⚠️ 2025年11月3日、福岡県の驚くべき行動が明らかになりました。
道路整備事業の用地買収で当初の5倍もの高値で土地を購入した問題が発覚し、県が「不適切だった」と認めた後、なんと内部告発に関与した職員を探す調査を始めていたのです。
しかも、2025年6月に成立したばかりの改正公益通報者保護法では、まさにこうした探索行為を禁止する規定が盛り込まれたばかり。識者からは「公益性のある情報提供で探索するのは法の趣旨を逸脱する」という厳しい批判の声が上がっています。
一体何が起きているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
📋 この記事でわかること

🔍 福岡県の内部告発者探しとは?何が起きたのか
実は、この問題の始まりは2025年8月にさかのぼります。
毎日新聞が独自入手した福岡県の内部資料をもとに、福岡県が道路整備事業の用地買収で異例の高値で土地を購入していたことを報道しました。
報道を受けて、福岡県は同日に記者会見を開き「不適切だった」と認めました。普通ならここで問題は収束に向かうはずでした。
しかし、県がとった次の行動は多くの人を驚かせるものでした。
💡 重要ポイント
県が9月から、内部情報を漏らした職員を探す調査を始めていたのです。
調査の対象となったのは、問題の用地買収を担当していた福岡県の出先機関「田川県土整備事務所」の職員たち。数十人が聞き取り調査を受けました。
調査を行ったのは、この事務所を管轄する本庁の県土整備部と人事課の担当者です。
つまり、福岡県は「不正があった」と認めた後、その不正を世の中に知らせた職員を探し出そうとしていたということです。では、そもそも何が問題だったのでしょうか。
💰 用地買収で何が問題だったのか?430万円が2165万円に
具体的な金額を見てみましょう。問題となったのは、福岡県赤村にある土地(約2505平方メートル、テニスコート約10面分)の買収です。
当初、県が算定した用地補償額は430万円でした。
当初の評価額
430万円
⬇️
最終買収額
2165万円
約5倍の値上がり!
なぜこんなことが起きたのでしょうか。ところが、地権者の男性(76歳)が「その金額では納得できない」と難色を示しました。
すると県は金額を増額し、最終的に2165万円で買収したのです。
県は、木が伐採された一部区域を「造成地」として評価し、高値をつけました。その結果、周辺の宅地価格よりも高額になってしまったのです。
服部誠太郎知事も8月22日の定例記者会見で「重大な問題」と述べ、過去5年分の取引を調査し再発防止に努めると表明しました。
ここまでは、行政のミスを認めて改善する、という正常な流れでした。しかし、水面下では別の動きが始まっていました。
❓ なぜ福岡県は内部告発者を探しているのか
県は一体、どのような調査をしていたのでしょうか。関係者への取材によると、調査内容は次のようなものでした。
人事課の担当者らは対象者に「犯人捜しではない」と説明しながら、こんな質問をしていました。
- 関連する内部資料の内容や保管場所を把握しているか
- 情報漏えいに関し「不審な人を見なかったか」
- さらに、調査内容の口止めもしていました
「犯人捜しではない」と言いながら、「不審な人を見なかったか」と聞く――これは明らかに矛盾しています。
県人事課の内部統制室長は取材に対して、調査の過程で告発者が特定される可能性はあると認めた上で、こう説明しています。
「今回は保護要件を満たしていないため、公益通報に当たらず、調査は問題ない」
「県民のためになった事案だからといって情報流出は放置できない。経緯を調べるための聞き取りだ」
つまり県は、今回の告発は法律で守られる「公益通報」ではないという判断をしているのです。しかし、この判断には大きな問題があります。
⚖️ これは違法ではないのか?公益通報者保護法の問題
そもそも「公益通報者保護法」とは何でしょうか。簡単に言えば、内部告発した人を守るための法律です。
消費者庁の説明によると、この法律は「勤務先の違法行為を通報したことを理由に、解雇や降格、減給など、不利益な取扱いを受けないよう、通報者が守られる」ために作られました。
📚 保護されるための主な条件
- 刑事罰や行政罰が規定された法令違反の告発であること
- 報道機関への通報も認められる(証拠隠滅の恐れがあるなど6つの要件のいずれか)
そして実は、2025年6月に法律が改正されたばかりなのです。改正法では、「正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為」を禁止する規定が新設されました。
つまり、告発した人を探し出す行為そのものが禁止されたのです。
⚡ 重要な事実
探索行為は解雇や降格といった不利益な扱いにつながる恐れがあるため、法律でわざわざ禁止規定を盛り込んだのです。ただし、罰則はありません。これが県が強気に出られる理由の一つです。
では、今回のケースは本当に「公益通報に当たらない」のでしょうか。県は「保護要件を満たしていない」と主張しています。
しかし、ここに大きな問題があります。
事業者(この場合は福岡県)が一方的に「公益通報に当たらない」と判断し、告発者を探すことが許されてしまえば、法律の意味がなくなってしまうのです。
👨⚖️ 識者・専門家の見解「法の趣旨を逸脱」
この問題について、専門家はどう見ているのでしょうか。消費者庁の「公益通報者保護制度検討会」で委員を務めた志水芙美代弁護士(東京弁護士会)は、毎日新聞の取材に対してこう述べています。
💬 志水芙美代弁護士のコメント
「事業者側が一方的に保護対象ではないとして調査することが許されてしまえば、探索防止措置の規定が機能しなくなる」
「経緯を調べていけば告発者の特定につながるため、犯人捜しではないという福岡県の言い分は疑問だ」
「今回の用地買収を県は不適切だと認めて是正に動いており、公益性が認められる」
「県民の利益のために声を上げた人を特定しようとする行為は、制度の趣旨に反し不適切だ」
志水弁護士の指摘で特に重要なのは、「県が不適切だと認めて是正に動いている」という点です。つまり、県自身が「これは問題だった」と認めているのですから、それを世の中に知らせた行為には明らかに公益性があるということです。
それにもかかわらず、告発者を探すというのは、法律の趣旨を完全に逸脱していると言わざるを得ません。
🔮 今後どうなる?内部告発者への影響と問題点
この問題は、今後どのような影響をもたらすのでしょうか。まず、内部告発者本人へのリスクがあります。
もし特定されてしまえば、解雇や降格、嫌がらせなど、さまざまな不利益を受ける可能性があります。
⚠️ 深刻な問題
公益通報者保護法は、そうした不利益から告発者を守るための法律なのですが、実は探索行為そのものには罰則がありません。だから県は「調査は問題ない」と主張できるのです。
しかし、影響はそれだけではありません。他の自治体や企業への影響も深刻です。
もし福岡県のこの行動が許されるなら、全国の自治体や企業で同じことが起こる可能性があります。
「不正を見つけても告発したら探し出される」――そう思えば、誰も不正に声を上げなくなります。内部告発を萎縮させる効果が、日本全国に広がる恐れがあるのです。
さらに、公益通報制度全体への影響も無視できません。
せっかく2025年6月に探索禁止規定を盛り込んだ改正法が成立したのに、その直後にこうした行為が行われる。これでは制度が形骸化してしまいます。
県は過去5年分の取引調査を進めるとしていますが、その一方で告発者探しも続けているのです。
🤔 考えてみてください
もしあなたが職場で不正を見つけたら、告発できますか?告発したら探し出されて、クビにされるかもしれない――そう思ったら、怖くて声を上げられないのではないでしょうか。
👔 服部誠太郎知事の対応と責任は
最後に、トップである服部誠太郎知事の対応について見てみましょう。服部知事は1954年生まれ、福岡県庁職員出身で、2021年に福岡県知事に初当選しました。
生え抜きの県職員としては初の知事です。2025年3月には再選を果たしています。
服部知事は8月22日の定例記者会見で、用地買収問題について「重大な問題」と述べました。そして過去5年分の取引を調査し、再発防止に努めると表明しました。
しかし、内部告発者探しについては言及していません。
🚨 重要な矛盾
「重大な問題」と認めているということは、それを世の中に知らせた行為には価値があったということです。それなのに、知らせた人を探し出そうとしている――この矛盾を、知事はどう説明するのでしょうか。
トップとしての責任が問われています。内部告発は、組織の不正を正すための最後の砦です。
告発した人が守られなければ、誰も不正に声を上げなくなります。それは結局、私たち県民・国民の利益を損なうことになるのです。
服部知事には、「重大な問題」と認めた以上、内部告発者探しを直ちに中止し、公益通報制度の本来の趣旨に立ち返った対応が求められています。
📌 この記事のポイント
- 福岡県が用地買収問題を「不適切」と認めた後、内部告発者を探す調査を開始
当初430万円だった土地が2165万円に跳ね上がった問題を県が認めたにもかかわらず、その情報を提供した職員を特定しようとしている
- 2025年6月の改正法で探索禁止規定が盛り込まれたばかりのタイミング
法改正により探索行為が明確に禁止されたにもかかわらず、その直後に県が探索を実施
- 県は「公益通報に当たらない」と主張するが、専門家は「法の趣旨を逸脱」と批判
消費者庁の検討会委員を務めた弁護士が、県の一方的な判断と探索行為を厳しく批判
- 探索行為には罰則がないため、県は「問題ない」と強気
法律で禁止されているが罰則規定がないことを理由に、県は調査を正当化
- 内部告発を萎縮させ、制度全体を形骸化させる恐れ
この事例が前例となれば、全国で内部告発が抑制される可能性がある
💭 最後に
あなたが不正を見つけたとき、安心して声を上げられる社会であってほしい――それが、多くの人の願いではないでしょうか。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: 福岡県の内部告発者探しとは何ですか?
福岡県が用地買収問題(430万円→2165万円)を「不適切」と認めた後、その情報を報道機関に提供した職員を特定するために、2025年9月から田川県土整備事務所の職員数十人に対して聞き取り調査を実施している問題です。
Q2: なぜ5倍もの値上がりが問題なのですか?
当初430万円と評価された土地が最終的に2165万円で買収され、周辺の宅地価格よりも高額になったことで、公金の不適切な支出が疑われています。県自身も「不適切だった」と認めています。
Q3: 公益通報者保護法とは何ですか?
内部告発した人を守るための法律です。勤務先の違法行為を通報したことを理由に、解雇や降格などの不利益な扱いを受けないよう保護します。2025年6月の改正では探索行為を禁止する規定が新設されました。
Q4: 福岡県の探索行為は違法ではないのですか?
2025年6月の改正法で探索行為は禁止されましたが、罰則規定がありません。県は「今回は公益通報に当たらない」として調査を正当化していますが、専門家は「法の趣旨を逸脱している」と批判しています。
Q5: この問題は内部告発者にどんな影響がありますか?
特定されれば解雇や降格などの不利益を受ける可能性があります。さらに、この事例が前例となれば全国で内部告発が萎縮し、組織の不正が隠蔽される恐れがあります。
Q6: 服部誠太郎知事はどんな対応をしていますか?
知事は用地買収問題を「重大な問題」と認め、過去5年分の取引を調査すると表明しましたが、内部告発者探しについては公式に言及していません。トップとしての責任ある対応が求められています。