学校に行けない子どもが年々増える中、「健診を受けられない」という新たな問題が深刻化しています。
横浜市の調査で、2023年度に健診を全く受けられなかった児童生徒が1375人もいることが判明しました。
これは小学校5-6校分の全校生徒に相当する人数です。
思春期に発症しやすい背骨の病気などを見逃してしまうリスクが指摘される中、横浜市が全国に先駆けて「学校外健診」という新しい仕組みを試行開始。
不登校の子を持つ保護者が今知っておくべき情報を、わかりやすく解説します。
📋 この記事でわかること
📚 不登校でも健診は受けなきゃダメ？法律と現実のギャップ
「学校に行けないから健診も受けられない」――これは多くの保護者が直面する悩みです。
実は、学校での健康診断は法律で義務付けられています。
「学校保健安全法」という法律で、全ての小中学校は毎年6月30日までに児童生徒の健康診断を行わなければならないと定められているんです。
⚠️ 義務なのに罰則はない？複雑な状況
ここで意外な事実があります。
法律で義務付けられているのは確かですが、実は受けなかったことに対する罰則は設けられていません。
💡 つまり…「受けなきゃいけない」けれど「受けなくても罰せられない」という、なんとも複雑な状況なんです。
📊 横浜市だけで1375人が未受診
この法的なグレーゾーンの影響が、数字となって表れています。
横浜市教育委員会の調査によると、2023年度に市内の小中学校で学校健診を全く受けられなかった児童生徒は1375人に上りました。
横浜市だけでこの人数。全国規模で考えると、相当な数の子どもたちが健診を受けられていない可能性があります。
不登校の児童生徒は文部科学省の調査で、2023年度に全国で約35万人。
📍 現状：小学校ではクラスに1人、中学校ではクラスに2-3人の割合で不登校児童生徒がいます。
「罰則がないから放っておいても大丈夫」――そう考えてしまうのは危険です。
なぜなら、健診を受けないことで見逃される病気があるからです。
⚕️ 健診を受けないと何が起こる？見逃されやすい病気のリスク
健康診断を受けられないことの最大のリスク。それは、思春期に発症しやすい病気を見逃してしまうことです。
🔍 側湾症――100人中2-3人が発症する身近な病気
特に注意が必要なのが「側湾症（そくわんしょう）」という病気です。
側湾症とは、背骨が左右に曲がってしまう病気のこと。多くの場合、背骨がねじれも伴います。
済生会の解説によると、思春期特発性側湾症は思春期の子どもの約2-3%に見られるとされています。
💡 つまり、100人中2-3人
クラスに1人くらいの割合で発症する、実はかなり身近な病気なんです。
👧 女子は男子の5-8倍も発症しやすい
さらに注目すべき事実があります。
側湾症は圧倒的に女子に多く、男子に比べて5-8倍も発症しやすいとされています。
思春期の女の子を持つ保護者にとっては、特に気をつけるべき病気と言えるでしょう。
🏥 早期発見できないと手術が必要になることも
「背骨が少し曲がるくらい、大したことないんじゃない？」
そう思う人もいるかもしれません。でも、側湾症の怖いところは、放置すると徐々に悪化してしまうことです。
村山医療センターの説明では、変形が大きくなると肺を圧迫して呼吸障害を起こしたり、さらには心不全を起こす可能性もあるとされています。
⚠️ 重要：曲がり具合が40-50度を超えると、手術が必要になることも。
早く見つければ装具（コルセットのようなもの）で進行を防げる可能性がありますが、発見が遅れると治療が難しくなってしまうんです。
だからこそ、学校健診での早期発見が重要とされてきました。
でも、学校に行けない子はその機会を失ってしまう――これが今、大きな問題になっているんです。
🏥 横浜市が始めた「学校外健診」の仕組みを詳しく解説
こうした状況を受けて、横浜市教育委員会が動き出しました。
2025年度から、不登校などで学校健診を受けられない児童生徒が、学校外の医療機関で受診できる取り組みを試験的に始めたんです。
🏫 まずは小中学校4校でスタート
この取り組みは、2025年度から市内の小中学校4校でスタートしました。
「学校外健診」と呼ばれるこの仕組みは、文字通り学校ではなく普通の病院やクリニックで健康診断を受けられるようにするものです。
💭 なぜ学校外での受診が必要なのか
「学校に来られるタイミングで受ければいいのでは？」と思う人もいるかもしれません。
でも、不登校の子の中には、短時間でも学校に行くこと自体が大きなストレスになる子もいます。
また、健診の日に登校できても、大勢の子どもがいる中での受診が難しい場合もあるんです。
学校外の医療機関なら、落ち着いた環境で、自分のペースで受診できる。これが大きなメリットです。
📝 詳細はこれから――試行段階の取り組み
ただし、正直なところ、この取り組みはまだ試行段階。
具体的な手続き方法や費用負担、受診できる医療機関のリストなどの詳細は、今後公表される見込みです。
💡 「実はまだ4校だけ」という現実はありますが、これは大きな一歩。
今後、効果が確認されれば市内全域、さらには他の自治体にも広がる可能性があります。
🗾 横浜市以外でも受けられる？全国の取り組み状況
「うちは横浜市じゃないんだけど…」
そう思った人も多いはずです。では、横浜市以外ではどうなっているのでしょうか。
📉 正直なところ、まだ広がっていない
調査した結果、現時点で横浜市のような「学校外健診」の仕組みを導入している自治体は、ほとんど見つかりませんでした。
つまり、横浜市の取り組みは全国的にも先進的なものと言えます。
🏛️ 国は不登校対策を強化中
ただし、国全体としては不登校対策を強化しています。
文部科学省が2023年に発表した「COCOLOプラン」では、「誰一人取り残されない学びの保障」を掲げ、様々な支援策を打ち出しています。
健診の問題も、今後全国的に注目される可能性が高いでしょう。
📢 声を上げることが大事
「横浜市でできるなら、うちの地域でも」
そう思った保護者は、ぜひ学校や教育委員会に相談してみてください。
✨ 一人ひとりの声が、地域の取り組みを動かすきっかけになります。
✅ 今すぐできる！不登校の子どもが健診を受ける3つの方法
「横浜市の取り組みが広がるまで待てない」「今すぐ何とかしたい」
そう思う保護者のために、現時点でできる現実的な方法を3つ紹介します。
💊 方法1：かかりつけ医に相談する
最も手軽で確実な方法がこれです。
普段からお世話になっているかかりつけ医に、「学校健診の項目を確認してもらいたい」と相談してみましょう。
📋 学校健診の主な項目：
- 身長・体重の測定
- 視力・聴力の検査
- 歯科検診
- 内科検診（心臓の音、背骨のチェックなど）
多くの小児科では、これらの項目を個別に診てもらうことが可能です。
費用は全額自己負担になりますが、子どもの健康を守るための投資と考えましょう。
🏫 方法2：学校に個別対応を相談する
学校によっては、柔軟な対応をしてくれるケースもあります。
たとえば：
- 他の子どもがいない時間帯での受診
- 保健室での個別対応
- 学校医との別日調整
学校側も「健診を受けてもらいたい」と思っています。遠慮せずに相談してみる価値はあります。
📞 方法3：教育委員会や相談窓口に問い合わせる
地域によっては、不登校児童生徒向けの支援として、健診に関する相談窓口を設けているところもあります。
文部科学省のサイトには、各都道府県の不登校相談窓口がまとまっています。
まずは、お住まいの地域の教育委員会に「不登校の子どもの健診について」と問い合わせてみましょう。
実はかなり多くの保護者が同じ悩みを抱えているので、自治体側も何らかの情報や対応策を持っている可能性があります。
📝 まとめ：子どもの健康を守るために、できることから始めよう
不登校の子どもが健診を受けられないという問題は、全国で35万人以上いる不登校児童生徒にとって深刻な課題です。
✨ この記事の要点
- 法的義務と現実のギャップ：学校健診は義務だが罰則なし
- 深刻な実態：横浜市だけで1375人が2023年度に未受診
- 健康リスク：側湾症など思春期の病気を見逃す危険性
- 横浜市の先進的取り組み：4校で学校外健診を試行開始
- 今できること：かかりつけ医相談、学校への個別対応依頼など
横浜市の「学校外健診」は、まだ試行段階ですが、全国に広がる可能性を秘めた先進的な取り組みです。
でも、制度が整うのを待つだけでなく、保護者自身ができることもあります。
子どもの健康は、何よりも大切なもの。
「うちの子は学校に行けないから、健診も無理」とあきらめず、かかりつけ医に相談したり、学校に個別対応を依頼したり、できることから始めてみませんか？
💪 あなたの一歩が、子どもの健康を守る大きな力になります。
❓ よくある質問（FAQ）
Q1. 不登校の子どもは学校健診を受けなければいけないの？
学校保健安全法で健康診断は義務付けられていますが、受けなかったことに対する罰則はありません。ただし、思春期に発症しやすい側湾症などの病気を見逃すリスクがあるため、何らかの形で健診を受けることが推奨されます。
Q2. 側湾症はどのくらいの頻度で発症するの？
思春期特発性側湾症は、思春期の子どもの約2-3%に見られます。つまり100人中2-3人、クラスに1人くらいの割合です。特に女子は男子の5-8倍発症しやすいとされています。
Q3. 横浜市の学校外健診はどの学校で受けられるの？
2025年度から市内の小中学校4校で試行開始されました。具体的な対象校や手続き方法、費用負担などの詳細は今後公表される見込みです。横浜市教育委員会に問い合わせることをおすすめします。
Q4. 不登校の子どもが今すぐ健診を受けるにはどうすればいい？
かかりつけ医に学校健診の項目を相談する、学校に個別対応を依頼する、教育委員会の相談窓口に問い合わせるなどの方法があります。多くの小児科では学校健診と同じ項目を個別に診てもらうことが可能です。
