行けよ」
- 「殺すぞ」
- 「家燃やすぞ」
- 「アホ嫁」
こうした暴言を、顔を合わせるたびに浴びせていたといいます。
畑野容疑者は警察の調べに対し、「事実については意味が分かりません」と容疑を否認しています。
では、被害を受けた女性は、どのような日々を過ごしていたのでしょうか。
被害女性の壮絶な2年間――1日30回の暴言と監視
単に暴言を吐かれるだけではありません。
畑野容疑者は女性を「見張る」ようになり、姿を見つけては暴言を浴びせるという行動をとっていたといいます。
「ずっと、見ている感じ。監視しているというか、2階からカメラで撮っているときもあった」
――被害女性の証言
さらに、何者かによって女性の悪口が書かれた紙がポストに入れられたり、敷地内に置かれていたりすることもあったそうです。
女性は警察に何度も相談しました。
警察も畑野容疑者に嫌がらせをやめるよう繰り返し勧告しましたが、暴言は止まりませんでした。
その結果、女性の心身には深刻な影響が出始めます。
- 「"人が怖い"というのは初めてだった」
- 微熱が止まらない
- 幻聴が聞こえる
- 勝手に涙が出る
2025年10月、女性は病院を受診し、「うつ状態」との診断を受けました。
ここで気になるのは、なぜ畑野容疑者は暴言を吐くようになったのか、という点です。
26年の隣人関係が崩壊した"きっかけ"は不明
女性は26年前に現在の家に引っ越してきました。
当初、畑野容疑者とは家族ぐるみの付き合いがあったといいます。
しかし、13年ほど前から状況が一変します。
顔を合わせるたびに暴言を吐かれるようになったのです。
その後、暴言は徐々にエスカレート。
2023年からは女性を見張り、姿を見つけては暴言を浴びせるようになりました。
なぜ急に態度が変わったのか。
被害女性にも、その理由は分かっていません。
「本当に何も分からない、原因は。奥さん亡くなられて(それ以降)お付き合いない。挨拶もしてません」
――被害女性の証言
畑野容疑者の奥さんが亡くなった時期と、暴言が始まった時期に関連があるのかもしれません。
しかし、これはあくまで被害女性の推測であり、真相は分かっていません。
ここまで読んで、「暴言だけで傷害罪になるの?」と疑問に思った方も多いでしょう。
次のセクションで詳しく解説します。
「殴っていない」のに傷害罪が成立する理由
「傷害罪」と聞くと、殴る・蹴るといった物理的な暴力をイメージする人が多いでしょう。
しかし法律上、傷害罪の「傷害」とは「人の生理的機能に障害を与えること」を指します。
体のケガだけでなく、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)といった精神疾患も「傷害」に含まれるのです。
法律の専門家による解説でも、言葉による精神的な攻撃が傷害罪の実行行為と認められる場合があると説明されています。
ただし、暴言を吐いたからといって、すぐに傷害罪が成立するわけではありません。
傷害罪が認められるためには、いくつかの条件があります。
- 被害者に実際に精神疾患などの「傷害」が生じていること
- その傷害が加害者の行為によって引き起こされたという因果関係が証明できること
- 暴言の内容・期間・頻度などが記録として残っていること
今回の事件では、被害女性が暴言を録音して証拠を残していました。
また、病院で「うつ状態」との診断を受けたことで、傷害の事実が医学的に証明されました。
これらの証拠があったからこそ、警察は「傷害罪」での逮捕に踏み切れたと考えられます。
では、もし自分が同じような被害に遭ったら、どうすればいいのでしょうか。
近隣トラブルで身を守るための3つの対策
1. 証拠を残す
今回の事件で被害女性が逮捕につなげられた最大の要因は、暴言を録音していたことです。
いつ、どこで、どんな言葉を言われたのか。
スマートフォンの録音機能でも構いません。
日時とともに記録を残しておくことが、後々の大きな助けになります。
2. 警察に相談する
「暴言くらいで警察に相談していいの?」と思うかもしれません。
緊急ではない相談は、110番ではなく警察相談ダイヤル「#9110」を利用できます。
今回の事件でも、被害女性は警察に何度も相談していました。
相談の記録が残ることで、警察も継続的に状況を把握できます。
3. 心身の異変を感じたら病院へ
- 眠れない
- 食欲がない
- 涙が止まらない
- 人が怖い
こうした症状が続くようであれば、心療内科や精神科を受診してください。
医師の診断書は、被害を証明する重要な証拠にもなります。
今回の被害女性も、病院で「うつ状態」と診断されたことが、傷害罪の立証につながりました。
まとめ
- 奈良県斑鳩町で79歳男性が近隣女性への暴言で傷害容疑で逮捕された
- 暴言は2年以上、多いときで1日30回に及んだ
- 被害女性はうつ状態と診断された
- 殴らなくても、暴言で精神疾患を発症させれば傷害罪が成立する
- 被害に遭った場合は「証拠を残す」「相談する」「病院に行く」が重要
近隣トラブルは、誰にでも起こりうる問題です。
「暴言くらい」と我慢せず、異変を感じたら早めに行動することが、自分を守る第一歩になります。
よくある質問
Q. 暴言だけで傷害罪になるのはなぜ?
傷害罪の「傷害」は体のケガだけでなく、うつ病やPTSDなどの精神疾患も含まれます。暴言によって被害者が精神疾患を発症し、因果関係が証明されれば傷害罪が成立します。
Q. 被害女性はどんな被害を受けた?
2年以上にわたり「殺すぞ」「家燃やすぞ」などの暴言を1日最大30回浴びせられました。監視やカメラ撮影も受け、うつ状態と診断されました。
Q. 容疑者と被害者の関係は?
26年前は家族ぐるみの付き合いがありましたが、13年前から暴言が始まりました。被害者によると、きっかけは不明で容疑者の奥さんが亡くなって以降お付き合いはなかったそうです。
Q. 近隣トラブルに遭ったらどうすればいい?
証拠を録音などで残す、警察相談ダイヤル#9110に相談する、心身の異変を感じたら病院を受診する、の3つが重要です。診断書は被害の証明にもなります。
参考文献
- 日テレNEWS NNN - 「家燃やすぞ」「殺すぞ」近隣住民に2年以上"暴言"…男を逮捕
- グラディアトル法律事務所 - 精神的苦痛でも傷害罪になる?
- Authense法律事務所 - 言葉の暴力と傷害罪