この記事でわかること
両替機から出てきた100円玉、
1枚だけ「ニセモノ」だった。
芸人スマイリーキクチが年末に遭遇した、ちょっと怖い話。
大きさも重さも本物とほぼ同じ。でも、よく見ると側面にギザギザがない。裏返すと「MVS」という謎の刻印。いったいこれは何なのか。
スマイリーキクチが両替機で発見「これ偽造100円玉だぁーーー」
年末のガチャガチャ店で、芸人スマイリーキクチが1000円を両替したら、10枚のうち1枚がニセモノだった。
FNNプライムオンラインの報道によると、スマイリーキクチは2025年12月28日、カプセルトイ専門店の両替機で1000円札を両替。受け取った100円玉10枚のうち、1枚に違和感を覚えた。
本人はX(旧Twitter)でこう投稿している。
「裏は平成16年なのに表はゲームセンターのコイン??
これ偽造100円玉だぁーーー」
このニセ100円玉には、いくつかの特徴があった。まず側面にギザギザがない。本物の100円玉には、側面に縦の溝が刻まれているが、このコインは滑らかだった。
そして裏面には「MVS」という刻印。これがゲームセンターで使われるコインであることを示している。
店舗側はすぐに警察に通報。店内の両替機を確認したところ、該当するコインはこの1枚だけだったという。
もし自分のお釣りに混じっていたら、気づけただろうか?
では、このMVSコインとは一体何なのか。30年以上前のゲームセンター文化に、その答えがある。
MVSコインの正体|30年前のゲーセンで使われていた
MVSとは「Multi Video System」の略で、SNKが1990年に発売したアーケードゲーム基板の名前だ。
Wikipediaの情報によると、MVSは1990年から2004年まで14年間にわたって稼働した。設置場所はゲームセンターだけではない。駄菓子屋、スーパーマーケット、旅館の娯楽室など、「ゲーム機があるところならどこにでもあった」と言っても過言ではない。
なぜこれほど普及したのか。SNKは無償貸出モデルを採用していた。店舗はゲーム機を無料で借り、コインの売上から利益を得る仕組みだ。初期投資がゼロだったため、個人商店でも気軽に導入できた。
ここで問題になるのが、閉店後のコインの行方だ。
2000年代に入ると、ゲームセンター業界は縮小期を迎える。閉店した店舗から大量のMVSコインが市場に流出した。Yahoo!ニュースの報道によると、中国の通販サイトでは「100枚1819円」という価格で販売されていたという情報もある。1枚あたり約18円。本物の100円玉の約5分の1の値段だ。
※この販売情報については単一ソースのみであり、現時点では確認が取れていない。
駄菓子屋やスーパーにゲーム機があった時代を覚えているだろうか?
あの頃のコインが、令和の時代に両替機をすり抜けている。
問題は、このコインが100円玉と同じ大きさだということ。もし知らずに使ってしまったら、どうなるのか。
知らずに使ったらどうなる?法的リスクを弁護士が解説
知らずに使った場合でも、詐欺罪に問われる可能性がある。最大で10年以下の懲役だ。
FNNプライムオンラインの取材に対し、弁護士の松隈貴史氏は「使うと罪に問われる可能性」があると指摘している。
ここで重要なのは、「偽造」と「模造」の違いだ。
| 罪名 | 罰則 | 条件 |
|---|---|---|
| 通貨偽造罪 刑法148条 |
無期または3年以上 | 行使目的が必要 本物と誤認されるほど精巧 |
| 模造取締法違反 通貨及証券模造取締法 |
1月〜3年 | 行使目的不要 紛らわしい外観(見ればわかる) |
| 詐欺罪 刑法246条 |
10年以下 | 模造品を本物として使用 |
日本銀行とベリーベスト法律事務所の情報を整理すると、以下のようになる。
「偽造」とは、本物と誤認されるほど精巧に作られたもの。一方「模造」は、見ればわかる程度に似せたものを指す。MVSコインは「MVS」と刻印があり、日本国の文字もないため、「偽造」ではなく「模造」に該当する可能性が高い。
しかし、模造品を本物として使用した場合、詐欺罪で10年以下の懲役に問われる可能性がある。
「知らなかった」は通用するのか。法的には、故意の有無が争点になる。明らかにニセモノとわかって使った場合は確実にアウト。では、本当に気づかなかった場合は?立証は難しいが、「注意すれば気づけた」と判断されれば、過失があったとみなされる可能性もある。
お釣りを受け取るとき、毎回確認しているだろうか?
見つけた場合の正しい対処は、「使わない」「警察に届ける」の2つだ。スマイリーキクチのように店舗に預けるのも適切な対応といえる。
実は、日本では過去にも同様の事件があった。500ウォン硬貨が、500円玉の代わりに使われた事件だ。
500ウォン事件の教訓|日本は500円玉を緊急改鋳した
1990年代後半、韓国の500ウォン硬貨を変造して日本の自販機で使う事件が多発し、2000年に500円玉が緊急改鋳された。
Wikipediaと首相官邸の資料によると、500ウォン硬貨と旧500円玉には驚くべき共通点があった。材質(白銅)と直径(26.5mm)が同じだったのだ。違いは重量だけ。500ウォンは7.7gで、500円玉よりわずかに重かった。
犯罪者たちはこれを悪用した。500ウォン硬貨にドリルで穴を開けて重量を減らし、自販機に投入。返却レバーを押すと、本物の500円玉が出てくるという手口だ。
被害のピーク(1999年)
82万1,654枚
1日に2,000枚以上のペースで偽硬貨が発見されていた
事態を重く見た日本政府は、2000年に500円玉の緊急改鋳を決定。材質をニッケル黄銅に変更し、偽造防止技術を追加した。現在の「二色」の500円玉は、この流れで生まれたものだ。
改鋳の効果は劇的だった。自販機荒らしの件数は6,706件から1,061件へ、約6分の1に激減した。
今の500円玉(二色)を見たとき、なぜこのデザインなのか考えたことがあるだろうか?
あれは犯罪対策の結果なのだ。
興味深いのは、100ウォン硬貨も100円硬貨と酷似しているという点だ。今回のMVSコイン事件とは直接関係ないが、硬貨のサイズが似通っていることで起きる問題は、日本と韓国の間で繰り返されてきた。
また、現在もコミケなどのイベントで500ウォン硬貨を使った詐欺被害が報告されているという。500円玉は改鋳されたが、若い世代はこの歴史を知らない。だから、同じ手口が形を変えて繰り返される。
では、MVSコインを本物と見分けるにはどうすればいいのか。
本物と偽物の見分け方|ポイントは「側面」と「表面」
見分けるポイントは「側面のギザギザ」と「表面の刻印」。本物の100円玉には「日本国」「百円」の文字がある。
FNNプライムオンラインの報道によると、今回のMVSコインには以下の特徴があった。
✓ 本物の100円玉
- 側面にギザギザがある
- 表面に「日本国」の文字
- 裏面に「百円」の文字
✗ MVSコイン(ニセモノ)
- 側面が滑らか(ギザギザなし)
- 裏面に「MVS」の刻印
- 大きさ・重さは本物とほぼ同じ
では、なぜ両替機は検知できなかったのか。
グローリー株式会社と株式会社オクトの技術情報によると、硬貨認識は「形状・材質・色・模様」を電子式センサーで読み取る仕組みだ。高性能な機器は1分間に3,000枚を処理できる。
しかし、両替機の認識には限界がある。磁力センサーで金属の種類を検知する仕組みだが、企業秘密が多く詳細は不明だ。
推測ではあるが、MVSコインが100円玉と大きさ・重さが同じで、材質も近い場合、センサーをすり抜けた可能性がある。ゲームセンター用コインは、もともと100円玉で遊ぶ機器に使うことを想定して作られている。サイズが似ているのは偶然ではなく、設計上の必然だったのだ。
📱 今すぐチェック
財布の中の100円玉を確認してみてほしい。
側面にギザギザはあるだろうか?
見つけた場合は、使わずに警察や店舗に届けること。知らずに使っても罪に問われる可能性があることを忘れないでほしい。
まとめ|あなたの財布は大丈夫か
両替機から出てきた100円玉が、実は30年前のゲームセンター用コインだった。側面のギザギザがない、表面に「MVS」の刻印がある。これが見分けるポイントだ。
知らずに使っても、詐欺罪に問われる可能性がある。見つけたら使わず、警察に届けよう。
500ウォン事件では、日本は500円玉を緊急改鋳するという決断を下した。では、100円玉は今後も変わらないのか?
あなたの財布の中に、知らないうちに紛れ込んでいる可能性は、
ゼロだろうか。
続報が入り次第お伝えする。財布の中の100円玉、一度確認してみてほしい。
よくある質問
Q. MVSコインとは何ですか?
SNKが1990年に発売したアーケードゲーム基板「Multi Video System」用のコインです。ゲームセンターや駄菓子屋などで2004年まで使われていました。
Q. ニセ100円玉を知らずに使ったらどうなりますか?
詐欺罪に問われる可能性があり、最大で10年以下の懲役です。見つけた場合は使わず、警察に届けてください。
Q. 本物とニセモノの見分け方は?
側面のギザギザの有無を確認してください。本物の100円玉にはギザギザがあり、MVSコインは滑らかです。また、本物には「日本国」「百円」の刻印があります。
Q. なぜ両替機はニセモノを検知できなかったのですか?
MVSコインは100円玉と大きさ・重さがほぼ同じで、材質も近いため、センサーをすり抜けた可能性があります。詳細な原因は調査中です。
参考文献