創業50年の老舗が突然破産、欠陥住宅問題が浮き彫りに。
建設業界の深刻な危機が背景にあります。
兵庫県姫路市の建設会社「企広」の突然の破産が、住宅業界に潜む深刻な問題を浮き彫りにしています。
この事件は決して孤立した出来事ではありません。実は建設業界全体を襲う危機の象徴といえるんです。

🏠 姫路の老舗建設会社「企広」が突然破産、被害者続出の実態
この破産事件の詳細が気になりますよね。
まず事実関係を整理してみましょう。
「スムスタイル」という名前で注文住宅を手がけていた株式会社企広。
なんと創業50年を超える老舗ハウスメーカーだったんです。
💡 驚くべき破産のタイミング
4月10日に「家づくり応援キャンペーン」を始めたばかりでした。ところがその20日後、突然破産手続きを申請したんです。
被害を受けた人たちの声を聞くと、その深刻さがよく分かります。
2020年に3700万円で新築を依頼したAさん夫妻の場合、完成した家にはさまざまな欠陥がありました。
⚠️ 発見された深刻な欠陥
- 断熱材不足:サーモカメラで測定すると40℃近い温度を記録
- 外壁の不良:浮き出た釘がいっぱい出ている状態
- 床下カビ:床下がカビだらけの深刻な状況
- 施工不良:ドアの傾きなど複数の問題
被害額は2000万円近くにのぼるといいます。
しかも、会社側は「施工不良はない」と回答していたんです。
着手金800万円を払って地鎮祭を済ませた人もいます。
でも、その後連絡が取れなくなり、月末には破産を知らされました。
実はこの問題、企広だけの話ではないんです。
📊 実は新築住宅の6割に不具合あり!業界を襲う品質危機の実態
なぜこんな欠陥住宅が建てられるのか、不思議に思いませんか?
調べてみたら、実は驚くべき実態が分かったんです。
🔍 衝撃の調査結果が判明
個人向けホームインスペクションを行うさくら事務所の2024年調査によると、新築工事中の検査で全ての項目で50%を超える不具合が指摘されています。
つまり、新築住宅の半数以上に何らかの問題があるということなんです。
📈 新築住宅の不具合統計(2024年調査)
- 構造の不具合:68.3%
- 防水の不具合:63.6%
- 断熱の不具合:60.5%
- 配筋の不具合:59.0%
- 型枠の不具合:51.9%
企広の事件で問題になった断熱材不足も、実は業界全体で6割の住宅に見つかる問題だったんです。
一級建築士の石田隆彦氏は企広の欠陥について、こう指摘しています:
「壁と天井のつなぎ目が極端に温度が上がるなら、明らかにそこは隙間ができている。断熱材の施工としてはあり得ないやり方」
でも、なんでこんなことが起きるのでしょうか?その背景には、建設業界全体の深刻な問題があるんです。
📉 建設業界「過去最悪」の倒産ラッシュ、価格転嫁できない三重苦
建設会社の倒産が今、どれくらい深刻になっているか知っていますか?
帝国データバンクの調査によると、2024年に発生した建設業の倒産は1890件。
これは過去10年で最多なんです。
🔺 なぜこんなに倒産が増えているのか
それには3つの大きな理由があります:
木材や鉄鋼などの建設資材価格が大幅に上昇しています。特にウッドショックと呼ばれる木材価格の暴騰は深刻でした。
熟練職人の高齢化と若い世代の「なり手不足」で、人手確保が困難になっています。
ここが重要なポイントです。
建設業の価格転嫁率は43.7%で、全業種平均の44.9%を下回っています。
💰 意外な事実:価格転嫁できない業界構造
つまり、コストが上がっても、その分を工事費に反映させることができないんです。これが建設会社の経営を圧迫している大きな要因です。
2024年の建設業倒産のうち、「物価高倒産」が1割を占めています。
また、人手不足が原因の倒産も前年を上回りました。
団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」も控えており、状況はさらに厳しくなると予想されています。
では、私たち消費者はどう身を守ればいいのでしょうか?
🛡️ 建設会社破産から身を守る!知っておくべき保護制度と対策
建設会社の破産から身を守る方法があるか、気になりますよね。
実は知っておくべき制度と対策があるんです。
🏢 住宅完成保証制度の活用
これは建設会社が破産した時に、一定限度まで保証会社が保証してくれる制度です。
保証内容は:
- 支払った契約金・中間金などの前払金
- 別業者に依頼する際の余計な費用
- 新しい建設会社の紹介
⚠️ 重要な注意点
ただし、全ての建設会社が加入しているわけではありません。契約前に必ず確認してください。
🔍 住宅瑕疵担保責任保険は別物
意外なことに、住宅瑕疵担保責任保険は建設会社破産時の工事続行には使えません。これは引き渡し後の欠陥に対する保険だからです。
📝 建設会社選びのチェックポイント
- 財務状況の確認
直近の決算書を見せてもらい、経営状況をチェックしましょう。 - 住宅完成保証制度への加入確認
企広の事例では、社長が「あまり意味がない」と言って加入を断ったそうです。これは大きな警告サインでした。 - 工事中の第三者検査の実施
建築会社が依頼する検査に加え、自分でホームインスペクターを依頼することをおすすめします。 - 契約時の注意事項
議事録を必ず取る(企広は議事録を一切取らなかった)、前払金は最小限に抑える、工事の進捗状況を写真で記録する
💪 破産時の対処法
もし建設会社が破産した場合:
工事現場の状況を詳細に写真撮影 → 破産管財人に連絡を取る → 出来高の査定を依頼 → 保証制度が使えるか確認
今回の企広の事件では、資産が500万円しか残っておらず、債権者に分配されることになりました。
事前の対策がいかに重要かが分かります。
❓ よくある質問
Q: なぜ姫路の建設会社「企広」は突然破産したのですか?
A: 資材価格高騰・職人不足・価格転嫁困難の三重苦により経営が悪化し、自転車操業の状態で事業継続が困難になったためです。
Q: 新築住宅に欠陥があるケースはどれくらいありますか?
A: さくら事務所の調査では、新築住宅の構造68.3%、断熱60.5%など全項目で50%を超える不具合が指摘されています。
Q: 建設業界の倒産はその後どうなっていますか?
A: 2024年の建設業倒産は1890件と過去10年最多を記録し、2025年問題の影響でさらに増加する可能性があります。
Q: 建設会社の破産から身を守る方法はありますか?
A: 住宅完成保証制度への加入確認、財務状況チェック、第三者検査の実施など事前対策が重要です。
Q: 雨の日の場合、建設工事にどんな影響がありますか?
A: 雨天時は断熱材の施工品質に影響する可能性があり、適切な養生と施工管理が重要になります。
Q: 初心者でも簡単に欠陥住宅を見分ける方法はありますか?
A: サーモカメラでの温度測定、床下点検口での目視確認、第三者機関によるホームインスペクションが効果的です。
📝 まとめ
- 新築住宅の6割に不具合があるという衝撃の現実
- 建設業界の倒産が過去10年最多の1890件という危機的状況
- 価格転嫁できない業界構造が破産の背景にある
- 住宅完成保証制度などの自衛策が重要
- 建設会社選びでは財務状況と保証制度加入を必ずチェック
企広の破産事件は、建設業界全体が直面する深刻な危機を象徴しています。
消費者としては、この現実を受け入れ、適切な自衛策を講じることが重要です。
一生に一度の大きな買い物だからこそ、事前の準備と対策を怠らないでください。
💭 あなたの家づくりはどうですか?
建設会社選びで不安なことがあれば、まずは住宅完成保証制度の確認から始めてみてください。
参考情報
- 帝国データバンク: 「建設業」の倒産動向(2025年上半期) ()
- 新建ハウジング: 新築戸建ての不具合指摘率 構造・防水・断熱で6割を超える ()
- ベリーベスト法律事務所: 住宅建築中に会社が倒産!保証制度や工事の継続はどうなる? ()