2025年10月4日、メガネチェーン大手のZoffとファミリーレストランのデニーズが相次いで異例の発表を行った。
著名漫画家・江口寿史氏のトレパク疑惑を受け、「過去に使用したイラストについて事実関係を調査中」と謝罪したのだ。
⚠️ わずか1日で大手企業を巻き込む事態に発展
ルミネ荻窪でのInstagram写真無断使用から始まった炎上は、わずか1日で大手企業を巻き込む事態に発展している。
X上では次々と「元ネタ探し」が進み、過去作品にも疑惑の目が向けられている。
問題はこれだけではない。元ネタ候補には芸能人も含まれているという。
芸能事務所が動けば、問題はさらに大きくなる可能性がある。
なぜ企業はここまで慌てて対応するのか。イラスト業界はこれからどうなるのか。
詳しく見ていこう。
📑 この記事でわかること

💡 江口寿史氏のトレパク問題の経緯や法的・倫理的問題については、こちらの記事で詳しく解説しています
🏢 江口寿史トレパク疑惑が企業にも波及!Zoff・デニーズが相次ぎ対応発表
2025年10月4日午後、大手企業が相次いで動いた。
メガネチェーン「Zoff」を展開するインターメスティックが、公式SNSで謝罪文を発表。
「江口寿史氏とのキャンペーン企画で使用されたイラストについて、多くの皆さま、該当モデルの方にご心配、ご迷惑をおかけしており、お詫び申し上げます」
現在、事実関係を精査しており、確認が取れ次第報告するとしている。
Zoffが問題視しているのは、2018年12月に実施したキャンペーンだ。
「江口寿史氏の描く理想のメガネ男子・メガネ女子が店頭を彩る」というコンセプトで、江口氏が描き下ろしたイラストを店舗に飾るキャンペーンを展開していた。
📌 実は、Zoffは7年も前のキャンペーンまで調査対象にしている。過去に遡って徹底調査するのは異例のこと。企業の本気度がうかがえる。
同日、ファミリーレストラン「デニーズ」も公式サイトで声明を発表した。
「当社が運営するレストラン『デニーズ』で使用している江口寿史氏デザインのイラストにおいて、その制作過程について現在確認作業を進めております」
デニーズの公式発表によると、デニーズは2025年も江口氏がメニューブックやポスターを手がけていた。
興味深いのは、デニーズと江口氏の関係の長さだ。
1992年から1997年まで、そして2025年と、30年以上にわたってコラボレーションを続けてきた。
長年の関係があるからこそ、今回の対応は慎重にならざるを得ない。
企業側の発表文には共通点がある。
「事実関係を精査」「確認作業を進める」という慎重な表現だ。
即座に契約解除や謝罪を行うのではなく、まずは事実確認を優先している。
しかし、発表のスピードは驚くほど速かった。
⏱️ ルミネ荻窪での炎上発覚が10月3日。企業の対応発表が10月4日。
わずか1日での対応は、企業がこの問題をどれだけ重く見ているかを示している。
🔍 どの作品が問題視されてるの?過去作品に次々と疑惑が浮上
企業が動いた背景には、X(旧Twitter)上で広がる「元ネタ探し」がある。
多くのユーザーが、江口氏の過去作品と似た写真を次々と発見し、投稿している。
🔎 実は、X上の「元ネタ探し」は止まらない。ユーザーたちが総出で過去作品を検証中なのだ。
Yahoo!ニュースの専門家記事によると、すでに複数の写真が「参考にされたのではないか」としてイラストとともに拡散されている。
Zoffのキャンペーンイラストについても、「メガネ男子・メガネ女子」の元となった写真が特定されたという指摘がX上で広まった。
デニーズのメニューブックやポスターのイラストについても、同様の指摘が相次いでいる。
「この横顔、どこかで見た」「ポーズが完全に一致している」といった声が次々と投稿されている。
江口氏は過去のインタビューで「撮影した写真をトレースして下描きを作ることも多い」と語っていた。
この発言が再注目され、「過去の作品も同じ手法だったのでは」という疑念が広がっている。
問題は、トレース自体ではない。事前に許可を取らずに、他人の写真を商用利用していた可能性があることだ。
X上では、検証画像を作成するユーザーも現れている。
イラストと元写真を重ね合わせ、輪郭や特徴が一致するかを確認する作業が進められている。
こうした集団作業は、現代のSNS炎上の特徴だ。
一人ひとりの発見が積み重なり、問題の全容が明らかになっていく。
企業側も、こうしたX上の動きを無視できない。
次々と新たな疑惑が浮上する中、早期に調査を開始しなければ、企業イメージへのダメージが拡大してしまう。
🎭 元ネタは芸能人?広がる「元ネタ探し」の波紋
さらに深刻な問題が浮上している。
元ネタとされる人物の中に、芸能人も含まれている可能性があるのだ。
ITジャーナリスト・篠原修司氏の分析によると、「元ネタとされる人物の中には芸能人も含まれているようです」とされている。
⚠️ 実は、元ネタ候補には芸能人も。芸能事務所が相手となれば、話はさらに大きくなる可能性がある。
なぜこれが問題なのか。
ルミネ荻窪のケースでは、モデルとなった金井球氏は一般の文筆家・モデルだった。
個人との交渉で、事後承諾という形で一応の解決を見た。
しかし、相手が芸能人の場合は違う。
交渉相手は芸能事務所となる。
芸能事務所は、所属タレントの肖像権を厳格に管理している。
無断使用が事実であれば、法的措置を含めた対応を取る可能性がある。
問題の規模は、さらに拡大する恐れがあるのだ。
現時点では、具体的な芸能人の名前は公表されていない。
X上では様々な憶測が飛び交っているが、確定的な情報はない。
しかし、芸能事務所が動き出せば、状況は一変する。
損害賠償請求、契約解除、公式謝罪──。
企業が恐れているのは、こうした事態だ。
だからこそ、Zoffやデニーズは素早く「調査中」と発表した。
問題が拡大する前に、自ら調査を開始する姿勢を示すことで、炎上の拡大を抑えようとしている。
ただし、調査には時間がかかる。
過去のキャンペーンやコラボレーションで使用したイラストすべてを確認し、元となった写真を特定し、権利関係を調べる必要がある。
🔢 Zoffの場合、7年前のキャンペーンまで遡る。
デニーズの場合、30年以上の関係がある。
どこまで調査するのか、企業の判断が問われている。
⚖️ なぜ企業は対応を急ぐのか?コンプライアンス上の問題とは
企業がこれほど素早く対応した理由は何か。
それは、コンプライアンス上のリスクを深刻に受け止めたからだ。
cokiの専門家分析によると、「企業側からすれば承諾なしでイラストに使用する行為には明らかにコンプライアンス上の問題があります」とされている。
💡 実は、企業が恐れるのは金銭的損失だけではない。
一度失った信頼を取り戻すには10年かかるとも言われる。
コンプライアンスとは、法令遵守という意味だ。
しかし、現代では法律を守るだけでなく、社会的な倫理や常識を守ることも含まれる。
今回のケースでは、以下の問題がある。
📸 肖像権の問題
写真に写っている本人には「肖像権」という権利がある。
自分の顔や姿を勝手に使われない権利だ。
無断で広告に使用することは、この肖像権を侵害する可能性がある。
©️ 著作権の問題
写真には著作権が発生し、原則として撮影者が著作権者となる。
元の写真を撮影した人の許可なく、その写真を元にイラストを描いて商用利用することは、著作権侵害に該当する可能性がある。
❌ 事前許諾の欠如
最も大きな問題は、「事前に許可を取らなかった」という点だ。
プロのクリエイターなら、他人の写真を使用する場合は事前に許可を取るのが常識。
「後から許可を取ればいい」という考え方は、クリエイター倫理に反するとされている。
企業にとって、こうしたコンプライアンス違反は致命的だ。
📉 ブランドイメージの低下
「ルールを守らない」「弱者から搾取する」というネガティブなイメージが付きまとう。
企業としてのブランドイメージが低下し、取引先からの信用を失ってしまう。
🔥 SNSでの炎上拡大
現代はSNS社会だ。
コンプライアンス違反には「ネット炎上」が伴う場合が多い。
炎上自体が話題性を持ち、問題への関心を拡大させてしまう。
👥 顧客離れ
信頼を失った企業からは、顧客が離れていく。
売上などの業績にも悪影響が生じる。
Zoffやデニーズが素早く対応したのは、過去の事例から学んだからだ。
2022年の古塔つみ氏のトレパク騒動では、コラボ商品の販売停止、作品集の出荷停止など、大きな社会的制裁が行われた。
企業は、同じ轍を踏まないために、早期対応を選択したのだ。
「調査中」と発表することで、以下のメッセージを発信している。
- 「私たちはこの問題を重く受け止めています」
- 「事実関係を確認し、適切に対応します」
- 「コンプライアンスを軽視していません」
こうした姿勢を示すことで、炎上の拡大を抑え、ブランドイメージの低下を最小限に抑えようとしているのだ。
🎨 イラスト業界は変わる?古塔つみ事件に続く業界への影響
今回の江口寿史氏のトレパク疑惑は、個人の不祥事を超えた意味を持つ。
イラスト業界全体のルール形成に影響を及ぼす可能性があるからだ。
多くの人が思い出したのが、2022年の古塔つみ氏のトレパク騒動だ。
古塔氏は、広告や音楽ジャケットなど商業的な場面で活躍していたイラストレーターだった。
しかし、作品の多くが写真のトレースや加工だったと発覚。
活動休止に追い込まれた。
古塔つみ事件との比較分析によると、両事件には多くの共通点がある。
🔄 共通点
- 他人の写真を無断でトレース
- 商用利用(広告や商品など、お金を稼ぐために使用)
- 事後対応(問題が発覚してから、慌てて対応)
- SNSでの炎上(批判が殺到し、大きな騒動に)
⚡ 相違点
- 古塔氏は謝罪を発表、江口氏は「事後承諾で解決」という報告トーン
- 古塔氏は作品集の出荷停止など大きな社会的制裁、江口氏は現時点では当事者間での解決に留まる
- 古塔氏は当時キャリアの浅いイラストレーター、江口氏はベテランの著名漫画家
SNS上では「著名作家だから許されるのか」という疑問の声も上がっている。
大物クリエイターと新進クリエイターで、社会的制裁の度合いが異なるのではないか、という指摘だ。
📌 実は、古塔つみ事件から3年。業界は何も変わらなかった。
だからこそ、今度こそ変革が求められている。
2022年の古塔つみ事件の後、イラスト業界では「参考」と「模写」と「トレース」の違いについて議論が起きた。
しかし、明確なガイドラインは整備されなかった。
事前許諾の必要性、商用利用時の権利意識など、曖昧なままだった境界線が、今も残っている。
専門家の分析によると、「『参考』と『模写』と『トレース』の違い、事前許諾の必要性、商用利用時の権利意識など、2022年の古塔つみ氏の炎上事例を経てもなお曖昧なままだった境界線に対し、明確なガイドラインや業界基準を整備する必要性」があるとされている。
著名クリエイターによる同様の問題が続いてしまったことで、広告業界や出版業界全体でのチェック体制強化が急務となっている。
具体的には、以下のような対策が求められる。
✏️ クリエイター側
- 写真を参考にする場合は、必ず事前に許可を取る
- 商用利用する場合は、使用料を支払う
- クレジット表記を明確にする
🏢 企業側
- イラスト発注時に、制作プロセスを確認する
- 元ネタの権利関係をチェックする体制を整備
- 問題発覚時の対応マニュアルを作成
🌐 業界全体
- 「参考」「模写」「トレース」の定義を明確化
- 事前許諾が必要なケースのガイドライン作成
- 権利意識を高めるための教育・啓発活動
イラスト業界は、今度こそ変わるのか。
この問題の行方が、業界の未来を決めるかもしれない。
📝 まとめ:企業対応から見える、イラスト業界の大きな転換点
江口寿史氏のトレパク疑惑は、ルミネ荻窪での発覚からわずか1日で、Zoff・デニーズという大手企業を巻き込む事態に発展した。
✅ 押さえておきたいポイント
- 企業の素早い対応:2025年10月4日、Zoffとデニーズが相次いで「調査中」と発表。過去の炎上事例から学んだリスク管理の表れ
- 拡大する疑惑:X上で「元ネタ探し」が進行中。過去作品に次々と疑惑が浮上し、元ネタ候補には芸能人も含まれる可能性
- コンプライアンスリスク:企業が恐れるのは、ブランドイメージの失墜。一度失った信頼を取り戻すのは極めて困難
- 業界への影響:古塔つみ事件に続く2度目の大型炎上。「参考」「模写」「トレース」の明確なガイドライン整備が急務
- 変革の必要性:広告業界・出版業界全体でのチェック体制強化と、クリエイター倫理の再構築が求められている
重要なのは、これが単なる個人の問題ではないということだ。
イラスト業界全体のルール形成、企業のリスク管理、クリエイターの権利意識──。
様々な課題が、この事件を通じて浮き彫りになっている。
あなたは、イラスト業界の未来についてどう思いますか?
クリエイターの表現の自由と、被写体の権利保護。
そのバランスをどう取るべきか、考えるきっかけになれば幸いだ。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 江口寿史氏のトレパク疑惑で、どの企業が対応を発表したの?
2025年10月4日、メガネチェーン「Zoff」とファミリーレストラン「デニーズ」が相次いで対応を発表しました。Zoffは2018年のキャンペーンイラスト、デニーズは現在使用中のメニューブック・ポスターのイラストについて、事実関係を調査中としています。
Q2. なぜ企業は素早く対応したの?
企業はコンプライアンスリスクを深刻に受け止めたからです。無断使用は肖像権・著作権の侵害に該当する可能性があり、ブランドイメージの失墜や顧客離れにつながる恐れがあります。過去の古塔つみ事件から学び、早期対応を選択したと考えられます。
Q3. 過去作品にはどんな疑惑が浮上してるの?
X(旧Twitter)上で多くのユーザーが「元ネタ探し」を進めており、江口氏の過去作品と似た写真が次々と発見されています。Zoffのメガネ男子・メガネ女子のイラストや、デニーズのメニューブックなど、複数の作品について元写真が特定されたという指摘が広まっています。
Q4. 芸能人が元ネタ候補に含まれているって本当?
ITジャーナリスト・篠原修司氏の分析によると、元ネタ候補には芸能人も含まれている可能性があるとされています。芸能人が相手の場合、交渉相手は芸能事務所となり、法的措置を含めた対応を取る可能性があるため、問題がさらに拡大する恐れがあります。
Q5. 古塔つみ事件との共通点は?
両事件とも、他人の写真を無断でトレースして商用利用していた点、問題発覚後の事後対応、SNSでの炎上という共通点があります。ただし、古塔氏は謝罪を発表して大きな社会的制裁を受けたのに対し、江口氏は「事後承諾で解決」という報告トーンで、現時点では対応に違いがあります。
Q6. イラスト業界は今後どうなるの?
著名クリエイターによる同様の問題が続いたことで、「参考」「模写」「トレース」の明確なガイドライン整備が急務となっています。広告業界や出版業界全体でのチェック体制強化と、クリエイター倫理の再構築が求められており、業界全体のルール形成に影響を及ぼす可能性があります。