📖 この記事でわかること
⚠️ 片方のエンジンが止まった状態で、
飛行機が着陸する。
そんな映像が、2025年12月11日に北海道で撮影されました。
札幌・丘珠空港から秋田に向かっていたHAC(北海道エアシステム)の飛行機が、離陸直後にエンジントラブルを起こし、函館空港に緊急着陸したのです。
乗っていた26人は全員無事でした。

🤔 でも、ここで疑問が湧きませんか?
「エンジンが止まったのに、なぜ無事に着陸できたの?」
「そもそも、なぜエンジンが止まったの?」
この記事では、今回の緊急着陸で何が起きたのか、そしてなぜ26人全員が無事だったのかを、わかりやすく解説します。
💡 実は、この飛行機の機種は30年前に同じ原因で68人が亡くなる大事故を起こしています。
それなのに今回は全員無事だった理由には、30年間の技術進化と、飛行機の「知られざる安全設計」がありました。
JAL2823便(HAC機)が函館空港に緊急着陸 ─ 何が起きたのか
📌 結論:丘珠発秋田行きのHAC機が、離陸直後にエンジントラブルを起こし、函館空港に緊急着陸しました。乗員乗客26人は全員無事です。
HTB北海道ニュースによると、事故の経緯は以下のとおりです。
12月11日の午後0時半前、札幌・丘珠空港を離陸した日本航空2823便(HAC運航)は、秋田空港に向かって飛行を開始しました。
ところが、離陸して雲の中を飛行中、右側のエンジンが停止。
機長は秋田への飛行を断念し、最寄りの函館空港への緊急着陸を決断しました。
午後1時半頃、機体は函館空港に無事着陸。HTBの情報カメラには、右のプロペラが完全に止まった状態で着陸する機体の姿が映っていました。
乗客23人と乗員3人、合わせて26人にけがはありませんでした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 便名 | JAL2823便(HAC運航) |
| 機材 | ATR42型機 |
| 乗員乗客 | 26人(乗客23人+乗員3人) |
| けが人 | なし |
| 推定原因 | アイシング(着氷現象) |
機体はATR42型機という、プロペラで飛ぶ小型の旅客機です。
HACの発表では、エンジン停止の原因は「アイシング」という現象の可能性があるとのこと。
では、このアイシングとは一体何なのでしょうか?
「アイシング」とは何か ─ 冬の空で飛行機に何が起きるのか
📌 結論:アイシングとは、氷点下の雲や雨の中を飛行機が飛ぶとき、機体に氷が付着する現象です。今回のエンジン停止の原因とされています。
❄️ 実は、これは冷凍庫にできる霜と同じ原理なんです。
冷凍庫を開けっぱなしにすると、空気中の水分が冷やされて霜になりますよね。飛行機でも同じことが起きます。
国土交通省の資料によると、アイシングが起こりやすい条件は以下のとおりです。
- 気温がマイナス10℃から0℃の範囲
- 雲や雨など、空気中に水滴がある状態
この条件下では、「過冷却水滴」と呼ばれる特殊な水滴が存在します。
これは0℃以下なのに凍っていない水滴で、飛行機に触れた瞬間に一気に凍りつくという厄介な性質を持っています。
🛫 アイシングが引き起こす問題
- 翼への着氷 → 空気の流れが乱れて揚力(浮かせる力)が低下 → 最悪の場合、失速・墜落
- エンジンへの着氷 → 空気の取り込みが悪化 → 出力低下・停止
事故当日の札幌は雪で、気温は0℃前後。まさにアイシングが起こりやすい気象条件でした。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。
⚠️ 実は、今回の飛行機の機種「ATR42」は、
30年前にアイシングが原因で大きな墜落事故を起こしているのです。
ATR機とアイシングの30年 ─ 1994年の悲劇から何を学んだか
📌 核心ポイント
30年前、ATR機はアイシングが原因で68人が死亡する墜落事故を起こしました。
今回の機材「ATR42-600」は、その悲劇から生まれた改良機です。
1994年10月31日、アメリカで衝撃的な事故が起きました。
Wikipediaの記録によると、インディアナポリス発シカゴ行きのアメリカン・イーグル4184便(ATR72-212型機)が、着氷によって制御不能に陥り、地面に激突。
乗員乗客68人全員が亡くなりました。
🔍 事故原因
「除氷ブーツの後ろに氷が形成され、それが補助翼の異常作動を引き起こした」
→ 当時の防氷装置では守りきれない場所に氷がつき、飛行機のコントロールが効かなくなった
この事故を受けて、ATR社は機体を大幅に改良しました。
ATR 42のWikipediaによると、2012年に就航を開始した「600シリーズ」では、以下のような進化を遂げています。
✅ ATR42-600シリーズの進化
- エアバスA380の技術を取り入れた最新のコックピットシステム
- エンジン出力を自動で微調整する機能
- 低速時の安定性を大幅に向上
航空評論では「600シリーズは、500シリーズ以前とは別物と呼ばれるほど信頼性が向上した」と評価されています。
30年前
68人死亡
↓
今回(改良後)
26人全員無事
今回のHAC機はまさにこの「ATR42-600」。30年前の悲劇から学び、改良を重ねた機体だったのです。
しかし、それだけで26人全員が無事だった理由は説明できません。
そもそも「片方のエンジンが止まった」という状況で、なぜ安全に着陸できたのでしょうか?
なぜ「片方のエンジン停止」でも無事着陸できたのか ─ 双発機の安全設計
📌 この記事の核心
双発機は最初から「片方のエンジンが止まっても安全に着陸できる」ように設計されています。
今回の安全着陸は、想定どおりの結果でした。
「エンジンが止まった」と聞くと、とても危険な状態に思えますよね。
💡 でも実は、エンジンが2つある飛行機(双発機)は、1つのエンジンだけでも飛行を続け、安全に着陸できるように作られているんです。
これは「想定外の事態」ではなく、「最初から想定されている事態」なのです。
東洋経済の記事によると、双発機が型式証明(飛行機として認められるための国の許可)を取得するためには、「片方のエンジンのみで安全に着陸できること」が条件になっています。
つまり、片側エンジン停止でも着陸できなければ、そもそも飛行機として認められないのです。
👨✈️ パイロットの訓練
パイロットも、この状況に備えた訓練を必ず受けています。
- 「片発飛行」(片方のエンジンだけで飛ぶこと)は必須訓練項目
- シミュレーターで何度も練習
- 実際にその状況になったときに冷静に対処できるよう備えている
今回のケースでも、機長は以下の判断をしています。
- エンジン停止を確認後、秋田への飛行を断念
- 最寄りの函館空港への緊急着陸を決断
- 右プロペラが止まった状態で安定した着陸を実施
着陸時はエンジンの出力をかなり絞っているため、片方のエンジンだけでも十分にコントロールできます。
また、函館空港の滑走路は3,000メートルと十分な長さがあり、余裕を持った着陸が可能でした。
✅ 26人全員が無事だった理由
「エンジンが1つ止まっても大丈夫」という設計と、それに備えた訓練。
この2つが、26人全員の命を守りました。
乗客26人のその後と今後の運航への影響
📌 結論:乗客23人と乗員3人は全員けがなく、函館空港で降機しました。機体は現在点検中です。
今回の緊急着陸で、乗っていた26人全員に身体的な被害はありませんでした。
機体は函館空港で運航打ち切りとなり、このあと詳しい点検が行われる予定です。
HACは原因について「アイシングの可能性がある」と発表していますが、詳しい調査結果はこれからになります。
冬の北海道では、今回のようなアイシングが起こりやすい気象条件になることがあります。
ただし、今回の事案が示したように、現代の航空機は「想定される危険」に対して十分な備えがされています。
🛡️ 今回の安全着陸を支えた3つの要素
- 30年前の事故から学んだ防氷技術の進化
- 双発機の「片側エンジン停止でも安全」という設計思想
- パイロットの徹底した訓練
これらが組み合わさって、26人全員が無事に帰ることができました。
飛行機のニュースでは「緊急着陸」「エンジン停止」という言葉が強調されがちです。
でも、その裏には「だから安全だった」という理由があることを、この記事で知っていただけたら嬉しいです。
▶ 関西空港でのユナイテッド航空緊急脱出 ─ 142人全員無事の理由
まとめ
今回のHAC機緊急着陸について、ポイントを整理します。
- 12月11日、丘珠発秋田行きのJAL2823便(HAC運航)が、アイシングによるエンジン停止で函館空港に緊急着陸
- 乗員乗客26人は全員無事
- ATR42は30年前にアイシングで墜落事故を起こしたが、現行の600シリーズは大幅に改良されている
- 双発機は「片側エンジン停止でも安全に着陸できる」設計になっている
- パイロットは片発飛行の訓練を必ず受けている
💡 この記事の答え
「エンジンが止まったのに、なぜ無事だったのか?」
その答えは、30年間の技術進化と、最初から危険を想定した安全設計にありました。
飛行機は「怖いから避ける」ものではなく、「怖いことが起きても大丈夫なように作られている」乗り物なのです。
よくある質問
Q. HAC機の緊急着陸で何が起きた?
A. 2025年12月11日、丘珠発秋田行きのJAL2823便が離陸後にアイシングでエンジンが停止し、函館空港に緊急着陸しました。26人全員無事でした。
Q. アイシングとは何?
A. 氷点下の雲や雨の中を飛行機が飛ぶとき、機体に氷が付着する現象です。翼やエンジンに氷がつくと、揚力低下やエンジン停止の原因になります。
Q. ATR42は安全な飛行機?
A. 現行の600シリーズは、1994年の墜落事故を教訓に大幅改良されています。エアバスA380の技術を導入し、信頼性が大きく向上しています。
Q. 片方のエンジンが止まっても大丈夫?
A. 双発機は「片側エンジンのみで安全に着陸できること」が型式証明の条件です。パイロットも片発飛行の訓練を必ず受けています。